思いつきです。よくある別のコーチを加えてみたものです。

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練習試合はお待ち下さい。


ハイキュー二次創作

 ボールの感触、靴底と床が擦れる音、気合いの入った声、嫌いじゃない汗の匂い。

 戻ってきたんだなと、実感出来る。ちょっとだけ胸が熱くなってるのは内緒だ。

 

「孤爪ー、サボってんのバレバレだぞー」

「ぅ……」

「山本見習えとは言わないから、バレねーようにサボれよー」

「はーい……」

「いや、そこはサボるなって言う場面じゃないですか?」

 

 黒尾うるさい。誰にでもサボりたい日があるんだよ。

 にしても、選手だった頃は分かんなかったけど、こうして外から見てると、意外と手抜いてるの分かるモンだな。昔の俺もあんな感じに見えてたのかな。

 

深瀬(ふかせ)、ちょっといいか?」

「なんすか()()()()

 

 後ろを振り返った。そこにいたのは、老猫のような雰囲気を持つ白髪の男性。彼こそ、音駒高校バレー部名物「音駒クオリティ(拾うバレー)」を追い求める名将、“猫又育史”監督だ。

 

「前に話した“烏野高校”、覚えてるか?」

「もちろんですよ。そもそも俺が持ってきた話なんで」

「あの話な、受けることにした」

 

 ネコさんのまさかの言葉に、俺は数分の間、開いた口が塞がらなかった。

 

「……へ?」

「だから──練習試合の話、受けることにした」

「マジ……スか。なんでまた急に」

「お前から話聞いたあと、向こうの先生からも熱心に電話来てな」

 

 宮城県の()強豪“烏野高校”との練習試合。この話は、烏野高校バレー部の顧問とそこのマネージャーが、俺の知り合いだということもあって、俺からネコさんに持ちかけた話だった。正直、受けてくれるとは思ってなかった。

 

 それに、あの高校は──俺の母校でもあるしな。

 

「メンバーは、決まってるんですか?」

「日にちがアレだからなぁ……ベンチ入りメンバーだけ、だろうな」

「直井にこの話は──」

「もう話してある。当日はお前も同行するか?」

「そうですねー……ちょっと確認してみます。明日まで待ってもらえますか?」

 

 ネコさんに返事を待ってもらう了承得て、その日の部活は終わった。

 

 ──さて、久しぶりに連絡とってみますか。

 

「久しぶり姉ちゃん。あのさ、ゴールデンウィークの話なんだけど──」

 

 

 

 ■■■■■■

 

 

 

「もう1本、お願いします!」

「ナイスキー!」

「ワンタッチ!」

「ナイッサー!」

 

 名将の血を引く“烏養繋心”をコーチに加え、新体制となった烏野高校排球部。彼らは今、顧問の武田の尽力によって得られた貴重の機会に向けて、練習に励んでいる。

 

「「……はぁ」」

 

 各々が声を出しチームを鼓舞する中、普段の6割減でやる気と声が減っている部員(ファン)が、ここに2人。

 

「ボーッとしてんじゃねぇぞゴラアァァァァァ!!!」

 

「「あああぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

 烏養の怒号と2名の部員の悲鳴を最後に、その日の練習は終わった。

 

 

 

 その夜、宿舎にて件の2名──2年生の田中と西谷は、主将の澤村に布団の上で正座させられていた。

 

「お前ら、明日が音駒との試合だって分かってんのか?」

「そりゃあもちろん……」

「分かってますけど……」

 

「「潔子さんがいないバレー部なんて……」」

 

 完全にハイライトが消えた目が、彼らの心が折れていることを物語っている。2人の背後にだけ、青から黒のグラデーションがかった背景が映っている。

 

「まぁ、かく言う俺も、お前らの気持ちは痛いほど分かる」

「だなぁ。清水がいないと普段より気持ちの入り具合が違うっていうか、緊張感が無いっていうか」

「烏野には欠かせない存在だもんな」

 

 叱っている澤村、近くで話を聞いていた菅原と東根も、心の中では田中と西谷の気持ちは、痛いほど理解出来ていた。

 

 清水潔子。烏野高校3年生にして、バレー部の美人マネージャー。

 彼女自身、バレー経験は無かったのだが、たまたま()()()()()()()()()()こともあり、澤村の勧誘を引き受け、1年生からずっと、1人でマネージャーとしてチームを支えてきた。

 色んな意味で、選手たちの精神的支柱となっている存在だ。

 

 そんな彼女が、風邪などよっぽどな理由が無い限り練習を欠席したことが無かった彼女が、今日だけは授業が終わるやいなや、部活に参加せず帰ってしまったのだ。

 

 それを聞いた田中と西谷の落ち込みようと言ったらもう、声をかけるのが躊躇われるほど酷かった。トドメの一撃となったのは、練習前に菅原が何気なく放った一言。

 

 

「そういえば清水、今日は珍しく機嫌良さそうで、携帯見てニヤニヤしてたって。清水と仲良い女子から聞いた」

 

 

 それを(清水関連の話だけ)地獄耳の2人は聞いてしまい、こう思ってしまった。

 

「「あの潔子さんが、携帯を見て……ニヤニヤ? ま、まさか、男か!?!?」」

 

(清水関連の話だけ)想像力豊かな2人はそのまま、あんな場面やこんな場面を勝手に想像してしまい、脳がショート(自爆)した。

 その結果、冒頭のやる気のない練習に繋がった。

 

「どこのどいつだそんな命知らずな奴は! 俺達から潔子さんを奪おうなんざ、1億年早いぜ!」

「その通りだぜ龍! ぜってー見つけ出して、目にもの見せてやる!」

「縁ノ下ー、あと頼んだー」

「最後で俺に丸投げっスか!?」

 

 こうして、騒がしく夜は過ぎていった。

 

 

 

 ■■■■■■

 

 

 

 そして練習試合当日。

 

「キヨ、これどこに持ってけばいい?」

「それは、こっちにお願い」

 

「チーム分のドリンク作ったぞ」

「ありがと」

 

 ──なんか、距離近くね?

 

「お兄ちゃん、スコアボードって──」

「そこにあるだろ?」

「あ、あった」

 

 ──お兄ちゃん!?

 

「「なん…………だと…………」」

 

 

 目の前で起こっている光景が受け入れられない田中・西谷(バケモノ共)が、体中からドス黒いオーラを放っていた。

 

「ハ……ハ、ックション!」

「風邪? 昨日は普通だったのに」

「いやなんか、急に悪寒がして……。風邪引いたか?」

「やめてよ試合前に」




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