隻狼 修羅に落ちたが本気出す   作:わたぼう

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え~オリキャラ達の描写を入れたら、文字の量が倍になりました。


出会い・始めての依頼

あれから2日が経過した。

 

不死であるため、食事等はしなくても問題なかった。

 

一番の問題はやはり怨嗟の炎だろう。

 

森の中を彷徨い怨嗟の炎を感じる度に、戦斧で狼は近くの木をで斬って、その木材を刀で削り出して木製の仏像を作っている。

 

意識が遠退きながら、

 

人としての情を…意識をギリギリのところで手放さぬように保っている。

 

体が熱い…

 

この刀には…もう

 

意味や価値などは…

 

また修羅になるのでは…

 

毎晩毎晩、こんなことばかり考える。

 

真夜中の森の葉の隙間から星の光が見える。

 

葉っぱの隙間から漏れ出る星の光と、焚き火の明るさ、現状は弱々しい怨嗟の火の粉が仏像を作る狼を照らしていた。

 

適当に近くにあるものを無意味に斬りつけたい、その欲望を押さえつける。

 

そのために仏像を作り続ける、未々出来は良くない、形も大きさも不揃いな物ばかりだ。

 

こうしている間は、怨嗟の炎の存在感から目を背けられる、気をそらすことが出きる。

 

「仏師殿のようにはいかんな」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

それは仏像を作っていた時に突然聞こえてきた。

 

ギャぁぁ~!!

 

遠くの方で誰かの悲鳴が聞こえた、狼としてはなるべく厄介事は避けたい、しかし、前回と違うのは狼は取れる手段がある。

 

まず最初にどのような相手かを隠れて吟味できるし、時間も余裕もあり、助けるかどうかすらも手の平の上だ。

 

賊の類いなら、そのまま放置してもよいが。

 

もし、そうでならいならそれを実行した上で後から言葉の壁をどうにか乗り越えれば良い。

 

何より前回はタイミングも何もかもが悪すぎた、とは言え今が特段良いかと言えば決してそうではないが。

 

恩を売って、情報を得る。

特に言語の習得は最優先事項だ。

 

そうして、悲鳴の方向へ行くと。

商人だろうか、馬車が犬の魔物に襲われていた。

荷台の置くに商人は身を隠そうとしている。

幸いにもまだ商人も馬も大きな外傷は見当たらなかった。

 

商人や馬が襲われる前に此方に気付いていない魔物に手裏剣を投げて先行を取る。

 

魔物は狼の存在に気付き唸りを上げた。

 

狼も魔物を前にして構える。

 

4~5匹の群れで接近してくるも、狼は爆竹をばら蒔く、すると閃光が魔物の目を眩まして、体幹を一気に崩した。

 

その隙に3匹を屠る。

 

残り2匹

 

2匹はタイミングをずらして突進してくる。

 

一匹は正面から来て牙を剥き出しにして噛みつこうとするも、それを狼は刀で弾く。

素早く2回弾いて喉元を刀で突き刺し、もう一匹の後ろからの攻撃を木の枝に鍵縄を引っ掛けて、真上に移動して回避する。

そのまま真上から魔物の体を狙って刀で忍殺を決める。

 

ものの数秒で決着した。

 

怨嗟の炎は…少しだけ上がっていた。

 

打ち合えば打ち合うほど怨嗟の炎は増してしまう、出来る限り戦闘は長引かせたくない。

 

戦闘終了から数秒が経過しすると、馬車の荷台が少し揺れた。

 

商人は馬車の外が静まり返ったのに気付き、荷台の中から顔を出す。

 

狼は出来るだけ、相手を怯えさせないように気を払う、前回のように警戒されるようなことは避けたい。

 

「あんたがやってくれたのか?」

 

「…」

 

狼は言葉が分からないため、取り敢えず、その場の雰囲気で頷いてみる。

 

すると相手は此方に感謝の意を示すかのように、手を握ってきた。

 

しかし、狼の体はどう考えても血だらけで汚い、自身の乾いた血と魔物の返り血が付着していて最悪だ。

狼としてはそれは最早慣れたものだが、商人には当然そうは移らない。

 

「あんたッ酷い怪我だ…何処か痛むところはあるか?」

 

分からんな…

 

再度、頷いてみる。

 

「そうか…なら取り敢えず町まで運んでいく。」

 

「あんたは命の恩人だからな。」

 

商人は馬車の荷台の荷物を整理しているようだ。

荷馬車から出てきた商人は狼に対して、早く乗ってくれと声をかけてくる。

 

荷物を整理して、狼のスペースを作り、その意図を察した狼は馬車に乗り込んだ。

 

馬車に揺られること数分。

 

商人の馬車の中の売り物はどれも狼からすれば珍しいもので、薬草なんかは見慣れているが、その他装飾品なんかは見たことがない。

 

荷台に乗っている狼は御者席から商人に話しかけられる。

 

「あんた、何処の出身なんだ?」

 

頷いてみる…

 

反応的に違うらしい…

 

狼は首をかしげて見せる。

 

「おいおい、分からねぇのかい?」

 

ここにきて狼は商人に対して話しかける。

 

「俺は御前たちの言葉が分からん」

 

案の定、商人は頭の上でハテナを浮かべた。

少々表情に驚きも混ざっている。

 

「何処の言語だよそれ、じゃあさっきまでの俺の言葉も伝わってなかったてことか…」

 

商人は「喋るのも痛いくらいの怪我をしてるのかと思ったぜ」と言って、困ったように笑いながら、眉値を寄せて馬車を進める。

しばらくすると土の道から舗装された道になっていき、ちらほらと家が見え始めた。

何処にでもあるような民家なのだが、狼は見慣れない西洋建築の家に少しだけ混乱してしまう。

 

狼は今までずっと森の中にいたため、ここに来てここが自分が元居た場所とはどれ程違うのかを認識し始めた。

 

今思えば、最初にであった三人組もこの商人も着ている衣服がまるで違う。

 

「ここは葦名からどれ程離れているのだ…」

 

狼は小さくそう呟く

 

そう考えていると馬車は途中で止まった。

そこには一軒家があった。

 

商人は馬車から御者席から降りて、狼も荷台から降りる。

 

一軒家の扉をノックする商人、すると開いた扉の先からこの家の住人かが顔を出して狼を見やる。

 

言葉は分からないがどうやら、二人は知り合いのようで商人は住人に狼の事を説明しているのだろう。

 

事情を知れたのか、住人は戸惑っているが商人と同様に感謝の意として頭を下げてくれた。

 

ここに泊めてもらえる…

 

と見ていいのだろうか…

 

狼は少し不安に思いながらも家の中に案内される。

 

狼は住人についていき、居間に案内された。

 

商人は一通り部屋に自分の荷物を置いてから、その後住人と一緒に狼の手当てをしようとする。

 

傷薬瓢箪を使うまでもなく、彼は回生により命に関わる怪我はしていないが。

 

竜胤の力のことを知らない彼らは、端から見れば狼は血だらけの状態で、内蔵や骨など何処か大怪我をしていると思われるのは当然である。

そこからは色々とあった、体の治癒であったり、風呂に入ったりと。

 

特に驚いたのは治癒、いきなり額に手を当てられ何かの詠唱をし始めるものだから、狼は咄嗟に距離を取る。

 

すると商人と住人は驚き、お互いに目を見合った。

 

商人は顎に手を当てて、考え始める。

 

所謂治癒魔法と呼ばれるものだが、狼からしてみればそれは未知の力である。

 

それに警戒していると気づいた商人はまた住人と話し合い、ある行動をする。

 

商人は自身の荷物から護身用の短刀を取り出す。

 

それを見た瞬間、狼の警戒心が一気に跳ね上がるが。

商人はそれを自分の手の平に突き刺した。

それを見た住人は手に向かって詠唱を始める。

 

するとどうだ、傷口が綺麗さっぱり塞がってしまった。

 

狼はその光景に驚き、自分の格好と照らし合わせて、先程の住人がしようとしていたことに気がついた。

 

狼は大人しくなり、それを見た住人も今一度狼に治癒魔法をかけようとする。

 

緑の光が現れ、小さな切り傷などが消えていく。

 

「いちよ治癒された筈たが」

 

「あんがとな、だが、言葉がわからんってのは困ったもんだな。」

 

狼はそこから部屋を移動して湯の張った風呂桶に入らされる。

その際に荷物は居間に置いていてもいいと言うように、手で示されるも。

流石に不死斬りを自分の目のつかない所に置いておくわけにはいかず。

 

そのまま風呂桶の傍に置かせてもらった。

不死斬りは刀を抜いた者の命を奪う、回生が出来なければそれを使用することすら出来ない。

そんなものを置いて万が一の事があってはいけない。

 

風呂から上がり、汚れを落とした狼は用意されていた服を見て、それを着た。

 

部屋を出て再び居間に移動すると、飯を用意している最中なのか、机には見たこともない料理が並べられていた。

 

謎の黒茶色の塊(パン)や紫色の果実だろうか…

 

あれは干し肉か…

 

狼は直ぐそれらに興味を失って、窓から見える夜の景色を眺める。

 

料理が用意される間に狼は商人から本を手渡される。

 

「ずっとこのまま命の恩人と会話できないってのもあれだからな、それ使って今日から勉強しよう。」

 

狼は何を言われたのか分からないが、本を開くとそれが語学書のようなものであると分かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そこからは新しい事実と毎日勉強の日々だった。

 

時折、戦斧で薪割りの手伝いやら、狩りの手伝いをやらされながら、それが終われば、家で語学学習をして時間は過ぎていく。

 

空いた時間に余った木材で仏像を彫ったりもしていた。

これが何か聞かれた時は、どう説明すればよいか迷い。

簡単に御神体だと説明した。

 

「狼、ここの文章はこういうニュアンスで使われてだな…」

 

商人は定期的にここを訪れ、俺の様子を見に来ているようだ。

時間があれば彼は教師として分かりやすいように俺に文法やら単語の解説をしてくれる。

 

そしてこの家に居座って約2ヶ月程が経過して、言葉も少しずつ分かるようになってきた。

 

現在泊めてもらっている、この家の主の名前はマリスという、現在はあの家を拠点として周辺地域の1人で簡単な依頼を受けているらしい。

そしてあの商人はカルネル、マリスとは古い付き合いの友人らしい。

 

そして新しい事実として気づいたことがある。

それはこの場所が狼が元いた世界とは違う異世界であるということだ。

これはカルネルの世界地図を見た時に分かった。

これには流石に狼も驚きを隠せなかった。

 

そんな狼は今は居間で椅子に座り簡単な本を読んでいた。

するとマリスから声が掛かる。

 

「狼、お前今日から町にいくぞ。」

 

マリスからそれを聞いて狼は何しにいくのかと訪ねると。

 

「お前、前よりか話せるようになってきたから、そろそろ1人で仕事を見つける方法を教えようかと思ってな。」

 

とのことだ、マリスは「まぁ…お前にはぴったりの仕事が直ぐに見つかると思うけどな」と言っていた。

 

そしてついてきた先が。

 

「ここは?」

 

「冒険者ギルドさ」

 

「カルネルからはお前の救出劇は聞いてるからな、相当強いんだろ?」

 

それに対して狼は何も答えなかった、狼は強いのではなく、ただ人斬りの才能があっただけだと自負している。

本当の強さを自分は手に出来なかったからだ。

 

「…」

 

「何だよ…ビビってるのか?」

 

マリスは軽快に笑う

 

「大丈夫だ、お前が1人で稼げるように仕事を斡旋するってのも理由としてあるが」

 

マリスは狼に向けてワクワクしていそうな目線を送る。

 

「カルネルの言葉に嘘はないと俺は思ってる、だから実は楽しみなんだ、お前の実力を俺にも見せてくれよ。」

 

「具体的には…何をするんだ…」

 

「そうだな、そこの受付で冒険者登録をして...やっぱり魔物の討伐じゃないか?」

 

マリスが指差し先には受付の窓口と、依頼の張り紙が何枚か張ってあった。

 

「魔物…」

 

狼が始めて戦った魔物は犬のような見た目をしていた。

あの程度なら正直言って何匹来ようが問題ないだろう。

 

「難しい依頼程、額も上がるが魔物の強さも上がっていく、だから最初は様子見で簡単なものからこなしていけばいい。」

 

狼は黙って彼の話を聞いている。

 

取れる手段が多いに越したことはないし、何時までもマリスの世話になるわけにはいかない。

狼もいずれあの家からも出ていくつもりでいる。

 

「慣れれば素質のある奴なら、あっという間に難しい依頼をこなしていくようになるからな。」

 

マリスはとりあえず、受付に行って冒険者登録をしてこいと狼の背中を押す。

 

受付嬢のところに行って狼は冒険者登録を寸なりと終わらせてきた。

 

張り紙を見て、マリスは狼にこれがいいんじゃないかと進めてきた。

 

キラースコーピオンの群れ・A級

 

これを出したら受付嬢は渋い顔をされた。

 

「キラースコーピオン…ですか」

 

「どうした…」

 

「…いえ、ですが…始めて冒険者登録をする方でこのランクの依頼を受ける人は中々いませんので。」

 

「しかもお一人でこの依頼を…お受けになるのですか?」

 

「駄目なのか?」

 

淡々とした問い返し。

 

怒気はない。

 

だが圧がある。

 

受付嬢はわずかに身を引いた。

 

そのやり取りに気づいた周囲の冒険者たちが、ざわつき始める。

 

「A級だと?」

 

「新人だろ?」

 

「無茶だな……」

 

好奇と嘲りと警戒が混じった視線が、狼に集まる。

 

当の本人は気にも留めていない。

 

別に狼にそんな気はないが、少し受付嬢は気押されている。

 

ギルドの奥では、マリスがテーブルに腰掛け、軽食をつまみながらこちらを眺めていた。

 

時折、面白そうに目を細めている。

 

狼のように寡黙で、異様な雰囲気を纏う余所者は、この街では珍しいのだろう。

 

賑やかな空間の中で——

狼だけが、明らかに浮いていた。

 

そんな中で後ろで待っている他の冒険者が、後ろから文句をいってきた。

 

後ろが詰まっているらしい、モタモタしすぎたか。

 

「それではこの依頼を受けるぞ、いいな?」

 

「ハッはい…」

 

そうして依頼を確認しようとマリスの座っている席の元に行こうと、何人かの前を通りすぎる。

 

マリスの対面の席に座った。

 

「いや~注目浴びてたな~お前」

 

そういいながらナッツ類のツマミをボリボリと食べる。

 

「そうか…図ったな?」

 

「さぁ、何の事かな」

 

未だギルド内はザワザワとしている。

 

そんなギルドにある集団が狼に近づいていく、それにより更に周囲のザワつきが大きくなる。

 

「なぁマリス、ソイツ誰だ…」

 

視線を上げるとそこにいたのは薄い金色短髪の髪型をした男が立っていた。

後ろには男の仲間らしき人物たちがいる。

 

「何だよゾルダート、嫉妬か?」

 

「俺らの勧誘断っておいて、他の奴に冒険者のいろはを教えてるのかよ。」

 

ゾルダートと呼ばれた男は、狼の刀に注目した後、マリスの返答を待っているようだ。

 

マリスは笑いながら狼を横目で見て言う

 

「う~ん、まぁコイツには教える必要ないだろうがな」

 

ゾルダートは「ほぉ?」と言って狼を値踏みするかのような視線を向ける。

 

腰に備え付けてある刀、全体的な雰囲気が異様さを放っている。

興味が湧いたのかゾルダートはマリスに向き直る。

 

「マリスお前がそこまで言うんだ、見学してってもいいか?」

 

「俺に言うんじゃなくて、狼に言ってくれ。」

 

「そうか…お前、狼っていうのか、別に見るくらいなら構わないだろ?」

 

「構わん…」

 

「決まりだな。」

 

こうして狼の初の依頼にゾールダート率いるステップトリーダーが加わった。

 

とはいっても彼らは狼の実力を知るために後ろから観察するだけなのだが。

 

 




次回は戦闘

増やして欲しい描写

  • 戦闘シーン
  • 日常会話
  • 今のところ問題ない
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