死滅回游でも陰の実力者になりたくて!   作:がははw

3 / 3
 「まず、エタるとは…何か(ネットリ」
 「投稿頻度が高いわけではなく、カタツムリより遅いこの作品が呪術廻戦の『平均評価(高い順)』で1位を取っている。これは、いけない」
 「投稿は読者に対し感謝を持ち、月1ではなく、毎日が望ましい。期待させてエタるのは、到底、許されない」
 「あのですね、あなたは投稿は毎日でなければならないと言いますが、それは、あなたの身勝手な、サボりによるものでありまして、これは、あくまでもあなたのやる気次第であります」
 「エタるとはそういったものであるというのがハーメルンの見解です」
 「エタるエタる言ってるけどこれ作者の筆が遅いだけじゃねぇのか」

 評価感想本当にありがとうございます


「アイ・アム……」

 暗く覆われた夜の結界(コロニー)。静寂が支配するオフィス街の路上で、一筋の雷光がアスファルトを爆ぜさせた。

 

「──ハッ!」

 

鋭い呼気と共に、鹿紫雲一が地を蹴る。

 超高密度の呪力が放電を繰り返し、大気をも焼きオゾンの臭いを撒き散らす稲妻そのものと化した踏み込み。狙うはシャドウの鳩尾――だが、シャドウの漆黒の刃が柳のようにしなり、死に誘う拳を無慈悲に跳ね飛ばした。

 行き場を失った衝撃が背後の街灯を直撃し、鉄柱は飴細工のようにへし折れ、火花を散らして事切れる。

 

 (大口叩くだけのことはあるな─)

 

 シャドウとの交戦の中で、鹿紫雲は思考する。

シャドウの─自身が持つスライム状の物質を自在に変容できる術式だろう─それから出てくる攻防の手札の多さ、更にそれらを的確なタイミングで駆使する判断力─目の前の男の強さは四百年前に戦ってきた者を含めても1、2に入る。

 

 面白い─だからこそ、気に入らない。

 

 「またそれかよ…!」

 

 呪具での一撃、それをシャドウは最小限でいなしそのままこちらへ斬りかかる。

回避して攻撃、戦い方としては理解できる─が、良くもない。

 その動きに上半身を逸らして回避し、拳を叩き込みながら叫ぶ。

 

 「オマエっ! 手ぇ抜いてんだろ!」

 

 シャドウの攻撃は綺(・)麗(・)す(・)ぎ(・)た(・)。シャドウの術式なら、先程の動きよりも最適な択─剣を延伸、あるいはもう一本 剣を生成すれば─鹿紫雲の喉に届いているはずだ。

 今まで戦いに消極的で手加減していた奴らもいた。だが、シャドウのそれは明らかに違う。 余裕という名の屈辱に鹿紫雲は血管が逆立つ。

 シャドウは鹿紫雲の拳をスライムスーツで受け止めつつ、口を開く。

 

 「そうだと言ったら、どうする?」

 「…俺は宿儺と─最(・)強(・)と戦うんだよ─」

  「…最強?」

 

 止められた拳に呪力が増していく。

呪力特性─鹿紫雲の呪力は電気と同質であり、接触したスライムに電気分解を促す。スライムはその9割強の水分により伝導性が高く、電気分解で作用されたスライム内の水分が沸騰して水蒸気に変質、スライム内で急速に膨張─高圧が臨界点を突破する。

 結果、スライムがシャドウの意に反し、爆発した。

 

  「え、マジで?」

 「─お前みたいな奴が俺に勝てる訳ねぇんだよ!」

 

 

 黒閃

 

 

 黒い火花が、鹿紫雲に微笑む。

黒閃─ 打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。威力は平均で通常時の2.5乗。

 鼓膜を突き破るような爆音と共に、鹿紫雲は文字通り桁違いの威力をシャドウに与えた。

その場で立ちすくみ、唇から溢れた血が、ゆっくりと顎のラインをなぞっているシャドウ─その胸部から背後の瓦礫が見えるほど無残な風穴が広がっていた。

 

 「─で、宿儺どこだよ」

 

 鹿紫雲はシャドウに興味をなくした。強くはあったが、所詮敵の強さも見極めれらず油断した弱者。そこに黒閃での一撃。胸部に穴が空いている以上心臓もなく、シャドウが生きているとは思えない。鹿紫雲はシャドウを背に宿儺(最強)を求め歩き出そうとしていた。

 

 その時だった。

 

 「っ!」

 

 背後から飛び道具での奇襲。長年の経験と驚異の反射神経で回避できたが、頬を掠め皮膚が弾ける。

 

 「心臓を貫いたんだ─生きてるとは思わなかったぜ」

 「心臓など、魔力でいくらでもズラせる」

 「は、そうかよ」

 

 (反転術式…! それも高次元の…!)

 

 鹿紫雲は今、2つのことに驚愕していた。

まず、シャドウの呪力操作の極致。シャドウが心臓をズラしたとはいえ、直撃の瞬間、胸部に呪力を極限まで集中させてダメージを最小限に抑え込んだのだ。

 

 そして2つ目は今シャドウが行っている反転術式。通常、反転術式は負の呪力を掛け合わせる性質上、その輝きは白く変質する。だが、シャドウが纏うのは変わらぬ紫だった。

 

 (負の呪力を反転させるロスがない…? つまり消費は他者の半分、効率は二倍かよ!)

 

 紫の細い糸が傷口を縫合し、瞬く間に肉体を再構築していく。その間も、シャドウはこちらへの牽制を一切怠っていない。

 その事実に少し口角を上げながら、鹿紫雲は再度武器を構える。

 

 「─貴様、名は」

 「今は鹿紫雲で通してる」

 「そうか、では鹿紫雲─」

 

 シャドウの気配が変わった。

 全身から溢れ出す紫の波動。それは先程までのものから、大気を物理的に押し潰すほどに高純度な魔力へと変質していく。

 真紅に染まった瞳に見据えられた瞬間、鹿紫雲の背筋に戦慄が走った。四百年前、数多の強者と対峙してきた彼の本能が最大級の警鐘を鳴らす。

 

(……空気が重い。呪力を練る端から、奴の『圧』が俺に重く圧し掛かってきやがるっ!)

 

鹿紫雲はあえてそのプレッシャーの中へと踏み込んだ。

 迎撃のために放った左拳。だが、シャドウの周囲に渦巻く魔力の防壁に触れた瞬間、鋼鉄の塊を打ったかのような凄まじい反動が拳を伝って肩まで突き抜けた。

 

(硬ぇ…! 呪力操作の次元が違う!)

 

攻守の天秤が、音を立ててシャドウへと傾く。

 一瞬たじろいだ鹿紫雲の視界から、シャドウの姿が掻き消えた。

 

 (攻撃がさっきより重い!)

 

 剣撃で意識を注目させ、背後からの弾丸で1発。それに命中した鹿紫雲は不意を突かれ、漆黒の刃が直撃する。黒閃によって得たゾーン状態の鹿紫雲相手でも捉えられないシャドウの攻撃。

 

 (スゲぇ…! さっきとはまるで別人…!)

 

 鹿紫雲が募らせていたシャドウへの苛立ちは消え失せ、残ったのは強者と戦えるという歓喜のみ。

 

 「本気を出すが…壊れるなよ?」

 「おい─あんまワクワクさせんなよ」

 

♢

 

 闘いは対話であると僕は思っている。

 視線や足の位置、武器の揺らぎ─些細なことすべてに意味があり、その意味を読み取り適切な対処をすることが闘い。そして些細なアクションから意味を読み取る力、それに対してより良い回答を用意する力こそが、闘いにおける強さだといえる。だから、闘いとは対話なのだ。

 

 互いの対話能力が高ければ高いほど、先を察し、それに対処し、さらにそれを察し、さらにそれに対処する、そうやって無限に対話が繰り返される。

 しかし対話能力が低かったり、対話能力に差があったりするとそもそも対話が発生しない。

どちらか、または両方が、ただやりたいことをやって終わる。

 

 そういう僕も他人の事を言えない。何故なら対話らしい対話をしてこなかったから。

最初は対話しようとしているが、圧倒しちゃってワンパターンで終わる。 それがいつもの、対話としてはつまらない僕の闘いだった。

 しかし、今はどうだろうか。電気という面白個性を持った主人公君が手を変え品を変え僕を倒そうと剣先を、視線を、足の動きを、どこか笑みを見せながら僕の動作全てを見ていた。 こんなに楽しいのはヴァイオレットさん以来だろうか。

 

 彼の闘い方は遠距離も可能な近距離スピードタイプ。あくまでもこっちを完封させようとしている戦闘狂(バトルジャンキー)─僕に一撃を加える実力含め、流石は主人公といったところか。

 

 そして僕は理解した。今回のシナリオは『陰の実力者修行編』ということを。

既にそこそこ強い主人公、その者が言う『最強』を見た陰の実力者が「まだまだ修行が足りんか」とか言いながら特訓し、最後には覚醒した主人公と最強(ラスボス)を倒すシナリオ─陰の実力者のサイドストーリーとして決して見逃せない強化イベントだ。このシナリオを踏破した暁には、僕の実力はこれまでの陰の実力者ロールプレイとは天と地ほどの差が発生するだろう。

 砕け散ったオフィスビルのガラスが月明かりで輝き戦場を彩る。うん、演出もバッチリだ。

 

 「なかなかやるようだな、鹿紫雲」

 

 でも、このままだと三日三晩闘っても終わらないだろう。楽しい時間であればあるほど、幕引きも早く感じる。

 

 「こっちのセリフだ─初めてだぜ。オマエみたいな奴」

 「そうか…ならば、頼みがある」

 「……ンだよ」

 「───死んでくれるなよ」

 

 だからこそ、ポストリュードはド派手に決めないとね。

 

♢

 

 (何だ、これ)

 

 鹿紫雲は一瞬茫然とした。シャドウの呪力が爆発的に溢れ出し、その高まった魔力は青紫の線となって実体を露わにしたのだ。 細い、細い、幾筋もの線が稲妻のように、血管のように、シャドウを取り巻き、光の紋様を描き、 漆黒の刃に魔力が集い紋様を刻む。 螺旋を描きながら力を集約させる。全てがその螺旋に吸い込まれていくように。

 周囲の空気が、空間が、万物が、重く沈むような感覚が鹿紫雲を支配する。

 

 鹿紫雲はこの感覚を知らない─いや、知っている。この大量の呪力量。そしてシャドウと自分を覆うようにして存在するこの呪力。

 

 (使って来たか─領域!)

 

 領域展開─人の「生得領域」を、術式を付与して呪力で外部に構築した『閉じこめる』ことに特化した結界。

 『呪術戦の極致』ではあるが、シャドウほどの猛者であれば当然持っている鬼札。鹿紫雲は即座に対抗策を講じる。

 

「彌虚葛籠」

 

 簡易領域と同じで、術式の付与された結界を中和することで領域展開の必中効果を無効化する。領域後の術式の焼き切れを狙う鹿紫雲の策は本(・)来(・)な(・)ら(・)ば(・)間違っていない。

 

 「アイ」

 

 (なんだ、この違和感は…領域の構築にしては遅(・)す(・)ぎ(・)る(・))

 

 本来、領域展開は一瞬で世界を塗り替える。だが、シャドウの技はあまりにも溜めが長い。

 

 「アム」

 

 (景色が生得領域に代わっていく気配もない─そうか! こいつの攻撃は─ )

 

 鹿紫雲の予想を裏切り、エネルギーは「空間」ではなく「剣の先端」へと一点集中されていく。それは世界すらも歪める、暴力的なまでに純粋なエネルギー。

 

 (─領域展開、じゃない。これは、もっと単純で、もっと馬鹿げた──)

 

 「アトミック」

 

 青紫の光が、世界を塗りつぶした。

 




 呪力だの魔力だの表記がバラけてるのはシャドウ視点だと魔力だけど鹿紫雲視点だと呪力だからです 
 お気に入り登録高評価…待ってるよ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。