ミスラは旅館へとやってきた。看板を確認しスマホで調べてみると、隠れた名店的なポジションらしい。現在は当日でも宿泊可能となっていたため、そのまま旅館へ向かい女将の人?とやり取りを始めた
「本日はお越しくださりありがとうございます。お食事は本日の夜と明日の朝の準備でよろしいでしょうか?」
「はい、それでお願いします」
「ミスラさん私も泊まっていい?」
「まぁ僕はいいけど、ツバキはそれでいいの?」
「睡眠で困ってる人を助けるのも修行だから。それに正しい洗いかたとか学ぶべきことはたくさんあるよ!」
「修行か……」
「ツバキちゃん! 急に困ってる人がいるって言って何処かへ行ったと思ったら、観光に来てる人をそんなに振り回て迷惑掛けちゃダメでしょ!」
そうして玄関先から声が聞こえて振り返ってみれば、薄桃色の髪に水色の瞳をしている少女がいた。ミスラが話を聞くと彼女は『水羽ミモリ』と言い、ツバキの幼馴染みでミスラを連れ回しているのを見て観光客の人を振り回してると思ったらしい
「ツバキには百鬼夜行の案内を任せただけだから、迷惑とかそう言うのはないよ。より良い睡眠についても教えてくれて僕の方が助かってるよ」
「そうでしたか、それならよかったです。えぇと」
「僕は商伊ミスラ。今日は桜を見たくて衝動的に出て来たんだ。電車に乗ってる間に色々と調べようと思ってたらごたごたがあってね」
「せっかくだしミモリも一緒に泊まろうよ~」
「いやいや、ミスラさんにご迷惑ですよ。それにお金も持ってきてないですし……」
「いいよ気にしなくて僕が出すから、ツバキにもお世話になったし、ミモリも百鬼夜行のこと色々と聞かせてくれないかな?」
「そこまで言って頂けるのでしたら……お言葉に甘えさせて貰いますね」
「と言うわけなんですけど、三人分お願いできますか?」
「大丈夫ですよ、ではお部屋にご案内いたしますね」
そう言い案内されるままに廊下を進み、部屋の案内を受ける。他に人がおらず部屋が空いているため、一番広い部屋へミスラ達は連れられた。
「~~夕食は19:00頃にお持ちする予定です。銭湯や浴衣はご自由にお使いください。それでは失礼します」
そうして旅館の雀の女将は扉を閉じ戻っていった
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「旅館なんて始めてきたけど、ホテルとは違って心が落ち着くような気がするな」
「もしかして、元々は百鬼夜行にお住まいだったんですか?」
「う~ん、何て言えばいいのかな」(田舎の方だったから大体百鬼夜行みたいなところではあるけど、銃社会じゃなかったから永遠に落ち着けてない気がするんだよな)
「なるほど……ミスラさんもあまり争い事は慣れないんですね」
「まぁそうだね、争い事はするような機会があまり無かったから経験が浅いのもあるかな」
「もしかしてよく眠れてないのは生活が変わったから?」
「キヴォトスでの生活で苦労はそこまで無いんだよ、ただ夢見がね……」
「夢見が悪いのは確かに睡眠不足になってしまいますね」
「だから気分転換でもしてみようかなと、まだ14:00になったばかりだから布団と枕は置いて出掛けようか」
「そう言えばお昼はなにか食べられましたか?」
「軽くサンドイッチを挟んだくらいかな、折角なら旅先のものも食べたいと思ってたから」
「それならよかったです。今はお祭りの期間なので屋台もたくさん出てるんですよ!」
「せっかくだし、二人に案内を任せてもいいかな?」
「任せてください、ほらツバキちゃんも起きて。一緒にお祭りを案内するよ」
「わかった、今起きるから~」
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桜舞い落ち桃に染まる百鬼夜行を見渡せば、いくつもの屋台が建ち並んでいる
「こんなに屋台があるのか…………」
「百鬼夜行のお祭りはキヴォトスで一番大きなお祭りですからね」
「しかもカードも電子も対応してる……こう言うところ大抵は対応してないからありがたいな。……お面とかもあるんだ」
そうしてお面の屋台にミスラは向かう。そして1つの狐のお面を買った。学生証を見せると割引してくれるのは百鬼夜行だとよくある話らしいとミスラは知った
「このお面良くできてるんだね」
「百鬼夜行の伝統工芸品でして、自分だけのお面を作って貰うこともできるんですよ」
「なら今度来た時にはオーダーメイドで頼もうかな。……あと買っておいてなんだけど、お面の付け方を教えてくれないかな?」
「では着けながら説明しましょう。少し失礼しますね」
ミモリに狐のお面の付け方を教えて貰ったミスラは、立ちながら寝てるツバキを起こして屋台を見て回っていた
「ミスラさん、こんなに買っていただいてよろしかったのでしょうか」
「案内のお礼の気持ちもあるから気にしないで」
「そうそう~それに旅館の事もあるんだから今更だと思うよミモリ」
「まぁそれに、ひとりで巡るのはちょっと寂しいから。……! 焼き鳥の屋台もあるんだ」
「あそこの焼き鳥は確か先祖から続く秘伝のタレを使っているのですが、塩の方が美味しいと有名なお店の屋台ですね」
「なら食べ比べように両方買おうか……」
屋台巡りをしていると天狗のお面を着けた集団が現れ、観光客や屋台の人たちが逃げ出していた
「ミスラさん、あれは
「あの感じからするにチンピラとかその類いだよね」
「まぁ……大体そんなところと思っていただいてよろしいですが、ひとまず安全な場所まで逃げましょう!」
「我ら魑魅一座・気まぐれ流!」
「ヘルメット団みたいに派閥があるタイプなのか……」
「ヘルメット団のようなチンピラと一緒にするな!」
「…………余計なこと言ったなこれ。悪いんだけど二人とも手伝って貰っていいかな?」
「あまり戦闘は得意ではありませんが、頑張ります」
「帰ったらみんなでゆっくり寝よう~」
直後に突風が吹き付け桜吹雪が起こる。ミスラはホルスターから黒い拳銃を引き抜き、魑魅一座の持っているロケットランチャーを狙う。
「装填完了、発射準備できました!」
「よし撃……」
ロケットランチャーを発射する数瞬手前に1発の銃声。桜吹雪の中から飛来する銃弾は飛び立つ弾頭を撃ち落とす。そして弾頭は魑魅一座へと炸裂した
「「うわぁぁぁ!!」」
「なんだ!?」
隣で聞こえる爆発音に意識が逸れたところに追加の銃声が鳴り響く
「相手は三人なんだ! じゃんじゃん撃ちこめー」
「右から2、左は1なら……っ!」
ミスラは銃弾とロケットランチャーの間を縫って避けていくが、散った桜の花に足を取られる。弾幕の雨はやむことなく降り注ぐ
「おっと、間に合ってよかった~」
「……ありがとうツバキ」
「ミスラさん、怪我はないですか?」
「ツバキのお陰でなんとか、あと二人は左をお願い。次のリロードで落としきるよ!」
「はい!」
「じゃあ、行こっか」
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それから3人は無事に魑魅一座を倒すことができ、そんな3人の元へ青い羽織を来た人たちが来た
「あれ? 魑魅一座が暴れてるって聞いてきたんだけど三人で倒した感じかな」
「もしかして倒したらよくなかったりしましたか?」
「自分達でできることならいいと思うけど、危ないから百鬼夜行では私たち百花繚乱を頼って欲しいだけだよ」
「百花繚乱…………確かこの自治区の警備組織でしたっけ?」
「大体そんな感じだよ、私は七稜アヤメ。それであの子は御稜ナグサ」
「よろしく?」
「僕は商伊ミスラです。早速なんですけど魑魅一座のことは任せてもいいですか?」
「問題ないよ、そもそもそれが私たちの仕事だからね」
百花繚乱に魑魅一座の後処理を任せ、ミスラ達は屋台巡りを再開した。りんご飴や団子などを食べてまわり、射的もしてみたがミスラは1発も当たること無く終わってしまった
「ミスラさんは拳銃の扱いが上手なのに、射的だとうまくいかないのは少し以外でしたね」
「う~ん、他の銃も練習してみてるんだけどうまく反動を抑えれなかったり、弾道を合わせるのがうまくできてなかったりしてね。何時かはできるって思いながら練習はしてるんだけどムリそうってなってきてるんだ」
「いえ、何度も修行を繰り返していればきっとミスラさんは他の銃を使えるようになれますよ」
「そう言って貰えるならもうしばらくは続けようかな……ってもうこんな時間か」
「そろそろ旅館に戻りましょうか」
「夕食の時間に遅れたら迷惑掛けるから早めに戻ろうか」
「……そう言えばミスラさん、お面がずれちゃってますね」
「ほんとだ、たぶん戦闘のときにずれて気付けなかったのかな。まぁ今日はもう外しておこうか」
そうして日が傾き紫雲が世界を包み込む頃に3人は旅館へと戻っていった
作者は花粉症持ちなので春が少し苦手です。ちなみに旅館の料理は旬の食材を使ってるので、季節感忘れやすい人にはおすすめできます。それと、本編時空に入るのは割と先になりそうだから気長にお待ちください