ボンゴレ10代目の孫、雄英ヒーロー科に入る   作:息抜き型のんびり屋三太郎

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標的3 受験結果が来た!

 入試日から1週間が経ち、雄英から受験結果が入った封筒が届いた。

 

「い、いい。せーので開けるわよ」

「わかってるよ」

 

 ガチガチに緊張している姉ちゃんに少し呆れながら、深呼吸して、心を落ち着かせる。

 

「「せーの!」」

 

 ビリッ!! 

 

 という音ともにコトンと2つの丸い機械が落ちた。

 

『わーたーしーがー投影された!』

『私が投影されたのさ』

「…………」

「…………ねえ」

「言わないで。うん。そうよね。そうなるわよね」

 

 僕の分と姉ちゃんの分。その結果が、紙で来ると思っていたら、まさかの映写機で発表でしたということで……まあ、何とか集中すれば、聞き分けれるから問題は無い。

 

『沢田少年。久しぶりだね。5年ぶりくらいだろうか? ……え? なに? 巻きで? 緑谷少年の時もそう言っていたよね。彼にも積もる話があるのだけれど……まあ、仕方ない』

 

 オールマイトがコホンと咳払いをする。

 

『筆記は全教科で80点以上、実技に関しては38ポイント。うち20ポイントが強敵として配置していた『七色のモスカ(セッテ・モスカ)』残りの3体のモスカもその場にいた少女と共に行動不能に持っていった判断。実に素晴らしい!!』

 

 賛辞を述べてくれるオールマイトに、早く、早く結果を教えてくれ……と、固唾を飲んで見ていると、

 

救助活動(レスキュー)ポイント。本来なら、救助活動を行った者を評価するため、雄英教師が審査するシステムだ。すなわち……』

 

 一呼吸置いて、オールマイトは口にする。

 

『沢田家継! 43ポイント。合格だってさ。来いよ、沢田少年! 雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ』

 

 グッとガッツポーズをする。姉ちゃんの方も似たような説明があったあと、僕と目が合いピースサインをしてきたので、受かったのだろう。

 

「さーて、汐たちの方にも結果来てるだろうし、行くわよ!! ツグ!!」

 

 興奮した姉ちゃんは、僕の襟を持ち、グイグイと引っ張ってくる。首が閉まってきつい。

 

「死ぬ、死ぬから、放して……」

「え? あ、ごめん、ごめん」

 

 はぁはぁ、と肩で息をしながら呼吸を整える。

 姉ちゃん、考え無しで突っ走るところあるから、変なところで生死の境を彷徨うんだよね……

 

「それで、汐たちの結果だけど……今連絡きたよ」

「で、なんて? なんて言ってたの?」

「今こっちに向かってるって。母さんたちにも報告したいみたい」

「汐も律儀よね」

「だね。あ、ランダも来るみたい」

「受験組勢揃いになるわけね。お菓子用意しておくわ」

「うん、お願い」

 

 そんなやり取りをしながら、僕は散らばったプリントの類を纏める。

 えっと……『コスチューム要望調査票』? あ、ヒーローコスチュームか。コスチューム、コスチューム……あれ? 表社会の繊維って死ぬ気の炎大丈夫だっけ……? まあ、全身に纏う訳でもないし気にしなくてもいいかな……? 

 

「あ、ツグー飲み物何がいい? コーラ?」

「オレンジジュース」

「はーい。それじゃあ、コーラはランダに飲ませて……」

「汐にしてあげなよ。あの子コーラ好きでしょ」

「ダメよ。汐の栄養なんて普段お菓子ばかりなの、ツグだって知ってるでしょ? ファミリーの、それも幹部が栄養失調とか糖尿病とかで動けませんなんて許されないわ!」

「クロームさんたちの食事情なんか偏ってるもんね……」

「京子おばあちゃんたちがたまにご飯わけに行かないとすぐお菓子ばっかり食べてるって話だもの」

「まあ、4月からはみんなでご飯だし、多少マシになるよ」

「マシ? いいえ! 完全に食生活を改善するのよ! 身長に対して体重だってすごく軽いんだから!」

 

 ……うん。その通り……としか言えないんだよね。

 黒曜町に住んでいるクロームさんとそのお師匠様? の骸さんとその仲間の方々はどういう訳か、年齢の割に食生活がだいぶやばい。何がやばいって、もう、何もかもとしか言いようがないくらいにやばいのだ。

 

 朝にスナック菓子、昼にスナック菓子とチョコ、晩にチョコとスナック菓子……たまーに、京子おばあちゃんとハルばあがクロームさんにご飯を届けに行っているので、じいちゃんたちの中学時代よりはマシになっているらしい。

 

「先輩たちも雄英に転校すればファミリーみんなで同じ高校通うことできたのに……」

「流石にそこまでは強情にはなれないよ。汐とランダも自分の意思で着いてきてくれるわけだし」

「慕われてるわねぇ」

「姉ちゃんもね」

「私はほら。あんたの雷の守護者だし? 当然よ」

 

 テーブルに適当に取った煎餅やチョコなどのお菓子を用意しながら、姉ちゃんはそういう。

 汐からの連絡に返事をしているから見えないけど、たぶんすごいドヤ顔を決めているところなのだろう。

 

「それで、汐たちは何時くらいに着きそう?」

「昼前くらいには着くって。黒曜からの道に(ヴィラン)が出たみたい。風紀委員が対応してるから気にしては無いみたいだけど」

「あぁ、すぐ片付いても交通網に影響でるものねぇ……」

「ヒーローの到着を待たないで風紀委員が片付けてくれるから助かってはいるんだけどね」

「そのせいで黒曜と並盛にはヒーロー不在なのよねぇ。おかげでヤクザとマフィアの巣窟になっちゃったけど」

「それはもう70年前からみたいだけどね。トマゾにキャバッローネ、ミルフィオーレまでこの町にいる訳だし」

「並盛の外に出たらみんな肩身狭い思いしてるんでしょうねぇ……」

「マフィアランドはまだあるみたいだし、白マフィアとか薬をやってないヤクザはそっちで楽しくやってたりするみたいだけどね」

「ヒーローに摘発されちゃったらおしまいよ……ボンゴレって傘がなくなった瞬間に裏社会は一気に崩れそうなくらいぐらついちゃってるわけだし」

 

 どこか寂しげに姉ちゃんは言う。けど、それは

 

「問題ないよ。むしろ、裏社会や汚れ仕事っていうのは縮小していくのが望ましいくらいなんだ。じいちゃんだって、マフィアを継ぎたくて継いだ訳じゃないしね」

「『伝説の自警団(ヴィジランテ)』ですものねぇ。リボーンさんは『原点回帰だな』とか言ってたみたいだけど」

「『ボンゴレI世(プリーモ)』は自警団として組織したわけだしね。元の形に収まってはいるんだよね」

「不思議よねぇ。時代が進んで混沌とした時代に元の形になるなんて」

「ヒーローの前進も黎明期のボンゴレみたいなところがあるしね」

「『あの混沌とした時代を生きた英雄『沢田綱吉』6人の部下を従え、並盛町の治安を守っていた』なんて教科書に載ってるくらいですもの」

「マフィアのマの字もなくてじいちゃん安心してたよね」

「『ボンゴレ』って見えた時は冷や汗をかいたって言ってたわよねぇ」

「社会の教科書に載ってるって言ったら、リボーンさんたちと一緒に読んでたからね」

 

 そんな会話をしているとインターホンが鳴った。

 恐らく汐たちが到着したのだろう。姉ちゃんが対応しようとするけど、静止して僕が玄関に向かう。

 玄関を開けると、申し訳なさそうに俯いている汐がいた。

 

「……ごめんなさい、ボス。遅くなった」

「いいよ。気にしないで。バスが止まっちゃったんでしょ?」

「……うん」

「それよりほら、上がって。お菓子とかも用意してるし。ランダも今来てるみたいだからゆっくりしていってよ」

「……そうする」

 

 お邪魔しますとボソリと呟いて、汐はリビングに向かっていく。その背中を見送ってすぐ、玄関の扉が開かれる。

 

「いらっしゃい、ランダ。せめてインターホンは押そうね?」

「すみません! 11代目! ですが、ご報告が!!」

「うん。後で聞くからリビングに行こうか。ここ玄関だし」

「そ、そうですね。すみません。お邪魔します」

 

 ランダはいそいそと靴を脱いでから、しっかり並べて上がっていく。

 

「あ、こら、汐! また、靴脱ぎ忘れてるわよ!!」

 

 リビングの方から姉ちゃんの声が聞こえてくる。うん、汐も相変わらずか……。土の上がったフローリングを見ながら、箒を手にとる。

 汐が靴を持って戻ってきた。

 

「ごめんなさい、ボス」

「気にしないで。向こうじゃ靴あんまり脱がないんでしょ? 一緒に掃除しよっか」

「……うん」

 

 慣れないことなんていくらでもある。ゆっくり直していけばいいことだっていくらでもあるんだ。汐はちょっと常識からズレた子ではあるが、言えば聞くし理解できる。

 ちょっとうっかりがすぎるだけで。

 

 そんなこんなで玄関からリビングにかけてさっさと掃除をし、合格記念パーティーと洒落こもうじゃないか。

 まあ、一応その前に

 

「汐とランダはどうだった?」

「そうでした!! 聞いてください、11代目! 姉君! 私双気(そうき)嵐打(らんだ)!! 雄英ヒーロー科に合格しました!! またおふたりと同じ学校に通えること、誇らしく思います!!」

「……私も合格した。ボスのおかげ」

「汐の実力だよ。それに、姉ちゃんが受かったんだ。合格は疑ってなかったよ」

「ちょっと! ツグどういうことよ!! あたしこれでも実技試験は86点だったのよ!!」

「……豊姫ちゃん。すごい。私85点だった」

「自分も85点でしたね。モスカと適当な3ポイントで結構稼げまして……」

「あ、じゃあ、実技試験の結果だと僕だけ低いんだ。81点だったよ」

「あら、珍しいわね。てっきり100点超えてるのかと思ってたけど」

「モスカと0ポイント以外に死ぬ気の炎を使ってないからね。ボクシングだけだとどうしても点が伸びなかったよ。姉ちゃんの方は筆記大丈夫だったみたいだね」

「それはそうよ。運が良かったのかしらね? 平均60点は出てたのよ」

 

 えへんと胸を張っているが、恐らく、もう少し下くらいの点数だったのだろう。

 それでも合格できたということは、基本は筆記より実技の方を見て、合格不合格を決めるということだろうか。

 

「まあ、何はともあれ! みんな合格できたことだし! 今日は精一杯祝勝会と言うわよ!!」

「母さんたちが帰ってきたら報告会もあるの忘れないでね」

「物件選びは任せてください! 4人でルームシェアできる最高の環境を見つけてみせます!!」

「……私は……えっと……」

「汐は肩の力を抜くことを覚えよっか。僕らは家族(仲間)なんだから」

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