機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~ 作:にわ@タイトル単位作品作成者
U.C.0096 4月7日
L5宙域にて。
難民を収容したネェル・アーガマは、サイド6へ向けて航行している。
第2戦闘配備。
静かな緊張。
その均衡を破ったのは、艦橋に直接開いた回線だった。
『――ブリッジ。アムロだ』
「どうしました、アムロ少佐」
『出撃許可をくれ』
索敵は沈黙している。
レイアムがわずかに目を細めた。
(……まさか、また?)
「少佐。何か感じたのですか?」
『敵が来る。単騎だ。……速い』
レイアムは即座に言った。
「艦長。少佐の出撃を」
オットーが頷く。
「許可します」
その直後だった。
「――熱源反応確認!」
オペレーターの声。
「方位0-3-7! 高速接近!」
スクリーンに赤い光点が出現する。
「識別信号……ネオ・ジオン!」
異常な速度で迫る単騎。
少佐の言葉通りだった。
『アムロ、Hi-νガンダム、出る!』
カタパルトが作動する。
蒼白の機体――
Hi-νガンダムが宙へ躍り出る。
「映像捕捉!」
拡大された敵影。
赤い機体。
異常な推進炎を引き、一直線に迫る。
オットーの喉がわずかに鳴る。
「赤い……!?」
その色は、あまりにも象徴的だった。
「まさか――」
一瞬の躊躇。
「ここに来て、赤い彗星が戻ってきたか!?」
艦橋がざわめく。
誰もがその名を知っている。
だが。
理性が告げる。
あり得ない。
しかし、完全には否定できない。
「……識別を急げ! 惑わされるな!」
艦橋に重い沈黙が落ちる。
「全MS隊、発艦!」
だが次の報告が飛び込む。
「左舷、後方に新たな熱源反応!急速接近!」
「数は!?」
「左舷三機!
後方四機!」
囲まれている。
「ジェガンD型3機、既に針路変更! 左舷の敵へ!」
命令より早い対応。
オットーは思わず息を呑む。
「リゼル隊を後方へ回せ!」
「了解!」
しかし。
「右舷より更なる敵影!」
「三機!」
四方向同時。
完全包囲。
その瞬間。
「艦長! 格納庫より報告!」
「何だ!」
「ユニコーンが――射出されました!」
「出撃許可は出していない! 誰が乗っている!」
回線が割り込む。
『艦長!』
バナージの声。
『この船をやられるわけにはいかないでしょう!?』
「……勝手なことを!」
白い機体――
ユニコーンガンダムが三機の
ギラ・ズールへ向けて加速する。
他方面では、
ボッシュの乗る機体を含むジェガンD型三機が、紫の塗装が施された機体を含む
ギラ・ズール隊へ向かう。
リゼル隊は別方向のギラ・ズール部隊へ。
そして、
蒼白の機体と赤い敵機が、正面から交差しようとしていた。
モニターに四つの敵影。
オットーの声がわずかに硬くなる。
「……四方向か」
レイアムが低く言う。
「包囲です」
難民を抱えた単艦。
格好の的。
オットーは息を吸う。
「総員、持ち場を死守しろ! ここを抜かせるな!」
L5宙域。
四つの戦場が、同時に開かれようとしていた。