機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~   作:にわ@タイトル単位作品作成者

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File.24 指令

U.C.0096 4月11日。

 強襲揚陸艦ネェル・アーガマ 艦橋にて。

 

 ネェル・アーガマは、依然としてサイド6のドックに係留されたままだ。

 

 艦橋ハッチが開く。

 

 オットー・ミタスは、いつもと変わらぬ足取りで中へ入った。

 

「連絡は来たか?」

 

 レイアム副長が振り向く。

 

「艦長。現在のところ、連絡は来ていません」

 

 艦橋の空気は落ち着いている。

 

 整備班はフル稼働。

 難民の降艦はほぼ完了。

 

 あとは――指示待ち。

 

「艦長」

 

 オペレーターのボラードが振り向く。

 

「連邦軍本部より優先通信要請。暗号レベル上位です」

 

 来たか。

 

 オットーは頷く。

 

「繋いでくれ」

 

「了解。回線確立します」

 

 数秒の静寂。

 

 メインスクリーンに連邦軍紋章。

 

 音声のみ。

 

『ネェル・アーガマ、応答せよ』

 

「こちらネェル・アーガマ。艦長オットー・ミタス」

 

『先日の上申について、裁定が下った』

 

 艦橋の空気がわずかに張る。

 

 オットーは表情を変えない。

 

『RX-0《ユニコーンガンダム》は封印するものとする』

 

『封印場所はトリントン基地、核兵器貯蔵庫とする』

 

 短い宣告。

 

 だが重い。

 

『以後、運用は凍結。戦闘行動への投入を禁ずる』

 

『これに伴い、ネェル・アーガマはトリントン基地へ向かうものとする』

 

 オットーは静かに答える。

 

「了解しました」

 

 レイアムが小さく息を吐く。

 

 ひとまず、最悪の判断は避けられた。

 

 だが――

 

『本件は、護送任務となる』

 

 艦橋に一瞬の沈黙。

 

『出港は明朝』

 

『速やかにRX-0《ユニコーンガンダム》をトリントン基地まで移送せよ』

 

『移送中、封印状態を維持せよ』

 

 オットーは一拍置いて応じる。

 

「了解しました。護送任務を受領します」

 

『以上だ』

 

 通信が切れる。

 

 スクリーンが暗転。

 

 艦橋に静寂が戻る。

 

 緊張の糸が解け、オットーの口から言葉が漏れる。

 

「……何とか通ったか」

 

 レイアムが口を開く。

 

「そのようですね」

 

「しかし……トリントンか」

 

 艦橋に一瞬の沈黙。

 

 トリントン。

 核兵器貯蔵庫――。

 

 レイアムが小さく呟く。

 

「……厳重封印、ということですね」

 

 オットーは短く頷いた。

 

「副長」

 

「はい」

 

 少しだけ考える。

 

「護送任務だ。警戒は……通常より一段上げておこう」

 

「了解しました」

 

 レイアムは手元の端末を操作する。

 

「出港時刻も指令の通りで?」

 

 オットーは一瞬だけ考える。

 

「ああ。そのつもりだ」

 

「了解。ミヒロ、全艦へ通達」

 

「明朝出港。

 出港後は警戒態勢を通常より一段階上とする」

 

「ヘルム、離艦シーケンス確認」

 

「サーセル、センサー系統の最終チェック」

 

「シドー、主機点検を最優先」

 

「ジョナ、ユニコーンの固定状態を再確認」

 

「「「「「了解」」」」」

 

 指示が次々に飛ぶ。

 

 艦橋が動き出す。

 

 戦闘ではない。

 

 だが、緊張は消えない。

 

 オットーは窓の外を見る。

 

 サイド6の人工空。

 

 穏やかに見える。

 

 だがその裏で、いくつもの判断が下されている。

 

 封印。

 

 それは正しい。

 

 だが――

 

 あの機体が、ただ眠るだけで終わるとは思えない。

 

「出港まで時間はあります」

 

 レイアムが言う。

 

「ああ」

 

 オットーは視線を前に戻す。

 

「準備を怠るな」

 

 ネェル・アーガマは静かに待機している。

 

 白い機体を腹に抱えたまま。

 

 

 

同日同時刻

 ???

 

 暗い室内。

 

 モニターに浮かぶ文字。

 

 ――トリントン基地。

 

『地上か』

 

 短い確認。

 

『ああ』

 

『宇宙よりも都合がいい』

 

『地上は縦割りだ』

 

『基地は基地単位で完結する』

 

 静かな分析。

 

『本部は結果だけを求める』

 

『過程までは見ない』

 

 データが切り替わる。

 

 搬入手続き。

 認証コード。

 責任者署名。

 

『鍵の運び手は任務を遂行する』

 

 一拍。

 

『受領側が“正しければ”な』

 

 沈黙。

 

『だから先にトリントンを押さえる』

 

『破壊は最小限』

 

『管制と司令部を優先確保』

 

 モニターに基地内部図。

 

『騒ぎの内に入れ替わる』

 

『機能は止めるな』

 

 低い声。

 

『疑わせるな』

 

『あの船との戦闘は不要だ』

 

 空気がわずかに冷える。

 

『受領後、即時離脱』

 

『気付いた時には終わっている』

 

 最後の言葉。

 

『連邦は自ら鍵を差し出す』

 

 通信が途切れる。




えー…唐突ではございますが、本日お昼12時に閑話となる24.5話を投稿いたします。
もしよろしければお読みいただけますと幸いです。
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