いつもの日常。書類を片付け砂を校舎から追い出し、珍しくやることがなにもない日。ヘルメット団は普通にボコした
「ミスラくんは百鬼夜行に行ってきたんだよね?」
「そうですね、桜を見に一泊してきました……そう言えばお土産買ってきたんですよ」
「百鬼夜行の方のものだと和菓子とかですかね?」
「当たりです。オススメされたお菓子をいくつか見繕って来たので、みんなで食べましょうか」
ミスラはカバンから保冷バッグを取り出し、和菓子を机に並べる。3色の団子に桜餅、モナカにあられなどで机が満たされていく
「かなり買いましたね?」
「色々と気になるのが多くてね、これでも絞ってるんだよ?」
「これ食べていいんだよね?」
「ユメ先輩とホシノさんへのお土産ですからね。それとお茶を淹れてくるので二人で先に食べててください」
そうしてミスラは部室を抜けてお茶を淹れる。百鬼夜行のとある店で買ってきた茶葉を、調理室で見つけた急須に移しお湯を注ぐ。急須を何度か回してから湯呑みへ注ぎ込む
「お茶の準備できました……よ」
部室へ戻ってくると柏餅を葉っぱごとたべるユメとホシノの姿があった
「あの~柏餅って葉っぱ剥がして食べるものなんですよ」
「えっ、そうなの?」
「そうなんですか?」
「二人とも知らなかったんですね……」
(まぁ、僕もミモリに教えて貰って知ったんだけど)
「あと桜餅の葉っぱは普通に食べるものらしいです」
「ミスラさんは詳しいんですね」
「全部受け売りですよ。百鬼夜行の方で案内をして貰って、その時に学んだことですから」
「そう言えば百鬼夜行の桜ってどうだったの? すっごく大きいのがあるって聞いたことがあるんだけど」
「あ~、ご神木ですね。そう言えば写真にも撮ってるので送りますね。…………高層ビルとか目じゃないくらい大きかったですね」
「これってホントに木なの?」
「大袈裟ですよ、ユメ先輩。…………ユメ先輩は大袈裟じゃなかったですね」
「百鬼夜行に昔からあるらしいけど、昔すぎて何時からあるのか分からないらしい……」
「桜の木って普通は枯れますよね」
「…………そうだね、普通は枯れるしあそこまで成長する養分は何処から来てるんだろうね……」
百鬼夜行でのことを話しながら和菓子を頬張る。そして気が付くとお土産のお菓子は無くなっていた
「そう言えば前に夢で機械の蛇のこと言ってたと思うんですけど、あれ居るかもしれません」
「聞いた話だと私たちで相手できないくらいの大きさでしたよね?」
「まぁ、そうですね。サイズ感が違うのでまともに相手はできないかと」
「でも前に聞いた時は夢だからってそこまで気にしてなかったよね」
「あの時は現実にある可能性を無いと判断できましたよ。大きさからしておよそ自重を支えながら移動なんて、不可能だと思ってましたから」
「大きな身体でかつ、蛇のようなものだと勝手に壊れてしまいしそうなのは確かに納得ですが…………何か見つけたんですか?」
「今朝は少し砂漠の方を探してみたんだけど、砂嵐が明けてすぐの場所にそれらしき痕跡を見つけた。夢でみた時は砂嵐の中に居たから試しにと思ったら案の定だった……」
「よく行く気になりましたね…………取り敢えず無事だったのでよかったですけど」
「……つまりその機械の蛇はアビドス砂漠に居るんだよね?」
「そうなりますね」
「昔の校舎に記録とか残ってるかな~?」
「可能性は十分にありますね。昔はそこらかしこにアビドスの校舎があって人の流通も多かったでしょうから」
「それにアビドスの砂嵐が昔より高頻度で起こるようになった可能性の一つと考えることもできます」
「なら明日から旧校舎の資料を探しに行こうか」
「そうですね。一先ずはそれで良いと思います」
「問題は資料を見付けたとしても対処のしようがなさそうなところくらいでしょうか」
「…………! その機械の蛇って売れないかな?」
「さぁ?」
「ユメ先輩……そもそも捕獲も無理そうな図体の相手をどうやって売るつもりですか」
「たしかに。捕まえる道具がなかったや」
「…………あと砂嵐の時の情報を少しまとめてきたんです」
「よく作りましたね…………ってこれが砂嵐のデータですか?」
「消えたところから続いてるのがよくあるね」
「砂嵐にしては始点と終点が繋がっている箇所が多くて、自然現象としてはおかしいと分かると思います」
「普通の砂嵐の数も幾つかありますが、こう見ると不自然なくらいに多いですね」
「アビドスの衰退には機械の蛇が関わっているのではないかと言うのが、僕の推察です」
「どちらにせよ、砂嵐の被害が減らない限り借金をどうにかするのも難しいでしょうから機械の蛇について調査を続けるのがしばらくの目標になりそうですね」
「そうだね。宝探しは一旦止めて砂嵐の原因かもしれない機械の蛇のことを調べに行こうか」
─────────────────────────
そうしてアビドス砂漠に潜む機械の蛇の存在を探し始めた3人は砂嵐の過ぎてすぐの地点で、何か大きな生き物が通ったかのような痕跡を何度も見付ける。しかし砂嵐の中へ行くことはできないため痕跡を追うことしかできず、進展がないまま時が流れた
「あれから半年ですか……」
「そうだね、初めの頃は痕跡を見付けて喜んでたんだけど結局どうにもできないのがね…………」
「でも、昔の校舎から望遠鏡とかの備品は見付かったよ!」
「メインの資料には、それらしき情報が見当たりませんでしたからね」
「こうなってくると、無駄に心配ごと増やしただけに思えてきますね」
「そうかもしれないけど、その事を知れなかったらきっとアビドスを復興しても直ぐにダメになるだろうから、知れてよかったと思うよ」
「それに、借金返済も正直なところどうしようもないと言うのが現状ですから」
「そう言って貰えると気が楽になりますね……ただ、そろそろ別の目的を立てないとダメですから……」
「そろそろ旧校舎を探しても得られるものが無くなってきてますから、新たな行動を起こすべきなのは分かります。それこそ戦闘を行うべきだと言うのも」
「でもすごく危ないよね。すごいビームみたいなの出してくるみたいだし」
「……危ないですけど……頑張ればどうにかできると思います」
「確かにビームならば軌道を逸らすことはできると思いますが、ミスラの負担とリスクが大きすぎますね」
「言うても、一週間あれば最低限どうにかはなるから……多少の無茶は許容範囲だよ」
「……ミスラくんってあのビームどうにかできるの……?」
「そういえば言ってませんでしたね。以前にミスラと戦闘訓練をしていた時に、私の撃った弾丸が全て外れた時に気づいたんです。ミスラへの攻撃がミスラに届かないと」
「……? ……! それってすごくつよいよね!」
「強い……と言えば強いです。ただその後にとてつもない疲労感でまともに動けなくなりました」
「…………なら……弱い……?」
「今は至近距離のショットガン程度なら余裕を持って逸らせる体力が付いているので、強いと思いますよ」
「けどホシノには普通に負けますからね。これに関しては肉体性能が違いすぎると言う話もありますし」
「近接攻撃なら攻撃がずれることもないらしくて、私が直接殴りかかった時にはそのまま勝てましたね」
「ただ分かったことは防御しようとしたり回避しようとしたりと意識をした時に自然と弾丸が逸れていたので、意識的に発生しているとは分かります」
「…………いつの間にか二人とも距離縮まってるよね」
「そう言えば呼び捨てになってますね」
「まぁ、半年も活動してたら敬称も外れますよ」
「そっか、二人が入学してからもう半年なんだね」
「そろそろ冬の準備もしないとですし、ここもそろそろ使えなくなりますから荷物もまとめないとですね……」
「折角砂嵐が増えた原因は分かったのに~」
「分かっただけ良いと思いますよ。機械の蛇もといビナーをどうにかすれば砂漠化がどうにかできるかもしれないですから」
「引っ越しが終わり次第ビナーと交戦をする、予定ではあります。ただ、何処まで対応できるのか。銃撃で撃ち抜けるのかも不明なので撤退前提の作戦です」
「なら急いで引っ越しを終わらせよう!」
機械の蛇改めビナーとの戦闘データを確保するため、装備を整え引っ越しを終えて砂漠を3人は進んでいった
そろそろ1年生のお話が終わると思う。2年生の話はそこまで膨らむこともないだろうから軽くやって、本編時空こと3年生編を行う予定です