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やぁ皆
『Re:そもそも始まらない異世界生活』を再び読んでくれてありがとう。
前回、僕はラインハルトちゃんと戦うことになったよね?
まず結論から言おう。
何事も結論が大事だし、僕は寄り道がこの世で一番嫌いなんだ。
ほら、寄り道とか蛇足とかって美しくないと無駄じゃない。
それに、結論っていうのは存外に一番つまらないものだからね。
また勝てなかった。
01-ラインハルト視点
クマガワと名乗った青年は両手に巨大な螺子を持ち僕に躊躇なく突っ込んできた。
だが、あまりにも遅い。
しかも彼に動きがブラフやフェイントなどではない事がわかる。それゆえに困惑せざるを得ない。
本当に彼がこの惨状を引き起こした張本人なのだろうか?と。
顔面を突き刺すように放たれた螺子を半歩左に避ける。そして腹部へ拳を入れる。
『ごはっ!?』
「(なんだ...?)」
僕の一撃で彼は1mほど吹っ飛び口から血を吐く。
だが...なんだろうこの感覚は。
あまりにも無抵抗すぎる。
まるで最初から殴られるために来たかのように手応え。何がしたいんだ、彼は。
『は、はは』『剣聖なんていうから』『てっきりその腰の剣を使うのかと思ったよ』『騙された』
「この剣はそう易々と抜けるものではなくてね。抜くべき時にしか抜けぬ代物なんだ」
『へぇ』『変わった剣だ』『まさに主人公って感じ』
「...どうだろう、クマガワ。君じゃ僕に勝てない。最後の通告だ。投降してくれ。このままでは」
『僕が死んでしまうって?』『甘い』『実に甘いねラインハルトちゃん』『その甘さは命取りになるよ』
ふらつく足で彼は立ち上がる。先ほどの一撃で彼の内臓には深刻なダメージを負っているはず。なのに立つか。
「まるで不死身だね。加護、というわけじゃなさそうだが」
『そう...だね』『僕にはそんな物はないよ』『それに人をまるで化け物のように扱わないでくれ』『うっかり』
『殺しちゃいたくなる』
ゾワッ!
加護による直感が僕の体を動かした。
足元から僕を貫かんとせん螺子が大量に出現する。
だが、この螺子...やはり魔法の類じゃなさそうだ。
『ちぇ』『これも避けられちゃうか』
「あいにくと初見の攻撃は効かなくてね。ついでに言うと二度目以降の攻撃も僕には通らないし、飛び道具も届かない。だから僕は君に投降を勧めているんだ。君じゃあ、僕には届かない。」
『はは』『まるで安心院さんじゃないか』
「アンシンイン....?」
『気にしないでくれ』『とても性格が悪い知り合いだよ』
02-球磨川禊視点
まさに劣化版安心院さんと言ったところだね。初見の攻撃が通じない、二度目以降の攻撃も効かない、飛び道具すらも届かない。
きっとまだまだ僕の知らない加護とやらを持っているのだろう。
だが。
安心院さんほど理不尽じゃない。
『ッ』『だけどラインハルトちゃん』『体術も卓越してるんだね』
彼の拳がめり込んだお腹がすこぶる痛い。
喉の奥からとめどなく血が溢れ出てくるし視界もぼやける。足もふらつく。
つまりはいつも通りだ。
「卓越してる、と評価されるほどのものじゃないよ」
あぁ、そう。
本当に彼はつくづく幸せ者で才能マンだな。
僕が最も嫌いなタイプだ。
「先ほどの一撃で内臓に深刻なダメージを負っているはずだ。あと数分もすれば死んでしまうよ。クマガワ。」
『おいおいおいおい』『他人事だね?』『僕が死ぬんじゃないだろ』『君が殺すんだ』『もう少し当事者意識を持ってくれよ。』
「......そうだね。」
一歩、僕は足を踏み出す。
だけど思ってる以上にダメージが深刻なようだ。体の力は抜け前のめりに倒れていく。
だけど。
タダじゃ転ばないのが僕ら過負荷だ。
僕は螺子伏せるために、螺子を投擲する。
狙うはラインハルトちゃんじゃない。
「な、なに...この状況...?」
第三者だ。
「エミリア様!!!」
僕の螺子がエミリアと呼ばれた人に当たりそうになる直後、彼はチンピラが使っていたナイフを拾い上げる投擲する。
すんでのところで弾かれる。
あーあ。
最後の一撃すらも届かないか。
『また勝てなかった』
03-エミリア視点
路地裏は、本当に不動状況だった...。むせかえる血の匂い、磔にされる3人の男性。
そして黒髪の男の子と戦うラインハルト。
状況が...飲み込めなかった。
「な、なに...この状況...?」
「エミリア様!!!」
突然、私の前に巨大な何かが飛んできた。だけど、それをパックよりも早くラインハルトが弾き飛ばしてくれた。
倒れゆく黒髪の男の子が投げたそれは、壁に深々と突き刺さる。
大きな...螺子?
『また勝てなかった』
男の子はそう言いながら地面に倒れた。動かない...し、死んじゃったの...?
「エミリア様、ご無事ですか?」
「え、ぁ....うん...私は、無事だけど...この状況...あの男の子は...」
「...再三以上投降を促したのですが...抵抗し、僕が...」
つまり、死んだ...のね。
「そう...。あ、そ、それより、早く磔にされてる人たちを!急いで治療しないと!」
「.....はい」
ズッ
壁の方を向いた直後、布ずれの音が嫌に耳に届いた気がした。
でも、今この路地裏には誰も。
恐る恐る、私は...振り返った。
『全く』『僕だって死ぬのはごめんなんだよ』
先ほど、ラインハルトに殺害された男の子が...そこに立っていた。
倒れる直前に見えた口元の血も、服についた土埃も何もない...。
まるで“何もなかった”かのようにそこに立っていた...。
「そんな...なぜ、いや...どうやって?君は今、確実に死んでいたはず...」
『勿論』『バッチリちゃっかり』『ちゃんと死んでいたよ』
「なら...どうして...。」
『“
『それが僕の
『“
『名前だけでも覚えて帰ってね』