登録証≠冒険者   作:海棠

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異世界冒険もののオリジナルなんて初めて書きますから実質初投稿です。




 ここは異世界。我々のいる現実とは違う世界。

 

どことなくこちらの世界でいう中世のような雰囲気を出しつつも現実にはない巨大樹や古城・生物が見える。お、あそこにワイバーンもいた。

 

そしてここから始まる物語はそんな世界にあるいろんな種族が交流し合い、にぎわう国「ヨロビア」。そんな国の中心部に存在する周りにおよそ3ポード(こちらでいう3メートルほどだろうか)ほどの高さの壁に囲まれている都市‥‥始まりの街とも言われている「アンファング」での出来事だ。

 

 


 

 

「ねぇ、あなた」

快活なエルフの女性が声をかけている。相手はどうやら男性で新聞を読んでいたらしい。

 

「ん…?」

男は新聞から目線を彼女に向ける。その目線は拒絶してるわけでもなく、かといって好意的というわけでもなく、ただ「なんで話しかけてきたんだろう」という疑問の目線だった。

 

「あなたが、エイベル・ボーマンよね?」

「確かにそうだが‥‥どこで俺の名前を?」

「ギルドの受付の人があなたのことすごい褒めてたのよ。私達駆け出しだからさ、ベテランの人がついてきてくれた方が心強いかなって」

新聞を読んでいた男はエイベル・ボーマン。

なんだかんだで冒険者を始めて8年目のベテランと言えばベテランである。

 

「そういう君は?こっちの名前を君は知ってるが俺は君の名前を知らない。不公平だろ?」

「それもそうね。アタシの名前はアデリーナ・グランフィルド。つい最近試験を合格して冒険者になれたの」

そう言いながら彼女、アデリーナ・グランフィルドは肩に軽くかけている槍を少し掲げる。

恐らく心機一転ということで鍛冶屋に頼んだんだろう。持ち手の傷はそこまで多くなく、槍の穂先にかぶせてあるカバーもくたびれていない。

 

服装だってそうだ。

全体的に身体のラインが見えづらいダボっとして服を着ているが、腰…いや腹部か?ベルトとポーチなどでしっかりと固定し、前腕部やふくらはぎはぎゅっと縛られた上でこれも鍛冶屋でオーダーメイドしたのだろう。彼女にぴったりのプレートアーマーが装着されていた。どれも傷が少ない。

如何にも新人って感じだ。

 

「鎖帷子はつけてるか?」

「?つけてるわよ?」

「上等。それならいい。新人は鎖帷子を忘れることが多いからな・・・少し重いし、面倒かもしれないがあるに越したことはない。回復薬は?」

「お金がある分だけ買ってきたわ。と言ってもそこまでだけど」

「いいな。凄い良い。きっとすごい冒険者になるぞ」

すると彼女は気を良くしたのか更に距離を縮めてきた。彼にとっても拒否する理由もないのでそのまま話をつづける。

 

「物凄い気をかけてくれるじゃない」

「冒険者は紙一重で死ぬからな。準備は怠らない方がいい」

「そうなのね…先生と同じこと言うわね」

「先生って…それって偏屈そうな爺さんだったか?」

「そうなのよ!あんたも?」

「あぁ。偏屈そうな爺だったが案外俺たちは好いていた人さ。今でも交流自体はある」

「案外優しいわよね、あの人」

「案外ってなんだ案外って…かなり優しいだろ。遅刻しても理由あれば減点控えめにしてくれるし。まぁ訓練とか授業は滅茶苦茶厳しかったけど・・・それは、まぁ、いいか。

 それよりいつまでも立って話するのも疲れるだろ。どうだ?」

そう言いながら彼はすっと椅子を動かす。ぶっきらぼうに見えるが、動きの節々にやはり優しさがにじんできている。

 

「アリガト」

お言葉に甘えて彼女は椅子に座る。そんな二人に獣人族の男が近づいてきた。

 

「何してるのグランちゃん」

「あ、ガリヤード。今スカウトしてるとこなのよ」

彼は狼だった。獣人族・狼系だろう。彼女と親し気な所を見るにお互い知己の仲であるようだ。

エイベルは気になったのか質問をかけることにした。

 

「知り合いか?」

「そうなの。訓練校の同級生よ」

「えっと・・・グランちゃんがすいません」

「いや、気にしなくていい。俺はエイベル・ボーマン。君たちから見たら先輩にあたる。

 今この子からスカウトを受けてる最中でね。君は?」

「?」

「悪い。言葉足らずだった。名前は?」

「あ、ぼくの名前はガリヤード・ウルブスって言います」

エイベルはガリヤードと名乗った男を上から下に視線を動かして観察する。

 

全体的に装甲を部分部分に装着することで柔軟性を維持しつつ致命傷を防げるようになっているようだ。

腰には大型のナックルダスターがぶら下がっていることから彼は拳によるインファイトを得意とするのだろう。

そこまで分析すると彼は再び口を開いた。

 

 

「鎖帷子はつけているか?あと君も座りな」

「えッ、つけてます。あとお言葉に甘えてここお邪魔しますね」

「どうぞどうぞ。で、心構えはしっかりしてるな。そんじょそこらの異世界人とはやはり違うか」

「異世界人って・・・確か異世界から来た人のことよね?胡散臭いし信憑性に欠ける話だけど・・・本当にいるの?」

「いるぞ。大概短命だがな。冒険者は短命になりがちだがあいつらは輪にかけて短命だ」

「そうなんですか?教科書では戦力としては正直心細いって書かれてましたけど・・・」

「あー、そうだな・・・お前さんらは実践訓練で何倒した?俺のころと変わってなければ最初はスライムだと思うが・・・」

「「スライムだったわ/スライムでしたよ」」

「あいつらの大半はそれに腕や足を溶かされて負ける」

「「えぇ?!」」

「なめてかかって不用心に近づいてやられるんだ。スライムは基本群れで動き、時に素早く襲い掛かってくる。知ってるだろ?」

「そうね」「そうですね」

「大半はそこで脱落するが・・・脱落しないやつもいる。でもそいつらはゴブリンの連中になぶり殺しにされたり人狼の一派に殺されたり・・・これは俺達でもやられることはあるな。まぁ、ホントに極々僅かしか残らないと考えていい」

「つまり役立たずってコト?」

「大半が役立たず以下の安いおまけだがごくごく一部はそうでもないみたいだ」

 

「「・・・?」」

 

「知恵で物事を発展させたりするやつもいる。アトミスとかいい例だろ?」

「聞いたことがあります。確か、夢と霧と蒸気の国だとか・・・」

「そうだな。噂によればあそこは異世界人によって急激な発展を遂げたって言われている。ここもレッシャとかいうようわからんものの工事とかしているしな」

「というよりこの町のど真ん中にある巨砕砲もそのジョーキキカン?の技術使ってるって話じゃない。実際スゴイわよね」

「そうだなぁ。で、何の話してたんだったか」

「何の話してたかしら?」

ウルブスがガクッと体勢を崩した。

 

「いや、スカウトするって話じゃなかったんですか??!」

「あぁ、そうそう。で、受けてくれる?」

「んー・・・俺は特定のパーティには入ってないし入らないようにしているんだ。今回は見送らさせてもらってもいいか?」

「なんで?」

「うちの村にはあまり若い働き手がいなくてな・・・妹もよく出かけてるから俺が村にいることが多いんだ」

「少子化?」

「いや、単純に俺たちみたいな中間層が少ない」

すると彼女は少し憐みの表情を見せた。

 

「苦労してるのね・・・」

「ん~そうでもないぞ。そもそも俺がギルドに登録したのは村を守るためにいろいろと都合がよかったからだ。それに、村のおじさんたちも村長もみないい人だ」

「でも、デッカく冒険とかは夢見たりしないんですか?」

「…俺は冒険に、未知に命を張れるほどの度胸はない。それにロマンを負う気力もない。家族を養ったりするのが精いっぱいさ」

そう告げる彼の顔には少しの悲しさと諦め・一抹の悔しさがにじんでいるように見えた。

 

そしてそれを見逃すほど2人はボケボケではない。

 

 

「そう・・・でも、お手伝いとかはしてくれるんでしょ?」

「頼まれたらな」

「じゃあさっそくだけど手伝って!報酬は3人で均等よ!!」

「いいぞ」

「軽くないですか?!」

「冒険者なんてなんぼ助け合いしてもいいからな。で、依頼内容は?」

「コレ。確認して」

すると彼女は紙を手渡してくる。彼にとっては見慣れたギルドの掲示板に張っているクエストが書かれた紙だ。

内容を確認する。

 

 

『依頼内容:スライムの討伐

 場所:サナタ村

 報酬:5万カナカ

 依頼文

  すいません。今私たちの村、その近辺にスライムが沸いているんです。

 魔術に少しだけ精通している村の一人が追っ払っているのですが・・・これではきりがありません!

 助けてください!』

 

 

彼は内容を確認すると顔を上げた。

 

「さっそく、か。噂をすればだな。準備をしよう。

 お前たちは魔法は何が使える?氷か雷があれば心強いが」

「僕が使えます!」

「他人・他への譲渡は?」

「で、できます!ですが威力が落ちるかも・・・」

「いや、できることに意味がある。で、アンタは?」

すると彼女は槍を肩に担ぎつつ言った。

 

「身体強化よ。属性魔法に関しては教官直々に才能がないって言われたわ」

「そうか。だが身体強化を自力でできることはいいことだ。

 治癒魔法に関して心得は?」

「「最低限は」」

「奇遇だな、俺もだ。で、俺は矢を敵に追尾させたり視界強化で望遠鏡なしで遠くのものを見たり暗闇でも動けたりする。属性魔法も使えないわけじゃないが、スライムにダメージを与えるにはちと心もとない」

「じゃあどうするのよ」

「これを使う」

すると彼はポーチからいくつか石を取り出した。様々な色をしており、見てくれは非常にきれいに見える。

 

「これは…魔法石かしら」

「魔鉱石。魔法石に加工する前・・つまり採れたてそのままのモノだ。ある程度の衝撃を与えたら魔力があふれる仕組みになっている。魔法石はこれを加工・コーティングして魔力を流したら出る仕組みになってるな」

「コレとるの大変だったんじゃないですか?」

「しびれたり腕が凍ったり服に火が付いたりと中々やばいぞ。複数人で事を行えとギルドも推奨してるしな」

そんなこんなを話しながら彼らは着々と準備していった。

 

続く




【キャラ紹介】
エイベル・ボーマン
▶25歳。弓を得意武器としている。

アデリーナ・グランフィルド
▶80歳(人間換算だと16歳ほど)。槍を手に取った新米。

ガリヤード・ウルブス
▶19歳。大型のナックルダスターを手に取った新米。
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