機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~ 作:にわ@タイトル単位作品作成者
同日同時刻
L5宙域にて。
アムロがフロンタルとぶつかるその裏で……。
ボッシュもまた、ジェガンD型で戦っていた。
迫る紫の機体。
予測位置に狙いを定め……。
――トリガーを引く。
一射。
紫の機体は軌道を変え、
閃光は空を切った。
(上手いな……!)
紫の機体が動く。
――こちらを狙っている。
(でも、まだ読める)
回避機動を取る。
閃光は迫ることなく虚空へ消えた。
距離を詰めてくる。
(少佐の機動に比べれば――)
ハンド・グレネードを投げつける。
紫の機体は機動を変え、
後ろに下がった。
爆発。
すぐにその場を離れる。
先ほどいた場所に、
閃光が走って行った。
「悪いな、エースさん」
強気に自らを奮い立たせ、
再び銃口を向ける。
「こっちも引けないんでね!」
ジェガンD型から放たれた閃光が、
紫の機体――ギラ・ズール アンジェロ機――へ牙をむく。
アンジェロは機体の機動を変える。
閃光は通るはずの場所を駆け抜けた。
(チッ!連邦の雑兵かと思えば……)
ビーム・マシンガンを構え、
トリガーを引く。
(思ったよりやるな……!)
連邦の量産機の機動が変わり、
閃光の列が空を切った。
(親衛隊として……
大佐のお役に立って見せる!)
ハンド・グレネードを投げ、
加速する。
――爆発。
「貴様如きに負けるものかよっ!」
火球を死角に連邦の量産機へ迫る。
量産機のバルカンが火を噴いた。
(その程度の攻撃など!)
盾を構え、さらに加速。
量産機の盾からミサイルが飛んでくる。
「クッ!」
機動を変えさせられ、
後退する。
――その時だった。
遠方に大きな火球が現れ、
その光が戦場を染める。
(あの方向……
流石です、大佐)
再び銃口を量産機へ向ける。
(私も大佐に続きます!)
ギラ・ズールが引き金を引く。
ジェガンD型はその攻撃をかわす。
敵の攻撃をかわしながら、
ボッシュは火球を一瞬横目に見る。
(……少佐がやったのか?)
すぐに視線を戻し、考えを振り払う。
(いや、今は目の前の敵だ)
ジェガンD型はビーム・ライフルを構える。
ギラ・ズールに狙いを定めた。
アンジェロは機動を変える。
(大佐も成したんだ。
連邦の雑兵などには負けられんよ)
ビーム・マシンガンを構えた――その時。
一筋の光の柱が
――大佐のいる方向から
敵艦の奥側を通り過ぎた。
(……あれは……何だ!?)
シナンジュに
――そんな武装は無い。
(大佐は……負けるはずがない。
あの人が……こんな……)
そして直前の――爆発。
(……嘘だ)
全てが一つに……。
(嘘だ!嘘だ!!嘘だ!!!)
――繋がってしまった。
「よくも……」
声が漏れる。
「よくも大佐をぉぉぉ!!」
操縦桿を握る手に力がこもる。
「貴様らぁぁぁ!!」
ギラ・ズールはビーム・マシンガンのトリガーを引く。
銃口はジェガンD型に向いていた。
ボッシュは回避行動をとる。
(……何だ?)
紫の機体の動きに覚えた違和感。
(……操縦が荒くなった?)
間違いなく操縦が荒い。
(これなら勝機も……!)
だがビーム・ライフルは構え直さない。
(……落ち着け。
こういう時は訓練を思い出せ!)
――訓練中アムロの言った言葉。
(アムロ少佐は何と言っていた?)
――憧れで動くな
――状況で動け。人で動くな
(そう、少佐の言った言葉は)
――生きて戻れ
――焦るな
「……焦るな」
アムロの言葉を口に出す。
呼吸が整う。
紫の機体が急接近してくる。
(動きが単調になった……!)
そして斧を抜き……。
――振り上げた。
(……!!
――ここしかない!)
――ビーム・サーベルを抜く。
次の瞬間、スラスターが閃く。
――一閃
サーベルを振るったジェガンD型の後ろに、
――上下に二分されたギラ・ズールがあった。
数秒の静止。
そして、火球が花開いた。
火球の明かりに照らされながら振り返り、
いるであろうその場所を見つめ、呟く。
「やりましたよ……少佐!」
程なく残りの敵機を掃討し、
宙域には静寂が戻った。
アンジェロのファンの皆様、大変申し訳ございません。
ここでまさかのアンジェロさん退場となります。
大佐と同じところで安らかにお眠りできますことを心よりお祈り申し上げます。