「Target lost. It is next(ターゲットロスト。次だ)」
一日日を跨いだ翌日。一日女共の言う最低限の場所で過ごしてみたが、アレで最低限か。三食は出され、毛布まで用意されていた。それだけでもかなりの優待遇だ。
で、現在何をしているかと言うとアリーナとやらでISを使った訓練中だ。どうやら俺の要望はすんなりと通ったみたいだ。ISの訓練から俺の雇用まで全てだ。もう少し時間が掛かると踏んでいたのだが、思いの外簡単に事が運んだ。俺からしてみれば有り難いな。
話は通ったのだが、正式な配備は一週間後の始業式が始まった後のようだ。既に書類による手続きは済ませた。その際の必要なモノは全て向こうが揃えてくれていた。そんなわけで、まだ俺の依頼が始まったわけではないので、こうしてISを使った訓練に励んでいる。
結論から言うと、まだ上手くコツが掴めない。移動に関しては歩くや走るは出来るようになった。だが、ブースターを使っての平行移動や空中浮遊に関しては、根本的にACと違うわけでだから今のところ苦労している。
今は射撃訓練中だが、射撃に関しても難ありだ。これまたACと違い、射撃制御や安定性は本人の度量に関わってくる。ACのように機械制御でもなければ、パーツによる安定性もない。正真正銘本人の腕の問題だ。
よって、俺は射撃にも現在苦労している。あっちでは個人火器の射撃の経験は皆無に等しかったからな。最低限寝込みを襲われない程度の、威嚇程度といったところか?
「There is much useless assailing. Shorten it between one of shooting from an aim, a posture more quickly(無駄撃ちが多いな。もっと素早く狙い、構えから射撃までの間を短くしろ。)」
頭では理解しているが、体がついていかない。射撃は戦闘において最も重要だ。正確に狙い的確に相手に命中させ、無駄なく相手を制しなければならない。何より無駄撃ちしては弾代が嵩張るからな。
今は棒立ちでの射撃しか出来ないが、ゆくゆくは動きながらスムーズに出来るようにならならければな。棒立ちなんて只の的でしかない。
「I quit it and am the end in this in the morning first of all(よし、取り敢えず午前はこれで終了だ。)」
いまいちだな。ターゲットに比べ、弾の消費量が多いな。明らかに赤字だ。ISでの射撃もそうだが、一度俺自身の射撃の腕も磨かなければ……
ISを解除し、アリーナから出る。さっきから外野でぐちぐち言っていたのは、あの黒髪の女だ。名は織斑千冬で、この学園の教師を務めている。何やらブリュンヒルデとかいう名でも有名らしく、世界最強と言われているようだ。
世界最強などに俺は興味は無いが、折角なのだから世界最強とやらを利用して、俺のスキルアップの糧となってもらっている。向こうからしても雇った傭兵が使い物にならなければ、意味はないからお互いに利害は一致している。
「I do not think that this is the first time very. The human power that this acquires the actual fighting(とても初めてとは思えないな。これが実戦を積んでいる人間の力か。)」
誉められているみたいだが、俺からしてみれば不満しか残らない。初めてACに乗ったときでさえ、もう少しましだったのだからな。まぁ、こっちの事情は知らないけどな。
ISの訓練を積むに際して、俺は織斑からISに関する基本知識を記したガイドブックのようなモノを手渡されてある。外見も分厚く中を覗いてみたが、事細かにISに関することが記されてあった。
その面でも、こっちはパイロットは優遇されているな。ACなんて、あんなガイドブックもなければ詳細を知っている人間などそうそういるものではなかった。殆どのAC乗りは説明なしに、操縦して実戦を積みながら操縦を覚えるものだ。だから俺も、ガイドブック等には余り目を通さずに体に染み込ませる方法を取っている。
「Japanese school affairs are included from the raven afternoon.(レイヴン午後からは、日本語の教務が入っている。)」
洗面台で頭から水を浴びている俺に、織斑が午後のカリキュラムを告げてきた。……日本語。今いるIS学園は『日本』とかいう国……俺の表現からすれば大きな『シティ』のような生活区らしい。こっちではその生活区に準ずる言語があるらしく、日本とやらは名前の通り日本語が共通で使われているようだ。
その為俺も日本にいることで、最低限会話や文字の読み書きを行えるように、日本語の教育も含まれている。
昨日初めて見た意味不明な文字は日本語らしく、日本語だけで三種類あるらしい……めんどくさいな。
「Go to the place that was appointed when I have lunch(昼食をとったら指定された場所に向かえ。)」
この日本語に関しては、習得時間の制限はなく少しづつ覚えていけばいいようだ。織斑は伝えることを伝えると、始業式に向けての所用事項を済ませるために去っていった。
あっちも大変だが、こっちも大変だな。今まで使っている言語の他にもうひとつ覚えなければならないとはな。……まぁ、知識が増えるのは悪いことではない。
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「……I begin Japanese education now(……今から日本語の教育を始める。)」
昼食をとり終え、指定された場所に赴く。場所は学園内の空き部屋の一つで、中には教育担当者が既に待機していた。……見るからに不機嫌とやる気がなさそうだ。……それよりも旨かったな。あのオムライス? って名前の食べ物。初めて食ったな。
「At first from the Japanese syllabary basic(先ずは基本的な50音から。)」
よく見ればこの女、先日俺の処遇を決める際に真っ先に反対意見を出した女だ。自分の意見を押し退けられ、ただけではなくこうして俺の教育担当者にされてしまったのだから、不機嫌になるのは当然だろう。
「From a vowel series……(あ行から……)『あ、い、う、え、お』」
ホワイトボードに、日本語のあ行とやらが文字で掛かれその下に読み方を書き込む。女が発音した後に続けて俺も発音をしてみる。……難しいな。舌を使っての発音がしづらい。普段の言葉の発音とはまた少し違ってくる。
「教育中に済まないアンジェリカ先生。レイヴンに急な面会が入ってしまったのだ。教育を中断しても構いませんか?」
「全然問題はありませんよ。寧ろやる気なんか無かったのですから」
言葉の発音からして、日本語でのやり取りのようだが日本語の教育は今日が初めてなため、日本語の知識は全くない。だから二人が何を話しているのか分からん。
「A raven. It was bad, but people who wanted to meet you appeared. I have I suspend education and go there.(レイヴン。悪いがお前に面会をしたい人達が現れた。教育を一時中断してそっちに行って貰う。)」
面会だと?俺にか……そいつらは随分と物好きな連中のようだな。……それとも雇用主か?
俺は雇用が決まった瞬間に、雇用主は学園の人間では無いと感じた。本来ならこれだけ警備の整っている学園に、外部の人間の俺を雇うとは思えないからな。たとえ、ISを操縦できる二人目の男だとしてもIS経験の無い男の傭兵を雇う必要はない。
となれば、雇用主は学園外の人間で学園に顔が利く奴だろう。俺の要求を即座に通せる辺り、かなりの権限を持っていることも伺える。
「People already arrive here and wait(その人達は既にこちらに到着して待機している。)」
相手が誰であろうが、俺は自分を貫かせて貰う。妥協は一切なしだ。たとえどんな権力者だろうが、関係はない。それが傭兵と言うモノだと思っている。その代わりに依頼は100%こなさなければならない。
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「It is here(ここだ。)」
連れてこられたのは、学園無いの地下施設の薄暗い広い部屋だった。入って直ぐに暗い空間が続いていたので、部屋が広いことはわかったが、それ以外はうっすらとしか見えない。手前に長机があること以外、目につくモノはない。
「It is bad, but cannot turn up on account of visitors. Therefore I have you talk as it is(悪いが面会人達の都合上顔を見せるわけにはいかない。その為このまま会話をして貰う。)」
なんだっていい。用件さえ話してくれればな。というわけだ、さっさと用件を言って貰おうか?
「I cannot know a partner only by the contents. I must exchange direct words(文面だけでは相手の事を知ることは出来ない。直接言葉を交わさなければな。)」
成る程一理あるな。で、こうして言葉を交わしに来たわけだが、折角なのだから此方からも幾つか質問をさせてもらいたい。お前たちが俺の雇用主なのだな?
「When it is quite so, but an employer is us from what time?(如何にもそうだが、何時から雇用主だと?)」
考えていけば雇用主のことを辿ることは難しくはない。手続きに際しての国籍やその他諸々を用意したのも『お前達』なのだな?
こう発言し、室内を見渡す。雇用主は一人ではない複数だ。室内に伝わる息遣い等が聞こえている。権力者は組織ぐるみの権力者のようであり、一人一人の権力は勿論あるとみた。
「It seems to be sensitive. We are so your employers. It is a group called international IS Committee.(察しがいいようだな。そうとも、我々が君の雇い主。国際IS委員会という団体だ。)」
国際IS委員会……大層なグループ名だ。名前からISに携わっていることは理解できる。学園にこれだけの権力を振るうことが出来るのだから、各国から選りすぐられた人間が集まっているのだろう。そうでなければ、ここまでの準備のよさと発言力は無い。
「Wanting to hear it only as for it Do you not hear why states employed you?(聞きたいことはそれだけかな?何故君を態々雇ったのかは聞かないのか?)」
それについても大方察しはついた。本来なら有り得ない二人目の男性操縦者……身元を含めた何から何までもが不明。更に何処にも国籍を置いていない完全な無所属。ただでさえ貴重な男性操縦者なのだから自分達の元に置いておきたいのだろう。各国から選ばれているが、国際IS委員会とやらは、国から独立した組織なのだろ?
俺は言葉を続ける。
二人目の男性操縦者のデータも録れる傍ら、本人は傭兵を希望しており、自分達にとっても都合の良い駒と成り得るからだ。都合が悪くなれば何時でも消せるしな。それにお前達のような輩は、自分達の管轄害での不測な事態を嫌いそうだからな。
連中は黙って俺の言葉に耳を傾けていた。暫く沈黙が続いたが、不意に室内に笑い声がこだまする。その場にいた委員会の連中の笑い声だ。
「It is a very wise youth. Do you like it? Let's answer your demand to the maximum……But……(中々聡明な若者だ。気に入った。君の要求には最大限答えよう……但し……)」
そっちの要求にも最大限答えるのだろ?そこは気にするな。俺は傭兵だ。依頼主の要望には文字通り『何でも』答える。それがどんなに非合法的だろうが、関係はない。だが、ISとやらは条約とかでそう易々動かせないのだろ?
織斑千冬からISの運用について最初に聞かされた。なんでも、条約とかのせいで軍事行動を始めとした活動が出来ないと聞く。あくまでも先守防衛……それがISの制限。
「There is not the problem. Because it is one of you, "it is not military affairs". In the first place military affairs are actions to cause to win the things such as territories. We do not expect such a thing(問題はない。君一人なのだから軍事ではない。そもそも軍事とは領土などのモノを獲得するために起こす行動だ。我々はそんなものは望んでいない。)」
となると残されているのは、邪魔な人間の排除か……それはれっきとした軍事に当てはまると思うのだが……まぁ、別に依頼内容がなんであれ最後まで全うしよう。それに万が一になっても、委員会の権力で揉み消すことは容易なはず……気にするだけ野暮だな。
今この場に織斑千冬はいない。俺を案内した後早急に退室していった。しかもこの部屋は防音。外に俺達の会話は漏れていない。何故織斑千冬にも隠すかというと、こんな会話を表舞台に立つ人間に聞かれては面倒だからだろうな。なにより織斑千冬のような有名人だと尚更だ。学園内でも位は上位に位置している。
「On the occasion of it, it is your body……I must prepare IS……(それに際して、君の機体……ISを用意しなければな……)」
それに関しては此方に希望がある。用意するISを『ラファール』にして貰いたい。そして特設の整備士等を含めた技術者を用意して貰いたい。
理由は幾つかある。先ず一つはラファールという機体は汎用性が高く、様々な武器を装備出来るようだ。あっちで乗っていたACは全体的に汎用性が高く、パーツの交換が可能なオールマイティーさがあった。ラファールの他には打鉄という機体があったが、カタログを見てもブレードを主体とした機体であり、メイン武装がブレードになっていた。ブレードは苦手ではないが、メインに、したことはない。なので、その二つの中で一番ACに近い汎用性があったラファールを選んだのだ。
「Is it good? May I prepare an exclusive plane?(良いのかね?専用機を用意してもいいのだぞ?)」
専用機か……不要だな。汎用性と扱いやすさが必要なだけに、専用機などのピーキーな機体はいらない。量産機だろうが、豊富な武装と経験で補うだけだ。それに弄っていけば俺専用のカスタマイズも出来る。
「I understood it. If you say so, let's prepare immediately. But I want arrival to wait for a while.……Well, let's hand the opening ceremony of the school it with a team.(分かった。君がそう言うなら、早急に用意しよう。だが、到着には暫く待って貰いたい。……そうだな学園の始業式にはチームと共に手渡そう。)」
感謝する。普段は委員会から何もなければ学園の警護に準じている。もし何かあったときの連絡手段はどうする?
「I hand this. If there is anything, I contact me in it and order it(これを渡しておく。何かあればソレで連絡をし、指示する。)」
連中の内の一人が机に何かを滑り送ってきた。送られたのは小型の二つの機器だ。
「The tablet that one manages the duties instructions. It is income of small communications equipment one more. I come to be able to communicate with this one even if wherever if attached to an ear.(一つは業務指示などの管理をするタブレット。もう一つは小型の通信機器のインカムだ。耳に取り付けていれば、どこにいても此方と通信が出来るようになっている。)」
二つを受け取り、タブレットをポケットにインカムを耳に取り付ける……こんな感じか?取り付けたインカムとやらの作動確認を試しに行ってみた。そうしたら、委員会との会話が機器を通しても聞こえてきた。作動は良好のようだ。
「Finally I want you to decide coloring and the body name of your body.(最後に、君の機体のカラーリングと機体名を決めて貰いたい。)」
機体名とカラーリングか……そうだな。カラーリングは黒で機体名は俺の通り名の『黒い鳥』にして貰おうか。
異界の地に降り立った黒い鳥は、飛ぶ準備を終え再び大空へと舞い上がろうと、その黒い羽を凛々しく広げるのであった。
えぇっと、通信機器とタブレットはバイオ4のレオンがハニガンと通信していたみたいなやつです。
もう容姿はそのままレオンでもいい気が……傭兵だからカルロスやニコライやジェイクのほうがいいかな?スティーブはモンスターになるから……ミハイル隊長やタイレル隊長は死んじゃうし……