魔都精兵の性奴隷【貞操観念逆転】   作:耳野笑

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第12話 ベルと優希

 こんにちは。処女を卒業できる見込みが出てきた女・ベルです。

 

 先日、恋ちゃんが暴走し、優希さんを監禁するという事件が起きました。その際――『優希さんはベルのことが好きである』という事実が判明しました。

 

 そう。

 

 なんと。

 

 両想いなのです。

 

 ベルと優希さんは、両想いだったのです。

 

 ベルが男性から好かれているという事実が、未だに信じられません。

 

 夢みたいです。

 

 初めて、彼氏ができるかもしれない。遂に、処女を卒業できるかもしれない。

 

 妄想でもなんでもなく、現実で。

 

 すごくないですか???????

 

 ということで、ベル、動きます。

 

 ――今日、デートに誘って、告白します。

 

『優希さん、今日デートに行きませんか? 美味しいお蕎麦屋さんがあるんです』

 

 と、ラインで送信しました。すると、すぐに――。

 

『ぜひ行きたいです!』

 

 と返信が来ました。ベルはガッツポーズをします。

 

 やってみせます。今日こそ、年齢=彼氏いない歴という式の等号を不等号にしてみせます。

 

 *

 

 ベルは車で七番組へと来ました。羽前組長と優希さんが玄関で待っています。

 

 ベルは運転席から降りて、彼の前に移動します。

 

「こんにちは、優希さん」

 

「こんにちは、ベルさん」

 

 彼の服装は、白のニットに青いデニムです。

 

「よくお似合いですよ、優希さん」

 

「ありがとうございます」

 

 すると、優希さんは控えめに両手を広げました。

 

「……優希さん?」

 

「あ、会うたびにハグするって言ってくれたじゃないですか。……しないんですか?」*1

 

「え、あっ」

 

 いいの? 羽前組長の前でするのは恥ずかしいというか気まずいというか……。

 

 でも、断るという選択肢はありません。ベルは覚悟を固めます。

 

「じゃあ……し、しますか」

 

「はい」

 

 ベルは優希さんを抱きしめました。あったかくて、いい匂いがします。

 

 あぁ……最高ですぅ……。

 

 男子とハグするの、癒されます。これだけでもう幸せです。

 

 すると、羽前組長は苦笑しながら「優希を頼む」と言って寮へ入っていきました。

 

 ……やっぱり人前でハグするのちょっと恥ずかしいですね。

 

 そして、ベルと優希さんは車に乗ります。向かう先は、二番組寮です。

 

 そして、クナドを通り、横浜の地へと降り立ちました。大きな建物群。賑やかで活気がある街です。ベルの地元とは対照的ですね。

 

「じゃあ、お蕎麦屋さんまで案内しますね」

 

「はい。よろしくお願いします。ところでベルさん、腕組んでもいいですか?」

 

「えっ、ど、どうぞっ」

 

 ベルが了承すると、優希さんがベルの腕を掴んできます。

 

 う、嬉しいっ……!!!

 

 横浜の街には、腕を組んでいるカップルがたくさんいます。いま、ベルたちもその中の一組なのです。

 

 すごく、満たされます。ようやく自分が世界に受け入れられたような気がします。

 

 そして、お蕎麦屋さんに到着しました。店内へ入り、タッチパネルで注文してから窓際の席に座ります。ガラス窓からは、穏やかな日差しが射し込んでいます。

 

「先日は恋ちゃんが暴走して迷惑をお掛けしました」

 

「え、ああ、だいじょうぶですよ。俺は気にしてませんし」

 

 優希さんは苦笑しています。だいぶ酷いことをされたのに、深刻に受け止めている様子はありません。もしかしたら、貸出の代償でえっちなご奉仕をしすぎて、慣れてしまったのかもしれません。

 

「気にするべきですよ、優希さん。もっと恋ちゃんに対して怒るべきです」

 

「え、そ、そうですかね……?」

 

「ベルからも、恋ちゃんに『貴方は点と点を繋いでありもしない線を描き、それを真実と主張する探偵気取り迷惑系ユーチューバーです』と叱っておきました」

 

「言いすぎじゃないですか!?!?!?」

 

「ベルと恋ちゃんは仲がいいので、これくらいはお互い普通に言っています」

 

「そ、そうなんですね」

 

 ベルは改めて、優希さんを強く見つめます。

 

「もしまた何かあったらすぐにベルを呼んでくださいね。もう、誰にも貴方を傷付けさせません」

 

「……選挙の時もそうでしたね。ベルさん、いつも俺を守ってくれてありがとうございます」

 

 優希さんは、そういって微笑みました。

 

 なんだか、体が熱いです。ちょっと照れます。

 

 そして、ベルたちはお蕎麦を食べ――その後、遊園地へと来ました。

 

 お化け屋敷に入って密着したり、手を繋いだままフリーフォールを楽しんだりしました。気付けば、歩くときに腕を組んでいるのも自然になってきました。

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎて、日が暮れてきます。

 

「優希さん、観覧車に乗りませんか?」

 

「いいですね、俺も乗りたいと思ってました!」

 

 観覧車に乗り、向かい合って座ります。

 

 徐々に上がっていくゴンドラ。地面が離れていき、視界が高く開けていきます。たくさんのカップルや親子連れが園内を歩いているのが見えました。

 

「ベルさんとふたりで来れてよかったです」

 

「ベルもですよ」

 

「俺たち、周りから見るとカップルに見えてたんでしょうか」

 

「……見えたと思いますよ」

 

 ベルがそう答えると、優希さんは嬉しそうに微笑みました。陽光に照らされる彼の笑顔が眩しく、美しく見えます。

 

 ――覚悟は決まっています。

 

 あとは、言うだけです。

 

「優希さん」

 

「はい」

 

「貴方のことが好きです。ベルと付き合ってください」

 

「はい、喜んで」

 

 優希さんは、真剣な面持ちでそう答えてくれました。

 

 ――告白、成功しました。

 

 彼氏ができました。

 

 ベルが、優希さんの彼女になれました。

 

 今、一気に、人生が変わりました。

 

「ベルさん、俺、第一印象から決めてました。ずっと貴女のことが好きでした」

 

「嬉しいです……」

 

 遅れて実感が湧き、目に熱い涙が込み上げてきます。

 

 ベルが、男性から選んでもらえた。男性に受け入れてもらえた。男性から愛を貰えた。

 

 ああ……すごいです……なんか、違う人の人生みたいです……。

 

 ベル、生きててよかったぁ……!

 

「優希さん、隣に行ってもいいですか?」

 

「はい」

 

 ベルは涙を拭いながら、彼の隣へ移動します。

 

 眩しい陽光が金色に燃えながら、地平線の向こうへと沈んでいきます。

 

 ベルは、優希さんの肩に手を置き、キスをしました。

 

 優希さんは、大きく目を見開きました。しかしすぐに受け入れる体勢を取り、キスに応えてくれます。

 

 近っか……。

 

 優希さん、キスする時目開けるタイプなんだ。

 

 可愛いなあ。

 

 可愛い。可愛い。大好きです、優希さん……。

 

 優希さんへの想いが爆発します。胸がいっぱいになって、幸せで満たされます。

 

 ――やがて、息が続かなくなって、ベルは唇を離しました。

 

 ベルたちの乗るゴンドラが、地面へと近づいてきました。まもなく、観覧車は一周し終わります。

 

「俺、ベルさんと仲良くなってからも、ちょっと不安だったんです」

 

「不安……? なにがですか?」

 

「ベルさんが俺の体にしか興味なかったらどうしようって」

 

「そんなことないですからね!!!」

 

「ご奉仕目的なんじゃないかなって……」

 

「違いますよ!!! ご奉仕も嬉しかったですけど、優希さんのことが好きです! 本当です!」

 

「じゃあ、毎日ちゃんと『愛してる』って言ってくれますか?」

 

「い、言います!」

 

 と、断言しましたが、愛してるなんて言ったことないので恥ずかしいです。が、がんばらなきゃ……!

 

 そして、観覧車を下ります。

 

 まもなく閉園時刻となりました。遊園地を出て、腕を組んだまま横浜の街を歩きます。横浜クナドまでは距離があるのですが――突然、雨が降り出しました。

 

「優希さん、あそこで雨宿りしましょう!」

 

「は、はいっ!」

 

 すぐ近くの建物の軒先で雨宿りをします。幸いにもほとんど濡れずに済みましたが――。

 

「ん……?」

 

 壁面に埋め込まれた看板には、休憩料金と宿泊料金が記されていました。

 

「!!!!!!!!!」

 

 ラブホじゃないですか!!!!!

 

 すると、道行く男女がベルたちのいる入口へ近づいてきて、ベルたちを横目に建物内へ入っていきました。

 

 ……恥ずかしいです。

 

 ここでじっとしていると要らぬ注目を浴びてしまい、優希さんが可哀想です。

 

「は、入ります?」

 

「……はい」

 

 ベルは優希さんと共に、ラブホテルへと入ります。タッチパネルで部屋を選び、鍵を持って移動します。

 

 部屋へ入ると――妖しげな光を放つ照明。ピンク色の淫靡な空気。大きなベッドと、高級そうなソファー。そして、ガラス張りの浴室があります。

 

 すごい……! 本物のラブホテルです……!

 

 すると、優希さんは、悪戯っぽく微笑みながら――。

 

「もしかして初めから狙ってました?」

 

「ぐ、偶然なんですよぉ! 信じてくださいぃ!」

 

「ふふっ、ベルさんのえっち」

 

「ほんとなんですよぉ!」

 

 優希さんはくすくすと笑っています。

 

 本当に体目的だと思われてたら全力で否定しましたけど、彼の様子を見るに冗談のようです。

 

「じゃあ、ベルさん。一緒にお風呂……入りますか?」

 

「えっ、い、いいんですか?」

 

「はい」

 

 そっか。恋人だから、そういうことをしてもいいんだ。貸出の代償として強制されることもなく、合意の上で、そういうことをしてもいいんだ。

 

 す、すっごお……!!!!!

 

「じゃあ、えっと、よろしくお願いします、優希さん」

 

 そして、ベルと優希さんは、服に手を掛け――。

 

 *

 

 翌朝。カーテンの隙間から、わずかに光が射し込んでいます。

 

 ベルは隣にいる優希さんを見ます。一線を越えてそのまま眠りについたので、お互いに裸です。

 

 ついに、卒業しちゃいました。ベルと優希さんは、お互いに処女と童貞を捧げ合ったのです。

 

「優希さん、大好きですよ」

 

「俺も、ベルさんのこと大好きです」

 

 優希さんがベルの胸に顔を埋めてきます。ベルは彼を抱きしめながら、頭を撫でます。

 

 ああ……ベル、いま、とても幸せです。

 

「ベルさん、いつか一緒に暮らして、毎日こんな風に朝を迎えたいです」

 

「……そうですね。八雷神を倒して、魔都も現世も平和になった時は、ふたりで暮らしましょう」

 

「約束ですよ?」

 

「はい、約束です」

 

 ベルと優希さんは、裸のまま抱きしめ合います。お互いの存在をより強く感じられるように、ぎゅっと抱擁します。

 

 ベルは、幸せと温かさに浸りながら、目を閉じました。

 

 *

 

 ベルと優希さんは、魔都に戻りました。すると、二番組寮のクナド前に意外な人が立っていました。夜雲さんです。彼女はベルたちを見るなり――。

 

「ヤった?」

 

「いきなりなんですか!!!!!」

 

 優希さんは顔を赤くして俯いています。ベルは夜雲さんの視線から彼を庇うように立ちはだかります。

 

 すると、夜雲さんは妖しい笑みを浮かべました。

 

「夜雲さんからお願いがあるんだ」

 

「なんですか?」

 

「ベルたんと奴隷くんのえっちに交ぜてほしい」

 

「ぶっ飛ばしますよ!?!?!?!?!?」

 

 

『魔都精兵の性奴隷【貞操観念逆転】』 完!

 

*1
「ベルさん、これからは会う度にハグしたいです」「えっ、い、いいんですか? 真に受けますよ? 本当に毎回しますよ?」第10話より引用




 いったい何人の方が、ここまで辿り着いてくれたのでしょうか。

 ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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