機動戦士ガンダム SilenceWar ~U.C.0096 The Legends Sing of UC Lullaby~ 作:にわ@タイトル単位作品作成者
U.C.0096 4月12日 午後。
トリントン基地上空にて。
上空は静かだった。
雲より上。
大気の揺らぎだけが視界を歪めている。
蒼いバイアラン・カスタムは、
高高度を巡航していた。
推力の調整。姿勢制御の微修正。
訓練は単調だが、空は広い。
ユウ・カジマは無言で空域を見渡す。
高度を上げる。
――そのとき。
さらに上。
わずかに光を反射する影。
「……?」
鳥ではない。
大型航空機。
だが、
高度が異様だ。
この高度を飛ぶ機体ではない。
長距離光学を拡大。
巨大なシルエット。
――ガルダ級に酷似。
識別信号は無い。
――次の瞬間。
そこから、何かが分離した。
ひとつではない。
複数。
黒い点が、縦列で落ちてくる。
自由落下。
だが。
姿勢制御している。
MS。
「……降下部隊?」
アラートが鳴る前に、ユウは機体を反転させていた。
推力最大。
蒼い機体が急加速する。
距離が詰まる。
視認。
ジオン系。
ザク、ドム、ゲルググ――
武装確認。
マシンガン、バズーカ、近接兵装。
訓練の予定は聞いていない。
……まさか侵攻か?
その瞬間。
一機がこちらに気づいた。
ライフルの閃光。
ユウは機体を縦回転させる。
ビームがかすめる。
「……敵対行動を確認」
交戦開始。
だが。
視界の端。
異様な機体。
ショットガン。
肩にある多数のヒート・ダート。
紫色の装甲。
――あれは。
脳裏に走る残像。
蒼い機体。
赤く光るモノアイ。
常軌を逸した機動。
激しい交戦。
辺りを包む炎。
――赤い肩のイフリート。
目の前のそれは別機体。
だが、危険度は高い。
「……先に落とす」
判断は一瞬。
降下中。
スラスターが十分に使えない瞬間。
蒼いバイアランが急降下。
メガ粒子砲を放つ。
直撃。
イフリート・シュナイドは回避機動に移る間もなく、胴体を撃ち抜かれ爆散した。
空中に火球。
他の機体が動揺する。
その隙。
ユウは加速する。
推力全開。
機体が縦横に跳ねる。
直線ではない。
上昇。
反転。
急降下。
横へ流す。
蒼い軌跡を残し、捉えきれない軌道を描く。
クロー・アームでザクⅡ改の胸部を貫く。
ビーム・サーベルでドム・トローペンを両断。
至近距離でメガ粒子砲を放つ。
ゲルググが爆散。
降下中のMSは満足に陣形も取れない。
落ちる前に、落とされる。
十数機。
わずか数分。
空に残るのは破片と炎。
――そのとき。
海面だけがあるはずの場所。
その場所からの、
――閃光。
「ッ!」
回避。
メガ粒子砲が大気を裂く。
さらにビーム砲。
ユウは上昇回避。
撃ってきた方向に視線を送る。
海面が盛り上がる。
巨大なシルエット。
MSのサイズではない。
異形の頭部。
赤く大きな影。
巨大な影が再び海へ沈む。
静寂。
見失う。
ユウは視線を戻す。
依然として6機。
まだ降下中。
「……今は空域制圧が優先だ」
再加速。
最も近い一機。
ザクⅠ。
旋回も間に合わない。
クロー・アームで貫く。
そのまま離脱。
爆散。
横へ流れる。
ドワッジ。
バズーカを構える。
遅い。
メガ粒子砲。
直撃。
装甲ごと貫く。
ザク・キャノン。
背後からクロー・アームで貫く。
離脱し、次へ。
ゲルググG型。
唯一、機体を立て直す。
だが――
至近距離。
メガ粒子砲。
爆散。
マラサイ。
姿勢を立て直す。
ライフルを構える。
反応は早い。
だが――
ビーム・サーベル。
一閃。
残るは一機。
ガルスK。
スラスターを噴かし、姿勢を強引に制御。
だがまだ自由落下中。
ユウは上昇し、背後を取る。
ビーム・サーベル。
一閃。
胴体を両断。
ガルスKは爆散し、炎を引いて落下した。
空は静まり返った。
炎を引いて落ちていく残骸。
ユウは海上を見下ろす。
先ほど、赤く巨大な影が現れた海域。
波は何事もなかったかのように揺れている。
短い沈黙。
通信回線を開く。
「……こちら、ユウ・カジマ。
敵MS15以上と交戦。上空にて全て撃破。
海上に大型機の存在を確認。潜航した。
これより追撃する」
返答を待たない。
蒼い機体が推力を上げる。
海上へ。
戦闘は、まだ終わっていない。
逆に史実で登場した機体が何機か名前が出てこないかもしれません。
申し訳ございませんが、ご了承ください…。
それと史実にいなかった機体が何機かゲストで登場します。
よろしければ探してみてやってください。