《本日午後11時頃、16才の高校生〇〇ちゃんが行方不明になったと通報があり、警察が捜索を開始しました。最後に彼女を見たのは同級生で、一緒に下校後、〇〇ちゃんは自宅付近で別れたといいます。現在、捜索が続けられていますが、まだ発見の報告はありません。》
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「貴方、ニュースに載ってるわよ。有名人じゃない!」
大柄の女性が、手足を縛られた少女――ニュースに出ていた〇〇ちゃん――に声を掛ける。
意図してか、それとも…その声は見た目に反して異様に野太く、よく見れば身体全体が骨太で肉付きも良く、男性的な印象を強く受けた。
少女の口はテープで塞がれており、身動きもままならない。大きく見開かれた瞳に、恐怖がはっきりと揺れていた。
「ンーッ!ンーッ!」
「余り暴れないで頂戴ね?後が面倒だから。」
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「まずわぁ…この綺麗なお顔、アザもシミもなくて本当…綺麗ねぇ♪」
不気味な女装男が女性の下顎辺りを掴みその顔を引き寄せる。
「お、化、粧、しましょうか♪」
その手にはナイフが握られている。
「ッ!ンーッ!?ンッ…グスッ…」
それを見た女性が身の危険を感じ身を捩る、目元には涙を携えて脳裏には最悪が張り付いているのだろう。
「ンフ♪安心して?血は流れないから。」
そう言うともう片手にライターを取り出しナイフを炙り出す。
少しずつ、少しずつ、ナイフが熱を刃に宿し赤光を放ち始める。
「そうねぇ…両眼の下、涙袋を作りましょうか♪」
その迷いや違和感を伴わない余りにも普通な声色に何を言われたのか、女性は理解が追いつかない…、じわじわ言葉の意味を咀嚼し飲み込んだ瞬間、想像し得ない痛みの確定を理解してしまう。
「…あんま動くなよ?目玉が潰れても知らねぇぞ?」
ガタガタと暴れ、ぶつかる音が響く。
封じられた口からは叫びは出なかった。
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女装男の女性へのメイクがひとしきり終わったのか、鏡を女性に見せつける。
「はぁい♪どうかしら?私の最高傑作よ♪」
鏡に反射する女性の姿は悲惨なものであった。
頭髪は乱雑にバリカンで剃られ美しく流れていた長髪の面影もない。
目の下はナイフでつけられたであろう火傷の跡があり、鼻はへし折られ鼻血が流れ続ける。
来ていた服は剥ぎ取られ痛々しい縛れた手足が視界に入る。
背中には作品を記録するかのように今日の日付と女装男の名前が焼き入れられている。
「さて…、此処からが本番だぜ?」
もはや身動きも取らなかった女性が理解したのか地を這ってでも逃げようとする。
それを覆い被さる形で止め、女装男は足を抱え女性を仰向けにさせる。
カチャカチャと金具をいじる音が嫌に響く…。
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最後の砦の様な女性の領域が問答無用で侵略される。
何度も、何度も、何度も何度も何度も。
真っ赤であった女性の心は女装男の青色が混ぜられ紫へと染められていく。
「なぁ?これまで育てて来た女としての尊厳。それを踏み躙られてどう感じたよ!答えてくれよ?なぁなぁなぁなぁ!!!」
肉を叩く音が響く。
最早枯れたかに思えた涙が再び瞳から溢れる。
「あぁ?涙…、ふっ…ざけんな…、俺が聴きテェのはお前の叫びだよ!何泣いてんだ?ア゛ァ!答えろよ…答えろって言ってんだろォ!」
女装男が首を絞める。
女性は答えない…否、答えられない。
「ハァ、ハァ、ハァ、……ふっ…ふふっ、お前のスマホ♪ロクな鍵も掛けてねぇのかよ。と、も、だ、ちぃ、此処に呼んでも良いかぁ?なぁ…答えるだけで良いんだ、教えろよ?"どう"だったんだ?涙流しても意味ねぇんだからさぁ…。」
「…して」
「あ?」
「もう…殺して…、死にたい。」
「…俺は女の価値ってのを教えて欲しいだけなのによ、価値を失った女はどうなるのか、知りたいだけなのに、何で教えてくれないのよ!」
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母の口癖は「男には何の価値もない、女にこそ真の価値が在る」だった。幼い俺にもその思想を刷り込み、理解を示さなければ体罰、虐待で強制することも当たり前。
そんな母からの英才教育は男として生まれた俺を歪ませるには十分であった。
俺は男でありながら【女の価値】を求める化け物へと育ちそれはニューハーフと言う形で出力されていた。
幸い、と言うべきかそんな俺を…いいや、私を受け入れる人達は身近にいてくれた♪
男が女性らしさを求めても否定せず、共に女性を磨くものだっていた。
ここで私は仲間を手に入れた、母の教育は間違っていなかった。
女性の価値は凄まじいものだった。
しかし心の底では消えない感情が渦巻いていた。
母の"教育"を肯定出来ない男(本心)が。
あの苦しみは肯定されるべきなのか?受け入れるべきなのか?アイツ(母)は褒められた存在だったか?
そして、今の私がこの価値を失った時、俺には何が残る?
あぁ…怖いな、「知らなきゃ。」
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女性の価値を犯し尽くした男が一言。
「何だよ…何にも分からないじゃない。」
そこには一人の人間を痛めつけた紛れもない化け物の姿があった。
虚無の中、男が脳裏に浮かべたのはジェンダー仲間たちであった。ただでさえ理解される事の難しい彼らの中から化け物が生まれる。それは彼らの権利を更に狭め、社会からの理解が遠のく事になると分かっている。
女性のスマホを使い自ら通報の電話を入れる。
「……警察の方かしら?ニュースでやってた高校生の女子、〇〇ちゃんね、今〇〇地区のガレージに居るわ♪あぁ…来るなら女性の方が好ましいかしらね。」
確信できる…、加害者は意図してその声色を地のものへと変えて話している。
「じゃあ、私は此処で…。」
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パトカーと救急車のサイレンが響く中、加害者と思われる男は既に首を吊り事切れていた。
女性は無事、とは言えない状況ではあったが保護され、直ぐに治療と栄養の補給が行われた。
この事件は後に令和最悪の拷問事件として話題になった。
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数日後、女性の入院する病院に学校の友達が面会に来て慰めてくれる。
でも友達の娘に誰かが声をかける。
男性の声!?パニックになりそうな頭が声の方に向けられて…、男性は同級生、友達の彼氏だった。
(理解できない、怖い…怖い、何が良いの?〇〇…貴方も"アイツ"とおんなじ?や…だ、やだっ!やだっ!━━━━ッ!)
「ヴッ、…ヴォェ………。」
バイタルが不安定になったのか、機材が鳴り響き頭が割れそうな感覚に襲われる。
慌てて友達が背中をさすってくれ…、(無理…。)私はその手を弾いてしまった。
「気持ち…悪い……。」