-翌日-
梢と花帆の姿は、梢の家の前にあった。
「ふう、ようやくついたわね」
「け、け…」
「け?」
「兼六園級じゃないですか!?」
梢の家_もといお屋敷を見た花帆は、大声でそう叫ぶ。
「なにを言っているの、花帆。兼六園は11ヘクタール。約3万坪もあるのよ。さすがにそこまでじゃないわ」
「え、ええぇ…?」
梢の言葉に、花帆は困惑した。
「それに、広さという意味では、花帆のご実家は我が家以上ではなにのかしら」
「うちはほとんど山ですもん~!」
長野出身である花帆は、梢に返した。
「時間があれば、花帆のために歓迎の演奏会を開いてあげたいのだけれど、今回は作業に集中をしたいから、またの機会にしましょうね」
「演奏会……!?」
「ふふっ、未来のお母様が居たらもっと凄い演奏会になるわね」
梢から飛び出した言葉に花帆は驚く中、梢は続けてそう言った。
「あ、あの、あたし、次来るときはドレスとか着てきたほうがいいですか…!?」
「あら、それもかわいいわね。でも、大丈夫よ。私が中学の時に来ていたものが、いくらでもあるから」
「い、いくらでも…!やっぱりすごい、梢センパイ…!」
そして、二人は梢の家の中に入っていった。
そこで迎えていたのは_
「梢ちゃん、久しぶりね」
「あら、
「ええ、梢ちゃんが帰ってくると未来から聞いて待ってたわよ」
「えっと…?」
花帆は、目の前で繰り広げられる会話に追いつけてなかった。
「花帆、紹介するわね。この人は_」
梢が花帆に対して説明しようとすると、美咲と呼ばれた女性が花帆に自己紹介を始める。
「初めまして花帆ちゃん、私は、夜空美咲。未来のお姉ちゃんだよ。よろしくね」
「えええええ!?!?」
**********
その後、簡単な自己紹介をして、梢は花帆に自宅の紹介を始めた。
「というわけで、ここが音楽室よ。…あら、どうしたの?花帆」
「い、いえ、客間に荷物を置かせてもらってからも、かなり歩いたので…梢センパイ、自宅でもトレーニングしてたんですね…!」
花帆の言葉に苦笑いを浮かべる梢。
それとは対照的に…
「花帆ちゃん、これぐらいでへばっていたらステージで倒れちゃうわよ。もっと頑張らないと!」
美咲は、熱血だった。
「美咲さん…もう少し休んでからにしませんか…?」
「何言ってんの梢ちゃん!昔の梢ちゃんならもっと厳しい事言ってたじゃない!いつからそんな丸くなっちゃったの!だめだよもっと厳しくしなくちゃ!」
「えっと…」
美咲の圧力におののいてしまう梢。
「大丈夫です!梢センパイ!今回は作曲のために来たので、早く進めましょう!一泊二日しかありませんし!」
「わかったわ。実はね、曲のイメージはもうできているの」
「わあ、さすが梢センパイ!」
「ただ、できているのはあくまでも大枠だけ。ここから細部を詰めていかなきゃいけなくて」
梢がそう言うと、美咲が
「その作業が大変らしいね、私はやった事ないけど」
「そうなんですか?」
美咲の言葉に花帆は聞き返した。
未来もそうだが、もう一人の姉である樹里も音楽家だったのでやった事がないのを聞いて内心驚いている。
「うん、私、音楽はさっぱりだからね。運動しかできないからさ」
と笑いながら言う。
「逆に樹里さんは、運動あまりできませんからね」
「そうなんだよね。未来は両方できるから羨ましいわ」
「ふふっ、それでよく樹里さんと喧嘩してましたをよく覚えてます」
「あの樹里さんと…」
梢が昔の話をして、たった数日だけだったがなんとなく樹里の事を知ってる花帆にとっては想像がしやすかった。
「おっ?花帆ちゃん、樹里と会った事あるんだ」
「はい!以前、学校の事で助けて貰いました」
「そっかそっか。あの子、蓮ノ空の事になるとなんでもやっちゃうから困ったもんだよね。未来が可愛いのは分かるけどさー」
「でも、ネット禁止令が出されそうになっていたので本当に助かりました」
「まぁ、こんな事言ってるけど、反対派の人間殴ったの私なんだけどね」
と舌を出しながら言う。
「…それって大丈夫だったんですか?」
「うん、反対派の連中に都合の悪い事を脅したらすんなり聞いてくれたよ。あ、それに関しては大人の話だから内緒ね。知っちゃったら花帆ちゃんに何するか私、分からないかも…?」
「ふぇぇぇ…」
「美咲さん、花帆の事をいじめないでくださいよ」
「分かってるわよ。それじゃあ、二人で良い曲を作ってね。ライブ応援してるから。それと未来にもよろしく言っといて」
美咲はそう言って、二人の前から姿を消した。
「凄い人でしたね。えっと…」
「美咲さん。あー見えて、世界を飛び回るプロ選手なの」
「ええええ!?そんな凄い人だったんですか!?」
「未来の家にたくさんトロフィーがあるわよ」
「未来先輩のお姉さんも凄い…!」
「もちろん未来も凄いからね?」
「はい!それはもちろん知ってます!」
元気よく言う花帆に、梢は微笑んだ。
「ふふっ、じゃあ、早速始めましょう、まずはメロディーラインを確定させるところから」
「はい!よろしくお願いしまーす!」
夜空美咲、未来の姉であり、樹里の姉。
彼女もまた、蓮ノ空における賛成派の一人である。
樹里がピアノで世界を飛び回っている中、彼女はスポーツで世界を飛び回る天才のアスリート。未来が両方できるのは、二人の姉のおかげでもあり、二人のせいでもある。
未来の事になると二人が組んでかなり強いのだが…普段は、関わら漏斗しないのである。
また、梢を妹のように接している。
樹里は吟子ちゃん派閥に対し、美咲は梢派閥である。←ここでも喧嘩が起きそう