隻狼 修羅に落ちたが本気出す   作:わたぼう

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御告げ

 

狼の朝は早い、魔物の討伐やダンジョンの攻略、近頃は自分で文献や歴史書を買って本を読むようにもなった。

 

周辺のダンジョンの攻略。

 

魔物の討伐。

 

前まではチームを組んでの依頼も混ぜていたが、最近は依頼を単独で請け負う事の方が多い。

 

現在時刻は午後の3時

 

今彼は酒場で今後の方針を決めようとしている。

人の気配が騒がしい中で狼は思考する。

 

言葉はもう既に十分だろう…

 

カルネルのおかげだ。

 

金銭的な問題はない、狼は物欲に乏しく、金を使うことは殆どない。

故に銭袋は重くなっていくばかりだ。

 

あとは住居か…

 

今は狼はあの家の二階の空き部屋を使っている。

外にある馬小屋でも、野宿でも良いと最初狼は言い出したのだが。

 

マリスやカルネルからダメの一言をもらって一室を借りている。

 

そんな狼も自分の住む場所を確保すれば少しは銭が減るだろう。

 

やはり、1人で色々と考えるのに他人の気配を感じるのは不便だ。

 

周りに目を向ければ、そこには依頼を達成してそのまま酒場に飲みに来た冒険者で溢れている。

今日狼は1人で外出して依頼完了の帰り道、あとは家に帰るだけだった。

 

のだが…

 

偶然で出会ったマリスとゾルダートに酒場へと連行され、席に着かされた。

 

狼は酒に強く、そうそう酔うことはない。

 

反ってマリスは早々に出来上がり、ゾルダートは程よく酔っていた。

 

「オレェの目に狂いはねぇ~んだよ…」

 

酔ったマリスは狼を冒険者としての道を教えてやったんだと、盛り上げて語っている。

 

ゾルダートはその後、狼の話に興味のある奴らに狼の武勇伝(別に狼は言ってない)を語った。

 

「オイッ聞いてるのかよ~狼!!」

 

「あぁ…」

 

「最近ッほんっと単独で依頼こなしやがってッ…この野郎~」

 

店内は賑やかで、人の声で溢れている。

 

そんな空気とは裏腹に狼は今、ずっと抱え込んでいた一つの不安について考えていた。

 

それは竜咳だ。

 

竜胤の力は狼に不死の力を与える一方で、回生をする際に周りの生命力を奪い、周囲の生物に竜咳という病を引き起こさせるのだ。

 

いつまでも自分を呪っていても、仕方がないことだと狼も理解している。

だが狼も人間だ、この先何度も自分を呪いたくなる場面に出くわすだろう。

だがその呪いに他人を巻き込んではダメだ。

 

もしも、自分がこの先で何度も死ぬ様な場面に出くわせば…

 

周囲の人間は最悪の道を辿るかもしれない

 

その呪いの芽が芽吹くより先に、周りに根を張る前に早いうちから潰しておくのは当然である。

 

つまり、近い将来に狼はまた1人に戻る。

 

竜咳によって死んでいった人達を狼は知っている。

 

悲劇が起こる前に、この周囲の関係からも距離を、いやもしかすると、もう一生で会うことはないかもしれない。

 

狼はそこからトイレと嘘をついて席を外した。

 

会うことはない…

 

1人…

 

そう思うと、狼はまた九郎のことを思い出しそうになる。

 

そしてあの言葉を思い出す。

 

「…」

 

成すべきことを成すのだ…

 

そう…

 

狼がこの世界に来てから決めた目標

 

竜胤の力を断つ

 

その為に情報収集を行う、自身の竜胤の力について何か手掛かりがないかと、依頼を受けにいく。

 

決意を固めて、狼は生来の手を見つめて握り拳を作った。

 

その後は酒場に戻って適当に会話をした。

 

ゾルダートやマリスからは寡黙だの、口数や愛想が無いだの。

 

この騒がしさも後少しで終わり、毎度毎度狼は酔った彼らの対応に困らされていた。

特に何時かの飲み会でされた、狼の地元の話や親の話なんかは兎に角必死で誤魔化した。

 

「狼ッお前は何処の出身なんだ」

 

「中央大陸南部の紛争地帯だ…」

 

「うぉッそれまた凄い所だな…」

 

これを口にした瞬間、皆は狼の地元や親の話しに触れるのに躊躇し始めた。

 

…

 

その日は夕日が見える頃には解散した。

ステップトリーダーはまだまだ飲みに行くみたいだ。

 

空が紅色に染まり、建物の影が大きく延びていく。

未だに喧騒や陽気な声が出店から響いてくる。

 

帰り際にマリスが横にならんで歩く

その足取りは少しふらついている。

 

「狼」

 

そう言ったマリスの顔には夕日の光が差し込んでいて、暗い影が出来ている。

今のマリスは酔っていて、普段より言葉が弱い。

 

「何だ」

 

「もう仕事も自分一人でこなせるようになってきたし、そろそろ一人で暮らしたくなってきたかと思ってな。」

 

その表情は影のせいでよく見えないが少し声が落ちている。

 

「その…違ったら否定していいけどさ、お前って他人とか変わるのに慣れてないって言うか」

 

「…」

 

「誰かと一緒に暮らすのにも負担を感じてるのかなってよ?」

 

確かに狼は忍びであるがゆえ、任務は基本的に単独で遂行する。

その為、口数は少なく表情も乏しい、これでは他人に愛想がないと言われるのも無理はないのかもしれない。

 

「俺は心配してんだぜ、お前…冒険者やるなら…ずっと一人で行動する分けには行かねえだろ」

 

そう…いくら強いとしても、狼も人間であるとマリスは思っている。

 

「…」

 

狼は知らないが、ゾルダートなどからすれば普段のマリスという男は、こうも他人に心配したりはしない。

 

この男の交流関係は殆どが強者だ、力さえあれば職には困らず、心配する必要はない。

 

マリスは狼が自分の目的を告げてから、自分の力を今の環境に合わせられてないのではないかと、そう思ったのだ。

 

もしかしたら窮屈な思いをしているのではないかと。

 

「前にも言ったかもしれないが、俺には俺の目的がある、その為には自分一人での行動の方が何かと都合がいい。」

 

マリスは神妙な顔をしながら聞いていく。

 

「それに付き合う必要はお前達にはないし、俺は忍びだ…単独で行動する方が性に合っている。」

 

「そうか、目的…そんなこと言ってたな…」

 

「なら邪魔するわけにはいかねぇな」

 

するとマリスは立ち止まった。

 

「でも…」

 

「寂しいぞ…一人は」

 

マリスはそれ以上は聞いてこなかった。

 

狼はその言葉に対して何も返せなかった。

 

狼は自室の机の上に地図を広げて、明日1人で行くダンジョンを決めている。

 

ダンジョン決めは約十分程度で終了した。

 

寝床について

 

見慣れた天井を眺めながら、次第に狼は目を閉じていった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

狼は目を開ける、そこは白い空間

 

そこには靄がかかったような、人の形をした何かが立っていた。

 

「やぁ!!」

 

お前は誰だ…

 

「僕は神様、ヒトガミだよ」

 

神…

 

狼はヒトガミと名乗る神に疑念の目を向ける。

行きなり現れて堂々と神を名乗るなど怪しい以外にないだろう。

そして、かなり胡散臭い。

 

ここは何処で…

お前は何者だ…

 

「ここは…まあ夢の世界ってとこかな。

て言うか何者かはさっきいっただろう?」

 

信じられんな…

 

「確かにね、急に言われても実感湧かないよねw」

 

俺が信じられないと言ったのは お前が神であるということも含まれているんだがな…

 

「酷いな~」

 

ヒトガミは狼の反応に形だけ悲しそうな顔を作る。

そして、次第に笑みを浮かべてこう言った。

 

「そんなに信じられない君でも、此を聞けば少しは聞く耳を持つ筈さ。」

 

何だ…

 

「御告げだよ」

 

御告げ…?

 

「そうそう」

 

「僕が君の未来を見て、君の人生を良い方向に導いて上げるよ。」

 

何故俺にそんなことをする…

お前の狙いはなんだ…

 

「僕は神様だよ?人を助けたいだけさ。」

 

そんな馬鹿な、そう狼は思った。

見返りが無いなど一番信用ならないと、これまでの人生で狼は経験している。

 

しかし

 

次の言葉でその考えがやや揺らいでしまう。

 

「君…妙な力を持ってるでしょ?」

 

…!

 

何処でそれを...

 

その言葉を聞くや否や顔を上げた狼の表情を見たヒトガミは、楽しそうにして喋りだす。

狼はやや遅れて内心を顔にだしてしまった失態に気付く。

 

この手の相手には、取り乱さない方が得策だが。

もし、この胡散臭い神がとし竜胤について何か情報を知っているなら。

狼は聞く価値があるだろう、それが罠だったのなら。

それはまた後で考えればいいだけの事である。

 

「僕ならその力の事について、何かアドバイス出来そうだな~」

 

「元の世界に帰る方法についても…」

 

話だけなら…

 

聞いてやろう…

 

正直言って怪しすぎるが、この際コイツが何者かは一先ず後回しだ…

 

「なんか色々と疑ってるみたいだけど…まぁ聞いて言う通りにするかは君次第だからね」

 

ヒトガミは優しい口調で喋りだす。

それこそ神のような雰囲気を纏って。

 

「狼よ…ヒトガミの何おいてソナタに御告げを授けましょう」

 

「次のダンジョンを制覇した時、あなたの元にアスラ貴族の王女がやって来るでしょう。

貴方はその王女の従者となるのです。」

 

アスラ貴族?

 

「そうすれば、貴方の求めている情報が手に入るでしょう…」

 

でしょう…

 

でしょう…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

時刻は朝

 

目を覚ました狼は考えた、本当にあの助言を信じてもよいのかどうか。

 

「…」

 

求めている情報か…

 

確かにあの存在は俺の力に気付いていた…

 

だとしても何が狙いなのか狼には開幕検討もつかない、一番無難なのは矢張、竜胤の力を手にすることなのだろうが。

 

仮にそうだとして、いったいどこからその情報を得たのか。

 

ここは異世界だ。竜胤を有していることは分かっていても、その詳細まで理解しているとは考えづらい。

罠の可能性もある……虚言である可能性も十分にある。

 

これまで、この土地の風習や文献について、他の冒険者や商人から話を聞いてきた。だが未だに、竜胤に関する手がかりは何一つ掴めていない。

信用しているわけではないが、恐らくあいつは――この世界の神か何かなのだろう。

 

邪神か……。

 

恐らく、気の遠くなるほど長い時間を生きてきた存在なのかもしれない。

だからこそ、恐らく知っている事も多いのだろう。

 

 

そこで狼の中にある一つの可能性が浮かび上がる。

 

 

…

 

 

…

 

 

…もし

 

 

狼以外にも誰か転移していたらのなら…

 

 

その存在とヒトガミが繋がっていたなら?

 

 

考える程にあのヒトガミとか言う存在の信憑性が少し増してくる。

いや、そもそも竜胤の力そのものがこの世界にあるの可能性も…

 

まて、あれは不死の力だ。もしそんなことがあったなら、もっと竜胤に関する記述か何かが残っている筈だ。

 

 

「ふぅ…」

 

考えていても埒が明かない

 

一先ずは、今日は決めていたダンジョンに向かうことにする。

 

外に出ると静かで、冷たい早朝の風が狼を出迎えた。

 

 

増やして欲しい描写

  • 戦闘シーン
  • 日常会話
  • 今のところ問題ない
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