Fate/Grand Order Relief   作:コードs³

7 / 10
大体木曜と日曜の週に二回投稿する様になりそうです。

さて、今回はどうなることやら。



感知

「さて、これからの行動方針について話そうか」

 

 外側で待機していた三名と一個との対話を済ませた二世が議題を話し始める。

 

 話の主軸となることに彼は抵抗をしたものの、知人の知人に頼み込まれて仕方なく進行役をすることとなったのだ。

 

「私達の今現在位置している場所はここ、かつてこの土地で魔術の名家であった遠坂家の邸宅だ」

 

 そう言い、彼は2004年時点での冬木の地図のある一点を指差す。そこには地図であれど巨大で豪華な、正しく以て豪邸と表現されるに能う建物が建っていた。

 

「ここから移動して調査をするのであれば、候補は三つに絞られるだろう」

 

 地図上に三点のマーカーで引かれた円が発生する。

 

 単純な魔術によって引き起こされたその事象を全員気に留める筈もなく、説明は続く。

 

「一つ目は未遠川に架けられた冬木大橋、二つ目は都市部から離れた、アインツベルンが居城としていた建物、最後に聖堂教会が聖杯戦争に関わる為に設立した冬木教会だ」

 

 地図上に印された三つのマークにそれぞれ『1』『2』『3』と右上に刻まれる。

 

 いずれも有力な情報は得られそうだ。

 

「私としてはこの順に探索をしたいと考えている。 何か質問はあるか?」

 

「二世さん」

 

 挙手したのはアリスだ。

 

「アインツベルンの居城の調査、ちょっと待って貰って

 もいいかしら」

 

 それは質問などでは無く、調査の中止の要求であった。

 

「どうしてだ?」

 

 当然、二世はその理由を聞く。

 それだけでなく、周囲からも懐疑的な目線を向けられる。

 

 それらを一身に受けながらも、要求をした当人は説明を開始する。

 

「あの陣営はバーサーカーを召喚したでしょう。あの英雄ならば、こうなったとしてもまだ存在する可能性があります。迂闊に接近して被害を出したくありませんから、調査を待って欲しいのですよ」

 

 話の内容を完全に理解出来たのは半数にも満たないだろう。

 ただ、今までの経験から何となく二世は理解する。

 今の自分達が手出しするべき存在では無いと。

 

(存在しない可能性もあるが……リスクは極限まで排する

 べきだろう)

「……分かった。そこの調査は中止としよう」

 

「ご理解頂けたようで」

 

 アリスはニコリと二世に微笑む。

 内心、どう考えているのだろう。例えば、別ルートに逸れようとしていた彼を注して安堵でもしているのか?

 

(そうですよ?)

 

 そうらしいよ。

 ナチュラルに壁を越えてくるな。

 

「だが、そうしたのなら代案があるのだろう?」

 

 その頃、二世はシスターへと代替案の提出を求めていた。

 無論。彼女が用意無しに提案したわけも無く、

 

「有りますよ。代案というには少し弱いですが」

 

 と言って、地図のある一点を指し示した。

 そこはここからかなり離れた場所にある港であり、まともな情報があるとは見込めないことは確かだろう。

 

「この埠頭です。ここからもかなり離れてますから、情報の残存も期待できます」

 

 だが、彼女の声には確信が籠っており、確実に収穫があるであろうことを知っているようだ。

 

『本当か?』

 

「ええ、恐らく」

 

「すごくあやふやですね……」

 

 一名と一つが発した疑惑の声は当然の物だ。

 そう。当然であるならば、それへと反論も当然ある訳で。

 

「特異点は未知数なのだから仕方無いでしょう」

 

 …………それにしてはとんでもなく投げやりなものなのだが。

 だからといって、それを否定できる程の答えを用意できるかと言われれば、そうでもないわけで――

 

『そりゃそうだけどさぁ……』

 

「そうですけど……」

 

 ――こうやって、二の句を継げなくなってしまった。

 

それから数分の時間を要した後、六人は方針を決した。

 

「第一に冬木大橋、第二に港、最後に冬木教会を調査する……ということでいいか?」

 

「異論ありません」

 

「こっちもオッケーです」

 

「立香に同じく」

 

『同じく』

 

「「はい」」

 

 誰からも否定が出ることは無く、満場一致で方針が定まった。

 

 というか、既に〝方針を決した〟って書いてあるからね。

 

 煩いぞ。

 

 ……コホン

 

「それじゃあ、早速移動しようか」

 

 繻霞を先頭にしてベースキャンプを発とうとした六人。

 

『待ちなさい!』

 

 だが、状況をモニタリングしていたであろう所長の声によって、その行動は制止された。

 

「何でしょうか?」

 

 出鼻を挫かれたことに少し不満を感じつつも、それをおくびにも出さずにその理由を訊く。

 

『こちらへと接近する魔力反応があるわ。規模からして、サーヴァントに準ずる程のね』

 

 その返答は凶報に限りなく近い悲報であったのだが。

 それを聴いた瞬間、一気に場の空気が凍り付く。

 

「……ベースキャンプから召喚時の魔力が漏れた、とか?」

 

 最初に口を開いたのは立香だ。

 

 正直、それが原因かと言われればあり得なくはない。

 

 カルデアは先程爆破されたのだ。

 それによってシステムや術式に欠落が生じても、なんらおかしくないのである。

 

「そんな筈はありません。仮にもカルデアの技術によって作られたのですから、そう簡単に探知できる訳が……」

 

「それ以前に私が作ったのですから、悪意無しにそんなことはしませんよ」

 

 それに反論したのはアリスとマシュ。

 

 二人が発したその意見はどちらも真っ当なものであった。少なくとも、ここは密閉されているのだから漏れ出すなんてのは有り得ないだろう。

 

 空気穴があったら全てが瓦解するのだけども。

 

 そんな三人が原因について話し合っている横で、所長の独り言が無から響く。

 

『……おかしい。ここから一キロ程の場所で、サーヴァントの魔力が感知できなくなったわ』

 

 由々しいことをサラっと言うオルガマリー。

 そこに二世からの誘発が飛ぶ。

 

「それは気配遮断というクラススキルによるものだろう、ミス.オルガマリー」

 

 それは正しく以て現状を打破しえる情報であった。

 というか、それを抱えているなら早く言っとけというのは当然だが。

 

「であるなら、クラスはアサシンという訳か……」

 

 心底ウンザリとしたようにその事実を吐き捨てる。

 聖杯戦争のことを熟知しているからこそ、強烈に。

 

 彼はアサシンや暗殺者にロクな思い出がないようである。

 

『厄介極まりないわね、全く』

 

 同じく彼女もロクな思い出がないようだ。

 二人とも立場上重要な立ち位置にいるが為であろう。 

 

「いえ、そうでもありませんわよ。所長さん」

 

 原因を話あっていたであろうアリスがそれに応える。

 彼女もまた、情報を握っていたようである。 

 

『何故そう考えるの?』

 

 疑問に思った彼女は質問を飛ばす。

 

 当然、それに答えを返す。

 

「冬木の聖杯によって喚ばれるアサシンは、皆〝山の翁〟と呼ばれる暗殺教団の長に限られます」

 

「先程の所長さんの情報と照らし合わせると、恐らくは〝呪腕〟のハサンであると考えられるのです」

 

 それは、敵の素性そのものだ。

 重要なんてものではない。

 

「『それを早く言え(言いなさい)!』」

 

 二人がそういうのも無理はない。その情報が無かったのなら、酷いことになったのかもしれないのだから。

 

「話すつもりでしたよ?!」

 

「そういうことじゃないのだ、アリス!」

 

『そうよ!』

 

 アリスに対して、やいのやいのとまくしたてる二人。

 

 いよいよこの場の収集がつかなくなってきた。

 

 そう予感していたのは、何処の会話にも参加していない二人と一つの傍観者であった。

 

『なにやってるんだか……。一大事だっていうのに』

 

「だからこそだと私は思います。頭を働かせないと打開できませんから、あくせく動かしているのです」

 

「それにしても……」

 

 繻霞は目線を横の方に動かす。

 

 そこには立香とマシュが、また何かを話し合っていた。

 まだ原因について話しているのだろう。

 

「マシュは何の本を読んでいるの?」

「わたしはいつもシャーロック・ホームズを――」

 

 ……どうやら別の意味で生産的な話をしていたようだ。

 何してるんだろう。

 

「……まだ、二世さんたちは……」

 

『聞かなくたって分かる、説教が開始しているぞ』

 

 目をそちらに向ければ、シスターがホログラムと長身の男に説教されながら、時折言い返しているのが見える。

 

「……何しているんでしょうか」

 

「分からないよ。でも、下らないことも良いとは思う」

 

『それにしたって時と場合を考えろよな……ったく』

 

 周りの事象全てに呆れていた二人と一つの内、ペンダントは仕方がないといったように、仕込んであった魔術を解放させる。

 

『冷静化』

 

 無害な程に薄められた呪いは、ベースキャンプ内部の殆どを覆い尽くす。それはホログラム越しにオルガマリーまで届く。

 

 込められたるは文字通り『冷静』。

 

 冷ややかに、静かに。

 

 意識の内にある一時の熱を冷やし、現実を認識させる。ただのお呪いに似たものだ。

 

 ペンダントは五人に向けて音声を発する。

 

『全く、今はそんなことしている場合じゃないだろうに。熱に浮かされるのは後にしてくれ』

 

「ああ、そうだな……すまなかった」

 

「こちらこそ」

 

『ええ、彼も情報を抱えていたものね。貴女だけを責めるのもお門違いだわ……』

 

「そうだね、話すのはまた今度」

 

「カルデアに帰ってからですね、先輩」

 

 冷静になって、先程までの醜態を認識した二人はテンションが低い。逆に、余り恥ずかしいことをしていなかった三人は気分が余り下がっていない。

 

「……さあ、また話し合うとするか」

「ええ、今度は対策を」

 

 テンションが低いままに、六人は会議を始めた。

 

 一人だけは、顔を赤面させながら。 




本編に沿って進行するといったな?

アレは嘘だ。
(落ちていく作者)(お前が落ちるな)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。