ラーメン、まさか日本のソウルフードと言うべき物がキヴォトス……というか砂漠化してるアビドスでも食べられるとは夢にも思わなかった。確かに食生活とか金とか学校とか日本と似てる部分があるが、まさかラーメンもあるとは……
なんだかんだで楽しみな俺は、かなり立派な暖簾をくぐった。中に入ると鼻腔をくすぐる香ばしい匂いが……これこれ!ラーメン店って言えばこれよ!
「こんにちわ……ぁ」
最後尻すぼみになったのには訳がある。厨房で仕込みをしていたであろう店主さんだ。扉の開いた音を聞き、ぐるりとこちらを向いた。
肩に「柴」のロゴが入った青い法被と白い前掛けを身に着けている、過去に何かあったのか、右目が隻眼となっており、左目の下には十字傷がある一筋縄では行かなそうな姿をしている。
「ん?おぉ!いらっしゃい!……おっ!もしかしてユメちゃん、その子達が新入生かい?」
「はい!ホシノちゃんとリュカくんっていいます!こっちはえっと…学校で保護しているドラキーといっかくうさぎとズッキーニャっていう子たちです!!」
「かなりの大所帯だな」
その風貌とは裏腹に、店主さんはかなり優しそうな人だ。モンスターを見ても驚きも拒絶もしないなんて……いや風貌と裏腹とは言わないな、この場合
「?リュカさん、どうしたんですか?あとが詰まってますよ」
俺が入り口で止まっていたから、ホシノから困惑の声が上がった。
「……あ、悪い、悪い」
俺は慌てて、どいて店内に入る。
「ホシノちゃんにリュカ君、か……俺はこの柴崎ラーメンの店主の柴大将だ。よろしくな、そこのテーブル席でいいかい?」
そういい、柴大将は振下げを……そのもふもふの手で掴んで、作業に戻った。そう大将は大人……ここ、キヴォトスで大人というのは、何故か動物のような姿で、より正確に言えば、柴犬のような姿だ……
柴ってそっちかよ!?
ま、まぁ俺も考えが足りなかった。よく考えたら飲食店の店長なんて大人だし、キヴォトスの大人は全員動物みたいな感じだから……けど、これ……いや分かってる、多分その辺のことも解決してるんだと思うし、大将もその辺は努力してるんだが……毛とか混入しないよね?
そんなことを考えながら、席に座り……あぁ、席の並びとしてはユメ先輩とホシノが隣に座って、対面に座るように、俺、ズッキーニャ、いっかくうさぎが座ってる。ドラキーは俺の横にいる……定位置になったのか?
まぁメニュー表を見てみる……わっ、結構想像以上にある……悩むなぁ……オススメは柴崎ラーメンお値段580円……高校生のお財布にも優しいリーズナブルな値段設定だなぁ。メニュー表にある写真は極太麺・山盛のもやし・厚切りの豚バラチャーシュー・煮卵が乗ってある……二郎系か?ここ、だとしたらコールとかするのか?……いや俺知らねーぞ……
「今回はみんな頑張ってくれてたので、私が奢りまーす!」
「ユメ先輩……そんな悪いですよ」
「マジすか!……えっじゃあみんな何食べる?やっぱ肉か?チャーシューか?煮卵なのか!?」
「ドラキュッキュ♪」
「……リュカさん?」
「じょ、ジョーダンです!!なぁ!ドラキーくん!!」
「ドラッキュー!!」
あっははは、そんなまさか俺が奢りだからって、トッピングとかサイドメニュー何にするか相談するみたいなことしないから……ウソジャナイヨ?
「まぁまぁホシノちゃん。私は嬉しかったんだ」
「嬉しかった?」
「うん、だってアビドス高校に2人も新入生が来てくれたし、ボランティアだって頑張ってくれたし……リュカくんなんて、賑やかな子たちを出せるし」
「……だってさ」
俺は隣に座るモンスター達を見る、彼らも誇らしげに、嬉しそうにしていた……俺もなんか微笑ましいな。
「だから、少し遅れちゃった……歓迎会ってところかな?」
「……ユメ先輩、ありがとうございます」
「そういうことなら、全力で盛り上がろうぜ!みんな」
「事情知る前から盛り上がってましたよね」
「うぐっ……何も言い返せねえ」
基本俺楽観的だからなぁ、モンスター召喚できる!っていう明らかにやばい力持ってても特に疑問に思わずに使ってるし……
「みんな、何頼む?」
「私はこの人気メニューの柴崎ラーメンにしようと思ってます」
「あ、俺も俺も!」
やっぱ人気メニューとかイチオシって聞くと選んじゃうよなぁ、魔法の言葉だよ。本当に
……だが、かなりラーメンの量は多そうだな、俺も男子校生とはいえこの量は食べれなさそうだ、モンスター達とシェアして食べよう。
「なぁ、お前ら、俺とラーメンシェアでいい?」
そう聞くと、モンスター達はコクン。と頷いてくれた。本当にいい子達だなぁ、コイツら
「じゃあ柴崎ラーメン3杯だね。あと割り箸は……ドラキーちゃん達って割り箸使えるかな?」
「……うーん」
仲間になると装備は可能なやつに明らかに手がないと使えないやつがあるから……いけるかな?
「ドラキー、行けそうか?」
そう聞くと、ドラキーは
「ドラキュッキュ!」
と答えた。縦に顔?体ごと振っていたから多分肯定だろう……ズッキーニャはそもそも槍使うから手は使えるとして、いっかくうさぎも……え?なんか自分いけますみたいなこと言ってる……スライムも武器装備できるから、意外とモンスターって手が使えるのか?
「見た感じ、全員使えるみたいだね。じゃあ……すみませーん、柴崎ラーメン3杯と割り箸6本と、あと小鉢を3つお願いしまーす!」
「あいよ!」
「ラーメン楽しみだなぁ、みんな」
「〜♪」
他に客がいないからか、注文してからかなり早い時間でラーメンが出てきた。
だが
「……ラーメンの量、多く無いですか?」
ホシノがそう呟くのも無理はない、俺がメニューで見たのよりも数倍は多く入ってるから、むしろこの量で器に入ってるバランス感覚がすごい
「なぁに、さっきユメちゃんが入学祝いって言ってたからな、そいつは俺からの入学祝いってことだ」
スッゲェ!マジの人情派のラーメン屋だ!!本当にいたんだ!
「よかったなぁ、お前ら……今俺が取り分けるな」
レンゲと割り箸を使い、モンスターの分のラーメンを取り分ける……なんかいきなり大家族の兄になった気分だ。
うん、うん……盛り付けは、まぁこれくらいか?いかんせんかいつらの食う量とか全然わからねえ。ドラキーは多分少食として、いっかくうさぎは……サイの要素とかあるから、少し多めで
で。ズッキーニャ、お前は人間並でいけるか?というかこの柴崎ラーメン、二郎系だからもやしとかあるんだが、いいのだろうか?コイツに盛り付けをして……いやいいか、確かズッキーニャって食べ残されたズッキーニの怨念が生まれたモンスターだから、本人たち的には食べたほうがいい……のか?
まぁズッキーニャが自分結構いけます!みたいな空気感醸し出しているから、多分大丈夫だろう。
ということで、わけ終わったが、それでもかなりの量だ。まぁ。高校生だしいけるいける。
……ではまずはスープから……っ!おお!
濃厚な味わいなのにも関わらず後味もすっきりしてて……だめだ!俺の日本語力では全くこのラーメンの食レポができねえ!!
えー、とりあえず。美味しい醤油ラーメンでした、高校生も満足できる量の具が乗ってて美味しかったです……くらいしか言えねえ、申し訳ねえな
でもドラクエにあるチャーシューメン以上に具沢山なのに、お値段役600円って破格だよな、メニュー表でも十分沢山あるし。
という感じで食べ終わった俺た……しまった、ドラキーたちどんな食べ方してるか見てなかった。肝心なところを見逃していた。
「すごかったねぇ……ホシノちゃん」
「……そうですね。本当にそうとしか言えません……」
向かいに座っていた2人はバッチリ見たようだ。
「え?どんな感じで食べてたんですか!?」
「どんなって、隣で見てなかったんですか?」
「いやぁ、柴崎ラーメンに夢中だったもんで……で!どんな感じでしたか!?」
「……説明したいのは、山々なんだけど…………ごめん、ちょっと難しいや」
そんなに!?え!?言語化出来ない感じだったの!?
き、気になる!……ラーメン完食してるあたり、ちゃんと食べたのはわかるが……すっげぇ気になる!
俺は死ぬほど気になった。とはいえ、ラーメンも食べ終わったから、歓迎会もつつがなく終わった。ユメ先輩は生徒会としてもう少しやることがあるということで先に別れた。
俺とホシノの家は別の場所だが、俺の護衛というかボディーガードということで一緒についてきた。
「悪りぃな、わざわざついてきてもらって」
「構いませんよ、もう日も暮れてるのでヘルメット団に襲われるかもなので」
「マジに追い剥ぎかよ……戸締りしっかりしとかねえとなぁ……」
マジでここ顔が良い追い剥ぎが跋扈してる治安がやべぇ場所だな、しかも銃火器をデフォで装備している!全くなんて場所だ!!
っと、そんな話をしてる合間にいつの間にか俺ん家に着いたか。
「お、ここだここ。ありがとうな、マジでここまで来てくれて……じゃあ、また明日な!」
「……えぇ、そうですね」
そう良い、ホシノと別れて家に帰った。
「いやぁ、人情派ラーメン店に、お前らもかなり受け入れられて今日はいい一日だな!」
と言っていると、ズッキーニャがずい!と俺の前に立ち塞がった……なんだろうか?
「!……!!」
手に持ってる槍を上げている?……………あ!!!
「ひょっとして、槍の稽古の話か?」
そう聞くとすごい首をブンブン縦に振った。側から見てて首へし折れそうで大変怖い。
「うーん…今日遅えから明日……OK悪い今やろう」
断ろうとした瞬間に、いつも楽しそうな顔のズッキーニャが見たこともないような絶望顔に変貌しかけたから、俺も断れなかった……なんかあの後ずっと楽しそうだったのはそういうことか……まぁ今やっても別にいいだろう
場所はリビングでいいか、物を片付け……ズッキーニャがノリノリですごい片付けを率先してやってる。そんなに楽しそうだったのか、ごめんな断りかけて
「……あくまで目的は戦闘ではなく、教えるって感じだからな……何か長い別のものを武器に」
そういうと、あらかじめ用意していたのかモップを手渡してきた。
「ほんっとうに段取りいいな、お前……」
まぁズッキーニャが楽しそうなのは今に始まったことじゃない。俺は手渡されたモップを構えて、ズッキーニャと相対する。
「んじゃま、御指南御鞭撻よろしくお願いしまぁす!」
結果はズッキーニャにアホほどボコボコにされた。俺がモップを振り下ろして攻撃するが、ズッキーニャに受け止められて流されて体勢を崩されて、その隙に追撃、という感じで、多分このズッキーニャはこうどうおそい持ちを有しているのだが、攻撃に対してカウンターを繰り出す戦法を前にして俺は崩れ落ちた。
ズッキーニャとは会話はできないが、ズッキーニャの手振り身振りで持ち方とか構え方を教えてもらった。特に持ち方一つ、構え方一つで力や動きやすさが大きく変わった……キヴォトスで槍が通用するとは思わないが、それでも動き方を知ることで、生存能力は大幅に変わるなぁ、と俺は思った。
「……今日はここら辺でいいか?……いやぁ、かなりタメになった。ありがとうな!」
そういうと、汗(水分?)を多少は流しているズッキーニャは笑顔で頷いた。
俺はズッキーニャを戻して、代わりに
「ほんっとうに申し訳ない、その、やくそうで直してくれないか?」
モコッキーを出して、やくそうで回復してもらった。
「〜?」
モコッキーは心配そうに俺を見る
「大丈夫だ、お前のやくそうのおかげで結構治ってきた」
とは言え、今回のやくそうの使用でわかったことがある。やはり回復能力は下がっているとみた……前回の小指打撲事件ではダメージが少なかったのかは知らないが、今回のモップ打撲では、完治はしていない。多分ゲーム的に例えるなら、今回のことは5ダメージ程度のことだろう、ズッキーニャがいつもの槍ではなくモップだし、殺す気はなく手加減だから大幅にちからは下がってるはずだから
これが意味することは、やくそう、いやもしかしたら回復魔法やアイテム全般に頼り切ることは難しい。ということだ……俺の能力の制限か、それとも回復という普通では不可能な物事の上限なのかは知らないが、無理は禁物。ということだろう
「……いのちだいじにってことね」
俺はモコッキーを撫でながらそう呟いた。だがこれで良かったのかもしれない、もし本当に作中通りの性能をしていたのなら、俺の周りで命の価値がなくなっていたのかもしれない、俺が自傷を前提として活動する恐れがあったのかもしれない……とにかくこの手のものは便利な絆創膏と思うべきだな。と考えよう、
(それにしても、夜中だからか思考がなんか変な方向に行くなぁ……)
そう思っていると、実はさっき出していたスライムが俺のスマホを持ってきてくれた。
「おっ、ありがとうなぁスライムゥー」
……なんだだろうか、この流れ最近やった気がする。詳しくいうと2日前辺りに
「ええっと、現在時刻………うむ、大遅刻ギリギリ也」
どうやらズッキーニャとほぼ一晩中稽古していたらしい。え?つまりさっきの思考朝なのにやってたの!?はずっ!!
「って、そうじゃねえ!!走らねえと!!」
また俺は全力疾走決め込んだのであった。
「つーか、飯買ってねえ!!!」
ドラクエ大辞典
ラーメン
スープにこだわって作られたラーメン 食べるとすばやさが少し上がる。具材は卵に海苔にチャーシュー、ナルトと一般的な醤油ラーメンである。
素材は時間ふわふわ小麦3個やわらかい肉2個おいしい水2個調理時間は30分で海苔の素材がないのはご愛嬌。食べるとすばやさ+20の効果がある。初登場は星ドラ
チャーシューメン
調理時に大成功だとこっちになるラーメンの上位互換、焼き豚たっぷりのチャーシューメン 食べるとすばやさが上がる。具材はチャーシューメンらしく豪快に5枚もチャーシューが乗っけてある豪華な一品、リュカ曰くチャーシューの数では柴崎ラーメンの方が多いらしい。素材と調理時間はラーメンと同じ食べるとすばやさ+30の効果がある。初登場は星ドラ