コバルオンに関わらない事を決めたあたしは、フキヨセの洞穴から出て、休憩はせずに電気石の洞穴に入った。
そして、入り口であまり会いたくない奴に早速出くわした。
「げっ、シッポウシティ以来の電波野郎じゃねえか……。
あいつなんでこんな所に居るんだよ」
正直あいつに関わってもろくな事にならないしスルーしたい。
予定を変えて今日は休み、日を改めようか、そう思った瞬間
「…………待て」
「!? お前等、何処から……っ」
突然現れた怪しい二人組に挟み込まれた。
……こいつら、一体どうやって?
気配も何も……!
「…………来い」
「なっ、体が、動か……っ!
勝手に、足が……動いてっ……」
怪しい二人組に「来い」と言われた直後、あたしの体は勝手に歩き出した。
動こうとしてもあたしの意思は全く受け付けないのに、体だけが勝手に動く。
……なんなんだよ、こいつら……っ!
あたしの意思に関係なく動く体は、そのまま電波野郎の所まで走っていった。
「N様、連れてきました」
それだけ言うと怪しい二人組は姿を消した。
怪しい二人組が消えた直後、体に自由が戻ってくる。
一体なんなんだよ、あいつら……!!
電波野郎の次は意味不明な能力持ちか!?
「……ありがとう。さて、久しぶりだねマリネット」
「こっちは会いたくなかったけどな……。
さっきの連中なんなんだよ……。お前の手下か?」
上が上なら部下も部下か?
「今の連中はダークトリニティ。
ゲーチスが集めたプラズマ団のメンバーだよ」
「あいつらが……? ポケモン保護団体の一員……?」
似合わない。
率直にそう感じた。
確かに暴れるポケモンを抑え込む事は出来そうだけど、あんな意味不明な連中が保護活動やってます、って言われたら滅茶苦茶怪しく感じてくる。
「って言うか、N『様』って言われてたよな。
まさかお前も……」
まあこの毒電波ならポケモン保護とかポケモンを解放しなければいけないとか言い出しても不思議じゃないけど。
「……そうか、キミにはまだ話してなかったね。
ライモンシティで会うと思っていたが、すれ違ったらしい」
「…………」
こいつやダークトリニティとかいうさっきの怪しい二人組が居るって考えたら、一気に胡散臭い組織に感じてきたな、プラズマ団……。
「ボクがプラズマ団のリーダーだ。
ゲーチスに請われ、ポケモン保護、ポケモン解放のために動いている」
「お前がリーダー……?」
この毒電波がゲーチスみたいに各地で演説して回るのか?
い、イメージ出来ねえ……。
一方的に早口で喋ってはいおしまい、って存在になるんじゃないか?
しかもこいつが組織運営? 無理だろ。
どう考えてもゲーチスの方がリーダー向いてるだろ。
大丈夫なのかよプラズマ団……。
「……一応聞くけど、なんでお前はプラズマ団のリーダーやってんだ?」
「ボクにはポケモンの声が聞こえるんだ。
イッシュの各地で傷つけられるポケモンの声が、非道なトレーナーに苦しめられるポケモンの声が」
「だから助けなければならない、か?」
……そう言えば、最初に出くわした時にこんな事言ってたような気がするな、こいつ。
ポークのボールが激しく揺れてるのを見て「キミのポケモン、今喋ってたよね」的な事を言って絡んできたのを覚えている。
「プラズマ団で働いて、実際に現地で傷ついたポケモンや捨てられたポケモンを保護したことは何度もある。
トモダチは皆傷ついていた、苦しんでいた、捨てられたポケモン達は悲しんでいたんだ。
だから、この悲劇を止めなければいけない」
一応まともな理由ではあるのか。
「それはそうと、電気石の洞穴……ここいいよね。
電気を表すのは数式、そしてポケモンとのつながり……。
……人がいなければボクの理想の場所だ」
「人が全く居ない場所に行きたいんなら、そういう秘境でも探せばいいんじゃねえのか?」
まあイッシュにそんな秘境があるかは知らないけど。
アヤさんの小屋の辺りでも敵トレーナー居たし。
「さて、キミは選ばれた……そう聞くと驚くかい?」
「いきなりそう言われても、驚くどころか呆れるだけだけど?」
「何に」なのかも何も教えてない時点で、理解させる気無いだろお前。
「……フウン、やはり意味が理解できないと驚く事もできないか」
「当たり前だろ、心が読めるわけでもないんだし」
……こいつ、リーダーとか絶対向いてないだろ。
「キミたちの事をゲーチスに話した。
するとダークトリニティを使いキミたちの事を調べたらしいよ。
チェレンは強さという甘い理想を求めている……。
ベルとやらは誰もが強くなれるわけではないという悲しい真実を知っている」
なんでプラズマ団があたし達の事を調べるんだか。
しかもこいつならともかくなんでゲーチスが?
「2人は不適格らしいね、一方でキミは違った。
表面上はキミも不適格だが、本質的にはキミはニュートラル……それがいいらしいんだ」
……理解させるつもりとか全く無いだろお前。
こいつの電波話は真面目に聞くだけ無駄だな。
「この先でプラズマ団がキミを待ち構えている。
キミがどれほどのトレーナーか試したいそうだよ」
喋るだけ喋ってNはさっさと行ってしまった。
ホントこの毒電波は……。
こっちに話理解させるつもりあるのか?
とりあえず、あたしも先に進むしかないか……。
表向きのプラズマ団の仕事をやってるダークトリニティとかギャグにしか見えない件。