機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~   作:にわ@タイトル単位作品作成者

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皆様、お久しぶりでございます。
前作、 機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0093 Madness AXIS Breaker~の続きとなるお話が大体書きあがりましたので公開してまいります。
お楽しみいただけましたら幸いです。


File.00 新路 ~プロローグ~

U.C.0093 3月12日

 地球圏は再び戦火に包まれた。

 

 ネオ・ジオン総帥、

 シャア・アズナブルは――

 小惑星アクシズを地球へ落下させるという強硬策に踏み切る。

 

 その目的は、地球寒冷化による人類の宇宙移民の強制。

 いわゆる「地球粛清」であった。

 

 これに対し、地球連邦軍独立機動部隊ロンド・ベルは迎撃を開始する。

 そうしてアクシズ落下阻止作戦は最終局面を迎えた。

 

 戦闘は熾烈を極め、双方に多大な損害を出しながらも、

 ロンド・ベルはアクシズ進路上において別動隊の展開を実施。

 

 別動隊にて、識別コードSO-000-CB、

 砲撃用モビルスーツ“オービタル・リーダー”が確認される。

 

 本機はコロニー落とし対策を目的とした特殊機体であり、

 搭載兵装「コメットブレイカー」は、作戦立案時においてその威力を懐疑視されていた。

 しかし実戦においては三度の照射を実施した。

 

 第一射は、敵部隊への牽制を目的とするアクシズ表層への砲撃であり、事前作戦指示に基づくものであった。

 その威力は想定を大きく上回り、アクシズの質量および構造強度に決定的影響を与える。

 

 この戦果を受け、別動隊母艦クラップ艦長は現場判断により作戦の即時変更を決断。

 目標は完全消失へと修正された。

 

 同時刻、本隊指揮官 ブライト・ノアもまた同様の結論に到達していたことが、戦後記録より確認されている。

 両者の間に作戦変更を指示する交信記録は存在しない。

 

 第二射、続く最終照射の後――

 小惑星アクシズは観測可能な質量を残さず戦域より消失した。

 

 第二次ネオ・ジオン抗争は、これをもって終結した。

 なお、シャア・アズナブルは最終局面において戦域からの撤退が確認されている。

 しかし、ネオ・ジオンは戦力を喪失し、組織としての機能を失った。

 

 オービタル・リーダーはアクシズへの攻撃後、戦闘損失と認定されている。

 

 戦時特別編成部隊ロンド・ベルは、戦後処理の進行とともに任務を終了。

 段階的に地球連邦軍正規編制へ再統合される話が進んでいる。

 

 その一方で、戦後しばらくして、シャア・アズナブルが姿を消したとの噂が地球圏各地で囁かれるようになった。

 その真偽を裏付ける記録は、現在に至るまで確認されていない。

 

 

 

U.C.0093 12月某日

 ラー・カイラム格納庫内にて。

 

 格納庫は静まり返っていた。

 解体待ちの機体、焦げ跡の残る装甲。

 白く反射する灯りだけが、空間を照らす。

 

「……これで、本当に解散か」

 

 機体の整備を終えたアストナージ・メドッソが工具を置きながら呟く。

 

「ええ。少なくとも、ロンド・ベルは」

 

 チェーン・アギが端末を閉じながら答える。

 

 少し離れて立つアムロ・レイは、無言のまま。

 

 足音が静かに響く。

 

「大尉」

 

 ケーラ・スゥが口を開く。

 その後ろにはユウが続く。

 

 ケーラが続ける。

 

「静かですね。解散前は、いつもこうです」

 

 そう言いながらユウを見る。

 

「あの時は……あなたも……大変でしたね」

 

 ケーラの言葉にユウは首を横に振る。

 

「俺は……ただ奴を止めただけです」

 

 その代償については、誰も触れない。

 

 アストナージが肩をすくめる。

 

「止めるって、簡単じゃない」

 

 視線を床に落としながら、小さく続ける。

 

「あの機体のこと……俺たちの判断のせいで――」

 

 チェーンも続ける。

 

「でも、決着はつきました」

 

 アムロは視線を落とす。

 否定も、訂正もせず。

 夢で示されたこと、作戦立案での言動。

 口にすることはない。

 胸の奥で、自分が間違った判断をしたかもしれないという念だけが燻っていた。

 

 ケーラが軽く笑う。

 

「まあ、終わったんです。それでいいじゃないですか」

 

 小さな沈黙が流れる。

 やがてアムロが言う。

 

「……ブライトのところに行く」

 

 チェーンが軽く頷くように訊く。

 

「ブライト艦長のところにですか」

 

 アムロが答える。

 

「ああ。最後の報告と、最後の挨拶のために」

 

 ユウが続ける。

 

「同行します」

 

 一瞬、目が合う。

 

「わかった」

 

 短く、了承の視線。

 

 アストナージが手を振る。

 

「じゃあな」

 

 チェーンが穏やかに会釈する。

 

「お元気で」

 

 ケーラは敬礼。

 

「大尉」

 

 アムロは軽く応じる。

 

「またな」

 

 二人は並んで歩き出す。

 エアロックが開き、廊下の白い光が伸びる。

 

 ――まもなくロンド・ベルは、静かに幕を下ろす。

 

 ユウは何も言わない。

 アムロも、振り返らない。

 あの交錯の瞬間を、言葉にする者はいない。

 

 ユウが起こした――奇跡の二十秒。

 それは“止めた”という事実だけが残った。

 

 二人は、そのままブライトのもとへ歩みを進める。

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