原作的には【ガンダム】ですが、話の内容的にガンダムと呼んでいいか分からず、とりあえずコチラに。
尚、試作品集の方に出している【賢者の孫】を原作にハイド主人公版のを、コッチに移すべきか悩み中。移動した方が読みやすいという方がいらした時は言って下さいませ。
これは、あり得ないはずの歴史が現実となってしまった未来の物語であり。
あり得てはいけないはずの歴史が現実となってしまった未来の物語でもある。
宇宙世紀0079。
地球から最も遠い宇宙植民地サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦に対して独立戦争をしかけてきた。
戦局は当初、人類史上初の人型機動兵器『モビルスーツ』を開発したジオン側優位に進んでいたが、連邦側もまたモビルスーツ開発に成功したことで戦局は一変させられ、徐々にジオンは追い詰められてゆく流れへと陥っていく―――はずだった。
だが、しかし。
一人のジオン軍将校が、自らの意思に賛同する同士達と共に決起して連邦・ジオン双方からの独立を宣言。
誰もが疑わなかった、部下に離反されて戦力が二分されたジオン軍に対する連邦軍の勝利。
だが、連邦軍からも賛同者たちに離反されてしまったことで、当初の予測は完全に裏切られ、戦局は混沌化したまま開戦から一年以上の時が過ぎても終戦を迎えられなくなってしまっていた。
戦争が長期化したことで、次々と開発されていく両軍の新型MS群。
そんな高性能最新鋭MSを次々と生みだしまくる事こそが、現代の戦争の在り方となってしまった宇宙戦争の時代の中。
「飛び道具など不要! 旧ザクこそが漢の美学!!
上に立つ力ある者ほど旧式MSで戦う義務があり、下に立つ弱き者だからこそゲルググで戦う資格を有する!
その覚悟ある者達は、我のもとに集い、共に戦おう!!
この――ハイド軍団の旗の下に!! ジーク・ハイドッッ!!!」
そう叫んだ若きニュータイプ戦士にして、妙なカリスマ性と強さで快進撃を続けるジオン軍の裏切り者将校の思想と考え方は、完全に徹底的に時代と逆行しまくっていたものだったのだが。
大半の者達からは「なに言ってんだコイツ・・・?」としか思われなかったものの、極一部の特殊な性癖なり趣味のある者達からはカルト的な支持が集まってしまい、一大勢力を築くまでに拡大。
遂には連邦軍の宇宙基地ルナツーを拠点として両軍への最終決戦を挑むため、『挑戦状』を送りつけてくるまでに至ってしまうことになる。
この余りにも馬鹿馬鹿しすぎる主張と理由で戦いを挑んでくる連中に対して、正直誰も相手をしたくなどなかったが、前線基地を乗っ取られ、全軍の三分の一近くを寝返らせてしまった反乱軍を放置し続けるというわけにもいかない。
仕方なく連邦軍とジオン軍は、一時休戦を約束し合い、両軍にとっての敵対者となったハイド軍団討伐を優先して連邦軍艦隊はルナツー奪還のため大兵力を派遣させ、ジオン軍は不干渉という立場を徹底させることになる。
その連邦軍から派遣された討伐艦隊の中に、『ホワイトベース』の名がある。
また味方艦に、『グレイファントム』の名もあった。
他にも『サラブレッド』の名前と『ブランリヴァル』の名前もある。
四隻のペガサス級戦艦と、四機以上のガンダムタイプMSを投入した以上、討伐艦隊とハイド軍団との最終決戦による決着と勝敗は、時間の問題でしかないのが戦う前から確定してしまっている状態で始まる戦いになってしまっていたのだった。
その最後となる決戦場で、幾つもの火球と閃光が光っては消えていき、それを生みだした者と生みだされてしまった者達とで明暗が次々と別たれていく。
「ハッハッハー! 落ちやがれ、ジオンの一つ目野郎共ッ! 今日の俺はちょいと一味違うぜェ!」
ズビューン!ズビューン! ズバゥンッ!
片手に持った新型ビームガンから超高温のビーム光を撃ち出しながら、灰色にカラーリングされた最新鋭MS『ジム改』のコクピットの中で、無精髭を生やしてリーゼント頭の『フィリップ・マーロウ中尉』が、今日3機目の撃墜スコア更新に言葉だけで祝杯を挙げていた。
最高性能であっても、ゲルググまでしか持たない敵の軍勢など、危険な任務故に最新鋭機が配備されるようになっていた彼が所属する連邦軍の実験部隊【モルモット隊】にとって今となっては敵ではない。
また1機、レーダーに敵反応を感知したが如何せん、距離がある。射程距離外だ。
「おっと、コイツぁやばい。1機そっちに行ったぜぇ! ベイトの旦那!」
『見えてるってぇ! ったく、メシ喰うヒマもねぇのかい!』
ビシューン! ズバーン!
別のジム改が、味方からの通信に応えて別の敵機を撃墜して宇宙の藻屑と化さしめる。
コクピットの中で、自分が殺した敵に向かって「ファックユー」してみせながら、皮肉気な態度と口調と表情で『アルファ・A・ベイト中尉』がせせら笑う。
『とはいえ、旧式のゲルググなら楽なもんだぜ』
『ハンディキャップとしちゃ丁度いいからな。逃がすかよ、もう撃墜スコアはもらったようなもんだぜ!』
そして3機目のジム改が、3機目のゲルググを撃墜。
コクピット内にエロ本を持ち込んで常備しているオッサン軍人『ベルナルド・モンシア中尉』が記録を更新してニヤリと笑みを浮かべる。
彼らこそ、ハイド軍団との決戦のため集められた討伐艦隊で、たまたま出会って意気投合してチームを組むことになった、人呼んで『地球連邦軍チンピラ部隊』
一体誰が呼び始めたのか知らないが、何故だか誰もが納得してしまうチーム名の集団に相応しい、人種差別思想とスラングと敵への見下しでは誰にも負けない、連邦軍最強のヤンキー集団―――それこそ彼ら、『チンピラ部隊』
そんな彼らのもとに、また一機。不用意に接近してくる反応があった。
レーダーに移る機体は一機だけ。ちょうど良いカモとはこのことだ。
「よっしゃ! 良い間合い! ここの通行料は半端な額じゃないんでぃッ!」
「おっと、ドンピシャ。そうこなくっちゃ張り合いがねぇ!」
「クッソー! とっととクタバリやがれってんだ!」
三機それぞれが個性に合わせた狙いを定めて、ビームガンの銃口を同一対象の敵機へと向け
『この、うつけ者共がぁぁぁぁ~~~~~~~ッッ!!!!』
「「「な、なに!? コイツ、速い・・・・・・通常の三倍以上のザクだとぉっ!?」」」
バビュ~~~~~ッン!!!と。
物凄すぎる超加速で急速接近されてしまった旧ザクによって、接近戦を仕掛けられてしまって一撃を食らいまくる!
『他者の生命を弄び、ギャンブルや金儲けに利用するとは何事か!! 恥を知れ愚かなる未熟者共がぁぁぁぁぁぁッッ!!!』
「どひゃぁぁー!? ヤ、ヤバイぞコイツぅ、は、あ、アラララララ~~~っ!?」
「うおっ!? コイツァ・・・マジでヤバぃっ、てあれ?あれ? あわわわ~~~っ!?」
「く、クソッ!? このまま黙ってやられ、ヤラレル~~~ッ!?」
『爆砕ッ!!!』
ズバンッ!ズバンッ!! ズババババンッ!!!
周囲にいて支援しようとした味方機もろとも巻き込んで、チンピラ部隊アッサリ全滅。
尚、パイロット達は脱出していたため戦闘終了後に無事回収されたそうである。
酸素欠乏症にもなってなかった模様。
また、同じくルナツーに攻め込む別の戦区においても連邦軍は優位に戦いを進めていた。
「ボクだって、やるときはやるんだ! コイツめ! 落ちろ!落ちろ!」
ビシューン!ビシューンビシューン!
無駄弾もけっこう浪費しながらも、それでも最後は当てて撃墜していく丸顔の少年じみた顔立ちをもつパイロット『サマナ・フェリス少尉』が、愛機ジム改のビームガンを連発し続け。
だが、最後は当てられても他は外れやすいので反撃を受けやすく、ピンチにも陥りやすいのが彼の欠点であり、今このときの戦場でもまた負けそうになっちまう。
「う、うわぁぁ!? このままじゃ・・・・・・ハヤトさん! 支援を! 早く支援してください!」
『サマナさん!? クソぉッ! こいつめ! 落ちろ!落ちろ!』
ドゴーン!ドゴーン! ドッゴーン!!
両肩にキャノン砲を装着させた《ガンキャノンⅡ》連邦制のキャノンタイプ最新鋭MSに火を噴かせ、出会って間もないのに気があった他部隊の友人サマナを日系青年のパイロット『ハヤト・コバヤシ少尉』が窮地から救ってくれた!
『大丈夫だったかい? サマナさん』
「す、すいませんハヤトさん・・・ボクがもっとちゃんと戦えていれば良かったのに・・・」
『そんなの気にしなくていいさ。ボクだってアムロと違って、MSを上手く動かせてるわけじゃないんだし』
「ハヤトさん・・・・・・」
『――2人とも無事なの!? 生きてるのね!?』
そんな彼らを心配して機体を寄せてきてくれるのが、今回の戦いに限り支援部隊としてのみ戦闘参加を承諾したという異色の経歴をもつ女性テストパイロット『クリスチーナ・マッケンジー中尉』
『クウッ!? 相変わらず、この機体・・・敏感すぎる! でも、彼らみたいな人を守るためにも、やらなきゃいけないの。見逃すわけにはいかないわ!
自分にできることをするしかないのよ!』
そうして、戦場に来ながら敵を倒すことより、戦闘に巻き込まれた普通の人達を助けるため、高火力で射程の長いビームライフルは持たずに速度が低下する『チョバムアーマー』は装着させた愛機《ガンダムNT1-FA》と共に戦場を駆け続け
『何をしに来とるんだ君たちはぁぁぁ~~~~ッッ!!!!
戦場を、嘗めるでないわァァァァァァッッ!!!』
「「「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!? キャァァァァァァッ!?」」」
ズッバーッン! ドッゴーンッ!!
相手から見れば、意味不明な行動にしか見えなかったため、意味不明な一団として一纏めに吹き飛ばされて戦場から退場させてもらいましたとさ。
本人達的には、良かった良かったと言えるかも知れない結果だったとかなかったとか。入院する羽目になったけども。
そんな状況の中、予想より遙かに手強く、手強すぎる、なんで旧型ばっかであんな強いんだよ!?と司令部が頭抱えて怒り心頭に達しつつある連邦軍艦隊は、遂に切り札を投入するため指令を出す。
「敵は一機だぞ! なぜ撃ち落とせん!? ええい、もういい!
ソーラーシステムⅢ、スタンバイ! 要塞ごと敵全てを焼けば済む話だ!!」
「お、お待ちください! まだ我が艦隊の先鋒が焦点前に! その中にはエース部隊であるホワイトベース隊もあるのですぞ!? バスク大佐ぁ!?」
「構わん! このまま奴らを好きにさせて、レビルに笑われるのだけは避けねばならんのだ! 宇宙の戦場などよりジャブローのオフィスは快適なのだよッ!!」
「い、イーサン・ライヤー少将までその様なことをっ!?」
『大佐、コントロール艦としての機能は、本艦でも代わることが可能です。どうか私に』
「うむ、任せるぞ。ニシザワ」
「ニシザワ中佐まで~~~~ッ!?」
佐官クラスと将官クラスにろくなの集まってなかった討伐艦隊首脳陣だと、こうなりますという流れで、『ソーラーシステムⅢ』は起動を始めることになる。
その気配を敏感に察した最強のNT戦士アムロ・レイは、
「むっ!? なんだ、この感じ・・・・・・すごく色々なものが混ざり合って溶けていくような、そんな―――ハッ!? 奴かッ!」
『うぉぉぉぉぉっ! そこに見つけたるは連邦軍最強の武人と名高きアムロ・レイ殿とお見受けする! いざ尋常に勝負であーるッ!!』
「ちぃっ! 邪鬼がきたかッ!!」
そして一年を超えた長期にわたる戦争によって、拡大しまくっていた空間把握能力を用いた射撃によってビームライフルを発射し、確実に敵将ハイドの駆る旧ザクを狙い撃ちして、一撃のもと撃墜した―――そのはずだったが。
ズギューッン!!
『ぐはぁ!? ――まだだ! まだやられはせぬ!!』
「な、なんだと!? 馬鹿な・・・直撃したはず、それなのに・・・!?」
『たかがコクピットをやられただけよ! その程度では私の旧ザクは落とせぬ!!』
「馬鹿な!? 妖怪・・・なのか・・・!?」
コクピットの位置がある装甲に直撃したにも関わらず、爆発もせず貫通もできず、普通に戦闘続行してくる旧ザクに理解不能な化け物のごとき力を感じさせられたアムロは回避行動をとりつつライフルを乱射。
なんとか敵を引き剥がそうと試みるが―――その途中において。
『むむッ!? この気配・・・・・・まさかっ!』
「え? あ、外れただって!? クソゥッ!」
予想外にいきなり方向変えて飛び去る方にシフトしてしまったため、撃ったビームは外れて見当違いの方角へと飛んでいき、ハイドが乗った旧ザクは旧ザクで全然違う方向の―――今し方アムロが何かを感知した方向へ向かって突き進んでいき、そして
『この感じ・・・・・・まるで宇宙を犯す物の怪のようにも感じられるほどの力もつ存在――面白い!
このハイド、強敵からの挑戦を前に逃げも隠れもせぬ! 掛かってくるがいい!』
「なにっ!? アイツ、無駄死にしたいのか!」
アムロもまた、それが何の気配であるかを感覚的に察知して、機体ごと大急ぎで脱出しようとしている戦場に敢えて残りたがる意味不明すぎるハイドの行動。
だが今更戻ってなにかできるというものでもない。既にそれは臨界寸前に達しており、照射されるまでの残り時間はわずかに―――0.5秒程度。
その残された僅かな時間に、ハイドは魂の叫びを戦場に木霊し。
人類に、古臭いものが好きな人の心の輝きを刻みつけるため、命の炎を燃やし尽くす。
『ド素人共め!! 間合いが遠いわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!』
そう叫びながら、ソーラーシステムの最大出力照射を浴びて旧ザクごと肉体の全てを蒸発させられていった、ジオン軍からの裏切り者将校シュトロハイド・フォン・ゴールデンバウム上級大将。
だが最後の瞬間。
『うぉぉぉぉぉっ!! 私は負けぬぞ!!!
このシュトロハイド、骨から肉がそぎ落ちようとも戦い続ける!!
ハイド軍団、バンザァァァァァァッイ!!!!』
「な、なにぃ!? ソーラーシステムから照射された光がルナツーから離れていくなんて・・・・・・そんな馬鹿な!?」
「こ、これが・・・・・・ニュータイプが持つ真の力だとでも言うのかぁっ!?」
「ジ、じじ、ジオン軍のニュータイプは化け物なのかぁぁぁぁぁっ!?」
『はぁ――――ハッハッハッハッハッハぁッ!!!!
我が人生に、一片の悔いなしッ!!!!』
ズバァァァッン!!
ズボボボボォォォォォォォ・・・・・・ッ
その日、連邦軍艦隊の猛攻撃を受けてルナツーを占拠していたハイド軍団は一機残らず全滅し、総司令官シュトロハイド上級大将の戦死が確認された。
だがハイドが最期に見せた、魂の輝きによって引き起こされた奇跡により、ソーラーシステムⅢの照射は連邦軍艦隊の本体中央部へと矛先を変えさせられ、全艦艇のおよそ3分の2が行動不能という惨状に陥る羽目になってしまう。
これにより、ジオンとの即時戦闘再開は有効手ではないと判断した地球連邦政府は、ジオン公国との休戦条約を提案する方向へと舵を切ることになる。
ジオンもまた、裏切り者に協力したがった物好きたちに兵力をとられすぎたことが仇となり、現時点で疲弊した連邦軍の打倒を志すのは現実的ではないと見方で一致。
「あの戦いで、ジオンも疲れたが、連邦軍もまた疲れすぎた。
敵も疲れているが、我が軍も疲れ果てている。今は一度、戦いを止めて想いを馳せよう。
戦いに値する何者が、我われ地球人類の歴史にあるのか―――と」
後にそう綴った何者かの日記が発見されることになる日の夜。
地球連邦政府とジオン公国との長きにわたる戦争は、休戦という思わぬ形で終わりの時を迎えることになる。
だが、しかし。
ジオンと連邦との戦いが、どちらかの滅びという形で終わらなかったとしても、人類の歴史から戦争の二文字が消えることは決してない。
この戦いで散っていったハイド軍団司令シュトロハイドの思想は、彼の戦死後『ハイドニズム』と呼ぶ者が現れるようになり、極一部の者達の間だけでカルト的な人気を保ちつつ、第二第三のハイドを生みだし続けることになる。
ジオン公国が滅ぼされることはなく、ジオン残党が生まれなかった地球圏において、新たな戦乱の火種をもたらし続ける役目を担う残党軍たち。
彼らの名は――――
「――諸君。本日、今この時をもって私は亡きシュトロハイド総帥の遺志を継ぎ、新たなるハイドとなることを、ここに宣言する。
そして我々は再び、地球連邦政府に――否、地球圏すべての勢力に挑戦状を叩きつけるものである。
我が『ハイド・クルセイダーズ』は、宣戦を布告し続けることを確約するッ!!!」