隻狼 修羅に落ちたが本気出す   作:わたぼう

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ゾルダートと狼の描写を増やしたくて作った話です。


ゾルダートと依頼

ゾルダートSide

 

初めて狼に会っとき、俺は暗いヤツだと思った。

 

まぁヘラヘラしてるヤツよりかはマシだがな…

 

それにマリスが実力を認めたから、興味3割くらいの感覚で見ていた。

 

キングスコーピオンの群れに狼が挑む

 

キンッッ

 

鋭い金属音と火花が散る。

 

何だ、あの流派…

 

それにあの剣の速度…全く見えねぇ

剣神流か?

ゾルダートは過去最高にワクワクしていた。

 

それに道具や地形を生かす戦い方、かなり頭も良いらしい。

 

色々と聞き出したくなったぞ…

 

そこからゾルダートの狼の勧誘が始まった。

 

狼がキングスコーピオンを倒して、数日後。

 

場所は日用品を扱っている店、そこに狼はいた。

今は店で品を吟味しているようだし、邪魔をしないようにしておこう。

 

狼が店から出てきた

 

「探したぞ狼…今度俺と一緒に依頼受けようぜ、冒険者の知識を教えてやる。」

 

「どんな依頼だ…」

 

ゾルダートは依頼内容の書かれた書類を狼に見せる。

 

「…分かった」

 

 

何か乗り気じゃなさそうだな、了承は得たからいいか。

 

「…どうした」

 

にしても表情が乏しいヤツだな、普段から依頼も一人でこなしてるようだし。今回でチームでの立ち回り方も教えとくか、マリスはまだその辺を実戦で深く教えてないだろうしな。

 

「いや、何でもない」

 

兎に角、約束は取り付けた。

 

「じゃあ後日そっちに行くから、しっかり準備しておいてくれ」

 

その日はこれで狼と別れた

 

そして当日の昼

 

森の入口に狼とゾルダートもといステップトリーダーの隊員たちが入っていく。

 

ゾルダートは改めて依頼内容を確認する、

 

森に現れた人食いトロルの討伐、外見は巨大な直立二足歩行の怪物。

普段は温厚だが、雑食性のため運が悪く飢えていれば人間も捕食対象になる。

人の味を覚えたトロルは尚更に危険だ、討伐しなくてはならない。

基本攻撃は拳による叩き付け、希に投石などを行う。

森の川の中流辺りの洞窟や洞穴を掘って寝床にすることもある。

 

最近はここらで山を登山する連中もいる。

トロルは山奥に本来は居て、人との遭遇確率は基本的に少ない筈なんだが。山で遭難でもしたのか、迷って森の奥に入って出くわしたパターンだな。

 

行方不明者の捜索体が人が食い荒らされた形跡が見つかった、そこから現場付近の周辺エリアの調査でトロルの住みかが分かった。

 

「こりゃ…今見つかってなかったら、もっと被害が出てかもな」

 

「トロル…」

 

「知ってるのか?」

 

「本で読んだ知識だけだ」

 

本か…

 

狼って以外と勤勉なんだな…

 

狼は何気に多く読書するって聞いてたが、元々文字も書けず読めず。

言葉すらまともに話せなかったらしいから、そう思えば良いことだな。

でも、考えば考える程…本当に…不自然だな。

 

その年齢になるまでどうやって生きてきたんだ?

外国人路線もあるんだが、マリスの友人のカルネル曰く、どこの国の言葉にも似ていないらしいからな。

狼は秘境に住む先住民族説が出てきたなこれは。

 

そんな半分冗談のような考えをしていると、森の深くについた。

 

森の葉が光を所々遮って、小鳥の鳴き声と小川の流れる音がする。

 

野道の小石が揺れる

 

ドンッ…

 

すると地鳴りがし始める

 

ドンッ…ドンッ…

 

ゾルダートが警戒態勢に入れと手で仲間に合図を送った。

 

そこから歩くこと数分、そこにトロルはいた。

 

濁った黄色い目に灰色の肌で、体から苔が生えている。

 

ドンッ

 

掘った穴の地盤の強度を確認しているのか、岩で地面を叩き付けている。

 

するとその行動をトロルはやめる。

 

こちらに目があった

 

グオォォ…

 

武器を持っているのを確認したらしい。

 

ッ!!

 

持っていた岩をトロルは此方に投げつけた。

 

「躱せッ」

 

岩が着弾した後の地面は大きく抉れた。

 

狼と全員は回避して、速攻で畳み掛ける。

トロルは距離を取って、その豪腕で地面を抉り、その塊を狼達に飛ばす。

大量に巻き上げられた土や石が視界を塞ぎ、此方を狙って飛んできた塊を弾く。

 

弾いた先を見るとそこにはトロルはいない。

 

「…上か」

 

トロルはジャンプしていた。

上から拳を振り下ろす、狼はその下を潜り抜けることで回避して背中を斬ろうとする。

するといきなり狼の後からトロルめがけて剣が飛んできた。

 

投げたのはゾルダート

 

剣はトロルの片目に刺さり、狼狽える。狼は足首を切り落とし、トロルの態勢を崩させた。

 

ゾルダートは魔力を身体に纏わせ、押し固める。

それはこの世界の冒険者の多くが得る技術である。

 

闘気

 

身体能力が底上げされた足に地からを込める。

踏み込むと地面が割れて、土を蹴りあげると同時…そこにはもうゾルダートはいない。

 

疾風のように素早く移動して体を登り剣を引き抜く。

 

その剣を頭部に突き刺して、トロルは死亡した。

 

「コイツじゃねぇな…余りにも楽勝過ぎる」

 

「あの個体は人を食ってないと?」

 

「もしコイツが食ってんなら、この依頼がA級な分けねぇからな」

 

「近くの穴を調べろ」

 

そういうと団員達は動いた

 

結果から分かったことは穴のサイズ的に、後もう2体程近くにいる可能性があることが発覚した。

 

「今ので終われば楽だったんだが…狼、まだ余裕だろ?」

 

「そうだな…」

 

「あとよ…狼の剣術って、我流か?」

 

「師はいるが、ほぼ実戦で得たものだ。」

 

するとゾルダートはひっそりと小さな声で狼に言う。

 

「後で教えてくれねぇか?」

 

すると後ろの団員達が俺も教えてくれと騒ぎ始めた。

 

チッ…聞いてやがったのか…

 

「オイッ…お前達には後でこの俺が教えてやる」

 

反応はよろしくない…

全員狼のことが気になっているのだろう。

狼には謎が多いが、その強さは本物だからだ。

冒険者ならなおのこと、強くなるための秘訣や技は誰だって欲しいものだ。

 

「言っておくが、そう簡単には身に付かんぞ…」

 

「分かってるよ、触りだけでいいからな?」

 

それに付け加えて、コイツらにも教えてやってくれとゾルダートは狼に頼んできた。

 

「はぁ...」

 

狼のため息をゾルダートは初めて聞いた。

 

彼の人間味が見えてゾルダートはほんの少し嬉しかった。

 

狼とゾルダートは歩きながら話す、とはいえ基本的に話し出すのはゾルダートだ。

 

いつものことだが

 

「ゾルダート…」

 

しかし、今回は違うようだ

 

「何だ?」

 

「あの動きは何だ…」

 

「あの動き?」

 

「風のように素早く、力強い動きだった」

 

「闘気のことか?」

 

ゾルダートは内心で少し驚いた、闘気を知らないであの動きが出きるのかと。

 

「闘気は流れている魔力を体内で押し固めて、筋力を底上げする技術だ」

 

「てっきりお前も使ってるもんだと」

 

 

…コイツ、さては

 

「なぁ…狼、魔力は分かるか?」

 

「流石にそれぐらいは知っている」

 

魔力は流石に分かるか、魔法使いとか普通にいるもんな、寧ろ知らない方が無理あるか。

 

でも聞いておいて良かった

 

するとステップトリーダーの隊員たちが狼に話しかけてきた。

 

「あの」

 

「狼さんは魔術とか使うんですか?」

 

狼は暫し考える素振りを見せる

 

「使わんな」

 

「そりゃ狼は剣士だぞ、魔術は基本的に使わねぇだろ」

 

「そっそうだな…すみません」

 

緊張してるな…まぁ…狼は愛想はあんまだからな。

 

「謝る必要はない」

 

狼は自身の手を見つめる

 

「魔術か…」

 

「学んでみるか?」

 

ゾルダートの団員には魔術師の者もいる。

そうゾルダートが言うと後ろの団員達のざわめきが大きくなる。

 

「いや、今は遠慮しておく」

 

こうしてもう2体のトロルの元に一行は向かう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「デカイな」

 

見つけた場所には他の魔物と争った形跡があった。

その魔物達は皆返り討ちにあったらしい、死体が無造作に散らばっている。

1体は素手で、もう1体は針葉樹を槍のように尖らせたものを片手に所持している。

 

狼は2体相手にしたくはない、それはもう獅子猿で十分経験済みだからだ。

 

「もう1体の方を頼めるか」

 

「いけるがお前はいいのか?」

 

「あぁ…」

 

「なら任せるぞ…恐らく槍持ちの方が今回の標的だ」

 

相手が魔物と争ったのなら、それで体力が消耗している間に殺ってしまいたい。

 

狼は鍵縄で枝に引っ掻け、上からの忍殺を決めようとする。

トロルは気配を察知して上に向けて槍を突き出す。

その巨大な大木の槍を刀で受け流す、もう片方の腕を狼に振り上げる。

 

巨大な豪腕が横から迫る

 

当たれば致命傷になるであろう一撃

 

落ちる最中、視界が上下逆さま状態で態勢を維持する。

 

ビュッッン

 

風を凪ぐような音がした

 

仙峯脚

 

空中で腰を捻り、狼は斜め上に足を振るった。

迫るトロルの手を強靭な蹴りで弾いて、回避して地面に着地

 

最初の忍殺は失敗に終わった

 

動きが激しいな、だが槍での攻撃はリーチを得た代わりにその隙は大きい…

そこを叩くのが最短で倒す道だろう

 

弾きではなく。出血や欠損による体力消費で体感を減らして忍殺を決めるしかない、此は火牛や獅子猿で学んでいる。

 

「…」

 

やはり、槍を振るった後の隙は大きい。

 

横の凪ぎ払い…突き…

 

大木が狼の肌を掠める

 

一つ

 

二つ

 

どんどん傷を増やしていく、流れる血の量もそれに比例して増していく。

 

 

 

 

グルルゥォオォォッ!!!!!

 

 

 

その唸り声は森を揺らし、此方に殺意が伝わってくる。

 

しまった、身体が痺れるような圧…怖じ気か

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

場所は狼と少し離れた場所

 

狼は大丈夫か、とっととコイツぶっ飛ばして早く狼と合流しないとだな。

 

ゾルダートは剣を構えて一気に距離を詰める、

 

トロルもゾルダート達に拳を振るう。

 

拳を躱して、勢いのまま手首から肘を切り裂く。

相手は懐に潜ったゾルダートを足で踏み潰そうとする。

 

その両目に矢が放たれる、両目を潰されたトロルは視覚を失い、暴れだす。

他の団員が直ぐ様に足の腱を切る、トロルはそのまま地面に倒れ伏す。

 

後少しで…

 

 

 

 

グルルゥォオォォッ!!!!!

 

 

 

ッ!!

 

響く咆哮、狼がいる方向からなっている。

 

なんだッ…

 

体の動きが...

 

「ゾルダートさんッ」

 

トロルはゾルダートの足を掴み、万力がその筋肉と骨を圧縮する。

 

メキッ…グキ…

 

「ッ…クッソがぁ」

 

力任せに刀を頭に突き刺して、トロルを絶命させる。

 

ヨシ、足は未だ完全にはイカれてねぇ

 

急いで狼と合流しないとな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

マズい

 

木の横凪ぎが狼に直撃した。

 

森の木に叩き付けられる

 

肺から空気が押し出され、口内を鉄の味が満たす。

上半身打撲傷、内出血、口から吐血、そして怖じ気を直で受けた。

 

動きが鈍い…油断した

 

そこにゾルダートが到着する、彼は動きの鈍った狼を担いでトロルから距離をとる。

 

「狼ッ!!」

 

「すまん…」

 

狼は打開策を考える

 

現場狼が使用しているのは拝涙だけ

 

開門も使用するか…その方が確実に殺せる…

 

斬れる…

 

そこに団員の一人が声をかける

 

「狼さん自分に策がある」

 

「言ってみろ」

 

 

 

 

……

 

 

「可能性はあるな…」

 

 

「ゾルダートッ…狼さんッ」

 

他の団員が二人に声をかける、気付けば

此方にトロルは迫ってきている。

 

「やるしかないぞ狼」

 

「承知した…」

 

トロルは此方に突進してきている。

更に有り難いことに、まだ巨大な木の槍を持っている。

 

一つ目の突進を全員躱して、その場から散り散りになる。狼以外の全員がその場から姿を消した。そこに残ったのは先程と同様に狼だけ、怖じ気はまだ残っている。

 

狼はトロルにお前の相手はまだ俺だと、睨み付けた。

 

一度だけなら弾ける程度には回復した。

 

トロルは警戒してリーチを活かして槍で攻撃する。

狼はその突きを弾いて、槍の軌道を上にそらした。

そこにゾルダートが現れる、弾いて力が抜けた槍の先端を剣で切断する。

 

「狼ッ」

 

息長の火吹き筒

 

それはこの世界の魔法によって作られる火とは違う、忍が使用する時に使う忍具の一つ。

炎が吹き出て、爆風を起こして切断した木を上に打ち上げる。

 

そこに更に魔法の炎が木に加わる

 

「汝の求めるところに大いなる炎の加護あらん!暴れ狂う炎よ、巨大な恵みを焼きつくせ!『大火球』」

 

トロルは警戒して火から距離をとる。

 

そのタイミングで団員が一斉に飛び出す、取り囲まれたトロルは先程の咆哮をあげようとして口を開く。

 

あれが発動すれば、少なくとも一網打尽に出きるのは事実だ。

 

しかしトロルは気付く、火に警戒して視線を逸らした、あの一瞬で狼が自分の視界から消えた。

 

正に叫ぼうとしているその時

 

視界の上に縄が見えた…

 

狼がいるのはトロルの斜め上の背後

 

縄の先には斧がくくりつけられていた。

 

空中から狼が鍵縄を振り下ろす

 

ドゴッ

 

開いた口に燃え盛る大木の槍がぶちこまれる、口内の肉に槍が深く食い込み焼ける。

 

「悪いな狼、最後は俺がもらうぜ?」

 

 

「好きにしろ」

 

 

ゾルダートがそのまま喉が焼けて苦しむトロルの喉を切り裂いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの後は受け付けのところに戻り、トロルの討伐報酬をゲットした。

 

その報酬にゾルダートも満足げ、「今夜は飲むか」そう言い出す前に狼は帰りたかった。

 

「にしても良い作戦だったぞ」

 

「ありがとうございます」

 

和気藹々の雰囲気が続く…

 

一人の団員があることを口にすると、皆が気になることを思い出した。

 

「狼」

 

「…」

 

お前、魔術使えたのか?

 

団員とゾルダートが後にその事を狼に追求したのはまた別のお話。

 




感想…嬉しい

増やして欲しい描写

  • 戦闘シーン
  • 日常会話
  • 今のところ問題ない
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