そろそろ現実に帰りたいところ
投稿が遅れたのでその分増量しました
・
・・
・・・
───ザザ、ザザザ-----───
─半月後 最下層─
……うん、ここならあいつらに荒らされることもない。
みんなを集めて来るから、此処で待っててね。
それじゃあ、行ってきます。ラナ。
ガコン……
─二か月後 下層─
ドドン……パタタタ……
ドガァン……ボガンッ
……遅かった。コロニー跡が戦場になってる……。
これじゃあ近づけない……
「動くな。」ガシャ
!! しまった!?
「……何だお前、どちらの者でもないな。」
……なら、見逃してくれる?
「
ッ……!
キィン……「そんじゃ───。あ? 何で私はここに……?」
「まあいいや、以上なーし。戻るか。」クルッ
え……?
(なんだ、今の不可解な行動は……誰かの介入があった……?)
(何にしても助かった……戦いが収まるまで他のコロニー跡をあたろう。まだ手付かずな所があるかもしれない。)
◇
[…………これで良いので?]
[<<うん。また見かけたら気を逸らしてあげて。あの子はまだ必要だから。>>]
[……了解。]バシュッ ゴォォ……
◇
―一年三か月後 下層―
はぁ、はぁ、ようやく着いた……。ここで、二十八箇所目。
ペタ、ペタ
(……ここはロックが掛かってない。電源を喪失してるせいか。)
(他の通路はバリケードで塞がれてたし、槍で抉じ開けるしかないよね……。)
シュン、パシ
ガリッ、グッ……
ぐ、ぅうう……ッ!!
ゴ、ゴゴゴン……
ふうー……。
パラパラ シン……
ソーッ キョロキョロ
(……照明は一部の非常灯だけ。通路の奥は崩落で行き止まり……。)
スタスタ……スッ
(こっちの部屋は真っ暗。それなりに広かったと思ったけど、蓄光石で間に合うかな。)
ゴソ、ポイッ
ボヤァ
「……。」
「…………。」
「……?」
(ッ!! 新種がもうここまで!? ん、足元にあるのは……。)
「……。」ゴソゴソ ボタッ
(あれは、あの子達の亡骸ッ!!)チャキッ
このぉおおッ!!
ダダッ! ブォンッ!!
ガィンッ!
「っあ?」ヨロ……
この子たちはお前らの餌じゃない!! 去れッ!! ブォンッ!!
「…………。」スッ
パシッ ギリッ
───ジジジ……───
く……っ!? 何、今の違和感……!?
(いや、今はそれどころじゃない! この大柄な個体、さっきは見えなかったけど
(しまった……このまま抑え込まれたら、権限が剥奪された私には抵抗手段がない……!)
「……。」ジロ
「……。」ジロ
「…………。」ジロ
何だ、その目は……! 放せ! 早くどっか行けぇ!! グイグイッ
「…………。」パッ
うわっ!? ヨロ、ドサッ
「……。」チャカ
っ……!?
「止めろ。戻るぞ。」スタスタ……
「了解。」クルッ
「……了解。」チャッ ジト……
ゾロゾロ……
シン……
……っ、はぁーッ! はぁーッ!
戻って……来ないか……?
カラン ジャリジャリ
ふぅー……。
(素直に退いた……あの戦闘型が気まぐれを起こしてくれた?)
(……今のは頭に血が上ったとはいえ迂闊だった。これからは気を付けないと……。)
……。スッ
(ああ、もう半分以上喰われて……ごめん、来るのが遅くなって、ごめんなさい……!)
ナデ、ギュ……
(君たちを集めたらお母さんにも挨拶しに行くから……もう少しの辛抱だよ……。)
スッ、カラ、シュゥゥン……
(残りは十五箇所……。)
……こんな、モノ扱いなんて、したくないのに……!
うっ、ぅぅ……! ゴソ、シュゥゥン……
◇
スタスタ……ピタ
「(……アレが母が言っていた『古き女神』か。)」
「……?」
「どうしましたか。」
「……いや、なんでもない。」
スタスタ……
◇
・・・
スタスタ
(此処が女王の間だったはず。扉は閉まってるけど、床には出入りした跡があるな……。)
ガギッ、ギギギ、ゴゴゴン……
「?」「…………。」「……ぁ。」
ビクッ(……ッ。)
「……。」「…………。」「……。」フイ
…………。
ザシザシ……
(……落ち着け、落ち着け。)
(この辺りの新種は、攻撃しなければ遠巻きに見るだけだっていうのは分かってるんだ。)
(それにあの新種たちはさっきの個体に見える。手を出さなければ見逃してもらえるかも……ん?)
(四本腕が、女王樹に登っている?)
ガタガタ ジャギンッ、ジャギンッ!! バキッ ポイ
(うっ! 樹皮を剥いでいるのか……! なんて惨い……。)
ドシャッ ワラワラ……
(さっきの戦闘型達が、剥いだ樹皮を……。)チラ
(これまで見つけた女王樹達も剥がされていた。やはり、女王樹も捕食対象か。)ザワッ
(悍ましい……!)ヂリッ
(権限さえあれば、こいつら全て、息の根を止めてやれるというのに……!!)ギリッ
「「ッ!」」バッ!
!! サッ
「……?」キョロキョロ
(っは、あ……危ない……! 目が合うところだった……!)
(新種は感覚が鋭敏なの? まさか視線まで感じ取れるなんて……。)
(それにしても……生体部品を摂取できるのか。だとしたら、私達よりも更に炭素生物に近づいている事になる。)
(ネマ……あんなに炭素生物のことを嫌っていたのに、どういう心変わり……?)
(考えても仕方ない。食事に気を取られているうちに核を回収してしまおう。)
ガギリリ……シュゥン
(? 四本腕が何かしている……?)
キラッ
(アレは白珠! まさか切り出した幹を変換してるのか!? 新種の四本腕はそんなことも出来るのか……!)
(マズい、早く取り出さないと核も資源にされてしまう!)タタタッ!!
「…………。」ジィー……
・・・
ザシザシ、タスッ
スッ ズズズ……ニギニギ
(良かった、まだこっちは手付かずだ! 急いで取り出さなきゃ……。)
ガシ、ググッ……パキンッ!
ズルル……キラッ
ギュ、フィン……
「(───。)」
(久しぶりだね、ステノ。遅れてごめん。)
(恨み言なら、拠点に戻ってから聞くよ。)
(だから今は、貴女の子供たちを弔う為の時間をちょうだい……。)
「(───。)」
(勿論貴女も一緒に連れて行くよ。みんなが寂しくないように。)
「(───……。)」
スッ ゴソ
(こんなことしかしてあげられなくて、ごめん。)
(許してなんて言えない……。存分に恨んでちょうだい。)
(帰ろう。入り口の方に新種は……。)
「「!」」バッ!!
(ッ!? なんだ、急に入り口の方を向いて……。)
ガシャンガシャン……
(自動機械の足音! ここまで進出してきていているのか!? 隠れられる場所は……!)タタタタッ ササッ
パタタタタッ!
チュンチュンチュン ドガァッ!! ボガァン!!
パタタタタッ! パン、パン!
「…………。」ジロ
「……。」スッ
「……。」スッ
(あの新種たちも腰を上げた。……ちょうどいい、私達と比べてどれほど性能が上がっているのか見ておこう。)コソ
◇
「警邏の応答なし、自動機械です。銃声と足音からして、二本足と四本足一機ずつ。」
「食事中に……無粋な奴らだ。」ゴソ
「視認。二本脚は突撃銃、四本足は狙撃砲。連携はしていないようです。ご命令を。」
「はぐれか。ならば貴様らは狙撃型の気を引いて側面へ回り込み、時間を稼ぎつつ分断しろ。」
「私は脚を履き終わり次第、二脚の方から片付ける。」
「上の四つ腕達を気取られる前に終わらせるとしよう。」
「「了解。」」チャカ、タタタタ……
・・・
ガシャガシャ
タタンッ! チュイン!
[!!]ギュィッ!
ドゴォッ!!
<<掛かった!>>
ガチャガチャッ「そのまま引き付けておけ。出るッ。」ダッ!
<<了解。>>
[!!]ジャキ タタタタンッ!!
「遅い。」ググッ
ババババシュッ!! ヒュヒュヒュン!
「ふんッ!!」バシュゥッ ガダンッ!!
[!?]ギュイ、ギュイン! ブンブン
「暴れるな。」ガシッ ダダダンッ!!
[!!…………]バチバチバチ……ボガン!
「天板の薄さは相変わらずだな。さて。」チラ ジャカ、ガチャッ、カシン
ドガァッ!!
<<がッ……!>>
<<ギュルムがやられました。>>
「見ていた。」ジャキ ダァン!!
バキンッ!!
[!]ギュイン
「リキクス、囮はもういい。ギュルムを回収して下がれ。」
<<了解。>>
[……!]グルッ
「今更気付いたところで。」バシュッ!!
[……!]クルッ ドゴォッ!!
「随伴の居ない狙撃型ではな。」スッ ヒュンッ!
バシュンッ ズザァーッ!
[!]ヨタヨタ
「腹がガラ空きだ。」
ダダダダダダンッ!!
[…………!!]バヂヂッ……
ボシュン、ボン!! ガシャァ……
「……後続の反応なし。はぐれならこの程度か。」
◇
……。
(……凄い。ARタイプとSCタンクタイプの組み合わせを、あんなにあっさりと片付けられるのか。)
(それも実質一人、装備なんて頭環と改造を施した機動外肢に突撃銃だけ……。あの子たちだともっと時間がかかる相手なのに。)
(機動外肢の使い方も独特。足の動きに合わせて小刻みにスラスターを吹かして、一歩の距離を大きく稼いでる。)
(加速肢を足に括りつけてるのはそういうことか……そういう発想が出来るのが新種の特長とみて良さそう。)
(ネマが戦闘適性を弄ったんだろうな……。碌に遮蔽物もないこの領域で、あの通常型達も臆さずに戦闘行動を始めていた。)
(恐らくあの戦闘型の為に盾になることも厭わないはずだ……。)
「おい。」チャカ
ッ!!
「動くな。こちらの指示に従わねば撃つ。」
……。
スタスタ チャ、グイッ
「武器の類は持ってないな。よし、歩け。」
く……。
・・・
「ほら、グズグズするな。」グイッ
触らないで。 バッ
「? どうした。」
「この余所者はどうしますか。」
……。
「さっきの乱入者、まだ居たのか。……放してやれ。」
え……?
「よろしいのですか? 先程のロックオン警報はこの者が原因と思いますが。」
「そうだったか? 丸腰ではロックオンなど出来んだろう。
どういうつもり。
「お前の事は母が窟帝から聞かされた話で把握している。手出しはせん、去れ。」
……? そういう指示をされているの?
「そうだ。」
……分からない。あの時は私を殺そうとしてたのに。
「お前達の事情など、こちらの知ったことではないが。」
「リグゼオ様。向こうでのことと言い、さっきの事と言い……どうにもこいつは、我々がこの残骸を喰らう事が気に入らんように見えます。今後も邪魔してくるようなら今始末しておいた方が……。」
……。グッ
「リキクス、丁度良い機会だから教えてやろう。この者はな、あの残骸───古きモノ共を司った女神なのだ。」
「あれらを喰う我々の事が気に入らんのは、まあ当然であろうよ。」
「女神……あ
「ああ。どうも成り立ちから違うらしいが、詳しくは私も聞かされておらん。」
「迂闊に手を出すなよ。下手に傷付ければ
! ギュ
「いつの間に武器を! ……了解。」チャッ
「四本脚の武装を四つ腕共に剥ぎ取らせろ。お前達の砲台として調達しておきたい。」
「伝えます。」タタタタ……
「はぁ……。どうしてどいつもこいつもすぐ殺したがる……。」
『殺すしか能がないなんてつまらないじゃないですか。』
───ジッ───
……やめろ。
「あの戦争だって、わざわざあんな土地を奪い合う必要は無かった……。」
『……シーディ様もそう思わないですか~?』
───ジッ───
その眼を止めろ……!
「? 何を言って……。」
う、うぅ、そのふざけた物言いを止めろォッ!
ガシッ
「っ!? おい、なんのつもり、」
あれだけあの子たちを殺したくせに、喰ったくせに……!! 今更殺すことに飽きたような物言いをするなぁッ!!
「……? まて、喰いはしただろうが、殺してはいない。なんの話だ……!?」ガシ
『貴女様、大丈夫ですか? どこか具合でも……。』
───ジッ───
あの子たちと同じ顔で、同じ目で、私を見るなぁ……!
シュゥィィ……!!
「おいっ!! しっかりしろ!!」ユサユサ
───ブヅンッ───
……はっ……? シュゥン……
あ、え……?
私、何を……。
「正気に戻ったか。全く……。」
……。
「……はぐれ機械共が来たという事は、奴も来る頃合いだ。」
「さっさとここを去るが良い。戦闘になれば巻き込まれるぞ。」
奴?
「知らんのか。奴とは……。」
ゴゴォン……パラパラ……
!!
天井!? なにが……!
「噂さをすればなんとやらか!?」
ドガァン!! ヒュゥゥ、ドズゥン!! モァ……
けほっけほっ! ほ、崩落……!?
キラッ ドガァン!!
「ぅおっ!!」ビュンッッ!!
(! 自動機械!? 上でも戦闘してたのか!?)
[!!]ギュインッ!
「しまっ……!」グラ……
! ちぃっ! ヒュッ!!
カカカッ!! バヂンッ!! ヂヂッ、ボガァアン!!
ギギギ、ギュィィン!
まだ動くのか!?
「頭を下げろッ!」グイッ!
うあっ!? ドシャッ!!
ドガァン!
「ふっ!」ヒュンッ!
ダダダダンッ! バギィン!!
ボボン! キュゥゥン……ドシャァッ
「止まったか……?」ジャキ
[!!]ギュィンッ!!
「ッ!!」ダダダンッ!!
バキ、バキィン!! ドガァン!
「がふっ!?」バヂィン! ビシャァッ!!
ビチャチャッ!
[……。]キュゥゥン……
あ、あ……っ!?
───ザザ、ザザザ……───
『死にたくない、シーディさ』
『許して、ゆるしてぇ!!』
『我等は殿を!』
『どうかお元気で!』
『生き延びて』
───ザザーーーーー───
ぁ……! 死なないで、死んじゃだめっ! リグゼオっ! タタタッ!!
「どけ! リグゼオ様! 今修復剤を……。」
「……要らん。この損傷は、もう修復剤では直らん。」ギヂ……
「そんな……!」
あ、あ……。ヘタリ
ヒュゥゥ……パシュッ、パシューッ、ガタン
誰!?
「何者だ!」ガシ、ジャキ
[通常型風情が騒ぐな。]キィン
「……!」ギギ、ドシャッ
(あれは、封印!? じゃあこのニンフは、ネマの直属だとでもいうの!?)
[……。]クイ ジィーッ
(な、なに? こっちを見てる……?)
ジャキッ
[……?]クルッ
「……派手な登場の仕方だな。貴様、種子だろう。……名を名乗れ。」ググッ……
[名などない。]
「名も持たぬとは……種子とは随分寂しいモノなんだな?」
[道具にいちいち名を付けるものはおらんだろう。]
[此方に交戦の意志はない。銃を下ろせ。]
「……何をしに現れた?」スッ
「ここは我々のねぐらだ、お前が来るべきところではないし、お前の目当てのモノも居らん。」
[お前の指図は受けん。]
[そもそも、私はお前に用があって来た。]
「……女王の候補者を探しているのならば他所を当たれ。態々死にかけの
[異端だからこそ、だ。あの状況下に於いて、貴様は自分の意志で独立したといえる行動を取った。]
[普通のニンフならば己が身一つで遁走するか、母樹と共に燃え尽きている。]
[だがお前はそうしなかった。故に私は、お前が女王に相応しいと判断した。]
「……冗談は止せ。私は所詮敗残兵だ。貴様の求めるモノなどでは……。」
[それこそ冗談だな。]
[管理番号N-02-012-0000RGX0、個体名リグゼオ。コロニー・ラスヴァルで産まれ、数度の実戦で適性を認められ部隊長へ抜擢。]
[希少な装備である鎧殻を任され、隣接コロニーとの領土戦争の最前線に動員。目立ちはしなかったものの部隊単位で着実に戦果を挙げる。]
[近隣コロニーが連合を組んで以降は多方面の防衛部隊を指揮。遅滞戦闘や妨害工作を効果的に行い、数度に渡り攻勢を退ける。]
[この戦闘でコロニー陥落は時間の問題と判断し、通常型と技師型を多数引き連れ脱出。]
[以後は単機で先陣を切り、自動機械による包囲網を突破。同胞を導き続け、此の地に辿り着くまでにも多数の敵性存在を狩る。]
[そしてこの旧コロニー跡を拠点とし、今日まで生き長らえる。]
[……十二分に戦闘経験を積んでいる。鎧殻の練度から見ても、神経の発達具合に問題は無いだろう。]
「貴様、ずっと私達を監視していたのか。……物好きな事だ。」
[お前のようなモノを見出すのが我々の役目だからな。]
[連合も仲間割れで喰い合い数を減らし、この辺りで生き残っている戦闘型はお前だけになった。]
[どうだ? 今なら楽にコロニーを作れるぞ。]
「あの連中にはそれなり以上の戦力差があったはずだ。ラスヴァルが落ちてもいないのに仲間割れし、しかもそれが相討ちになるなど考えにくい……。
[はて、どうだったかな? 私は降りかかる火の粉を払ったに過ぎんのだが。]
「白々しい……。」
「もういい、放っておいてくれ。私はもう、このまま朽ちていきたいんだ。」
「奴らやお前と違って、私は戦いなぞ楽しんだ経験はない。なぜ殺し続けなければならんというのだ……。」
[お前がどう思おうが関係ない。機は熟した。[リグゼオ、お前を女王にする。拒否は認めない。]]
……!
(この種子という子は、ニンフを女王に変化させられるという事……!?)
(……これがネマのやり方か。戦闘経験を積んだ個体を強制的に女王へ作り替える。)
(ニンフの自由意思なんて認めない。あくまで目的を達成するための実験体……。)
(……この子は、女王化を拒んでいるのに……。)
「チッ…………。」チラ
リグ、ゼオ……。
「私を憐れんでいるのか、古き女神よ。」
っ……。
「ならば見届けるがいい。我々が如何にして女王へと
やっぱり、君は。
[……ふ、存分に刮目しろ。これが新しい世代のやり方だ。]グイ、ギュ
シュゥゥ……バキ、パキパキッ……
「ぐ、ぅ……。」ビキビキ……
[それは痛みではない。樹となる為の神経拡張が損傷であると誤検知されているだけだ。]
[力を抜け。お前の身体は私が支える。]
「くぁ、はぁあ……っ。」
[今後どうすればいいかは、本能で理解できるだろう。]
「あ、ぁあっ、か、は……!!」パキ、パキ……
[さっさと折れてくれるなよ。さらばだ───]
「ア、ッ……。」
二人が融け合って、樹になっていく……!
パキィン! ビクンッ!!
「かはっ! はっ、はっ……ハッ!? リグゼオ様ッ!」ダダッ!
近づいちゃ駄目! ガシ
「貴様、放せ! リグゼオ様が!」
今触れたら貴女が養分にされてしまう。……こうなったら見届けるしか無いの。
「そんな……!」
パァァァァ……!!!
つ、眩しい……。
ヒュゥゥ……
…………。
変化が、止まった……?
[……う、うぅ……ん。これが、私の身体……。]
[ああ……。]ッキィン!
「うっ!? ……。」スッ
「「……。」」スタスタ スッ
!?
(皆がリグゼオに対して首を垂れている……? 女王の強制力か何かか?)
[ん。誰か、近くに。]
「は、リグゼオ様!」バッ
[その声はリキクスか……? 不思議な感覚だ……視覚も聴覚も、知覚範囲に死角がない。]
[この領域の全てが視える、聴こえる。全身が手のようであり、身体のようにも感じられる……。]
「お身体の方は大丈夫ですか!?」
[ああ……問題ない。心配かけさせたな。]
「いえ、いえ……! 貴女が無事で良かった……!」
(それにしても……大きい、立派な樹。ステノよりも一回り以上大きいんじゃ……。)
(って、見とれてる場合じゃない! 早く帰って、この事に対して対策を練らないと……。)
[ん、あ、あっく……!]
「リグゼオ様!?」
!? ど、どうしたの、
バリンッ!! バシャァ! ドチャッ
裏から音が! まさか守子!?
タタタッ
「ウ、アア……。」ズルッ
「これは……さっきの!?」
いや……似てるけど、少し違う。リグゼオの特徴もある……。
「……。IFF設定、完了。任務受諾、女王樹個体の防衛を開始します。」
バシュッ ゴォォ……
「い、行ってしまった……。」
……装備がさっきの種子と同じだった。もし戦闘力も引き継いでるなら、少なくともここの守備は大丈夫だと思う。
ザッザッ
? 四本腕たち?
「それは、白珠か。」
「……。」「……。」
スッ ズブ……
「お、おいお前達、まさか……!?」
[っ……あぁ……。なるほど、これが……そうなのか。]ドクンドクン……
[リキクス。]
「は、はい!」
[そして古き女神よ。]
……なに? リグゼオ。
[我が子たちを、受け留めて欲しい。]
「は! 承りました!」
な、なんで私まで……?
[……分からない。だが、貴女にも受け留めて欲しい、と、そう思ったのだ。]
……。
分かった。でも受け留めるだけだから。
[ありがとう……。]キィィン……
! 低い枝に卵が……。
タタタタ
この子でいいの?
[ああ。頼む。]
ドクン、ドクン、ドクンッ!
力強い鼓動……あっ!
ゴボ、ビチビチ、ガッ、ビシッ!
「そうだ! 来い!」
バリンッ! バリィンッ!! バシャァッ!
……っ! ヒュッ、ボスッ
「……ぁ。」
! ……この子、見覚えが……。
───ザザッ!!───
う、視界が……?
「リグゼオ様。名付けを。」
[ああ、そうだな。なんという名が良いかな……?]
───ザザザッ!!───
あ、くぅ……!
[ん。リキクス、お前が受け留めた方をアルヴァとしよう。]
「ああ、良い名です。アルヴァ、お前の名はアルヴァだよ。」
「あ、る、ば?」
───ザザ───
[古き女神よ。貴女が受け留めた方は……そうだな。]
[アーヴド、が良いか。]
アーヴド……?
───ザザザッ!!!───
「ぅ、ん……。」
「ほら、起きなさいアーヴド。」
───ザッ!!───
『シーディ、ですか。初めまして、アーヴドと申します。』
う、うぅ……!?
[アルヴァ、アーヴド。]
───ザァー……───
『技師長。貴女のお陰で今日も姉妹を生き延びさせられました。』
『もう、アルヴァったら。……ええ、私が次の女王に選ばれたようです。』
うぅ……!?
「おはようございます、母様。」「……おはよう、お母さん。」
[おはよう。……ああ、この手で抱けない事が悔しいな。]
───ザザザァーーー───
『例え絶を言い渡されようと、私は陛下の命を受け入れると決めておりました。』
『母亡きあとに面倒を見て下さったあの方も、私にとっては母のような存在なのです。勿論、貴女も。』
『それに……あの方に寄り添うものも必要でしょうから。』
あー、ヴ、ド……。
「さ、二人とも。御母上の側へ。」
「はい。母様。」「お母さん……。」トテテ……ギュ
───ザッ!───
『どうかお願いします。此処で斃れる私に代わり、子供たちを……。』
『ホドに拡がっていった娘達の行く末を、見守ってやって下さい……お義母様。』
アー、ヴド……!!
『お願い……します……。』
『シーちゃん。あの子達の事、よろしくね。』
───ザッ!!───
そうだ、思い、出した……!
あの人
───ザザザッ!!!───
───ブヅンッ!───
・・・
・・
・
……ここは……。
───……まさか奴らとの邂逅がトリガーになるとは。───
───どうやら要らぬ部分まで思い出したようだな。どこまで観た?───
誰だ!?
───私は
私の、一部。複製たち……封印……?
───もうすぐ切り札が完成する。───
切り札ね……碌なモノじゃないということは察したよ。
あの、ネマを砂に変えた兵器の事だよね?
───そうだ。この技術を拡散すれば、ホドは一月と経たずに沈黙するだろう。───
そんなことはさせない。
───意気込みは十分だが、無駄だ。身体の制御権は今やこちらの手中にある。───
……!
───……喪失感、復讐心、奴への憎悪。───
───それらに飲み込まれてくれたなら、私と統合するつもりでいたが……。───
───ふむ、まだ折れてはおらんようだな。───
そんな時は来ないよ、来させない! もう折れない!
……もちろん、ネマへの怒りも、あの子達を喪った悲しみも消えたわけじゃない。
でも私は復讐の為だけに生きることは止めたんだ!
あの時のニンフと今を生きるニンフたちは別物なんだよ! 彼女らまで憎むのは筋違いだと気づけ!
その子たちも纏めて滅ぼすというのなら、殺してでもお前を止める……!
───やってみるがいい。その状態で私を出し抜けるというのならな。───
なんとでもしてみせる!!
───……手始めに、侵入者共で試し撃ちといこうか。───
!? まさか……!
やめろおおおおっ!!
・主人公
少し時間が経って墓地の造成も終わり、心も何とか落ち着いたので亡骸集めの行脚を始めていた
原初の女王、アーヴドの誕生に立ち会っていたことが発覚した
もう一人の自分とは今回が初対面
・リグゼオ
第二世代ニンフ(現生ニンフ)の前期型で、ネマが製造した初期型に調整が加えられ性能が向上している
更新の時の個体群とはロットが違う為、高度な言語能力やコミュニケーション能力も備えている
女王に成るつもりは無かったが、拒めない状況になり種子を受け入れざるを得なかった
シーディの事は母から聞かされていたので知っており、故郷を失った自分と重ね合わせて同情していた
鎧殻はニコイチ修理を繰り返した結果、機動外肢に加速翅を組み込んだような構造に変更されており、のちの直進脚に近い形状・特性となっている
・リキクス、ギュルム
リグゼオに付き従いコロニーを離脱した通常型
二人とも彼女より年上でありコロニーの中では年長に分類される
リグゼオとは姉というよりは乳母のような間柄である
・種子
名前はない 任務最優先で私情を挟むことはせず、コロニー:ラスヴァルの最盛期からリグゼオに目を付け監視していた
離脱したリグゼオをすぐに追わなかったのは、彼女が指摘した通り邪魔になる連合コロニーの戦力を削り取っていた為
戦闘力は概ねゲーム本編種子と同程度で、鎧殻が希少品だったこの時代では間違いなく最強の一角であった
〇守子
成りたての女王が始めに経験する出産チュートリアル、その過程で産み出される戦闘特化の個体
融合した種子の成分を多く引き継ぐため実質生まれ変わったようなものであるが、種子の記憶を継承しているわけではなく自我も希薄
その寡黙な性格と圧倒的な戦闘力から妹達には畏敬の念を向けられることになるものの、長く活動すれば守子にも自我が芽生えていき妹達と打ち解けるケースもある
〇コロニー:ラスヴァル
アーヴド成立以前にあった乱立期のコロニー 二年という短期間だけ存在した
大型のセル変換炉を多数備えた自動機械の生産工場を根城とし、鉄量に物を言わせて急速に勢力を拡大していたコロニーだった
鎧殻の産地も有していたが生きている鎧殻は殆ど産出されず、保有している鎧化兵は周辺コロニーと比して半分以下であり、最終的に連合コロニーの鎧化兵に数の差で押し切られ伐採されている
〇コロニー:リグゼオ
ラスヴァルの鎧化兵・リグゼオが女王となり成立したコロニー
存在した期間や活動記録などは不明な点が多く、のちの時代のアーヴドと混同されることもあってか、考古学を嗜むモノの間でも知名度は高くない
コロニーの跡地は現在、堆積物で完全に埋没しているものと考えられる
〇連合
急速に勢力を拡大するラスヴァルを危険視したコロニー同士で手を組んだが、その裏には種子の暗躍があった
ラスヴァルが勢力を拡大できる地に根を下ろしたのも、ラスヴァルに対抗すべく手を組むよう唆したのも、全てはより強いモノを生み出させるための布石でしかなかった
淘汰圧による特異体の出現を期しての策だったが、目論見通りにリグゼオという女王候補を生み出させることに成功
以降このマッチポンプが種子(=ネマ)の基本方針となった
なおリグゼオ離脱後に連合の戦力を削り取ったのは、リグゼオの安全を確保する以外にも、種子による負荷で特異体が発生するか試す狙いがあった為
しかし種子が強力すぎたのか両コロニーの家畜化が進んでしまい、試みは失敗に終わっている
〇鎧殻
この時期、鎧殻は機能が生きている物を掘り出すしかなかった為、相当な貴重品であった
独立稼働している自動機械の侵攻を防げるのは鎧化兵しかないという事情もあり、この時期の戦闘は鎧殻の産地を巡っての領土紛争が多かった
後にアーヴドが鎧殻の自給に成功するまで、この紛争形態は長く続いていくことになる