今回は完全オリジナル回です。
そしてこの話を書いて思っていたことは×××の口調ムズイ!
ということでもしかしたら....というかちょっとしたキャラ崩壊があるのでどうかご容赦ください
ではスタートです!
陽乃side
朝5時に起き、私は横に置いてあったスマホを見る
「今日か....」
そう、今日は海斗君と食事をする日。だが今回の食事会において私は海斗君に黙っていることがある
「海斗君、きっと驚くだろうな」
このあとの海斗君のリアクションを想像して私は笑いをこぼしてしまう。けどその笑顔も鏡にうつる自分の顔を見るとすぐに消えてしまう
「最低だな、私」
顔を洗い、私は机の上に置いてあるとあるお店の土地の図面を見てそうつぶやくのだった。今日、私はある一人の男の子の人生を奪うことになる
海斗side
「到着いたしました」
「ありがとう。さ、行こっか、海斗君」
「え、マジで?」
あれから2日経ち、俺は陽さんと昼飯を食うことになった。なったんだけど........
「お待ちしておりました」
「「「お待ちしておりました」」」
「ご案内させていただきます。どうぞこちらに」
俺たちは店員、いやこういう場合は仲居さんって言うんだっけ?まあ、とにかく俺たちはお店の人に案内されながら綺麗な廊下を歩いていく。お、すげえ庭に池がある。あ、あそこの錦鯉でけえ....って
「高級店すぎんだろ!」
ドレスコードが必要ってことである程度は覚悟していたがここまでとは思わねえよ!
「あ、そうそう。今日はこのお店私たちの貸し切りだから好きに叫んでいいよ」
「か、貸し切り!?」
「お、さっそく出たね」
こんな高級店を貸し切りだと....!?一体どんな財力してやがる?そもそもなんで貸し切り?別に必要なくね?ほとんど個室だし
「こちらになります。秋穂様が中でお待ちです」
秋穂様?ってもしかして
「お母さん、お待たせ」
「そんなに待ってないわ。.....久しぶりね、海斗君」
「秋穂さん!え、お母さん?」
秋穂さん、たまにではあるがうちの店でコーヒーとたまごサンドを頼んでいる人だ。秋穂さん自身はもちろん、立ち振る舞いや格好がすげえ綺麗だったから初めて来店した時思わずじっと見ちまって目があったときはマジで気まずかったなあ。それにしても秋穂さんが陽さんと雪ノ下のお母さん.......うん、確かに言われてみれば似てるな。それより陽さん、二人で飯行くって話じゃなかったか?いま、かなり緊張してきちまったんだが
「さあ、二人とも座って頂戴」
「は~い」
「はい」
陽さんと俺は秋穂さんに促されながら席に座る。ていうか、部屋広ッ!
「今日は陽乃の我儘に付き合ってくれてありがとう」
「我儘ってひどいな~。一応契約に則ってのことなんだけど」
「契約って...まあ、その陽さんには勉強を教えてもらった恩もあるし俺自身も暇だったから全然。でもこのような高級店に行くことは事前に伝えてほしかったっすね」
「せっかくならサプライズしたいじゃん?あと海斗君の驚いた顔見たかったし」
「はあ.....」
秋穂さんは額に手を当てため息をつく
「あはは、とりあえず飲み物を決めようよ。お母さんはどうする?」
「私はいつものでいいわ」
「わかった。それじゃあ私はこれにして...海斗君はどうする?」
「そうだな...」
なになに?オレンジジュースにぶどうジュース、レモネード.....クラフトコーラ?聞いたことはあるけど俺がいつも飲んでるコーラとは違うのか?
「じゃあ俺はこのクラフト.....」
ちょっと待て....!一杯1340円!?ウソだろ!ていうか、飲み物全部1000円超えてんじゃねえか!
「......とりあえず、お冷で」
「遠慮は無用よ。貴方は私たちに招かれた立場なのだから」
「...それじゃあ遠慮なく、クラフトコーラをお願いします」
「はいはい~」
陽さんが頷くと店員さんにそのまま注文をしてくれる。クラフトコーラ、初めて飲むから楽しみだ...!
「フフッ、もう待ちきれないって様子ね」
「すみません、俺コーラに目がなくて。それに初めて飲むものだからどんな味してるのか気になるんすよね」
どんな味するんだ?マジで楽しみだ
「お待たせいたしました」
「ありがとうございます」
これがクラフトコーラ...!色はいつものよりちょっと薄いな。というかそもそも炭酸じゃねえ
「美味しいっす...!匂いはシナモン...と若干の胡椒?」
「左様でございます。こちらシナモンやカルダモンといった様々なスパイスを煮詰めております」
店員さんのお褒めの言葉に照れていると俺たちの前に小さな箱が出される。蓋を開けるとそこにはほうれん草と豆腐のお浸しが入っていた
「まずはこちら先付の翡翠豆腐でございます」
翡翠豆腐...これも初めて聞く料理だ
「いただきます」
豆腐とほうれん草を口の中に運び咀嚼する
「美味い...!」
しっかりとした出汁が聞いており咀嚼する度に風味が増す
「咀嚼する度に風味が増すって言うか...とにかくすげえ美味しいです」
「口に合ってよかったわ」
「これからどんどん料理が出てくるから楽しみにしてて。特に私は3番目に出てくる....」
「陽乃、海斗君は初めて来たのだから楽しみを奪うのは良くないわよ」
「それもそうだね」
こうして始まった食事会。見たことのない料理のオンパレード、でもその全てが絶品で至福のひと時を味わっていると秋穂さんと目が合う
「ふふっ、本当に美味しそうに食べるわね」
「......行儀悪かったっすかね?」
「いいえ。少し可愛いらしいと思っただけよ。それに箸の所作もとても綺麗だったわ」
可愛らしいって.....そんなこと初めて言われたわ。箸に関しては....ばあちゃんの指導のおかげだな
「それにそんなに美味しそうに食べてくれてこっちとしてもご馳走し甲斐あるってものだよ」
「そう言ってくれると非常に助かるよ、陽さん」
「次の料理はちょっと時間がかかるからちょっと待っててね」
「......海斗君、少しお聞きしたいことがあるのだけれどいいかしら?」
ん?秋穂さんの雰囲気が変わった?なんかさっきより目が鋭くなったような.....
「それは全然いいんすけど....あれですか、林間学校での雪ノ下....雪乃さんの話とか?」
「なにそれ聞きたい!」
「陽乃.....」
「は~い」
「その話はあとで聞かせて頂戴。今は海斗君、貴方の話を聞きたいわ」
「俺の?」
なんで俺?いや別にいいんだけどこういうのって普通、学校での雪ノ下のこととか聞くんじゃねえのか?
「別にいいですけど....」
「それじゃあ単刀直入に聞くわね。海斗君、貴方はこの先の進路はもう決まっているのかしら?」
う”っ、いきなり答えにくいことを.......
「その...恥ずかしながらまだ決まってないです」
「そう。進学する予定とかはあるのかしら」
「それもまだ決めれてないっす」
「もしかしてお爺様のお店を継ぐとか?」
「いやじじい....祖父は俺にあの店を継がせる気はないみたいだからそれはないっすね」
「..............」
やべえ.....答えのチョイスしくったかもしれん。いやでも嘘つくわけにはいかねえし
「海斗君今回のテストの結果よかったんでしょ?内申の方も過去一良かったって言ってたじゃん。えっといくつだったけ?」
「え、オール4.....あ、家庭科と体育それと英語は5だった」
「いいじゃん。その内申だったら大学の推薦枠ももらえるだろうしせっかくなら行ってみたら?」
「大学....」
それも一理あるな。川崎曰く、大学を卒業してるかしてないかで就ける仕事の量に差があるとかなんとか
『それとやっぱり一番はこれだね』
あの時の目はマジだった。花の女子高生があんな目でお金のマークしている所なんてあんまり見たくなかったぞ
「陽乃。海斗君の進路を他人がとやかく言うのは野暮と言うものよ。ごめんなさいね、こんな進路相談みたいになってしまって」
「大丈夫っす」
「それじゃあ話題を変えて...そうね....あ、そういえば海斗君は一人暮らしをしているそうね。ご両親は一体どんなお仕事をされているのかしら?」
ふぅ....やっと話題が変わった。俺、夏休み中に本気で進路考えよ
「両親はどっちも海外にいます」
「あら海外に」
「はい。母はホテルで働いていて、父はデザイナーっすね」
「そうなんだ。ねえ、お母様ってなんていうホテルで働いてるの?」
「えっと確か........」
「”アルテミス”です」
「「え.......?」」
「そうそう!アルテミスだ、アルテミス!.......あれ?」
俺たちが襖の方を見るとそこには正座をし頭を下げ顔を隠している女性がいた
「なんで店員さんが俺の母さんの職場知ってるんですか?」
「ふふ......ふふふ」
あれこの声どっかで聞いたことあるような
「な、な、あ、あ、貴方......まさか....!」
「お母さん?」
秋穂さんはその店員さんの声を聞くとさきほどまでの美しい姿勢はどこにいったのか姿勢を崩し後ろへと後ずさる
「な、なんでここにいるのよ....!今日は貸し切りだって」
「ごめんなさいね。この店の一番奥の部屋、あそこ私のプライベートルーム第174号だから」
「な.....!」
「ということであの一室はいわば私のものだから.....ね?そして後は簡単、ここの女将に賄賂....プレゼントを渡したらこの衣装を貸してくれたってわけ」
いま、賄賂って言わなかったか?この人
「それって...」
「いいえ、陽乃。ここの女将にはなんの落ち度もないわ」
「え....」
「この女....」
「この女?」
「....ッ....この方に歯向かったらあとでどんなことになるか想像に難くないわ」
「あら酷い言いぐさ。まるで嫌な権力者みたいな紹介をされちゃったわ」
秋穂さんらしからぬ言動にどんどん様子がおかしくなっていく店員さん一体何がなんだか
「えっと店員さん、貴方は一体....?」
「もう!海斗ったらもう私の声忘れちゃった?一昨日電話したばっかじゃない!あ、そのジャケットすごく似合ってるわよ❤」
「一昨日電話?.........ま、まさか!」
いやいやいやいや!そんなわけない!
「さてここで問題です!私はいったいだ~れだ!.......はい、時間切れ!正解は」
「愛しい海斗のお母さん、黒崎楓さんで~す!」
「母さん!?」
「は、はあ!?え、ちょっと待って......え?」
「あ....ああ......あああああ」
母さん、なんでこんなところにいるんだ!?
「だって会いたくなっちゃたんだもの~」
「だからってこんな急に.....」
ていうかナチュラルに心読んでじゃねえよ
「2年ぶりね!海っ斗!」
「んぐっ!?」
か、母さん、く、くるしい
「黒崎楓様が海斗君のお母さん!?え、ということは海斗君はあのアルテミス・ホテルの御曹司....!やばいやばい!私たち、とんでもない子に手を出そうと!」
「あ.....そうだった」
母さんはから離れると秋穂さんと陽さんに近づき二人の耳元に何かを伝える
「いいわね?」
「........はい」
「ええ、わかったわ」
母さんの言葉を聞いた二人は立ち上がり部屋から出ていく
「それじゃあ海斗。私、あの二人とオハナシしないといけないことがあるから先に食べてて。あ、支払いはもう私の方で済ませててあるから好きなものを好きなだけ食べてね。それじゃあ後で♪」
「え、ちょ...!」
そういって母さんの部屋の外へと出て行ってしまう
「マジかよ....」
こんあ広い部屋に一人置いてかれても困るんだけど
「黒崎様....」
「は、はい」
「こちら楓さまからでございます」
「えっと、その大丈夫すか?」
店員さんはたくさんの肉を持ってきてくれたがその手は震えており額には脂汗がびっしりだ
「え....あ、はい!大丈夫です」
「でもすごい顔色っすよ。体調が悪いんだった無理しないで」
「ご心配ありがとうございます!でも大丈夫ですので!では私はこれで失礼いたします」
こうして店員さんは足早に部屋から出て行ってしまう
「事前に準備されてた鍋にこの大量の肉たち....これってつまりそういうことだよな?」
ええ、俺これから一人しゃぶしゃぶすんのかよ........でも肉は新鮮なうちに食わないともったいないよな?
「仕方ねえか」
こうして俺はただっぴろい部屋で一人しゃぶしゃぶを始めるのだった
「.....うまい!」
うまいけど、ちょっと
『母さん、父さん........』
こう広い部屋で一人だと母さんと父さんが海外に行ったばかりのころ思い出すな
「寂し....」
陽乃side
私たちは楓様に連れられながら店の一番奥の部屋に入る
「さて」
「.....ッ」
お母さんは楓様の声を聞くとびくっと体を震わせる。長いことこの人を見てきたけどこんなお母さん始めて見た
「あの子は貴方のお眼鏡にかなったのかしら?秋穂」
「「............!」」
バレてる......!
「まあ陽乃ちゃんぐらいの歳になるとそろそろ婚約者ぐらい作っておかないとまずいものね。それも適当な子じゃなくて貴方達の会社を立派に引っ張れる素質がある男性限定で」
そのとおりだ。私の父がそうだったように雪ノ下家に婿入りしたら将来的に会社を引っ張っていかなくてはならなくなる。だから素質がある男性を言い方は悪いけど手に入れる必要があった。そしてなによりこの最低な役目を最愛の妹には絶対させたくなかった。だから..........
「くだらない」
「「...........ッ」」
刹那、部屋の温度が氷点下に達したのではないかと言うぐらい部屋の温度が下がったのを感じた
「貴方達は私の息子の人生を奪おうとした。武器はそうね....お義父様とお義母様のお店ってところかしら?貴方達なら簡単にできるものね」
この人どこまで...!
「あの子は優しい。だから間違いなく自分の身を差し出すでしょうねそれもためらいもなく」
そのとおりだ。私とお母さんは海斗君と関わってきて彼の人柄はある程度は知っているつもりだ。だからこそ彼には素質あることに加え手に入れるのにそんなに苦労なんてしないと思った。謂わば好物件。でも現実は違った。私たちはこの悪辣かつ愚かな選択のせいで窮地に立たされてしまっている
「あ、あの!このたびは」
「黙りなさい」
「........ッ」
どこまでも冷たい声が部屋に私の心臓に響く
「変わったわね、秋穂。昔の貴方ならこんな方法決して取らなかったはずなのに」
「...昔とはもう立場が違うのよ。会社を存続させるためだったら私はなんでもやるわ」
「確かに。私たちはもうあの時みたいな学生じゃないものね。なら私は
海斗の母親としていかなる方法を使って脅威を排除するわ」
楓様の声だけが静かに響き渡る。そして私たちはこの時確信した。ああ、私たちはもうお終いなんだって。でも仕方ないよね、私たちは海斗君の人生を.....こうなった以上せめて雪乃ちゃんのことだけは
「あの~」
「え......」
「海斗...どうしたの?」
海斗君が部屋に入ると部屋の温度はさきほどまでとは打って変わりものすごく暖かくなった
「大事な話を遮ってごめん」
「いいのよ~。それでどうしたの?」
「その大事な話って今じゃないとダメか?やっぱり一人でしゃぶしゃぶって寂しいって言うか.....その....
母さんとも久しぶりだから.....できれば一緒に飯を食べてえ/////////////ダメかな?」
「ギュン!」
え、なにその顔......海斗君ってそんな顔できたんだ
「もちろん陽さんと秋穂さんとも一緒に食べたい。二人の話、正直言って難しいけど聞いててタメになるしなにより楽しい。それに俺、実は陽さんが高校生の時の話聞きたかったんだ、めぐ姉がずっとすごいすごいって話しててそれでずっと気になってて....」
「ええ、ええ、ええ!もちろんよ!ちょうどオハナシも終わったし戻ろうと思ってたのよ!ね、二人とも?」
「そ、そうそう!」
「.....お待たせしてごめんなさいね。すぐに行くから待っててもう少し待ってて頂戴。陽乃、海斗君と先に行ってて」
「うん。じゃあお先に」
私は海斗君と一緒に部屋に戻っていくのだった
楓side
「................」
「................」
「はあ.........私の息子可愛すぎ!」
「そうね」
「.......次はないから」
「わかってるわ。今回は本当にごめんなさい」
秋穂は頭を深々と下げる
「陽乃ちゃんに感謝するのね。海斗、相当陽乃ちゃんのこと慕っているみたいだし?それに免じて今回は大目に見てあげる.........あとはまあ貴方の気持ちちょっとわかるから」
「どういう意味?」
「はい、これあげるわ」
私は秋穂にUSBを渡す
「これは」
「業務提携してる夏上建設の御曹司のデータって言えばいいかしら?」
「.........!貴方、どこまで把握してるの?」
「さあ....とりあえずこれで貸し2つね」
「ありがとう.....!」
まったく、相変わらず不器用な女だこと。クソ真面目な貴方がこんな手段を取るはずがない。だからここに来る途中でちょっと調べたら案の定というかなんというか
「ほら行くわよ、これで心置きなく食事会に集中できるでしょ?」
「そうね。.......久しぶりに少し飲みたい気分だわ」
「へえ、こんな昼間から飲む気なんだ?やっぱりちょっと変わったね」
「たまにはいいでしょ」
「それなら私も飲んじゃおうっかな~!あ、そうだ昔みたいに飲み比べでも....」
「それはしない」
あら、残念
海斗side
こうして母さんも加えながらも再開した食事会。俺たちは美味しい肉と野菜をつつきながらどんどん食べ進んでいった。そしていま
「だぁかぁらぁ!貴方は昔から不器用すぎるのよ!今回の事だって!」
「そういう貴方は自由奔放がすぎるのよ!そのせいで何度こっちが苦労したことか!」
「うるっさいわね!頭カチカチ不器用おんな!」
「口を閉じならい!頭ふわふわぶっとびおんな!」
母さんと秋穂さんが酔っ払い場が混沌としてしまっている。まるで小学生同士の喧嘩を見てるみたいだ
「もうお母さんったら///////.....なんかごめんね海斗くん」
「お互いさまだろ」
なんというか普段の秋穂さんからは考えられないな
「秋穂さんって家だとあんな」
「まさか。あんなお母さん初めて見た」
「はるのちゃん!貴方はこんなカタブツになっちゃだめよ!」
「かいとくん!貴方はそのままでいてね。こんな風になっちゃだめよ!」
その言葉を最後に二人はバタンと倒れそのまま眠りについてしまう
「寝ちまった。どうするこれ?」
「とりあえずタクシー呼んどいたよ」
さすが陽さん、仕事が早え
「ねえ、海斗君?」
「ん?」
「今日は本当にありがとうね。そしてごめんなさい」
「なんで謝んだよ。むしろ謝んのは俺だろ」
母さんが急に乱入したり、一人で食うのが寂しいからって大事な話を遮えぎっちまったり......
「もしも....もしもだよ?今日私たちがお爺様からあの店を取り上げるって言ったらどうする?」
「え、すげえ困る」
なんだよ、いきなり。いくらなんでも突拍子なさすぎじゃね?
「だよね。それじゃあもし海斗君が家に来てくれたらそれをなしにしてあげるって言ったら?」
「.....まあ行くしかないよな」
だってあの店じじいとばあちゃんの思い出が詰まった店だし。そんな大事な店を護れるんだったら行くしかねえだろ
「それだけ?」
「それだけって?」
「ほら私たちに対して怒りとかそう言うのはないのかな?」
「う~ん、なんでこんなことするんだ?とかはあるけど怒りは特に抱かないな。というかもし陽さん達がそんなこと言い出したら俺はまず真っ先に
なんか事情があるんだなって思う」
「........なんで?」
「なんでって...だって陽さん達いい人だしなんか事情がないかぎりそんなこと言わないかなって思ったから」
「...........!」
だって俺に勉強を教えてくれたり今日、こんな豪華な席を用意してくれた二人が悪い人のはずがねえからな。きっとなんか事情があるんだなって思うな
「私はそんな善人なんかじゃないよ」
「そうか?だってこの前だって俺に勉強を教えてくれたし」
「それは浅はかだよ。そんなことで人の善悪を決めない方がいい。もしかしたら君に恩を売るためにやっただけもよ?」
「別にそれでも良くね?俺はそれで助かったわけだし。ていうかこれって陽さんの話だよな。だったらそれこそ大丈夫だろ。もし陽さんが悪い奴だったらいまこうして俺にアドバイスなんかしないだろうしな」
「..........はあ、お姉さんは君が心配だよ」
陽さんはため息をつきながら俺の頭を撫でまわす
「でもこれだけは覚えておいて。この世の中善人ばかりじゃない。自分のことしか考えられない奴らなんか腐るほどいるんだから」
『戸塚ぁ....なんでだよ。なんでわかってくれなんだよ!?君には僕しかいない!僕だけが君をわかってやれるんだよ!』
「......わかってるつもりだ」
わかってる。もしこの世の中が善人だけだったら彩加はあんな怖い目にあわなくて済んだんだ
「あ、タクシー着いたみたいだね」
こうして俺たちは互いの母親を肩に乗せタクシーの元まで移動する
「はるのぉ.....もう大丈夫だからね.....」
「......うん」
アハハ、秋穂さん。本当に陽さんのこと好きなんだな
「海斗君、また今度勉強教えてあげるよ。学生である以上成績は取っておいた方がいいんだから」
「やった!助かるぜ」
「そしてまた一緒にご飯行こうね?」
そう言い陽さんはタクシーに乗り込みそのまま去っていく
「それじゃあ俺もそろそろ行くか」
「運転手さん、マンションまでお願いしま~す」
「あ、おはよう」
「おはよう。さあ、久しぶりの我が家ね!」
「俺もあっちに行くのは久しぶりだな」
ああ、あっちって言うのは母さんと父さん、そして俺の3人が一緒に暮らしていたマンションのことだ。二人が海外に行ったころ俺もしばらくは一人でそこで暮らしてたんだが.....あの部屋無駄に広いから一人だと落ち着かねえんだよな。だから俺は母さんから預かっていたお金の一部を使って別にアパートの一室を借りた。そしてそのアパートを俺はメインに使っている。.............学校もこっちの方が近いし
「だったらその前にスーパーに寄りてえ。あの家の冷蔵庫いま何もないぞ」
「大丈夫よ。あのお店に着く前にもう買い物をして冷蔵庫にいろいろ詰め込んでおいたから」
しばらくすると俺たちは目的地であるマンションに到着した
「我が家~我が家♪」
「はしゃぎすぎだっての....」
「仕方ないじゃない!2年ぶりに愛しい息子と一つ屋根の下で過ごせるのよ?...ああ、しあわせ!」
「ったく...」
でも正直に言うと俺も嬉しい。浮かれている自覚はある。だって仕方ないだろ?2年ぶりの母親なんだから
「.....このエレベーターいつ来ても長いな」
「まあ25階だものね」
「なんでもっと下の階にしなかったんだよ」
「だっていつでもいい景色をみたいじゃない!あ、ほら着いたわよ!」
「お、おい引っ張るなって!」
こうして俺たち、親子の時間が幕を開けるのだった
楓side
「お待たせ、海斗~!デザートにデーゲンダッツのアイス食べ....あら、ふふっ」
私がお風呂から上がるとか海斗はもう既に夢の世界へと旅立っていた
「まあ今日は疲れたわよね。今日はこのまま寝かしてあげよ.....そうだ、ブランケットってどこに...あ、あった」
海斗にブランケットかける。でもそのブランケットでは海斗全体を包み込むことはできなかった
「大きくなったわね」
本当に立派になって。体だけじゃなくて心もね。私は海斗の頭を撫でそして額にキスをする
「海斗.....」
数時間前
『お久しぶりです。お義母さま」
私は海斗の元へと向かう前にお義母さまの元に訪れていた。しっかりと正装して失礼のないように私と旦那の近況を伝える。楽しい時間を過ごしていると不快な足音が私の耳に入る
「やはり来たわね」
「..............」
今回、私が日本に来たのは海斗を秋穂たちの手から守ると同時に今目の前にいるこの男が海斗に接触してきたとお義父さまから連絡をもらったからでもある
「12年前の今日のこの時間のパリ、あの悲劇が起きたのよね.........そうでしょ?ジェラード・セルゼルセンさん」
「........ああ」
ジェラード・セルゼルセン.......世界一の料理人、そして
お義母さまを死に追いやった男
「ここは貴方のような男が踏み込んでいい場所ではないわ。そうそうに消えなさい」
「安心してくれ。この花を捧げたらすぐに」
「貴方の献花は認められないと言っているのがわからないのかしら?」
「この花は麗奈先生が好きだった品種で今年やっと咲かすことに成功したんだ。悪いが貴方に止められようがこの花だけは絶対先生に捧げさせてもらう」
ジェラードは私の横を通り過ぎ花を捧げ数秒ほど墓前で黙祷しすぐに立ち去ろうとする
「待ちなさい」
「そうそうに消えろと言ったのは貴方のはずだがミス楓」
「一つだけ答えて。なぜ貴方はわざわざお義父さまのお店に行って海斗と接触したの?」
「......彼を私の生徒にするためだ」
「は....?」
なにを言っているのこの男?頭のねじ、何本か抜け落ちてるんじゃないの?
「正気とは思えないわねその発言」
「ああ。私もそう思う。だが私にも事情というものがある。必ず私は彼をもらい受ける。必ずな」
「わかった。もういい消えなさい。ただこれだけは言わせて........もし海斗を傷つけたらその時は......いかなる手段を使って貴方を潰す」
「ふっ」
ジェラードは余裕そうな笑みを浮かべ踵を返していく
「.....絶対、絶対私が守るからね。海斗」
おまけ
「そういえばさっきネットで調べたんだけど母さんのホテルって世界一だったんだな」
「ええ、そうよ。頑張ったんだから」
「すごいな。あ、カレーパウダー取って」
「は~い」
黒崎海斗の弱点その3,権力や地位に興味がなさすぎる。結論から言うと海斗は今の話を聞いて自分が御曹司である自覚なんてこれっぽっちも芽生えていないぞ★
おまけ2
陽乃side
「お待ちください!」
「待ってくれよ!僕はこんなの知らない!こんなの出鱈目だ!」
「それはないんじゃない?こうまで証拠がそろってるのに.....えっと...万引きに強姦、傷害、うわこれ薬物じゃない?それに未遂で終わったショッピングモールでのこれ....この子まだ中学生ぐらいじゃん....神経疑うわ」
私たちはいま夏上建設まで足を運んでいた。理由はただひとつ今日で夏上建設との関係を全て断ち切るためだ
「う”.....な、なあ陽乃!君はこんな出所もわからない紙っぺらを信じるのか!?僕は君の婚約者なんだぞ!」
「名前で呼ばないでくれる?それに私は貴方の婚約者なんかじゃない」
着崩れた格好に品のない髪型、無駄に肥えた体...はあ、本当に無理...楓様そして海斗君の助けがなかったらコイツと結婚していたという事実に私は身震いする
「貴方方のご子息がこれまでやってきたことを考えると一人の親としてはとてもではありませんが」
「ど、どうかお考え直しを!」
「そ、そうですよ!僕たちと貴方達雪ノ下建設は今まで一心同体といってもさしつけなかった関係だ!もし今日はここで関係を絶ったら困るのは僕たちだけでは...」
「口を閉じなさい」
「ひっ....」
目の前の男はお母さんが発した圧により尻もちをついてしまう
「はっきり言って今ここで貴方方と関係がなくなったところで私たちにはなんの支障もない。むしろ貴方と言う蛆虫と関係を持つ方が百害あって一利なしなのですよ」
「でも一応お礼を言うね。貴方のしつこいアプローチのおかげで私たちはこうしてここに立てている.....」
コイツと無理やり離れるために海斗君を利用して楓様の怒りを買ってしまったけど
「それじゃあ....さようなら」
「く、くそおおおおおおおおおおおおお!」
男の醜い叫び声を聞きながら私たちはその場を後にする
「終わったわね」
「うん......はあ~」
緊張が解けたのか私はその場でしゃがみこんでしまう
「ほんっと...楓様と海斗君には感謝だね」
「ええ。特に海斗君。もしあの子があのタイミングで部屋に入ってこなかったら私たちはいまここにいないわ」
確かに。あの時の楓様の目....あれは間違いなく私たちを狩るときの目だった
「ねえ、もし本当に海斗君を婚約者候補にできたら.....どうする?」
「そうね」
こうして私たちは足取り軽く帰路につくのだった
おまけ3
「いや~戻りたくない!もっとこっちで海斗と一緒にいたいよ~!」
「お、おい!声がでけえ!周りの人みんなこっち見てる!」
俺たちはいま空港にいる。あれからあっという間に時が過ぎ母さんはアメリカへと飛び立つ......はずだったのだが俺の目の前で母さんが駄々をこね始めてしまった
「あっちで母さんを待ってる人が大勢いるんだろ?早く帰ってやれって」
「いやだ!....こうなったら仕事なんかほっぽり出してこのまま....」
「やめろ!」
そんなことしてみろ!どれだけの迷惑がかかると思ってんだ!
「え~ん!え~ん!!!」
「マジ泣きするなよ......はあ....まったく」
俺は母さんに抱き着く
「この二日間、本当に楽しかった。帰ってきてくれてありがとうな」
「ううぅぅ」
「ほら、シャキッとしろ!俺の尊敬する黒崎楓はこんなことでへこたれたりしないだろ?」
「......うん」
母さんは立ち上がる
「母さん」
「いってらっしゃい!!!!!!」
「.......いってきます!」
こうして母さんは手を振りながら歩き出していくのだった。そして俺もあの人の姿が見えなくなるまで手を振り続けるのだった
「さて....俺も行くか」
母さんを見送った俺はバイクにまたがり自分の家に向かっていくのだった。あ、でもその前に
「うわあ...想像以上に余ってるな」
俺はマンションの方の部屋に来て余った食材をアパートの方に持っていこうと思っていたんだが予想以上の量が冷蔵庫には敷き詰められいた
「こんな量...俺一人じゃ絶対無理だぞ。う~ん、どうしたもんか........」
なんかいい方法......あ、そうだ!
『突然悪い、もしよかったら今日俺の家...つってもいつもとは違う場所なんだけど....とにかく俺んちでお泊り会でもしないか?飯は全部俺が作るしお前らは自分の着替えと歯ブラシ...それと気になるならシャンプー類だけ持ってきてくれればいいから。返事待ってるぜ』
「「..............お泊り」」
メールを受け取った、戸塚彩加と三浦優美子はすぐに了承の返事を送るのだった
「海斗とお泊り........これって期待していいんだよね?////////」
「かーくん....////////この前買った下着どこ置いたっけ」
期待に胸を膨らませて二人はすぐに準備を進めていくのだった。そして17時
「「..............」」
「お、来たな二人とも!」
集合場所に約束していた時間にピッタリに着いた二人の期待はすぐに裏切られることになる
「さあ、今日は3人で楽しもうぜ!」
「「はあ.....」」
「ん、どうした二人とも?」
「「別に」」
次回、夜のお泊り編
イラストはピクルーさんのhttps://picrew.me/ja/image_maker/2308695を使用させていただきました。
はい。次回、完全オリジナル第2話、夜のお泊り編です。次回でオリジナル....原作に介入しない話は一旦最後です。
雪ノ下のお母さんの名前は秋穂という名前にしました
そしてここでマル秘エピソード
今回、おまけで明かされた通り陽乃は婚約者候補の男から執拗に迫られていました。その相談を受けた秋穂は親としてなんとしてでも陽乃を護りたいと思いあのような手段を取ってしまいました。まあ、つまりあの男が全て悪いということです。
「ほらな、俺の予想通り事情があっただろ?つうかこの男どっかで見たことある気がするんだよな......ま、あんなやつどうでもいっか」
ちなみに秋穂の中で海斗は楓の息子というのを度外視してもかなり好物件として写っています
「でももし娘のどちらか海斗君と結婚したらあの女もついてくるのよね.......」