番犬家系の半端者ですが何か?   作:五月雨と狐

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阿頼耶識東方 さん評価ありがとうございます!
初投稿で評価をつけてもらい大変嬉しいですし励みになります。せっかく評価してもらったので頑張って続けて行こうと思います



第一話 お隣は主人公ちゃん

 

 「ここが悪魔学校バビルス………」

 

 大きな門に禍々しい外装。塔の先端は赤く染まる空を突き刺し、窓という窓からは不気味な光が漏れている。

 

 魔女の家を巨大化させて、悪趣味かつどこか魔性の魅力を漂わせるような建造物。

 

 ここが、こここそが、魔入りました!入間くん―――そのメインとなる舞台だ。

 

 そんな場所に僕は立っていた。

 

 観光ではなく今日からココに通う、入学する一人の悪魔として。

 

 「漫画とアニメで知っていたとはいえ、まさかここまでとは…」

 

 悪魔基準て言っても、僕の身長は低くない。同世代の中だったら高い方に属するだろう。たが眼の前にそびえ立つ門は、ゆうに十倍以上ある。

 

 魔界の建築基準法はどうなっているんだろう、そもそもあるのかわからないが体長10mを超える悪魔もそうそういないはずだ。

 

 などと現実逃避じみたことを考えていると、周囲がざわついた。

 

 「り、理事長!?」

 「サリバン様!」

 「…あの一緒にいる子だれ?」

 

 来た。

 

 ようやく、この物語の主人公が。

 

 僕はわざわざ待っていた。まぁしっかりとバビルスを見たかったこともあるが。

 

 同級生になると分かっていたのだ。最初の一歩くらいは、自分の目で見ておきたい。

 

 僕だけじゃない、たくさんの視線の先。

 

 サリバン様の横にいる小柄で、青い髪、バビルスの制服。

 

 そしてなにより、周囲を肉食動物に囲まれたと認識している顔。

 

 「……うわ」

 

 漫画のまんまだ。

 

 いやそれ以上だ。実物はもっと分かる。細かな表情の揺れ、指先の震え、目の奥に浮かぶ若干の"諦め"。

 

 あぁ僕は本当に転生したんだ。

 

 そう思って感無量な気持ちに浸った瞬間。

 

 ―――癖が出た。

 

 この世界に来て身に付いてしまった、悪魔を"視る"癖。

 視線ではなく、魔力を視る。

 

 相手の奥底、魔力の流れ、歪み、本質。

 

 無意識的にやってしまった。

 

 そして固まる。

 

 ………あれ?今、何を視た?

 

 もう一度。  

 

 今度は意識的に視る。

 

 間違いない。

 

 魔力の流れ、というか人間だから流れていない。そこまでは原作通り。

 

 問題はそこじゃなかった。

 

 体の本質、気配、たぶん骨格も。

 

 「…………女?」

 

 周りに聞こえないよう小さくつぶやく。

 

 男物の制服で、髪形も原作通りのアホ毛付き。

 

 たが、中身は女。どう見ても女。

 

 いやいや待てと、原作では入間は男だ。途中途中で女装してたりもしたけど、あれは悪ドルの時だけだったはず…。

 

 しかし僕の眼は嘘をつかない。

 

 視たものが全てで、それ以外に情報はない。

 

 「まじか……」

 

 原作、改変済み?

  

 それとも僕が知らない世界?

 

 思考が渦巻き、グチャグチャになる。

 

 だが物語は、待ってくれない。

 

 サリバンが嬉々としてを連れて写真を撮っている。

 

 入間――いや、入間さん?いや、今は入間くんでいいのか?

 

 混乱している間にも、門の下にはシャッターの切られる音が響いていた。

 

 

 

*****************************

 

 

 紐で縛られ「売却済み」の札を貼られ、悪魔に売られた少女―――鈴木入間。

 

 彼女の両親はクズだった。

 

 それはもうどうしょうもないほど。

 

 それは愛娘を悪魔に売っぱらっている時点でお察しであろう。

 

 「離れていても私たちは見守っているよ、あとちゃんと約束覚えてなさいね。あ、ドンペリ追加でー!

 

 その電話を最後に連絡が途切れた。

 

 入間は大体のことは受け入れてきた。

 

 理不尽も無茶ぶりも、死にかけでさえ。

 

 でも、

 

 「さすがにこれは、ひどすぎる!!」

 

 ごもっともである。

 

 「……もっと怒っても良いのではないか?」

 

 挙句の果てには悪魔からも言われる始末である。そこからどれだけ彼女がひどい目にあったかが分かるだろう。

 

 「もちろん怒ってますよ!次会ったら、えーと…うん、その、コラっ!!って言ってやります!」

 

 これだけのことをされてでてくるのがそれなのでお察しである。

 

 

 そこからなんやかんやあり、目の前の人物が「サリバン」という悪魔であり、ここが人間の世界ではない事も知り、そのサリバンからの必死のお願いを受けて、入間は孫になってしまった。

 

 (だってお爺さんも泣いてたし…)

 

 未練たらたらでそう後悔していると、サリバンが、

 

 「よーしそうと決まれば!」

 

 パチンッと指を鳴らす。 

 そうしたら服が、制服っぽいものに変化していた。

 

 「うわっ!こ、これは?」

 

 なにゆえ制服なのか、これが魔界の正装なのか、目の前で起こった非現実的な出来事から逃げて彼女は考えていた。

 

 「サプラ~イズ♡を可愛い初孫だもの。保証は万全!衣服、住居、そして…」

 

 

 最後の一つは教育だった。

 

 そのため学校に通うことになり、そこは悪魔の通う学校でバレたらメインディッシュ直送案件。

 

 そんなことをぼんやり思い出しながら、彼女はサリバンと共に写真を撮られていた。

 

 「かわいい~!」

 

 (いくらなんでも撮りすぎじゃない…?)

 

 サリバンがせがんで断れなかったせいで、エンドレスシャッターチャンスに入り、周囲の視線を感じ過ぎて数えるのも億劫になった頃。

 

 「んじゃいーるま()()また後でねぇ~!新入生はあっちだから頑張って!」

 

 「あはは…(頑張って?)」

 

 一人で放り出されてしまった。

 

 講堂の位置は示されたものの、一人で行けと申すか。

 

 「えっと、人の流れに乗っていけばいいよね」

 

 彼女は現実逃避を重ね、取り敢えず今すべきことをしようと決めたのだった。

 

 

 

*****************************

〜講堂到着〜

 

 「ここか…」

 

 悪魔の流れに乗って約3分。そこそこ歩いて到着した講堂。

 

 そこにあったのは見渡す限りの悪魔だった。

 

 みんな何かしらの悪魔っぽい特徴を持っていて、自分が少し浮いているようにも感じるくらい、元いた世界とは違うと実感できてしまった。

 

 (でも、みんな意外と普通…というか、学校なんだ)

 

 それ相応に学生らしい会話も飛び交っていて、少し安心できたかもしれない。

 

 「席、席、席…空いてない…」

 

 たくさん居すぎて座る場所が見つけられない。

 式が始まったら悪目立ちするかも…なんて思っていたら、横から

 

 「ここ、空いてるよ」

 

 白髪のぱっと見ただけじゃ女の子に見えるかもしれない、綺麗な男の子が隣の席を指差してくれていた。

 

 「座りな?もうちょっとで始まっちゃうよ?」

 

 少し悪戯っぽく笑うその人に私は、

 

 「あ、ありがとうございます!」

 

 と、素直に感謝を伝えるのだった。

 

 *****************************

 

 

 ど、どーしよう。

 

 僕は今盛大に悩んでいた。

 

 入間が女だった、女だった、大切なことだからもう一度言います女だった。

 

 先の衝撃が抜けないまま講堂に着いてしまった僕は、椅子に座ってガチで悩んでいた。

 

 「…なんかの二次創作か?嘘やん、詰んだわ」

 

 なんちゃってエアプ関西弁が出てしまうくらいには、焦ってもいた。

 

 どうするべきなんだ?

 

 というかなんで女?もしかして原作80くらいで明かされる最大の秘密なのか!?

 

 飛躍し過ぎた考察を人は妄想と呼ぶ。

 

 そんな状況に陥ってしまうくらいには現実逃避をしていた。

 

 「あと、十分で始まる… 」

 

 しかしまぁそんなことを悠長にできるようなものでもなく、原作最初の学校でのイベントが始まろうとしていた。

 

 ここで入間は禁忌口頭呪文を唱えて、良くも悪くも目立ち本来代表挨拶をするはずだったアスモデウス・アリスに絡まれる…

 

 脳内で漫画をめくって確認していると、視界の端に揺れる青い髪が映った。

 

 (あれは……)

 

 おそらくというか、あそこまで綺麗な青髪は彼女?しか無いだろう。

 多分席が無くて座れないとかそんな話かな?

 原作では座れてたけど、そこまで原作通りだったら怖いし少しの変化だろう。

 それに僕が入学してその分で座れなくなったのかもしれないし。

 

 鈴木入間―――主人公の性別だとか悪ドル編どーすんだとか、そういうことはあとで考えよう。

 

 ここで手を貸さないのは、気分が悪いし。

 

 「ここ、空いてるよ」

 

 そこまで考えた僕は、心底困った様子の彼女にそう呼びかけた

 

 でも、その時の彼女の顔が少し面白くて、ほんの少しだけ笑いながら

 

 「座りな?もうちょっとで始まっちゃうよ?」

 

 と、言い切るのだった。




 
 プロット?ないね

 見切り発車だから。

 
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