ゼンゼロ世界に咲夜さんをinしただけ。

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ヴィクトリア家政の完全で瀟洒な従者

ヴィクトリア家政にはあと一人メイドがいる。

そんな話をライカンさんから聞いたのはいつだったか。

 

バレエツインズの件以降、業務がない日はライカンさん達ヴィクトリア家政がビデオ屋の宣伝をしてくれるようになった。

 

流石に休みの日には休んだ方がいいと思っているんだけどうちの優秀なAIのfairy先生の電気代はバカにならない。

 

それにライカンさん達が店番をする日はいつもより収益が多く出ることもあり断るに断れない状況が続いていた。

 

もちろん他のエージェント達にも店番をしてもらっている。

冷静に考えると有名人を店番にするビデオ屋ってやばいのでは…?

 

これは考えないようにしよう

 

(せめてfairyの電気代だけでも何かで賄えないものか…)

 

『マスター、優秀なという言葉が抜けています。』

 

「いつから心の中まで読めるようになったんだい?」

 

『新エリー都で最も優秀で頼りになるAIにとってマスターの心の声を読むなど朝飯前です。それよりもマスター見覚えのない人物が裏口に接近しています、通報はすでにしました。』

 

「いくらなんでも通報は早すぎないかい?」

 

そう言ってモニターに表示される映像に目を向ける。

モニターに映るその姿を見てアキラは直観的に悟る。

 

ああ、これは…これこそが…、

 

「ザ・メイドだ。」

 

『マスターが壊れました。』

 

ヴィクトリア家政のメイド服はメイド喫茶のようなものでなく、クラシカルな印象を与えつつ機能美を追求したもののように感じていた。

 

だが彼女は違う。

 

メイドと言われてイメージするメイドそのもの。

まさにパーフェクト、完全なメイドである。

 

そんな思考に耽っているとピンポーンと裏口のインターホンが鳴る。

 

思考を中断し裏口の扉を開ける。

 

そこには銀髪の一人のメイドが立っていた。

 

「お初にお目にかかりますヴィクトリア家政所属の十六夜咲夜と申します。本日はよろしくお願い致します。」

 

そう言った彼女は完璧な所作でお辞儀をし微笑んだ。

 

彼女を店内に招き入れ業務の簡単な説明をする。

こちらが説明をしている間にも彼女はその完璧な佇まいを崩すことはない、まるで精巧に作られた人形に喋りかけているような錯覚へと陥ってしまいそうだ。

 

一通り彼女だけで業務ができるか確認したところで本日のデイリーを終わらせるためにスクラッチを削りコーヒーを飲みバッテリーを消費する為に店を出ようとした…ところで彼女に腕を掴まれ止められる。

 

「おや、どうしたんだい?何かわからない事でもあったのかい?」

 

先ほどは難なく作業をこなしていたがやはりわからない事があるのだろう彼女の方へと向き直る。彼女の顔は信じられない者を見るような顔をしていた。

 

「いきなり腕を掴んでしまい申し訳ありません。ですが今日見知った相手一人に店番を任せるとは正気ですか⁉︎」

 

そんな事今まで考えたこともなかった。

そもそもビデオ屋の営業は18(トワ)ちゃんに任せていたしエージェントの皆んなに任せっきりだったこともあって失念していた。

 

「うちはこういうスタイルなんだ、気にしないでほしい。」

 

彼女の目には呆れ半分驚き半分といった視線だ。

 

「明らかに異常な経営スタイルなのですが…」

 

スマホが震える、画面を見るとfairyからの着信だった。

 

『ワイトもそう思います。』

 

まったく一体どこからこんな旧時代のミームを覚えてくるのか…。

 

しかしよくよく考えるとこの経営方針はまずい…のかもしれない。

 

彼女を店に一人で居させるわけにはいかない。

ボンプの18(トワ)ちゃんにも一緒に働いてもらうとして…

あと一人ほど居れば問題はないはず。

 

そうだリンに頼もう。

 

「お兄ちゃんただいま〜。」

 

「お義兄さんただいま〜。」

 

ちょうどいいタイミングだ。

リンに咲夜さんを見てもらうことにしよう。

これもポリクロームのためだ。

 

「ちょうどよかったリン、彼女の仕事を見ていてくれないかい?」

 

リンは話が急すぎてついていけてない。

 

「えっ?どういうことなの?」

 

急げ今日はイベントもやらなければいけない。

ドアを開けて走り出す。

 

「じゃあ頼んだよ!」

 

そう言ってアキラは出て行った。

 

ビデオ屋に残された咲夜、リン、悠真はお互いの顔を見合わせた後ため息をついた。

 

「変わった方ですこと…」

 

咲夜の言葉に全力で頷くリンと悠真であった。

 

 

因みにだがこの日以降店長のうち一人が必ず店にいるようになったのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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