涼宮ハルヒの混沌(カオス)   作:D-ken

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第六章:大海の業火

西宮の街を焦土に変え、人類の希望であった慈愛の勇者さえも屠ったカオスウルトラマン――涼宮ハルヒは、瓦礫の王座を捨てて漆黒の空へと舞い上がった。

 

背後で鳴り響く自衛隊の砲声も、もはや彼女の耳には届かない。彼女の次なる獲物は、大阪湾の彼方、水平線の向こうで息を潜める巨大な鉄の群れだった。

 

「あはははは! 逃がさないわよ! 私から逃げようなんて、一億年早いのよ!」

 

ハルヒが音速を超えて飛翔するたびに、大気が悲鳴を上げ、巨大なソニックブームが海面を激しく叩きつけた。

 

一方、太平洋上に展開していた米海軍第7艦隊、および護衛にあたっていた海上自衛隊の艦隊は、かつてない戦慄に包まれていた。イージス艦のレーダーには、マッハを超える速度で直進してくる巨大な反応が映し出されていた。

 

「目標、急速接近! 迎撃ミサイル、全弾発射!」

 

艦隊から無数の火柱が立ち上がり、空を埋め尽くすほどのミサイルがカオスウルトラマンへと殺到した。しかし、彼女は回避行動すら取らない。虹色のバリアを全身に纏い、飛来する弾頭を文字通り体当たりで粉砕しながら突き進む。

 

「……嘘だろ、直撃したはずだぞ!?」

 

空母のブリッジで、指揮官が絶望に顔を歪めた。

次の瞬間、カオスウルトラマンは艦隊の中央へと降臨した。

 

「まずは、あんたからよ!」

 

ハルヒは巨大な右拳を、海上自衛隊の最新鋭護衛艦の甲板へと叩きつけた。鋼鉄の巨体が紙細工のようにひしゃげ、艦体は中央から真っ二つに折れた。爆音と共に巨大な水柱が上がり、数千トンの鉄塊が瞬く間に海中へと消えていく。

 

阿鼻叫喚の地獄絵図が、大海原の上に展開された。

 

カオスウルトラマンは、逃げ惑う駆逐艦をその巨大な手で掴み上げると、隣の巡洋艦へと無造作に投げつけた。金属と金属が激突する凄まじい轟音が響き、両艦は爆炎に包まれながら轟沈した。

 

米軍の誇る原子力空母も、彼女の敵ではなかった。

ハルヒは空母の滑走路に着陸すると、漆黒のエネルギーを掌に凝縮し、艦底に向けて放った。

 

「カオスプロミネンス!!」

 

艦の深部で動力源が誘爆し、巨大な船体が内側から膨れ上がるようにして大爆発を起こした。海面には巨大な渦が巻き起こり、最強の洋上基地は断末魔の煙を上げて深海へと沈んでいった。

 

わずか数分の間に、水平線を埋め尽くしていた艦船の姿は消え失せた。

海面に浮かぶのは、燃え盛る重油の炎と、壊れた救命ボート、そして沈みゆく鉄の残骸だけだった。

 

波間に漂う瓦礫の中で、ハルヒは静まり返った海を見下ろした。

 

「……あら、まだ隠れているネズミがいるみたいね」

 

彼女の冷徹な視線は、海面の下、数百メートルに潜む潜水艦の気配を捉えていた。

 

深海に潜む潜水艦の乗員たちは、ソナーから伝わってくる地獄のような崩壊音に、ただ息を殺して震えていた。水上の仲間たちが一瞬で全滅した事実を突きつけられ、彼らにできるのは、神に祈りながら闇の中に身を隠すことだけだった。

 

地上、海上、そして空。

涼宮ハルヒという名の「混沌」は、今やこの国のすべての防衛線を食い破り、世界を絶対的な恐怖で塗りつぶそうとしていた。

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