機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~ 作:にわ@タイトル単位作品作成者
同日同時刻
L5宙域にて。
赤い機体が迫る。
蒼白の機体――
Hi-νガンダムは正面から加速した。
(赤いMS……?)
記憶が揺れる。
(シャアか!?)
一瞬、心が引きずられる。
だが。
(……違う!)
あの男の気配ではない。
似せているだけだ。
中身が違う。
虚ろな気配だけが、揺れている。
「誰だ……貴様は!」
返答はない。
トリガーを引く。
ビームが宇宙を裂いた。
赤い機体――
シナンジュは紙一重で回避する。
コクピットの中で
フル・フロンタルは歯を食いしばる。
(速い……!)
回避が遅れれば終わっていた。
そして、圧。
圧倒的な存在。
(これが……アムロ・レイ)
記憶でしか知らぬ男。
だが、目の前にいるのは現実だ。
(あの男……あの男さえ!)
脳裏に焼き付いているのは、
前日の赤く大きな機体。
そして――あの声。
(足りぬ、だと……!?)
胸の奥を抉るように響く。
(ならば証明してみせる……!)
考えれば考えるほど心は乱れ、リズムは狂う。
(あの男さえ倒せば……!私は……!)
思考が絡みつく。
振り払うかのように口走る。
「光栄だよ、アムロ・レイ……!」
独り言が漏れる。
「君自ら相手をしてくれるとはな!」
その瞬間。
シナンジュはビームライフルを構え、引き金を引いた。
閃光。
だが。
そこにHi-νガンダムの姿は無い。
光は虚空を貫くだけだった。
撃つ位置を読んでいるように動くHi-νガンダム。
それでも照準は、赤い機体から外れていない。
その中でアムロは更に全周囲を把握していた。
ボッシュ達は持ちこたえている。
ノーム少佐の隊も乱れていない。
――だが。
(バナージ側が薄い)
押されれば突破される。
即断。
「ブリッジ! ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーを射出してくれ!」
≪ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーを!? り、了解!≫
通信を閉じる。
すぐさま赤い機体へ向き直る。
「お前に時間は割けない!」
背部のファンネルラックから
――フィン・ファンネルが外れる。
「行け! フィン・ファンネル!」
六基が一斉に展開する。
包囲。
飛び交う閃光。
シナンジュが躱す。
だが軌道は読んでいる。
(追い込む!)
Hi-νガンダムが急加速。
死角へ潜り込み、
一気に距離を詰め――
蹴り飛ばした。
衝撃。
姿勢が崩れる。
フロンタルは即座にスラスターを吹かす。
機体を立て直す。
だが。
姿勢を戻した、その瞬間。
視界を白光が埋めた。
「……まさか――」
ビームがコクピットを貫く。
爆散。
赤い残光が宇宙に散った。
爆発を背に、アムロは息を吐く。
終わらせた感覚はない。
ただ、道を開けた。
「……次!」
視線は既に別方向。
ネェル・アーガマから射出された
ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーを掴む。
(これを実戦で使うとはな)
融合炉出力上昇。
チャージ。
照準。
「退け、バナージ!」
味方の退避を確認。
引き金を引いた。
――宇宙が裂ける。
一本の閃光が、戦場を塗り替えた。
フル・フロンタルさんのファンの皆様、大変申し訳ございません。
事件が始まって早々ですがフロンタルさんはここで退場となります。
何も成せませんでしたが…ご冥福をお祈りいたします。