機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~   作:にわ@タイトル単位作品作成者

16 / 34
File.15 強襲

U.C.0096 4月7日

 L5宙域にて。

 

 難民を収容したネェル・アーガマは、サイド6へ向けて航行している。

 

 第2戦闘配備。

 

 静かな緊張。

 

 その均衡を破ったのは、艦橋に直接開いた回線だった。

 

『――ブリッジ。アムロだ』

 

「どうしました、アムロ少佐」

 

『出撃許可をくれ』

 

 索敵は沈黙している。

 

 レイアムがわずかに目を細めた。

 

(……まさか、また?)

 

「少佐。何か感じたのですか?」

 

『敵が来る。単騎だ。……速い』

 

 レイアムは即座に言った。

 

「艦長。少佐の出撃を」

 

 オットーが頷く。

 

「許可します」

 

 その直後だった。

 

「――熱源反応確認!」

 

 オペレーターの声。

 

「方位0-3-7! 高速接近!」

 

 スクリーンに赤い光点が出現する。

 

「識別信号……ネオ・ジオン!」

 

 異常な速度で迫る単騎。

 

 少佐の言葉通りだった。

 

『アムロ、Hi-νガンダム、出る!』

 

 カタパルトが作動する。

 

 蒼白の機体――

 Hi-νガンダムが宙へ躍り出る。

 

「映像捕捉!」

 

 拡大された敵影。

 

 赤い機体。

 

 異常な推進炎を引き、一直線に迫る。

 

 オットーの喉がわずかに鳴る。

 

「赤い……!?」

 

 その色は、あまりにも象徴的だった。

 

「まさか――」

 

 一瞬の躊躇。

 

「ここに来て、赤い彗星が戻ってきたか!?」

 

 艦橋がざわめく。

 

 誰もがその名を知っている。

 

 だが。

 

 理性が告げる。

 

 あり得ない。

 

 しかし、完全には否定できない。

 

「……識別を急げ! 惑わされるな!」

 

 艦橋に重い沈黙が落ちる。

 

「全MS隊、発艦!」

 

 だが次の報告が飛び込む。

 

「左舷、後方に新たな熱源反応!急速接近!」

 

「数は!?」

 

「左舷三機!

 後方四機!」

 

 囲まれている。

 

「ジェガンD型3機、既に針路変更! 左舷の敵へ!」

 

 命令より早い対応。

 

 オットーは思わず息を呑む。

 

「リゼル隊を後方へ回せ!」

 

「了解!」

 

 しかし。

 

「右舷より更なる敵影!」

 

「三機!」

 

 四方向同時。

 

 完全包囲。

 

 その瞬間。

 

「艦長! 格納庫より報告!」

 

「何だ!」

 

「ユニコーンが――射出されました!」

 

「出撃許可は出していない! 誰が乗っている!」

 

 回線が割り込む。

 

『艦長!』

 

 バナージの声。

 

『この船をやられるわけにはいかないでしょう!?』

 

「……勝手なことを!」

 

 白い機体――

 ユニコーンガンダムが三機の

 ギラ・ズールへ向けて加速する。

 

 他方面では、

 

 ボッシュの乗る機体を含むジェガンD型三機が、紫の塗装が施された機体を含む

 ギラ・ズール隊へ向かう。

 

 リゼル隊は別方向のギラ・ズール部隊へ。

 

 そして、

 

 蒼白の機体と赤い敵機が、正面から交差しようとしていた。

 

 モニターに四つの敵影。

 

 オットーの声がわずかに硬くなる。

 

「……四方向か」

 

 レイアムが低く言う。

 

「包囲です」

 

 難民を抱えた単艦。

 

 格好の的。

 

 オットーは息を吸う。

 

「総員、持ち場を死守しろ! ここを抜かせるな!」

 

 L5宙域。

 

 四つの戦場が、同時に開かれようとしていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。