ハンター協会の美食料理人   作:火取閃光

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ヒソカ戦中盤です。楽しんで頂けると幸いです。


第33話

 ヒソカからクリティカルとヒットを先取したルキウスは懐から10枚の束になった葛の葉を取り出す。

 

 そして、会場入りから持っていた宇迦之御魂神と言う白い狐の剥製と葛の葉や枝木で作り、具現化系で肉付けされた依代人形の念獣に食べさせた。

 

 人手不足の孤人料理軍団(ファックスマンアーミー)。この能力によって人形が食べた葛の葉は、枝木を通して急速に成長して蕾が出来ると分離して新たに植物で出来た狐人形が生まれた。

 

 明らかに操作系念能力者からは逸脱した能力にヒソカは目を見開きながらも、何かに気が付いたのか試合開始前よりも笑みを深めていた。

 

「クックック……! 君、もしかしなくても特質系でしょ?」

 

「あぁ、そうだよ。幻滅したか?」

 

「まさか♦️ この試合がより一層、楽しくなって……! ボク、興奮してきたよ❤️」

 

 ハンター試験から強いと分かっていた事だけど、まさか野良の特質系念能力者だとは思っていなかったヒソカは血が沸き立つ衝動を抑えられなかった。

 

 ドス黒いオーラを全開にしながら興奮を隠さないヒソカに観客席にいるゴンやキルア達はゾッとする様な寒気を感じていたのだった。

 

「さて、お喋りばかりしていては観客達が退屈してしまう。そろそろ、一緒に遊ぼうか」

 

「そうだね♣️ そろそろ、()ろうか❤️」

 

 ルキウスが特質系念能力者であると理解したヒソカは宛ら本気モードと言わんばかりにオーラを漲らせて構えを取った。

 

 ルキウスの能力である人手不足の狐人料理軍団が、ただの人形を作り出すだけの能力ではない事を本能的に見抜いていたからだ。

 

 この能力を使うにあたりルキウスは両手の五指から念糸を使い宇迦之御魂神と言う念獣を経由して、作り出した10体の葛の葉狐と言う式神を操作する制約を課している。

 

 その為、能力を発動中はそれ以外で両手が使用出来ないと言う割と重い制約がある。

 

 しかし、本来であれば念獣操作をわざわざ念糸で行う必要は無い。念能力で作り出された念獣は当人のオーラ操作技術によって操作可能だからだ。

 

 では、何故わざわざ制約としてそれを盛り込んだのか? その答えは今正にヒソカを苦しめていたのだった。

 

 宇迦之御魂神で作り出された10体の葛の葉狐達にはそれぞれ固有能力が付与されている。

 

 火炎、氷水(ヒスイ)、腐敗、電気、灰煙、増殖、暗香、念弾、変身、分身の10種類の固有能力である。それが1体の式神につき1種類ずつ使えてヒソカを攻撃していた。

 

 10体の式神・葛の葉狐の固有能力は以下の通りである。

 ①火炎 火炎放射を放つ。

 ②氷水 触れた瞬間に凍る水を放つ。

 ③腐敗 触れた瞬間に生物、無生物問わず分解したり腐る。

 ④電気 電撃波を放つ。

 ⑤灰煙 灰や煙を撒く。

 ⑥増殖 蔓や葉っぱを自己増殖して操る。

 ⑦暗香 アルコールやガスを発生させて操る。

 ⑧念弾 純粋に超高威力の念弾を連射する。

 ⑨変身 ルキウス本人に化けられる。

 ⑩分身 コイツが倒されない限り他が蘇る。

 

 この能力はルキウスのサブ能力であるが戦闘用の能力では無い想定で作られた発を戦闘用に応用していた。

 

 この発は料理長の施設管理鍵(グルメホテルのマスターキー)が作られる前に作った発で、無人島や秘境の地で拠点構築をする際の利便性と遊び心を追求した2番目の能力だ。

 

 操作系と具現化系をベースに放出系と変化系を複合させた拠点構築用の能力であるが、ルキウスの遊び心によりかなり応用力の幅が広がっており戦闘用としても使える仕様である。

 

 葛の葉狐の式神達が絶え間無く固有能力を使いヒソカを苦しめる。近付く隙を与えず変化させたオーラを放ち、それをヒソカは回避するなりして防御に努めていた。

 

 それでも類い稀なる戦闘センスを持つヒソカは各式神達の固有能力について冷静に分析して、少しずつ適応しながらこのスリルを楽しんでいた。

 

 人手不足の狐人料理軍団は多種多様の能力を物量で押し潰すのが戦闘時のコンセプトではあるが、現状のヒソカを見る限り決め手に欠けていた。

 

 元よりルキウスの本質は料理人であり、動植物専門の狩人だ。対人戦闘専門で尚且つ戦闘狂であるヒソカと比べて体術は同等か少し劣る上、戦闘センスは圧倒的に負けている。

 

 だからこそ、彼の強みである多彩な発とオーラ総量に加えて長年培ってきたオーラ操作技術でなんとか対抗出来ていた。

 

 ルキウスとヒソカの試合はとても激しく凄まじい内容だった。どちらもフロアマスターを超えるの闘士である。実質バトルオリンピアみたいな盛り上がりだった。

 

 トランプを使う奇術師ヒソカと奇怪な人形を使う傀儡師ルキウスの戦いを見て、ゴンやポックル達は念能力の奥深さを目に焼き付けていた。

 

 そんな観客席の中で1人、彼等の試合を見て愕然とする者がいた。彼の名前はカストロ。200階クラスの闘士でヒソカとの再戦を熱望していた人物だ。

 

 彼は2年前に200階クラスへ上がった時にヒソカによって洗礼を受けて念能力に目覚めた過去がある。

 

 独学ながら念能力を鍛えて、この2年間更なる強さを得た。この力であればヒソカには負けないと裏打ちされた自信に満ち溢れた彼だったが、目の前の試合を見てその自信が崩れ落ちるのを感じていた。

 

 明らかに今の自分はヒソカとルキウス達のいるステージに到達していない。才能が溢れる彼だからこそハッキリと感じ取り悔しさを胸に試合を観戦していたのだった。




人手不足の孤人料理軍団(ファックスマンアーミー)
具現化・操作・放出・変化

宇迦之御魂神 念獣
白い狐の剥製と葛の葉で作った依代人形を具現化系で念獣に変化させる。

枝木を通して急速に成長して蕾ができると分離して新たな植物で出来た式神・葛の葉狐の人形が生まれる。

 宇迦之御魂神の能力
 能力発動中に葛の葉を食べる事で葛の葉狐を生成する。葛の葉狐の操作は宇迦之御魂神を経由して操作する。

 10体の式神・葛の葉狐の固有能力
 ①火炎 火炎放射を放てる
 ②氷水 触れた瞬間に凍る水を放つ
 ③腐敗 触れた瞬間に分解したり腐る
 ④電気 電撃波を放てる
 ⑤灰煙 灰や煙を撒く
 ⑥増殖 蔓や葉っぱを自己増殖して操る
 ⑦暗香 アルコールやガスを発生させて操る
 ⑧念弾 純粋に超高威力の念弾を連射する
 ⑨変身 ルキウスに化けられる
 ⑩分身 コイツが倒されない限り他が蘇る

制約
①能力発動中は宇迦之御魂神並びに葛の葉狐の手動操作の為に使えない。
②能力発動中は他の発が使えない。
③宇迦之御魂神を破壊されると能力解除となり、再使用の為には宇迦之御魂神の依代に葛の葉を食べさせる必要がある。

重めの制約をあえて盛り込む事で、具現化出来る念獣のスペックを向上させる狙いで作った。
本来は無人島などでサバイバル拠点構築の際、便利に使える人手が欲しいと言うコンセプトで考えて、遊び心を追求した結果出来た2番目の能力。

丁度、ジャポンで葛餅について研究していた時に思いついた。
能力のコンセプトは拠点構築って意味もあるけど、固有能力の属性はほとんど料理に使える物で構成されている。
それをヒソカ戦では戦闘用に代用しているだけである。
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