禪院扇に優秀な息子がいた場合の話   作:てんつく

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禪院末広

 

 

 

「……父上只今参上致しました。」

 

 

面頬を着け和服を着た20代の男が廊下で正座し障子の先に居る存在に礼をする。

 

 

「入れ、末広」

 

 

沈着な声が障子を隔て末広と呼ばれた男に掛る。

障子の先の男に呼ばれ末広は姿勢を崩さず静かに障子を開き入室する。

 

 

「父上御無沙汰しておりました」

 

 

末広は綺麗に額を畳につけ父に礼を捧げる。

 

 

「礼は良い、面をあげよ。末広今日貴様を呼んだのはあの出来損ない共についてだ。」

 

 

「……」

 

 

父の言葉に息子は沈黙で返す。

 

 

「あの出来損ない共は呪術高専に入るなどと抜かしておる、女が高専にいった所で何にもならぬと云うのにな、兄であるお前があの出来損ない達に言え『女は大人しくいていろ』とな」

 

 

「……それは承知しかねまする、父上。」

 

 

「…何?」

 

 

父は手塩をかけ育てた恭順な筈の息子の予期せぬ反抗に怒りよりも困惑が顔に浮かぶ。

 

 

 

「我が愚妹達は禪院の恥、あの愚妹達が禪院の家系に籍を残し続ける事は禪院の名を傷つけます。その為に禪院の家から切り離す為に高専に行かせ縁を薄くすべきと存じます。」

 

 

 

「…ふむ、それも一利ある」

 

 

 

父は顎に手をやり思慮する。

 

 

「…有事の際はこの私が直々に愚妹達を撲殺致します故ご安心を」

 

 

息子は手に着けた手甲を動かし音を鳴らす。

父は息子の態度を見て安堵する、父に反抗したのではなく別の提案をしただけなのだと、心は同じなのだと

 

 

「分かった、此度の件はお前に任せよう。下がれ」

 

 

父の言葉に従い息子は部屋から退出する。

息子が去ったあと父、禪院扇は独り心地に呟く

 

 

「強く育ったな、我が息子よ」

 

 

それは愛する息子に対する言葉ではなく

己が当主になる為の道具へ向ける言葉だった

 

 

 

禪院扇の息子、禪院末広

 

父と同じ術式を持ち

 

父と同じ背丈

 

まさに若き日の扇の生き写し。

 

 

しかし2つつだけ相違点が存在した。

 

獲物である、禪院末広は獲物を持たぬ

 

術師たるモノ、否戦士たるモノ真に頼れるのは己の肉体のみ

 

その信念のもと拳1つで特別一級まで上り詰めた。

 

 

そして2つ目は…

 

 

◆◆◆

 

 

 

「我が愛しき真希よ、息災か」

 

 

 

呪術高専東京校のグランドで末広の妹の一人の少女が呆れた顔で返事を返す

 

 

「暇かよ兄貴…今月何回目だ」

 

 

「7度目だ真希、更に美しく逞しくなったな」

 

 

「あっ末広だ。お土産あるのか?」

 

 

「鮭、昆布、鰹」

 

 

呪骸と呪言使いも兄弟の話に割り込んでくる。

 

 

「む、今日は真希が好きな最中を…」

 

 

「高そうな奴だなー何処の?」

 

 

パンダの様な呪骸が聞く

 

 

「中京区の仁王門の所の物だ」

 

 

「また変なの買ってきやがって…別に私はそんな最中好きじゃねぇし」

 

 

真希の言葉に末広は落雷を食らったかのように力が抜けお土産の紙袋を落とす

 

 

「な…ん、だと…?あの日、『お兄ちゃんの買ってきた最中、真希だいすき!』という言葉は偽りだっのか…?」

 

 

「はぁ!?そんな事言ってねーし!?」

 

 

顔を真っ赤にしながら兄にローキックを食らわせる。

そしてこっそりパンダが土産袋を拾い上げている。

 

 

「…おかか」

 

 

「ははは…真希さんとお兄さんは仲良しなんだね」

 

 

そう新しく転入してきた生徒、乙骨某がそう言うと末広は首を180度回転させる勢いで乙骨を睨みつけ呪力を解放し術式を発動する。

 

 

「黙れ…!誰がお義兄さんだ…!真希はやらぬ…!術式解放ォ!!!【焦眉之赳】!!!良いだろう!!今一度この手で…!骨の髄まで灼き尽くしてくれる!!!」

 

 

「クソ兄貴何言ってんだよッ!!!」

 

 

今度はハイキックを貰った。

 

 

 

◆◆◆

 

禪院末広

 

禪院のモノにあるまじき―兄(妹大好きマン)なり

 

 

 

 

 

 

 




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