機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~   作:にわ@タイトル単位作品作成者

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File.11 接敵

U.C.0096 4月5日

L2宙域外縁にて。

 

 敵六。

 距離急速接近。

 

 アムロ・レイは、戦場を俯瞰していた。

 視界いっぱいに広がるのは、未知のネオ・ジオン機。

 

 記録にないシルエット。

 だが、動きは読める。

 

(ここ三年、宇宙に上がっていたせいか――

 昔の勘が戻ってきている)

 

 戦場の“癖”は、機体が変わっても消えない。

 

「散開しない……?

 隊形を保ったまま押し込むつもりか」

 

 ……甘い。

 

 Hi-νガンダムが加速。

 フィン・ファンネルをラックから外し、

 敵の射線の“外”ではなく、“内側”へ踏み込む。

 

「――遅い!」

 

 ビームライフル、二連射。

 

 一機目、胸部を貫通。

 

 二機目、回避動作の途中を撃ち抜く。

 

 爆光が連なる。

 

 敵隊の隊形が乱れた。

 

 アムロは止まらない。

 腰部ラックから

 ハイパー・ニュー・バズーカを引き抜く。

 

「三つ!」

 

 至近距離。

 回避方向を読んだ一撃。

 

 炸裂。

 

 破片が四散する。

 

 残り三。

 

 一機がHi-νをすり抜け、

 船へ向かおうとする。

 

「そこだ!」

 

 その位置を、アムロは正確に把握していた。

 

「フィン・ファンネル!」

 

 残してきたフィン・ファンネルが動く。

 

 無音の閃光。

 光だけが走る。

 

 すり抜けたはずの一機が、瞬時に爆散する。

 

 残り二。

 

 敵隊の動きが一瞬止まる。

 

 直後、二機が同時に反転。

 

 推進剤を噴かし、散開して離脱を図る。

 

 アムロは追わない。

 

「……目的は偵察か、牽制か」

 

 船を守ることが最優先だ。

 誘い出されるつもりはない。

 

『敵機、戦闘空域からの離脱を確認!』

 

 ネェル・アーガマのブリッジから声が入る。

 

「了解。帰投する」

 

 Hi-νはゆっくりと反転した。

 艦直掩に残していたジェガン三機と合流する。

 

 六機。

 撃墜四。

 戦闘時間、わずか数分。

 

 宇宙に残るのは、漂う残骸と白い機体の背だけ。

 

 

 

同日同時刻

 強襲揚陸艦ネェル・アーガマ ブリーフィングルームにて。

 

 オットー・ミタスが前に立つ。

 

「現状、敵の意図が掴めない……」

 

 オットーは視線を巡らせる。

 

「狙いはこの宙域か、本艦か……

 それともサイド4か……」

 

 一瞬、言葉を探すような間。

 

「そのため、部隊を二手に分ける。

 直掩部隊を残しつつ、本艦は警戒航行を続ける」

 

 レイアム副長が端末を操作する。

 

「アムロ少佐の部隊は本艦直掩。

 周囲索敵を継続してください」

 

「了解した」

 

 アムロは短く答えた。

 

「リゼル隊は――」

 

 オットーが言いかける。

 

 レイアムが補足する。

 

「ノーム少佐率いるリゼル隊は、

 明朝0400に出発。サイド4へ先行します」

 

 オットーが小さく頷く。

 

「敵の狙いがサイド4にある場合、

 即応できる位置に入れ」

 

「了解しました」

 

 ノーム少佐の返答。

 

 リディ・マーセナスが、背筋を伸ばす。

 初めての本格任務だった。

 

 それを最後に、ブリーフィングは終わった。

 

 人が散り始めた室内で、

 アムロが声をかける。

 

「リディ少尉」

 

「なんでしょうか」

 

 アムロは静かに言う。

 

「英雄だから間に合うわけじゃない」

 

 リディは言葉を失う。

 

「間に合ったから、英雄と呼ばれるんだ」

 

 その言葉には妙に重みがあった。

 

「それを忘れるな」

 

 リディは、強く頷いた。

 

「了解しました!」

 

 アムロはそれ以上何も言わない。

 

 間に合うかどうか。

 それが、すべてを分ける。

 

 4月6日早朝。

 サイド4へ向かうリゼル隊。

 

 そして――

 まだ誰も知らない。

 ……その宙域で、歴史が崩れ落ちる。




空白期間の物語はこれにて終了です。
長々と間延びしてしまい申し訳ございませんでした。
次回より本編の内容に触れていくわけですが…。
本編と変わらない部分については本編からブレないように割愛し、
回想として簡単に触れる程度で済ませます。
予めご了承ください。
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