(これは……ゆめ……なのか?)
ミスラの視界はだんだんと明るくなっていく。しかし、視線が動かせない。定点カメラの映像を見ているようで自身の意思で景色を変えることができない
(前には機械の蛇が砂漠で暴れている夢を見ていたんだよな、ならあれの続きなのか?)
写る景色は凄惨な光景だった。赤染の空に、壊滅状態のD.U.地区にヘイローなく倒れる生徒や、そこで過ごしている動物に機械。そして天高く昇る謎のタワー。あふれでる怪物。しかし、ミスラの視界は遥か彼方の空を見つめた
(あれは、空島? …………上では……二人の人間の大人? 、片方はマスクを付けられて固定されてるからなんとも言えないけど……。)
そして2人の大人は相対する。どちらもタブレットを片手に構え、カードを構えている。ミスラにはこれから何が起きるのか理解はできない、けれど想像には容易い
(恐らくあのカードが武器になる。そしてヘイローのない人間の大人が二人は同じようなタブレットを構えて、色々と取り付けられている大人のカードは黒く染まっている……)
ミスラは夢なはずなのに、その緊張感を肌に実際に感じている。額には汗が溜まり呼吸が早く心拍が上がる
(あれ? と言うか地上からあの景色が…………それより怪物がきて…………る……)
気付けばミスラは正体不明のなにかに囲まれ、どうしようもなくなっていたが、その光景を最後に意識が事切れる
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「大丈夫!? とりあえず起きて!」
「起きてください!」
2人の少女の声がミスラの頭に響く。意識が少し戻ってきた頃にひどい頭痛に襲われる
「ん~…………う──ん?」
「起きたよホシノちゃん!」
「商伊さん! しっからしてください!」
「…………いったい、何が…………」
「ミスラくんすごくうなされてたんだよ」
「汗がひどいですね、このタオル使ってください」
「ああ、ありがとう……ございます…………小鳥遊さ……ん」
目を覚ましたミスラは、ホシノからタオルを受けとり汗を拭う。そしてそこから立ち上がろうとしたとき…………
「改めて、二人ともありがとうござい……っ」
足がもつれ前方へと勢いよく倒れ込み、体を地面に打ち付けそうになるのを、ホシノが受けとめた
「ちょっと! ……しっかりしてください」
「ごめん、ほんとにダメかも…………」
そうして再び寝かされたミスラ。時計を見れば既に17:38を指しており、日も傾き始めている。
「そう言えばミスラくんも一人暮らしだったよね?」
「そうですね、姉や妹は居ませんから」
「その状態で砂漠を移動するのは、きっと難しいだろうし、今日は学校にお泊まりするって言うのはどうかな?」
「そう言うのいいんですか? 今の僕にはどうこうできないですけども」
「う~ん、別に私たち以外に誰も居ないからね、それに私は生徒会長だから」
「私も商伊さんをこの状態で砂漠に出すのは気が引けます。なので今日くらいはそのまま寝ていてください」
「ほんとに、ありがとう……ございます」
「私は食べ物を買ってくるから、ミスラくんをお願いねホシノちゃん」
「ユメ先輩は余計な物を買ったり、迷ったりしないように気を付けてくださいね」
そうしてアビドス高校の保健室のベッドでミスラは寝かされた。ユメは街へ買い物へ向かい、ホシノがミスラの傍についていた
「小鳥遊さん、色々と迷惑掛けてすみません」
「大丈夫ですよ、私も商伊さんには何度か助けられてますから。そう言えばやけに魘されてましたけど、何か悪い夢でも見ていんたんですか?」
「なんと言うか、世界の終幕を見ているような感覚でしたね。空が赤く染まっていて、現実味を感じられないのに実際に体験したような感覚になりましたね」
「空が赤く染まる……確かに非現実的ですね。そんな夢を見ることは以前にあったりしたんですか?」
「実は今朝もちょっと毛色は違うんですけど、機械の蛇が砂漠で暴れていて僕に突っ込んでくる夢を見ましたね」
「……今朝、寝坊したと言うのは、その夢のせいだったんですね」
「…………まぁ、そんな感じですよ」(黒服との会話もある意味で夢みたいなものだしまぁ、いいでしょ)
「そう言えば、何かして欲しいことはありますか? ある程度の事ならやってあげますから」
「なら、そろそろお互いに名前で呼び合いませんか? 交流を深めていくうちに、少し距離を感じるようになってしまって……」
「いいですよ、ユメ先輩も仲良くするように言ってましたからね」
「こんな姿勢で言うのは少しあれですが、改めてよろしくお願いします。ホシノさん」
「こちらこそよろしくお願いしますね。ミスラさん」
それからミスラは眠りにつき、ホシノはまた魘されないかとミスラの顔をじっと、見つめていた
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「…………ん、う~ん……」
「起きましたか、ミスラさん」
「あぁ、おはようございます。ホシノさん、そう言えば今は何時ですか?」
「え~とですね、もう八時ですね」
「……もう夜ごはんの時間でしたか」
「ミスラさんが寝てから直ぐに帰ってきて、ごはんの準備をしてましたよ」
「なら、僕が起きたことを伝えに行きましょうか。ゆっくり眠れたので僕も行きましょう」
「お昼の事もありますから、何かあったら私を頼ってくださいね」
「大丈夫ですよ、少し頭痛は残ってますけど支障はないですから」
「なら調理室に向かいましょうか」
そうしてミスラとホシノはユメに会いに調理室へと向かった。途中で躓いたり滑ったりと少し足取りが安定しないミスラを心配してホシノが肩を貸して移動することになった
「ユメ先輩、ミスラさん起きましたよ」
「どう? 体調は大丈夫そう?」
「お陰様でなんとか動けるようになりました」
「よかったぁ……それと夜ごはんは食べやすいようにうどんにしてみたんだけど、大丈夫かな?」
「大丈夫ですよユメ先輩、お気遣いありがとうございます」
そんな会話をしながらユメはうどんを器に盛り付ける。普段の心配が勝つようなおぼつきはなく、盛り付けられているため、珍しくあたふたしてないユメを見たなとミスラとホシノは感じた
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「そんな夢を見ていたんだね、今は赤い空じゃないけど屋上から空を見たらその空島? みたいなもの見れないかな?」
「見れるわけないでしょう、あくまでも夢なんですから」
「そうですよ、僕が見たのは夢であって現実ではないんですから」
「なら実際に見てみようよ!」
「まぁいいですよ、今日はやることないですし」
「この辺りは暗いから天体観測ついでに探してみましょうか」
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そうして3人は天体観測もとい、空島? を探すために校舎の屋上から少しの雲に隠された空を眺めていた
「そう言えばどの辺りに空島は浮いてたの?」
「多分キヴォトスの真ん中の辺りだったと思います」
「う~ん、やっぱり望遠鏡がないと見えないのかな」
「ユメ先輩もミスラさんもキヴォトスの真ん中を見ようとするなら、向きが反対だと思いますよ」
「…………えへへ」
「ちゃんと地理の勉強もしないとかなぁ……」
「そもそも夢で見たものが実際にはあるわけ無いんですから、大人しく星を眺めましょうよ」
「そう言えば昔のアビドスには天文学部があるって聞いたことがあるんだ」
「なら、校舎を探せば望遠鏡見付けれるかもしれないですね」
「そもそも望遠鏡を探す以前に校舎を発掘しないといけないので、数日で探すのは無理でしょうね」
「でも、ホシノちゃんやミスラくん、来年に来るその後輩の子達がいつかアビドスを復興させて今みたいに星を眺めれるような施設ができると良いね」
「まぁ星を眺める専用の施設は時間もお金も掛かりますけど、こうやって眺めて星座をなぞるような部活なら僕らがいる間に作れるかもしれませんね」
「それくらいなら実現できそうですけど、私たちに後輩できますかね」
「う~ん、まぁ私にも二人みたいな頼れる後輩が居るんだからきっと、二人にも頼れる後輩が来てくれるよ」
「根拠はないと」
「考えるだけ無駄でしたね」
それから3人はアビドス高校にまた新たな生徒が来るように、星に願いを込めユメのくしゃみを合図にするかのように校舎内へと戻っていった
「そう言えば布団はどこにあるんですか? ユメ先輩」
「保健室にベッドがあるよ」
「…………? でも保健室ってベッド三つもありましたっけ?」
「え? ここの保健室にはベッドはひとつだけだよ」
「私たち三人なんですけど」
「そこそこ広いから三人でも大丈夫だよ!」
「僕が大丈夫じゃないんです! 色々と困るんですよ」
「それにせっかくのお泊まりだからもっと、仲を深めたいな~と思って」
「ミスラさん、腹を括りましょう。それによく考えてみてください。お昼寝をした時は机に突っ伏してましたけどあの時より寝心地はいいんですから」
「そうですね、覚悟を決めるしかないですね。それに三人が余裕をもって入れるくらい広いかもしれないですし」
そして保健室へ訪れたホシノとミスラは気付く。ベッドのサイズはセミシングルサイズであると言うことに
「これ寝れても二人が限度な奴じゃないですかユメ先輩」
「大丈夫、大丈夫。詰めればいけるよ!」
「ほら、もう夜も遅いんだし寝るよ~」
「ミスラさん、あなたが床で寝るとか言ってもなにかと理由を付けてベッドで一緒に寝るように言われるのがオチです。多少変なところに手が当たるくらいなら許しますから、今日はもう寝ましょう」
「そうですね、言うだけ時間の無駄ですしもう寝ましょうか」
そうして殆ど密着した状態で眠ることになった3人はなんやかんやで、ぐっすりと眠ることができた
そう言えば人間は安心できる環境だと深い眠りに付けるらしいです。ちなみに夢を見て覚えてる場合は眠りが浅いことを意味してるらしい。