ミスラは黒服と言う人物から話をしたいと言われ、彼の所有する施設の応接室に通された
「改めて私は"ゲマトリア"所属の黒服です」
「…………」(ゲマトリア、何処かの学園と言うわけでもなさそうだよな、そもそも大人が学園と直接的に関わることはないか)
「そうですね、まずはゲマトリアについて説明をした方が良さそうですね」
「ゲマトリアとはこの学園都市キヴォトスで神秘の研究や探求を行うものたちが集まった組織です。組織のメンバーがそれぞれ研究するものは違いますが、みなキヴォトスの神秘に関することを調べております」
「神秘…………それは物の現象なんかを形容するものじゃないのか?」
「ええ、それが一般的な認識です。ですが、神秘とはこのキヴォトスにおいては、全ての生徒に宿っている或いは持っているなどと表現できるのです」
「あなたも見たでしょう、ここでは銃撃戦が毎日行われていますが軽い喧嘩のようなものです」
「…………確かに、だから反動の強いショットガンでも小鳥遊さんは平然と撃てたのか」
「そう言うことです。そして全ての生徒に神秘は宿る。もちろんあなたも例外ではありません」
そう聞くとミスラは今までの自分の認識とキヴォトスとの認識のすれ違いが、神秘の影響だと理解する。それは自身にもあるのだと言われるが違和感を感じる
「なら、拳銃の弾丸が頭部にヘルメットを挟んで気絶するのは脆すぎないか?」
「肉体の強度には個人差がありますから、しかし拳銃一発で気絶ですか…………かなりの改造を施しているようですね」
「一応これなんだけど、改造とかそんなの無いよ。と言うか銃器にそこまで詳しくないからな」
そう言いながら拳銃を1挺取り出す。黒服は興味深そうにその拳銃を観察し始めた
「少し、触ってみてもよろしいでしょうか?」
「変なことをしないのなら大丈夫です」
「なるほど、なるほど、これは素晴らしいですね」
黒服は拳銃の弾倉から引き金、果てには銃身の中をじっと覗き込んでいた、端から見れば自分自身を撃ってしまいそうな危うさも醸し出している
「ただの拳銃ですよね?」
「いえ、そうですね。あまり推察で語るのは私のポリシーに反するので、どうでしょう? 一週間ほどお借りすることはできないでしょうか?」
「さすがに貸すとなると、不安が勝つので……」
「まぁ、初対面の相手に貸すと言うのはなかなかに難しいもの。仕方の無いことです。それと少々脱線しすぎました。」
そう言いながら黒服は雰囲気を改めるそしてミスラに対して自身の目的を言い放つ
「私はあなたの事を研究したいと思っているんです」
「……? どうして僕なんですか?」
「その理由はとても単純です。私がキヴォトスにおいてら始めて見つけた、ヘイローを持った男子生徒だからです」
「そんな理由なんですか…………」
「いえいえ、このキヴォトスにおいて男子生徒、ましてやヘイローを持っている存在を、私は見たことも聞いたこともありません」
「えっ…………他に男の生徒居ないんですか」
「私が観測した限りあなた以外にいません」
キヴォトスには本来男子生徒なんて存在しない。それがキヴォトスだったはずだ。しかし、ミスラは男子生徒である。その性別の違い一点で黒服に目をつけられたのだ
「…………と言われても研究されるの不安ですね」
「私も正直なところ男子生徒の研究はしたことがありません。なのでどの様な事が起こるのか想像の範疇でしかないのです」
「……? 女子生徒にはしてたんですか?」
「まぁ、隠す必要があるわけでもありません。神秘の探求のために何人かの生徒に手伝っていただいたことはあります」
「別に違法な方法で研究を行ったわけではないので、そんなに睨み付けるような目をしないでください。皆さんきちんと契約のもとで手伝っていただいたまでです」
「契約……っ」(なんだろう、間違ってはないはずなのに何かが頭に引っ掛かる)
「そしてあなたとも是非、契約を結びたいのです。私があなたに対して実験したり記録を取る。その対価に私はあなたになにかを支払う、良くあるのは現金ですね」
「…………」(まともなことにならないのは目に見えてる、けど契約は守るような人物、それが黒服。でも少なくとも今は欲しいものも特にはない……なら)
「そうですね、申し訳ないですが僕はアビドスでの活動をまだまだ続けていきたいですし、探すべき事も多い。なので今回の契約は結べません」
「それは残念です。ですが、私は何時でもあなたの事を歓迎しております。気が変わったりすればこちらに連絡してください」
「その時は連絡しますよ」(少なくとも今、不要な取引は行うべきじゃない。相手の存在もだけどまだこの世界について無知すぎる)
「それでは、私があなたを呼んだ理由は以上です。気を付けて登校してくださいね?」
そう言いながら黒服は立ち上がり、後ろの扉へと消えていった。ミスラも時計を見れば06:30と指しておりそのまま学校へと登校した
────────────────────────
先ほどの会話の最中に見たミスラの持つ拳銃について黒服は考える
(あれはただの拳銃と言うには可能性を秘めすぎている。恐らくあの拳銃にも神秘が宿っていると言っても過言ではない。しかし、彼と同じような神秘であるにも関わらず、本人が気付いていないのは何が影響しているんでしょうか)
「クックック……彼の持つ拳銃には
────────────────────────
黒服と名乗る怪しげな大人から貰った連絡先を仕舞いミスラはアビドス校舎へと足を進める
(そう言えば、今日見たあの金属の蛇……ヘイローが浮かんでいたんだよな。それにアビドスの砂漠みたいな場所だったし、もしかして本当にいるのか?)
そんなことを考えながらアビドス高校へ向かったミスラは、途中で校舎の方から銃声が聞こえることに気付く。それも1つや2つではなく先日のヘルメット団との戦闘より大規模だと感じる
「……ッ」(急いで向かおう)
───────────────────────
その頃、アビドス高校ではユメとホシノが早くから登校して書類仕事をしていた
「ホシノちゃ~ん、ここってどうすればいいのぉ」
「ああ、そこですね。それはそっちの書類と同じようにこの書類の内容を写しておけば大丈夫です、あと近いです」
「ありがとうホシノちゃん、やっぱり頼りになるなぁ」
「今はそう言うのいいですから、書類を進めてください!」
そんな感じで二人は仲良く? 書類仕事をこなしていたがそこに外から銃声が響く
「この校舎はうちらカタカタヘルメット団が占拠する!」
「痛い目見たくなきゃさっさと出ていきな!!!」
校舎にいる二人はまたヘルメット団が来たと今日も憂鬱な気持ちで過ごすこととなる
「やりますよ、ユメ先輩」
「頑張ろうね、ホシノちゃん」
そう言いながら2人はヘルメット団と向き合う
「なんだ? おとなしく校舎を明け渡すってか?」
「それなら見逃してやるからさっさと出ていきな」
「………………」
2人はその問いに答えるようにホシノはショットガンをユメは盾を構え拳銃で奇襲する。そして前に出て話していたヘルメット団の1人の意識を奪う。
「不意討ちは卑怯だろ!!」
「数の暴力をしてるのはそっちでしょうが」
ホシノはそう言いながらヘルメット団からの銃撃の中を駆け抜けショットガンを連射する。そして、後ろからユメが支援射撃を行い足を止めることなく、時には団員の1人を壁にして戦場を舞う
「お前ら! 躊躇わずに撃ち込め!!」
「こいつはやッ…………」
「怯むなぁ! たった二人だけなんだ、このまま畳み掛けろー!!」
(倒すのは簡単でも流石に数が多い、それに弾薬も少なくなってきてる。リロードはどうにかなっても弾薬の補給に時間を割けそうにない)
「あッ……」
「これで終わりd…………」
「ホシノちゃん!」
「ありがとうございます! ユメ先輩」
(危なかった、意識を少し逸らし過ぎた。なんとかユメ先輩に押さえて貰ってその隙に弾薬を補給するか?)
「……!」(あれは…………商伊! そう言えば今日は来るの遅かったですね、悪いけどユメ先輩と二人で少し時間を稼いで貰いましょう)
「ユメ先輩! ……少し頼みます!」
「任せてよ、ホシノちゃん!」
「逃がすわけねぇだろ!」
「お前ら! 今だ! 進めー!!」
ホシノが弾薬の補給に校舎へと戻るタイミングで、ヘルメット団が前線を押し上げてくる。ユメに戦場を任せてホシノが戻るタイミングで、ミスラも状況を理解した
───────────────────────
「遅くなってすみません!」
ミスラは拳銃でヘルメット団の後衛から撃ち抜く。距離があっても単眼の偏差が空気のブレがよく感じられている。そして、後方の存在に気付いたヘルメット団は攻撃を行う
「後ろだ! 撃て撃て!!」
「ミスラくん避けて!」
遮蔽も何もない開けた砂漠の中でミスラに弾丸の雨が迫り来る。ユメの言葉を聞いて回避を試みるが、あの弾幕は避けきれないと理解したミスラは、手を突きだし急所への被弾を抑えようとした。
(遮蔽から撃ち込めばよかった、焦りすぎた。小鳥遊さんみたいに機敏に動けないから今まで、後方で支援してたのはなんのためだよ)
そして身体に痛みが『やってくることはなかった』
弾丸はミスラのすぐ傍にまで迫っていたが、風の影響か砂埃による起動のずれか弾が逸れて奇跡的に被弾しなかった。
(運が良かった、蜂の巣になる前に少しでも数を減らす!)
「なんで当たってねぇんだよ!」
「ちゃんと狙ってましたよ!」
「モタモタしてるとさっきのち…………」
揉めているヘルメット団のもとへ弾薬の補給を済ませたホシノが舞い戻ってくる
「ユメ先輩! 商伊さん! 大丈夫でしたか!」
「私の方はミスラくんの方に攻撃が行ってたから大丈夫だったけど……」
「僕の方も無傷です! このまま制圧しましょう!!」
───────────────────────
そうして100を越えるほどのカタカタヘルメット団をホシノが半分以上は叩き潰し、残りをユメとミスラが撃ち漏らしを狩っていった。そして、無事にアビドスの防衛に3人は成功した
「二人ともお疲れさま」
「お疲れ様です、ユメ先輩」
「ユメ先輩……お疲れ様でした」
生徒会室で3人は今回のカタカタヘルメット団の襲撃について話し合っている
「それにしても弾薬が足りなくなるのは、想定してなかったですね」
「私もホシノちゃんの弾薬が無くなった時は焦ったよぉ」
「なんとか、間に合って良かったです」
「そう言えばミスラくんは今日、何時もより来るの遅かったけど何かあったの?」
「あー、ええとですね」(黒服と話していて遅れたとか流石に言えないよな…………)
「何かあったんですか?」
「……えーと、寝坊してました」
「なんでそんな深刻そうな間を置くんですか」
「そうだよ、私も何か事件に巻き込まれてたのかなって思っちゃったよ」
「ほら、高校生にもなって寝坊ってちょっと言いにくいじゃないですか」
「そんなの誰にでもあるよぉ、私だって朝のぽかぽかのお布団で二度寝すること良くあるもん」
「事件にも巻き込まれてないようで良かったです。それに今回は間に合ったんだからいいんですよ」
そんな会話を3人で行いお互いを労ったアビドス生徒会は、書類仕事を終えた後にみんなでお昼寝をしてゆっくりしていた
ちなみにミスラくんは被弾経験がないです。ユメ先輩の盾に隠れたりホシノが暴れてるのを支援射撃してるから前衛に立つ機会が無いだけではあるんですが…………
平日は1投稿が理想形
まぁやれたらやる