と言うか失踪…
誠に申し訳ない…
何とかスピード落とさないよう投稿を続けたい所ではありますが、これからの時期仕事が更に忙しくなるので…
ちゃんと皆楽しめてるのかだけ心配な今日この頃
是非感想下さい
2017年 ヨークシャー ノース・ヨーク・ムーア
――ノース・ヨーク・ムーアズの東の地平線が、血のように赤く染まり始めた。
冷たい小雨を降らせていた分厚い雨雲が僅かに割れ、特異点の荒野に静かな夜明けが訪れる。
だが、その神々しいはずの朝陽が照らし出したのは、絶望的な死の質量であった。
見渡す限りのヒースの平原。
その中央にそびえ立つピラミッド状の魔力炉心(RAFファイリングデールズ)を扇状に護るように、亡霊兵士(アンデッド)たちの機甲師団が、幾重にも連なる分厚い防衛線を構築していた。
ティーガー重戦車、パンター中戦車を中心とする二百両もの装甲車両が、冷たい鋼鉄の威容を連ねている。
その隙間を埋め尽くすのは一万を超える亡霊歩兵たち。
さらに上空では、朝陽を遮るほどのワイバーンの大群が、空腹を訴えるように狂乱の羽音を響かせていた。
「夜明けです、総司令官閣下」
深い外套(フード)を被った無銘の英霊、『ソルジャー』が手にした双眼鏡を下ろし、傍らに立つ藤丸立香へと静かに告げた。
ここは、敵の有効射程の僅かに外側に位置する、なだらかな丘陵の裏側。
立香の背後では、これから彼女たち強襲部隊を東の渓谷から一気に空輸するための『ある機体』が、静かに、しかし力強い駆動音を響かせて待機していた。
「囮となる部隊の配置は?」
「既に完了しております。
あとは、最初の一撃(トリガー)を引くだけです」
立香はゴクリと喉を鳴らし、広大な荒野に展開した時空を超えたカルデア軍の陣容を見渡した。
最前線に立つのは、鮮やかな真紅の軍服を纏ったイギリス戦列歩兵(レッドコート)の大隊。
そして、彼らを両翼から挟み込むように、塹壕や起伏に身を潜めた各国の歩兵や対戦車砲の陣地が構築されている。
「……行こう。みんなの命を懸けた作戦、絶対に無駄にはしない」
ソルジャーが通信機を手に取り、全軍の周波数へと合わせた。
その無機質な声が、荒野に潜む数万の名もなき兵士たちの耳に届く。
「作戦開始、撃ち方始め」
――次の瞬間、ノース・ヨーク・ムーアズの地が、文字通りひっくり返った。
『フォイアーッ!!』
『ファイア!!』
『アゴーニ!!』
『撃てェッ!!』
言語も時代も異なる砲兵たちの怒号が重なり合い、後方陣地から、数百条の火柱が朝の空へと噴き上がった。
ドイツ軍のネーベルヴェルファー多連装ロケット砲が、不気味な咆哮を上げて炎の尾を引き、ソ連軍のカチューシャ(スターリンのオルガン)が、狂気を孕んだ連射音と共に無数のロケット弾を空へ打ち出す。
さらに、第一次・第二次大戦の野砲群や、戦国時代の抱え大筒までが一斉に火を吹き、空を埋め尽くすほどの鋼鉄の雨となって敵陣へと降り注いだ。
ズドガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!!
鼓膜が破れんばかりの爆発音が平原を揺るがす。
展開していた敵前衛の亡霊歩兵たちが、容赦ない面制圧によって次々と爆砕され、土塊となって吹き飛んでいく。
上空のワイバーンたちも、面制圧の爆風と破片の嵐に巻き込まれ、幾匹かが悲鳴を上げて墜落していった。
だが、二百両を数える機甲部隊の重装甲には、榴弾の雨も致命傷には至らない。
そして、この強烈な『刺激』が、知性を持たない自動機械(オートマタ)と化していた亡霊機甲師団のスイッチを完全に押し込んだ。
『――ァァァァァァァァァァァァァァァァ……ッ!!』
一万の亡霊兵士たちが、地獄の底から響くような呪詛の咆哮を上げる。
戦車のマイバッハ・エンジンが一斉に唸りを上げ、猛烈な黒煙を吐き出しながら、二百両の重装甲部隊が動き出した。彼らが選択したのは、戦術的な迂回でも防衛でもない。砲撃の飛んできた方角――すなわちカルデア軍の正面へ向けた、美しい楔形陣形(パンツァーカイル)による最短距離での無慈悲な蹂躙であった。
「敵戦車大隊、および歩兵部隊の約七割が前進を開始! 上空のワイバーン群もこちらへ向かってきます!」
前線の観測兵からの報告が通信機に飛び込む。
五十トンを超える重戦車群が、地鳴りを立てながらカルデア軍の最前線へと迫る。その正面で彼らを待ち受けるのは、身を隠す塹壕すら持たない、横一列に並んだ戦列歩兵(レッドコート)たちだ。
「――構え(Make ready)ッ!!」
指揮官の号令に合わせ、レッドコートの大隊がマスケット銃を構える。彼らの役割はただ一つ。極めて目立つ陣形と射撃音で、敵の機甲部隊とワイバーンの注意(ヘイト)を極限まで引きつけること。
「――撃て(Fire)ッ!!」
轟音と共に、数百の銃口から一斉に分厚い白煙が吹き出す。
鉛玉の豪雨が迫り来るワイバーンを蜂の巣にして叩き落とし、戦車の強固な前面装甲に当たって無数の火花を散らす。全くの無意味な攻撃。だが、その弾幕(ヴォレー)こそが、敵の戦術記憶を「目の前の敵をすり潰す」ことに完全に固定させた。
主砲が火を吹き、レッドコートの陣形の一部が吹き飛ぶ。だが彼らは一歩も引かず、機械のように次列が進み出て装填と射撃を繰り返す。
そして、怒り狂った亡霊の戦車部隊が、戦列歩兵を轢き潰そうと加速し――平原の窪地に踏み入った、その瞬間だった。
ズブリッ……ッ
「……ッ?」
先頭を走っていたティーガーやパンターが、突如として前のめりに沈み込み、急激に速度を落とした。
平原に点在する『泥炭地帯(ボグ)』。一見すると平らなヒースの原野に見えるそこは、重車両の足回りを完全に絡め取る底なし沼だ。
後続の戦車も急停止できず、次々とボグへと突っ込み、キャタピラを空転させて泥を跳ね上げるだけの鉄の棺桶と化していく。
「――突撃、始め」
通信機から響くソルジャーの鋭い声。
それを合図に、泥沼の左右に偽装網を被って潜んでいた『真の刃』たちが、一斉に牙を剥いた。
「撃てェッ(フォイアー)!!」
泥を被って隠蔽されていたドイツ国防軍の75mm対戦車砲(PaK40)が、十字砲火を浴びせる。放たれた徹甲弾が、動きを止めた敵戦車の薄い側面装甲(サイドスカート)を容赦なく貫き、内部の弾薬に引火して次々と大爆発を引き起こしていく。
「Ураaaaaaaaaa!!」
「突撃ィィィッ!! 続けぇええッ!!」
さらに、泥の中から湧き出すように、ソ連軍の歩兵と大日本帝国陸軍の決死隊が飛び出した。彼らは弾雨を掻き潜り、動けない戦車に肉薄すると、九九式破甲爆雷や対戦車手榴弾を次々とハッチや履帯に叩き込んでいく。
「敵の歩兵が来るぞ! 近接戦闘用意ッ!」
戦車の撃破に気を取られる暇はない。後続の亡霊歩兵一万が、怒涛の勢いで押し寄せてくる。
そこへ横合いから突撃をかけたのは、野性的な咆哮を上げるケルトの赤枝の戦士たちと、ククリ刀を抜き放ったグルカ兵、そして抜刀した戦国武将たちの部隊だった。
凄惨な白兵戦が始まる。血と泥が飛び散り、銃剣と槍が交錯する、文字通りの肉弾戦。
「……見事な誘引だ。
だが、長くは保たんぞ」
遠くからその地獄絵図を見つめながら、エミヤが双剣を握りしめた。
敵の数はあまりにも多すぎる。ボグの罠にかかったのは先頭の数十両。後方にはまだ百両以上の戦車が控え、ワイバーンの群れも次々と降下し始めている。
囮部隊が全滅するのは、時間の問題だった。
「わかってる…だからこそ、私たちが絶対にやり遂げないと」
立香は振り返った。
彼女の背後には、朝陽を反射して鈍く光る漆黒の機体――時空を超えた軍隊の中で唯一、近代航空の粋を集めた双発のティルトローター機、『V-22 オスプレイ』と各国の幾多もの輸送ヘリが、強襲部隊を乗せて今まさに飛び立とうと、強烈なダウンウォッシュを吹き荒らしていた。
「総員傾注!」
ソルジャーの声がローターの爆音を斬り裂く。
目の前には日本の特殊作戦群、デルタフォース、グリーンベレー、スペツナズ、SAS、中国軍の雪楓特戦旅団、GIGN、ドイツ軍のKSK等……。
他にも数多くの近〜現代特殊部隊がずらりと並び、戦意に満ちた鋭い視線を送ってくる。
「先達として、幾つか言葉をかけさせていただこう」
ローターの叩きつける凄まじい風圧の渦中、影のように一歩歩み出た一つの異形の存在があった。
黒き装束を纏い、顔面を白骨の仮面で覆った男――十九代続いたアサシンの長の一人、『呪腕のハサン』。
無機質な暗視ゴーグルやタクティカルヘルメットを装着した最新鋭の兵士たちが、一斉にその異形の英霊へと視線を向けた。
彼らは現代における『暗殺』や『強襲』の専門家であり、極限まで無駄を削ぎ落とした洗練された殺人技術の体現者たちだ。だが、その眼前に立つハサンからは、歴史の重みと、幾多の血を啜ってきた伝説の影としての圧倒的な圧迫感が放たれていた。
「我らはかつて、山の翁の教えに従い、闇に潜み、ひとつの命を奪うために己が身を殺ぎ落とした。姿を消し、気配を断ち、ただ一撃で標的の心臓を穿つ……それこそが我らの歩んだ『暗殺』の道。だが――」
呪腕のハサンは、白骨の仮面の奥から鈍く光る双眸で、一斉に整列する各国の精鋭兵たちを見渡した。
「時代は流れ、術は形を変えた。そなたらは最新の鎧を纏い、音よりも速き弾丸を放ち、空を駆け、死を齎す。姿を隠す法も、敵を屠る手段も我らの時代とは比べものにならぬほど洗練されている。……しかし、その根底にある『覚悟』の質に、何の変わりもない」
ハサンは畳みかけた右腕――布に巻き付けられた不気味な異形の手腕を静かに胸元へと当てた。
「己が身を無と化し、戦場の闇と同化せよ。恐怖を捨て、迷いを撃て。そなたらが手に持ちしその鉄の管も、我らの掲げた短刀も、本質は一つ。――ただ、背負いし使命を果たすための刃に過ぎぬ」
特殊部隊員たちの目つきが変わる。
国籍も、思想も、使役する兵器も異なる。だが、闇に潜み、最前線よりも過酷な死地へと一足飛びに殴り込みをかける『隠密にして必殺の尖兵』としての矜持が、何世紀もの時を超えて古代のアサシンと完全に共鳴していた。
「共に征こう、現代の影の狩人たちよ。我らの先祖たる闇の系譜が、そなたらの背を押している。我が右腕に宿る呪いにかけて――そなたらの奇襲に、神の加護と確実なる死の結末があらんことを!」
『――Roger that!!』
『――우라(Urra)!!』
『――了解(Acknowledge)!!』
低い、しかし地鳴りのような各国の言葉の咆哮が、ローターの爆風を押し返した。
言葉の壁など最初から存在しない。彼らは今、歴史上存在し得なかった「最強の強襲部隊」として完全に一つに束ねられていた。
「……総員、搭乗(Boarding)!」
ソルジャーの短く切れ味のある号令と共に、SASやデルタフォース、特殊作戦群の隊員たちが流れるような無駄のない動作でオスプレイのキャビンへと吸い込まれていく。続いてKSK、GIGN、スペツナズたちの精鋭が輸送ヘリのハッチへと駆け込み、強襲準備を完了させていく。
「行くぞ。背後(バック)は任せろ」
エミヤが双剣を消し去り、背後に黒弓を抱えて立香の隣へと滑り込む。
「うん、エミヤ! ソルジャー、ハサンさん……全機、発進して!
ジャンヌは正面部隊の指揮を!」
「はい!
お任せください!」
ジャンヌが見守る中、本隊は朝焼けの空の下を低空で駆ける。
目指すはRAFファイリングデールズ…魔窟と化した敵の拠点。
もう一つの戦いが始まる。
遅くなって申し訳ありません
実は会社の体制が変わり、超忙しくなってサイトを開いている時間もなく……
とは言え、その間もオリジナルサーヴァントを考えていたりと、色々画策していました
心待ちにしていただけると幸いです
変性亜種特異点の第3節を乗りに乗りまくって書いたが故に、カルデア軍を名乗る不明勢力関係で所々書き直したい場所があります。只、書き直すと少しばかり設定が変わる部分があるので、アンケ取ります
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書き直して
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別にいいよ
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そんな事よりおうどん食べたい…