もし普夫くんの親がMeeKingに来てヒロインたちにぶっこんだ話をしたら……?
各キャラに自分の解釈が入っています。ご了承ください。
またキャラについての解釈違いなどがあったらスイマセン。
時期的にはマリカ登場からスカーさん来店までの間の辺りをイメージして書きました。
それはとある休日、MeeKingでの業務中に起きた出来事だった。
フリースペースにいるのはユウキちゃんと休みなので私服のパーカーを羽織ったサレン。
ユウキちゃんがサレンに負けて「チクショー!」と叫んでいる、いつものよくある微笑ましい光景だ。
それに加えて珍しいことに今日はドロシー達Life部の3人も居た。彼女たちは体験用のレンタルデッキを眺めている。デッキのカードリストなども眺めながら会話しているので、このデッキにはどう対処するべきなのか意見を出し合っているのだろう。
もしかしたら部活での練習用デッキ作成の参考にしたり、購入しようか相談しているかもしれない。できれば購入してくれると嬉しい。
そう考えているといつもの様に店の入り口のドアが開き、ベルが鳴った。
「はい? いらっしゃいま……!?」
入店のベルに、ドアへと身体ごと顔を向けたところで言葉が途中で止まる。そこには……
「わはぁ~、ここがフツ兄の働いているお店だよぉ」
そう同行者に説明しているマリカと。
「ここがあの子の働いているお店ね……。直接顔を合わせるのは久しぶりね」
どこか楽しそうな表情を浮かべている、知っている顔の女性が立っていた。
「? いらっしゃいませー。マリカちゃん、その人はフツオくんの知り合い?」
「ぅ~んとねぇ……」
マリカが少し言いよどんだ後、再び口を開く。マリカの少し後ろに立ち、MeeKingに来店した人物は……
「フツ兄のお母さんだよぉ」
「えっ!」
それを聞いた店長が驚きの声を上げる。同時に2人の会話が聞こえたのか店内にいる人間の目線が自分と母の方に向けられた。
「どうもこんにちわ。いつも息子がお世話になっています」
そう言って母は店長に軽く頭を下げた。
「今日は突然来てしまって……ごめんなさいね。私は茂札■■です」
「いえ大丈夫です、あまり忙しくはなかったので!あっボクは地棺セトです!」
そう言って母と店長は休憩スペースで挨拶をし、話しはじめた。その間自分はカウンターに立っているが、正直意味はない気がする。
なんせ今店にいる客は全員自分の母に目を向けていてカードに興味はなさそうだ。カードショップなんだけどなぁ。
「あの人がモブさんのお母さん……なんか普通の人だね」
「ん、モブと違ってファイト馬鹿じゃなさそう」
「フツ兄のお母さんはぁ、フツ兄ほどファイトには興味ないから~」
「そうなん?てっきりアイツのアレは英才教育によるもんかと」
「違うんだぁ、フツ兄のアレは天然物だよぉ?」
「それはそれで恐ろしいな……」
「茂札さんのお母さん、何しに来たんでしょうか……?」
揃いも揃って棚の陰から店長と母の方を見ながらひそひそと話している。まぁ隠れられてないんだけど。人数多いし、マリカは体格的に隠れられてないし。
「えっと……それで今日はどういったご用件でしょうか?も、もしかしてフツオくんのバイトを辞めさせようとか!?」
「ああ、心配しないでください。そういった用事じゃないですから!息子がどこで働くかは本人の自由ですし。流石に危険な仕事だったら止めようとは思いますけど、そういった仕事ではないでしょう?」
ネガティブな事を想像したのか、急に慌て出した店長を落ち着かせるように母は優しくなだめた。まぁ危険な仕事ではない。ちょっと地上げ屋が来たり、闇のファイターが襲って来たことはあるが。……うん、危険ではないよな?
そう考えているとふと気づいた、俺って母さんにバイト先の事は教えてなかったよな?
「母さん、俺が働いてる店の事。どうやって知ったんだ?」
休憩スペースへ身体を向け質問を投げかける。
「ああそれはね、道場の人に聞いたのよ。久しぶりに顔を見たくなったのだけど、折角だから働いてる所を見てみたくなってねぇ。今も通っている道場の人なら知っていないかなー?と思ってお菓子持って挨拶に行ったのよ。そしたらさっき一緒に来たマリカちゃんが案内してくれてねぇ、親切な子じゃない」
「おいおい……」
母の言葉に苦笑いを浮かべつつ、今度はマリカの方へ身体を向ける。こっちを見ていたマリカと目線が合うと、笑顔で口を開いた。
「お土産はねぇ美味しかったよ~、道場の皆と一緒に食べたのぉ。だからねぇ~お礼に案内しちゃったぁ」
「ずるい、私も食べたい」
「良いなー、どんな奴だったんですか!」
「う~んとねぇ、缶に入ったクッキーだったよぉ。色んなのが入ってるの」
そうきゃいきゃいと話すマリカ達、あのくらいの女の子はやはりお菓子の話題に食いつくんだなぁ。
「ああ、忘れないうちに渡しておきますね。こちらウチの息子が世話になってるお礼の品です。皆さんでどうぞ」
「ありがとうございますー。わぁ!美味しそうですね!!」
そう言って母は紙袋を店長に渡した。受け取った店長が中身を取り出すと出てきたのは大き目なクッキーの缶だった。開けてみると様々なクッキーが並んでいる。
それを物欲しそうな顔で見つめているのが3人。ユウキちゃんはともかくサレン、お前はこれくらいのクッキー缶なら普通に買えるだろ。あとマリカ、お前は道場で1回食べて来ただろ。そう見ていたら目線で返事が帰ってきた、『お菓子は別腹』じゃねぇよ。
「折角だからみんなで頂こうか!すいませんちょっとお茶入れてきますねー」
そう言って店長はお茶を入れに行ってしまった。もうみんなに甘やかしすぎですよ!そう思っていたら店長を見送った母が今度はこちらに視線を向ける。
「それで普夫。良かったらそちらの皆さんの事を紹介してくれないかしら?」
その言葉で母に対する紹介タイムの開催が決まったのであった。
準備中の札を扉にぶら下げて、一時閉店となったMeeKing。流石にこの人数だと休憩スペースでは狭いのでテーブルが広めのフリースペースに移動する。それでもこの人数だとちょっと狭い。
店長がティーポットでは足りないのでティーカップで紅茶を淹れてきて、皆にカップが行き渡ってから母さんへの紹介が始まった。
「まずこの人が店長の地柩セト。ちょっとポンコツな所があるけどいい人だよ」
「フツオくん?ポンコツって酷くない!?」
「いやポンコツですし」 「ポンコツだよね」 「ん、ポンコツ」
「うわーん!」
「あらあら、あんまりいじめちゃ駄目よ?」
「コイツはサレン=アンダー。この店で一緒に働いてる同僚」
「ん、他に言う事は?」
「金で強いカード買ってくるズルい奴」
「自分で稼いだお金でカードを買ってるから悪くない。むしろ稼げないモブが悪い」
「コイツ……!」 「ふふーん」
「仲いいわねぇ」
「この子は祇浄ユウキちゃん、よく店に来るお客さんでファイトでのプレイングを教えたりしてる」
「ユウキです!モブさんにはファイトでよくボコボコにされてます!」
「おい待て」 「だってよくわけわからないデッキで殴って来るじゃないですかー!!」
「うふふ」
「で、彼女は人刹マリカ。もう知ってるだろうけど、俺が通っている道場の師範の娘さんだよ」
「よろしくぅ~」
「改めて息子がお世話になっています、ありがとうね」
「こちらこそ
「ん?」
「彼女は天儀ドロシーさん。俺が通っている高校の1年生で、Life部の人だよ」
「は、初めまして!天儀ドロシーといいます!!」
「あー……天儀さん、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。母さんは怖い人じゃないから」
「ひゃい!」
「あら……?」
「この人は羽島リナ先輩。同じ高校の2年生の先輩で天儀さんと同じLife部の人だよ」
「よろしゅうたのんます~」
「こちらこそよろしくお願いね」
「ええコイツのボケっぷりはなんとかします」 「なんで!?」
「おう、ドアとの問題思い出してみ?」
「元気ねぇ」
「彼女は湊手嶋ジグさん。同じ高校の2年生で、Life部の部長さん。2年生なんだけどちょっと事情があって、実際は2歳上なんだ」
「ジグです、よろしくお願いします。茂札くんには色々助けられました」
「あら、息子がお役に立てたようで良かったわ」
「? なんか助けたことありましたっけ?」
「あるよ?カードの管理方法の話とか、部室にあるレンタルデッキとか……」
「へぇ……?」
と、いった感じで全員の簡単な自己紹介が終わり。みんなで母の土産のクッキーを食べながらお茶を飲みつつ、色々な話をしていると。
「しかしあの人には『彼女作るのはモテないから難しいです』とか返事してたのに。あなた、結構な数の美人さんに囲まれてるじゃないの」
爆弾を投下しやがった。
「ゴホッ……なに言うんだ母さん!?」
突然の不意打ちにクッキーを喉に詰まらせそうになり、少々熱いが紅茶で流し込み母に問いかける。自分以外にもちょっと咽たのか、誰かがゴホゴホという音が聞こえる。まったく……
「だってねぇ、年頃の息子が一人暮らししてるんだもの。連絡を取ってて健全な生活をしてると分かってるけど、それはそれとして親としては気になるのよ?」
「だからって面と向かって聞くか!?みんなも反応に困っちゃうだろ!」
そう言って話を聞いていた皆の様子を見ると。
「えっモブさんってモテないんですか?」
純粋に不思議がっているユウキちゃん、戸惑ったりしていないのが逆に辛い。
「まぁコイツみたいなファイト馬鹿はモテない」
ふふんと真顔で馬鹿にしてくるサレン、コンニャロ。
「美人さんかぁー……えへへ」
褒められたのか嬉しそうな店長。確かに美人だと思うけど母がすいません。
「ん~……フツ兄ならモテそうだけどぉ~?」
そう言いながらこっちに目線を向けるマリカ、残念ながらそういう相手は居ないんだよなぁ。
「ごほっ……。か、彼女……!!」
咽たのか顔を赤くしている天儀さん。母さんが変な事言ってゴメン。
「せやなぁ、このボケはモテんやろなぁ」
揶揄うようにそう言うリナ先輩。悔しいが事実なので言い返せない。
「も、茂札くんの彼女……」
母の発言に戸惑ってるのか、変なことを言うジグ先輩。困らせてスイマセン。
揶揄って来たり馬鹿にしたりする人もいるが、全体的に困惑している人がやはり多い。ああもう……
「母さんが変なこと言ってすいません。みんな気にしなくていいから」
「あらそう?そんなこと言っておいて、この中に気になってる女の子いるんじゃないの?」
「もう!そう言って揶揄わないでくれよ!」
確かに店長は美人だと思ってるし、マリカや天儀さんと話すときは目線に気を付けてるが、母が言うようなそういった感じではない。
「ふぅーん……。それは残念ねぇ、皆さんも困らせちゃったみたいでごめんなさいね」
「いえ!お気になさらず!」「ん、店長が言う通り■■さんは悪くない」
「あはは……」「気にしてないです!ええ!」
そう言って頭を下げてみんなに謝る母、みんなも軽く笑いながら流してくれたようで良かった。変に意識されたらギクシャクしちゃうからな。
その後は特に問題も起きず、残りのクッキーをみんなで食べ紅茶も飲み終わり、片づける作業にに入った。
サレンが素早くティーカップを運び、それをユウキちゃんが手伝った。テーブルと椅子の片づけは自分が担当した、天儀さん達が手伝ってくれて助かった。
そして先ほどの騒動で床に落ちたクッキーの欠片の掃除、これは母が箒と塵取りで片づけた。店長が『お客様ですし悪いですよ!』と止めたのだが。
母が『私の所為で汚しちゃったし、これくらいやらせてくださいな』と押し切って自ら掃除していた。
あっさり押し負ける店長が弱いのか、我が母が強いのか。どちらにせよ片づけは終わり、MeeKingの一時閉店も終わる時間が来た。
「今日はありがとうございました、久しぶりに息子の顔を見れて楽しかったです」
「まったく……、次はいきなり来ないでくれよ」
MeeKingの扉近くで母を見送る。短い時間だったが、実際の時間以上にドタバタした気がする。
「まぁまぁ、心配で様子を見に来てくれたんだし。良いじゃない」
そう店長が言う。他の皆も不満気な様子はなく、楽しかったという感じの表情だ。……一時はどうなるかと思ったが、悪い印象を持たれてないようでよかった。
「それじゃあ、また。今度電話するよ」
「ええ、それじゃあね。……ああそういえば」
別れの挨拶をし、歩き出したかと思うと立ち止まり母はこちらを振り返る。
「ウチの子はとても我慢強いですから、
そう言ってウインクをすると母は扉の外へ出て行った。……はて、どう意味だろう?確かに自分は我慢強い方だと思うが、その気とは一体……?
そんな疑問を持ちつつ振り返ると、母の言葉を受けてか皆の表情が微妙に変わっていた。
解りやすいのはハテナマークを浮かべたような表情をしたユウキちゃん。いつもの様に柔らかい笑顔のマリカ。なにか思案するような天儀さん。そして……
「よくわからなかったけど……とりあえず営業再開しよっか!」
いつも通りの表情をした店長のその言葉で、MeeKingは通常営業に戻るのであった。
63話に出てきた普夫くんの家族へのメール内容を見て。
普夫君の親がやってきて、モテないので難しいですって言ってる割りに美人に囲まれてるじゃない?
ってヒロインズに聞こえるように言ったら、どんな反応するんだろう?と想像してみたら着火し、コー〇ルばりに一気に燃え広がった。
そんなわけで今回短編として書かせていただきました。未熟な文だと思いますが、悔いはない……。みんなも思いついたものがあったら書いてみないか?
そして原作者様である雨 唐衣様に感謝を、いつも楽しく読んでいます!
小説書いた経験皆無な人間の作品ですが、お気に召していただけたら幸いです。