大魔術師の幻影となる者   作:蓮太郎

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1.2番目の男性操縦者は映像部長

 

 それは、なんの前触れもなく突如現れた。

 

 人な形をしているが、明らかに人間よりもはるかに大きい巨大であり肉体らしい肉体を所有していない怪物が突如として人の街を襲う。

 

 砂や石で身体を構成しているサンドマン、風を巻き起こし雷と嵐の巨人サイクロン、水の巨人ハイドロマン、炎と溶岩の巨人モルトンマン。

 

 無秩序に、なんの脈絡もなく破壊活動を続ける怪物に人類はなく術がないのか?

 

 否!彼が居る。

 

 彼らをエレメンタルズと呼び別の次元からやってきたヒーローが人類のために立ち上がる。

 

 そう、そのヒーローの名は…………

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「カァット!ははっ、どうだ?ショートムービーだがハリウッドにも負けない作りだよな!?」

 

「すげえや部長、これで来月の賞は総ナメできますよ!」

 

「まあまあまあ、俺にかかればこれくらいは出来るからな!」

 

 と、ここまでは全て映像上の物語。

 

 中学3年生、映像研究部部長である北川英二が部活動内で作成したショートムービーの上映会を行なっており、彼の作り出した映像を見て後輩たちが賛美する。

 

 実際に彼が作り上げたショートムービーは学生の域を超えており、業界でも通用する才能があった。

 

「ま、いつもの通り女性優遇されてそうですけどね」

 

「見る目がないだけだ!俺の作品はどれもこれも傑作だっていうのに、男だからって点数下げてくるからな。ふざけんなよ…………」

 

 だが、残念なことに今の時勢を支配しているのは女性。何故か多くの権力を有する立ち位置に昔と比べて女性が多くなっているのだ。

 

 それもこれも全てとある発明により世界のパワーバランスが大きく崩れたことが由来している。

 

 インフィニットストラトス、略してISと呼ばれる女性しか使用できない『兵器』がとある天才により発明され、既存の兵器を大きく上回る性能からそれを巡り多くの争いが起きた、らしい。

 

 推測のような言い方なのは、所詮学生である英二に裏の事情を知る術がないからである。

 

 当然だ、普通の学生に何が出来るというのだ。

 

「あ、そう言えばISに初めて男の登場者が見つかったから全員に適性検査するっていう話ありましたよね」

 

「いやー、夢あるよな!部長、もし自分がISに乗れるってなったらどうします?」

 

「無理無理、あんなの乗ってられるかって。スポーツに使うとか言ってるが、結局は兵器だろ?そんなもん乗れるってなればIS同士の殺し合いに連れてかれるに決まってる」

 

「ゆ、夢も希望もない…………」

 

「夢を作るには現実を知っておかなきゃいけないだろ」

 

 ドライな発言だが、男である英二は何の感傷もなく、むしろ無関心であった。

 

 映像の世界はチームで作るもの、何故動いているかもよく分らない道具に翻弄される暇があれば多くを取材してムービーを作ることが彼の中で優先されている。

 

 とはいえ、強制的に課された義務に反するほど偉くもないため適性検査にはいく。

 

 自分が引っかかる道理もない。そもそも関係者の血縁でもないためそのような余裕を持っていた。

 

 そんなことよりもコンテストに提出するショートムービーや次にどのような映画を撮ろうかと思考する。

 

 新たに羽ばたける夢を妄想しながら栄光を掴めると信じ切っていた。

 

 そして適性検査当日。

 

『ピ――――――――!」

 

 甲高い機械音、今まで何百人と触れられてきたが一切の反応を見せなかった検査装置が明らかな異常反応を見せ光る。

 

「嘘、適正者!?」

 

「待って待って、逃げるな!」

 

「捕まえなきゃ…………!」

 

 予想だにしないところから適正者が現れ、何故か逃げ出す適正者こと北川英二。

 

 もうすぐ自分の現時点で傑作と言える映像をコンテストに出すというのに余計な事で妨害されてはたまったものではない。

 

 しかし、相手は国家権力。いくら逃げようと一般人と様々な器具を自由に使える相手と比べ物になるはずがない。

 

 ISまで動員されあっという間に確保され、強制連行されるもなすすべ無し。

 

「離せ!離してくれ!せめて来週、来週のコンテストだけ参加させてくれ!俺の人生の機転になるんだ!頼む!」

 

 いくら懇願しようとずっと楽しみにしていたコンテストに参加できることはなく、様々な検査をするべく監禁された。

 

 そして、あらゆる可能性があった進路を全て絶たれ、北川英二という2番目の男性操縦者は日本のIS学園へ強制的に入学させられることになる。

 

 彼自身を様々な要因から守る措置ではあったが、現時点で夢を断たれた北川英二がどう思っているかは言うまでもない。

 

 そして、彼が後に大魔術師と呼ばれるようになる全ての始まりに過ぎなかった。

 

 良くも悪くも…………

 

 





北川英二
主人公であり映画作りが大好きな少年、だった。
映画作成に当たってはハリウッド級の才能があり、このままコンテストに出たら入賞は間違いなかった。
身内にISに関わる者はおらず、本人も何故適性検査に引っかかったか分からないが、適正もかなり下の方である。
名前は池上版スパイダーマンのミステリオの名字である『北川』と映像から『英二』と付けました。


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