最近話題沸騰中の人物並びにロボットについての考察及び観察記録をここに記す。
1.謎のロボットAC
クラス対抗リーグマッチの際に出現した巨大な人型ロボット。未知の技術で造られたこのロボットは根本的にISのそれとは一線を画している今回は四つの項目に分けて記載していく。先ず第一にサイズと装甲。第二に操縦系統。第三に動力。第四に汎用性。
①第一のサイズと装甲。
全長にして5m前後の大きさにしてゴツゴツとした無骨さが目立つロボットAC。大きさもさることながら、装甲に使われている材質は未知の塊である。現代では研究用以外では用途のない『Lr』といった化学元素が検出されており、その他にもカーボンナノチューブ以上の強度を誇る素材も確認されている。装甲に使われている金属の分子配列も見たことのない配列をしているだけではなく、金属そのものが『劣化や摩耗が見られない』といった特徴も解っている。
これらの特徴は既に私たちの人知を越えており、同一の物質を造り出すことは実質不可能であるという見解に達している。
②第二の操縦系統
ISがパワードスーツ装着型全身操作であるのに対し、ACは戦闘機のようにコックピットが機体中心部に配置されており、そこに乗り込むことで操縦をする。操縦に使われているのは『2つのレバー』と『2つのペダル』である。レバーは戦闘機のそれとやや近く、ペダルも踏み込み式の車等の運転に使われているモノと同様のもの。よってISのような自由度の高い操縦ではなく、行動に限界や制限がある。しかし、制限や限界があるといってもほとんど操縦者の意のままに操縦することが出来る模様。補助機能として『スキャンモード』と呼ばれるハイパーセンサーに似ている機能が備えられている。これについては今のところ話だけの未確認要素であるため深くは触れない。また、この他にもAIユニットのようなものも組み込まれている。
③第三の動力。
これだけの大きさのモノを動かすとなると膨大なエネルギーが必要となる。戦闘機はジェットエンジンを動力源として稼働しているが、ACはジェットエンジンのようなものをブースターとして使用しているためジェットエンジンが動力源ではない。では、ACの動力源はなんなのか。それについて全くの不明である。
学園の教員並びに生徒の整備科に所属する学生が調査したところ、ACの材質同様に未知の動力源であることが判明。エネルギー反応そのものは『核反応』に似ているが、核のような放射性物質は保有しておらず、また核分裂によるエネルギー生成でもない。ただ産み出されていなエネルギーの規模が核反応と同等なだけである。現代において核反応以外で核反応並のエネルギー生成技術は確立されておらず、エネルギー問題解決の糸口に繋がるのではないかと期待を集めている。
脱線してしまったが、ACの動力源についてわかったことは核並のエネルギー規模を有し、悪性要素を持たない無尽蔵な夢のような動力であることだ。また、このエネルギーを機体に供給するジェネレータは電池式のようなモノであり、どうやらジェネレータも自由に脱着可能で別のジェネレータと交換可能であるようだ。それについては最後の項目の汎用性で触れていく。
④第四の汎用性。
ACの機体構成はとても珍しく、完成された機体を分解し別のパーツ構成による組み替えが可能であるのだ。頭部を始めとしたコックピットを有するコアに腕脚部に先のジェネレータに、ブースター。これは推測だが、ACは戦場において得意不得意といったものが存在せず、パーツを組み替えることで戦場に合わせていくスタイルなのかもしれない。作戦に合った選出をするのではなく、作戦に合わせる。
ISもそうだが、他の兵器も一度完成されたものはその時点で性能は決まり、互換性がほとんどない。破損による修理や交換はあるが、それは同一の部品を使わなければならない。その点においてACはISよりも格段に優れているであろう。パーツを選ばず物さえあれば交換が自由。また、パーツだけではなく武器もその都度交換が可能みたく、極端な話落ちている武器であれば勝手に使うことが出来る。ISのように認証機能がない。
短くではあるが、簡単にACについてレポートを纏め上げた。まだまだ解明されていないことや、調査していないこともあるためその都度レポートを上げる。
今回ACについて判明したことをピックアップすると。
『パーツの互換性による汎用性の高さ』『未知の動力源によりほぼ無制限に活動可能』『装甲は強固であり劣化や摩耗がないため整備がほとんど必要ない』『操縦は訓練次第では誰でも可能』である。
※補足。OWについて。
ACに搭載されていたOWと呼ばれる武器に関して少し記す。どうやらあの武器はACと同じ技術で造られたものではなく、その設計や機構は単純なものが多い。理論上であればISでもOWは使用可能。ただし、莫大なエネルギー供給を必要とするためIS1機での使用は不可能であり、何機か必要とする。ただしそれはACに搭載されていたOWの話である。これはまだまだ先になるかもしれないが、IS用のOWの開発は可能でありISに合わせたOWの開発を目指しているらしい。
次にこの未知の塊であるACを操る謎の人物の『レイヴン』について触れていく。
『レイヴン』
AC出現以前からこの学園に身をおいていた謎の人物。新学期が始まる前には学園に既に身を置いていたようだが、その経緯などは詳しく伝えられておらず、一部の新入生や在学生からは注目を浴びていた。特定の学生や教員と行動を共にすることはなく、常に一人でいることが非常に多かった。日本語がわからなかったのか、度々日本語の勉強をしている姿が目撃されていたが、それ以外の行動は長く不明だった。
しかし、AC出現後にレイヴンの存在が学生全体の前で公に発表されることとなった。『異世界人』それが学生達の好奇心を火を付け、一躍有名人となった彼の名を知らないものは学園でいなくなった。
それでもレイヴンの姿勢や態度はどこも変わっていない。『無口』で『無表情』の何を考えているのかわからないミステリアスなレイヴンに憧れや好意を寄せる学生もいるらしい。
最近ではよく『織斑一夏やその連れ』と食事の席を共にしているらしく、食堂や屋上に現れることが増えた。
何故か知らないが、何処からやってきたのかわからない学園にいる野生の一羽のカラスにエサ上げをしたりしながら、空を眺めていることもある。
余談だが、見た目は欧州寄りに見え歳は20代前半だと思われる。レイヴンについては異世界人であることは判明したものの、やはり彼の過去については何の発表もなく、本人の口から語られることもない。
黛薫子
「ふぅー、こんなところかな」
昼休みの新聞部部室において、一人件の人物とロボットについてのレポートを書き上げていた。正式に取材をしたのは前回が初めてだが、私は以前からレイヴン......彼には何かあると睨んで調べていた。まさか異世界人だなんて思っていなかったけど、尽きることのないネタとしては最高なものにはなった。
「おっ、またやってるね」
ドシンっとちょっとした地震を思わせるような震動と、地面に高重量の物が落ちたときのような音を受けて私は窓から外を見つめた。
◆ ◆ ◆
「いったぁぁい! 何よコレ! 全然動かせないわよ!」
地面に倒れたACのコックピットから小柄なツインテールの少女が頭を押さえながら這って出てきた。なにやら不満があるらしく喚いている。
「それは鈴さんの操縦が下手くそなだけですわよ」
「ならあんたがやってみなさいよ!」
「あら? 私にかかればACもISの操作も変わりませんことよ。デリケートな機体を操るにはあなたはがさつ過ぎてよ」
「ムキー!」
いがみ合う二人の側を平然と通りすぎレイヴンは倒れたACのコックピットに乗り込み、楽々とACを元のしゃがんでいる体勢に直した。体勢を直すとレイヴンはコックピットから降りて次の試験操縦者のセシリア・オルコットに譲った。
「この私がこの学園で最初に操縦して見せますわ!」
最近学園の生徒は昼休みになるとACの前に群がりACの操縦をするのが日課になりつつある。織斑千冬や教員や更識楯無は貴重なACを玩具のように扱うことに反対しているが、所有者であるレイヴンが直々に許可書を作成・提出したためこうして生徒達は順番に気軽にACに乗り込めるのである。
「このレバーを倒してペダルを踏んで......ひぃぃぃぃ!」
勢いよくペダルを踏みすぎてセシリアが操縦するACは前方に勢いよく飛び出した。ISでスピードや風景に慣れてはいるが、ACにはISのようにパイロットへの配慮が余りなく、Gを簡単に受けてしまう。言うならば何も知識のない人間が戦闘機を操縦するようなものである。
その後もセシリアはぐるぐると回転したりとハチャメチャな操縦を繰り返した。
やがて数メートル先でうつむせに倒れたACのコックピットからフラフラと千鳥足でセシリア・オルコットが出てくる。目はぐるぐると渦を巻いており平衡感覚がないようだ。回転の遠心力や目を回すのもISは補助してくれるがACにはない。
「あはははは、ざまぁないわね」
鳳鈴音だけではなく周囲の生徒たちも腹を抱えて笑っており、あれだけの大口を叩いたセシリア・オルコットも自分の失態に赤面して悔しそうにうねっている。
「じゃあ、最後は俺だな」
今日まで学園の生徒は誰一人としてまともにACを動かせていない。歩くことはおろか、一歩すらまともに踏み出せていない。
「無理よ一夏じゃあ」
「私が出来なかったのに一夏さんが出来るとは思えませんわ」
「然り気無く毒を吐くなよ」
笑いの渦が巻き起こる渦中から離れたところで篠ノ之箒は一人立っていた。どうやらまだACに対する恐怖心があるようだ。
「見てろよ......」
コックピットに入り込んだ織斑一夏は先ずその内部に驚嘆した。アニメや漫画で見るようなコックピットのような内部に心が踊りテンションが上がっている。
「ベルトを着けて」
シートに固定用のベルトを着け織斑一夏はコックピット内に張られている簡単な操縦法に目を通す。この紙はレイヴンが生徒達の操縦用にわざわざ作成したものである。勿論複雑な操縦法は記しておらず、簡単な歩き方や移動法である。
「こ、こうか?」
紙の通りレバーを倒す。が、倒し過ぎたのかバランスを崩し、地面に手をついてしまった。
「ぐっ、これでどうだ」
倒れた時の立て直し法通りに操作をし何とか立ち直すことができた。
「いける」
思い通りに動かせて興奮して調子に乗ったのか、織斑一夏は自分の思うようにACを操作し始めた。突然のスピードを上げ勢いよく上空にジャンプした風圧に生徒たちが体を縮ませ風圧に耐える。
「なにしてんのよ一夏!」
叫び声を上げるがコックピットの織斑一夏に声は届いていない。
「できる......俺にもできる」
地面に着地したACはほとんど硬直なく瞬時に地面を蹴り上げ、左に機体を反らし始めた。
「レイヴンさんは確か次は急加速で動いていたな......こうか?」
襲撃時に脳裏に焼き付いたレイヴンの動きを参考にしながら自分なりに動かそうとしていた。当然紙には高度な操縦法もGB、HBの仕方など記されていない。だが織斑一夏は誰にも教わることなく、勘で扱い方を身に着けつつあった。
「うわぁっ!」
直感でGBを扱ったことは正しく称賛に値すべき成果であるが、この場に置いて織斑一夏の行動は場違いな迷惑行為でしかない。
GBを使用したまでは良かったが、その後の操作を誤りバランスを取れずにグランドに背中から仰向けに倒れた。
コックピットから出てきた織斑一夏はここでようやく冷静になり、自分の行いの罪悪感に気づいた。危険な操縦をすれば周りの生徒に危険が及ぶ。幸い怪我人は出なかったが、一歩間違えば大惨事にも成りかねなかった。
「調子に乗りすぎよ」
「気持ちは分かりますけど、少々無茶をしすぎですわよ」
生徒を代表して二人が咎める。そこまできつく当たっていないのは、生徒達もISの操縦訓練で興奮したことがあり、織斑一夏の気持ちもわからなくはなかったからである。それに誰も怪我人は出なかったと楽観視しているからでもある。
織斑一夏を咎める二人の間を割ってレイヴンは近づきだした。織斑一夏は怒られるとばつが悪そうに目をそらし下を向く。正面に立ったレイヴンが手を振り上げると、織斑一夏は殴られると目をつむるが、痛みも衝撃もやってこない。代わりにポンポンと頭を軽く二、三回叩くだけであった。
不思議そうに目を開けるとレイヴンは特に怒った表情もなく、いつもと変わらない表情をしているだけであった。数秒間お互いに顔を見つめるとレイヴンは頭から手を離し、ACまで歩いていく。
「あんなに勝手なことをしたのに怒らないだけじゃなく、一言も言わないなんて相変わらず変ね」
誰もがレイヴンが叱りつけると思っていたが、何もなくこの後も結局一言も発しないまま淡々と見守るだけで終わった。
ペース遅い気がするので次から少し早まります。まだ主要二人出てないし......