揺蕩う旅人の記   作:篝火サスケ

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3. 富津金谷(後編)

10:48- 浜焼き屋さん

 

再び戻って浜焼き屋さんへ。駐車してお店を見ると、朝陽さんが入り口の近くにいるのが見えた。

 

「朝陽さん、お待たせ。いいお土産は見つかった?」

「湊さん!うんうん、イセエビとかブリとか旬のものがいっぱいあったよ!そっちはどうだった?」

「こっちも、自然と人工の調和がとれた、すごいいい景色を楽しめたよ」

 

お互いに撮った写真や買ったものを見せあったりしていると店員さんが番号を呼び始めた。私たちの番もそろそろなのでお互いに準備をしていく。

 

「20番の方~」

「はーい!」

 

朝陽さんが大声で返事して、案内が入る。入ってすぐそばに貝や刺身などがたくさん並べられている。すごい、これ全部食べ放題!?

貝は3種類かな。どれもおいしそうだね。

 

そのまま食べ放題の注意点などいろいろ説明される。食べ残しが現金ということ、食品の持ち込みが可能ということなどいろいろだった。

持ち込みありの食べ放題ってあるんだね。初めて知ったよ。

 

そして、席へ案内される。おお、窓際の席だ。東京湾が見えるね。

 

「さて、じゃあとってこようか!」

「お先どうぞ、私は荷物番でもしています。網が温まるのに時間がかかりそうなので。」

「わかった!ホタテとか食べる?一緒にとって焼いておくね!」

「ありがとうございます」

 

さてさて、今日はホタテとハマグリ、ホンビノスだったかな?他には刺身や肉類も少しあった。

いいね、おいしいご飯をいっぱい食べられそうだ。

 

何を食べるか考えていると、朝陽さんは戻ってきた。今度は私が取りに行く番だ。

どうしようかな。貝類は朝陽さんがたくさん持ってきていたから、海鮮丼と肉も少し持っていこう。

 

席に戻ると、朝陽さんはもう焼き始めていた。網で蓋をしているのでぱっと見で分かりにくいけど、ホタテとホンビノス、サザエを焼いているようだった。かご2つ分焼いている。

 

「お待たせいたしました」

「おぉ!海鮮丼か!いいねぇ、焼けたら後でとりに行こうかな?」

「えぇ、新鮮なものが多そうだったのでいいと思います」

「オッケー、あと、テキトーに焼いているから好きなもの持って行ってね!」

「ありがとうございます」

 

かごを見ると貝が焼けるのはまだ時間がかかりそうだ。卓上には醤油とかがあり、調味料も問題なさそう。ほんとはバターがあればよかったんだけど、有料だったんだよね。

貝に火が通っていくのを見ているのはいいね。貝の肉汁が沸騰していく音がする。ひっくり返したほうがいいものはひっくり返しつつ、話していく。

磯の香りが広がり、食欲がそそられる。

 

「もうそろそろ火が通ったっぽいし食べようか。」

「そうですね、ではいただきましょうか。朝陽さんは何食べたいですか?」

「じゃあホンビノスとホタテもらうね」

「わかりました、ホタテとサザエもらいます」

 

ホタテはおいしいのはいいんだけど、貝殻が大きいから占有面積が大きいんだよね。、だから貝殻飛散防止用の網の中に入れるとあんまり焼けないんだよね。

今回もこの4つしか焼いてないし。

 

「「いただきます」」

 

さてさて、いざいざいただきましょうか。まずはホタテから。

貝柱、結構強くくっついちゃっているなぁ。あんまりきれいに剥がれそうにないや。

とれた部分を口に入れると、ホタテの繊維がほどける感じもありながら肉厚で濃厚な甘みがやってくる。

うん、やっぱり貝類の中では一番のお気に入りかも。

 

「おいしいですね。やっぱり甘めの味がする」

「そうだね、バターがあればよかったんだけど…。」

「バター、100円で売ってましたよ」

「本当!?いやぁ、でもどうしよっかなぁ。高速代で結構お金払っちゃったからね」

 

誤差のような気もするし、旅行先ならお金をたくさん使うべきだと思うから、私は買ってこようかな。

 

次にサザエ。確か人生で2回目かな。蓋を外して串を使って身を引っ張り出す。あんまりやったことはないけど、朝陽さんがやっているのを見よう見まねで何とかなるものだね。

ぷりぷりした身で先端のほうが黒っぽくなっている。黒いのは肝だったかな?

口にするとぷりぷりとこりこりが合いまった食感と肝の苦みが口の中に広がる。うーん、身の部分はすごい好きなんだけども、肝の苦みはあんまり好きになれなさそう…。

 

 

そうしていろいろな貝や海鮮丼、魚などを食べていった。網2つしか置けないので貝類のサイズなどに気をつけながらだけども。

それにしても朝陽さんとの会話は楽しい。それぞれの旅行の体験談など話しているとそろそろ終わりの時間になっていた。

 

「朝陽さんはこの後どこか行くところとかありますか?」

「私は友達のお見舞いに行こうかな?冷蔵庫にあんまり在庫がないみたいな話していたし、心配だから買っていくよ。湊さんもついてくる?」

「いや、さすがに見ず知らずの人に体調悪い中来られても困惑するだけでしょう。」

「そうだよねー」

 

たはー、と冗談めかして笑う彼女を見ていると何とも言えない感情になる。

改めて私はどうしようかな。あっ、そうだ。

 

「私は朝陽さんがおすすめしていたお土産屋さんに行ってから帰ります。」

「あぁ、すぐそばにあるあそこね!魚とかバウムクーヘンとかいっぱいあったよ!」

「バウムクーヘンもあるのですか、いいですね」

 

甘党の私的にはバウムクーヘンは結構お土産としてありだ。せっかくならいくつか買っておこうかな。

 

そうして時間いっぱいまで食べ続けた。軽く片づけをしてから店を出る。

 

「今日はありがとうございました」

「こっちこそありがとうねー!」

 

こうして、お互いの旅の話をした際に、私は近くのお土産屋さんの方に、朝陽さんは車の方に向かっていった。

朝陽さんとの会話、楽しかったな。

 

 

「ふふっ、湊ちゃんとはまた会いそうな気がするなぁ。」

 

 

 

 

 

12:45- お土産屋さん

 

おおー、すごい。バウムクーヘンを作っているのを見ることができる。というか、よく見る円柱形のものじゃなくてのこぎり状のものになっている。

あっ、説明が書いてある。なるほど、近くにある鋸山からのこぎり状のバウムクーヘンにしたのね。

 

あ、試食がある。外柄に砂糖がかかってておいしかった。ほかにもいろいろ見ていくと、バウムクーヘンの穴の中にカスタードが入っているものなど、甘めのものが多かった。

とりあえず、バウムクーヘン1つととカスタードが入ったものを3つかごに入れておく。

 

次は魚コーナー。すごい、イセエビとかある。朝陽さんも言ってたなぁ。気になる。あーでも、帰りはフェリーで帰ろうと思ってるんだよなぁ。

じゃあ、生ものはやめておいて干物とか買っておこうかな。アジの開きを買っておこう。

あとはー、いや、食べ放題とかでお金を使いすぎたし、このくらいでいいかな。

 

 

 

 

 

15:00- 金谷港

 

金谷港から久里浜港に向かうフェリーの乗船券を買う。そして、すぐに乗船準備に取り掛かる。周囲の探索をしていたら時間がぎりぎりになってしまった。

大慌てで車を船に入れると、そこから船内に乗る。

 

ここから久里浜までは40分くらいだったかな。あっという間なんだよね。

船内は屋上のデッキと売店、先頭にある展望スペースがあった。展望スペースに行くと大きな窓で海を広く見渡すことができた。

しばらくは先頭の方にいようかな。

 

広い海、冬の終わりで日の時間も伸び、夕刻ではないもの白っぽい空となっていた。

スマホも触らずに、誰にも邪魔をされない、海に揺蕩い、何も考えない時間。落ち着いて考え事をするにはいいね。

 

今日はいろいろあった。旅行中に人と一緒に久々に行動した。たまには人と一緒に行動するのも悪くない、かな。

 

…。たまにはあいつらと行動してみようかな。

 

海を見ながらぼんやりとそんなことを考えているとスマホが揺れた。

 

もう神奈川が近づいたのかなと考えながら画面に視線を移すと思わずにやけてしまった。

 

『車をいじったからドライブ行こうぜ』

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