32.新入生
ラブライブ大会を終え、季節は春。半袖でも過ごせるくらいのそんな陽気な日の事だった。
「まだまだいけるよー!」
基礎練習を行うみんなの事をしっかりと見つつ、僕はそう声をかける。
「後、10秒!」
そして、10秒が経ち、その場に座り込むみんな。
「一旦、休憩ね。水分補給はしっかりとね」
そう言って、みんなにクーラーボックスに入ったペットボトルを投げ渡していく。
「しょーくんってこんな厳しいと思ってなかった…」
「何か言った?かのん」
「ううん、何も言ってないよ」
「そう?」
「でも、これぐらいやらないとだよね」
「ちーちゃん、流石」
「これが全国で勝ってきた二人の言葉…」
ちーちゃんと練習の会話をする中、かのんが恐れおののいていた。
「皆さん、見てください!フォロワーが倍になりました~!」
「なんと」
「しょーくん効果?」
「いやいや…何もしてないよ」
休憩中、自分のスマホを取り出して『Liella』のアカウントを見せてくる可可ちゃん。
フォロワーは、倍以上になっていた。
「一部のサイトでは、リエラは次回の優勝候補とも」
「まあ、当然よね」
「違うよ、これは優勝したサニパさん達が…」
かのんがそう言って、僕はあの事の事を思いだす。
優勝した後に、サニパの二人が、感謝の言葉を伝え、心躍ったグループにリエラを挙げたのだ。
おまけに、僕の名前まで言うものだから、こっちは冷や冷やだった。
本当に辞めて欲しい。
「でも…私達、大会でまだ結果を残せていませんよね?」
「名前だけ広まってるもんね…」
「だから、次は結果を残すの。そして、この学校のみんなと一緒に、喜びたい」
かのんの言葉に、みんな頷いた。
「よし、その為にも練習頑張らないと!」
「だね」
「うん!もちろん!」
「ですね」
ちーちゃんの言葉にみんな頷いた。
「それじゃ、次はフォーメーションの確認でもする?」
「そうだね、かのんちゃんは0の位置、すみれちゃんは2の位置」
「は~い」
ちーちゃんの言葉にすみーが移動して準備が整って練習を再開する。
「よーし、頭から!ワンツー_」
ちーちゃんの言葉に合わせて、みんなダンスをする。
そんな時だった…。扉が急に開いて女の子が飛び出してきた。
僕を含めた全員の視線が彼女の方に向いた。
「しまった…」
「あなたは?」
「えーと…」
「もしかして、新入生!?」
「あ…え、えーと…はい…」
彼女が新入生だと聞くと、みんなして歓声をあげた。
「後輩!?後輩デスよね!?可愛いデスー!」
「待ちなさいよ! 何、先に話しかけてるのよ!」
「まずは生徒会長の私が!」
「もしかして、スクールアイドル部に入部希望?」
これはまずい…新入生だと聞いて、みんなのテンションが上がってる…
なんとかして落ち着かせないと…
「みんな落ちつ_だって新入生でしょ? スクールアイドル部は、れっきとした部活だよ!」
「この子が…」
だめだ…止めれる気がしない…
「え?」
「ありがとうございます…」
「ずっとこの日を待ってたよ…」
「一緒に光を追い求めマショウ!」
「え? ええ?」
「素直じゃない子ね!」
「ようこそ!Liella!へ!」
「違う!違うっすよー!」
そりゃそうだ…感じ的に事故みたいな感じで会ったんだもん。
そして、屋上から移動して部室の中に入って、彼女から話を聞くことにした。
「さっきはみんながごめんね…」
「いえ…」
部室に入って、椅子に座ってもらい、紙コップにジュースを入れて彼女に渡した。
「それで、何か用でもあって来たのかな?」
「実は…」
彼女はそう前置きを置いて、話をしてくれた。
「道に迷った?」
「はい…」
「ごめんね。勝手に勘違いして」
「いえ…」
どうやら道に迷って、気付けば僕達の所まで来たらしい。
「もしかして、東京初めて?」
「えっ!? んな訳ねぇっす! 東京は庭! 庭っすよ!」
「散々検索したっすし…あー、ヒルズ族っすよね…ヒルズ族…ヒルズ族…」
ヒルズ族…ってなんだろう。聞いた事が無い言葉だけど。
「どうやら送ってあげたほうがよさそうだね」
「うん、その方が良いと思う」
「私が送っていくよ。住所分かる?」
そう言って、かのんは彼女と共に部室から去っていった。
「それじゃあ、キリも良いし、今日の練習はここまでにしよう。明日、入学式だしね」
そして、練習を切り上げて僕達はそれぞれ家に帰り、その日の夜
「無事に家まで送れた?」
「うん、すぐ近くだったから」
「それなら良かった」
あの後、どうなったのかかのんから話を聞いていた。
「もしかして6人目のLiella!の誕生?」
「気が早いよ」
本当に気が早い。
「でも、ちょっと不思議な感じ…私、この5人で優勝目指すのかと思っていたから…」
「私もです。大会終わった直後は、この5人で今度は勝ちたいって」
「じゃあ、2人は入ってきてほしくないの? 1年生」
「いえ」
「私、きな子ちゃんと話しているうちに思ったんだ。新入生と一緒に頑張りたいって」
「ええ。そうやって、1つの紐と紐が結ばれて繋がっていく。それが、母の願いでもあると思いますから」
結が丘だけに_ね。
「じゃあ明日から新しい仲間を見つけられるよう、改めて頑張っていこう!」
『おー!』