これは天翔贐(あまかけ じん)さんの単発小説です。
最近IRIAMで配信をとても頑張っていて、ランクも上がっている凄い人です。
そんな凄い贐さんの為に、贐さんだけ出演させた小説を書きました。
どうぞ面白かったら嬉しいです!

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第1話

 この世界は理不尽だ。

 悪魔による呪いが世界を蔓延し、多くの人々を死に貶める。

 

 もちろん人々は悪魔へ対応し、軍事力で倒そうとしたが、悪魔の圧倒的な力に為す術なく(なすすべなく)、僕たち人間に圧倒的な恐怖を与えていた。

 

 こうして僕たちは悪魔に怯えながら、シェルターや何処かの建物へ隠れながら住んでいる。

 

 僕はこの隔離した部屋でたった一人、この世界の状況を思い更けていた。

 机とベット、手鏡だけあり、食事もこのシェルターの人達がこの部屋に持って来て置いていく、この真っ白な部屋が僕の世界だ。

 

 本当はこんな真っ白な部屋から出たい。

 

 だけどそれは出来ないんだ。

 

 小さい僕は悪魔に呪いを貰ってしまった。

 人間から悪魔へと変貌させる呪いであり、僕という意識が消える呪いでもあった。

 

 僕が産まれた瞬間にこの呪いは埋め込まれ、こうして父さん母さんと離れ離れにされたんだ。

 

 机の上にある手鏡をふと手に取り、僕の顔をもう一度見てみる。

 髪は少し伸びており、左顔を隠していた。

 僕はその左顔に掛かった髪を退かすと、呪いの影響なのか黒く変色していた。

 

 何回も手鏡を見て、自然と直っていると強く願っていたが、何も変わらずに黒く変色が進んでいる僕の顔を見る度、なんで僕だけがこんな呪いを受けないといけないんだと怒りが込み上がってくる。

 

 「……クソォォ!!」

 

 僕は持っていた手鏡を強く地面へ投げ捨てる。

 手鏡は見事に割れ、これが10回目の記念すべき破壊であった。

 何回も手鏡を壊してる僕自身に嫌味を感じ始め、そんな僕は惨めだなと笑えてきてしまう。

 

 もういっそのこと僕の事を……

 

 「……殺してくれよ」

 

 そう呟いてしまった。

 

 「いや、駄目だよそんなこと」

 

 急にこの部屋の扉の前からそんな知らない男性の声が聞こえてくる。

 その声に僕はビクッと震え、警戒してしまった。

 

 「警戒しなくても大丈夫だよ!僕は死滅士の天翔 贐(あまかけ じん)!贐くんと呼んでくれたら嬉しい!」

 と話しかけてくる。

 

 声色や口調でとても優しいお兄さんと感じるが、なんか何処からか感じるのが……

 

 「……なんか馬鹿ぽい」

 

 と不意に言ってしまった。

 それを聞いた天翔と呼ばれる人は「いきなり酷くね!?」と悲しそうにツッコミを入れる。

 

 「まぁ話を戻すけど、僕がここへ呼ばれたのは、成瀨君、君の呪いを消す為に来たんだ。君の両親からの依頼でね。だから助けに来たんだ。」

 

 そう天翔が話しかけてくる。

 だがそれが僕、鈴木成瀨(すずき なるせ)の地雷であり、怒りを買った。

 

 今さら呪いを消す為?

 

 両親は僕を捨てた癖に?

 

 ……ふざけるなっ!!

 

 「ふざけるなっ!!」

 僕の中からこの世界の憎しみの心が溢れ出し、段々と僕の身体を黒く侵食させてくる。

 

 今さら助けに来た?

 

 そんなの嘘だ!!

 

 誰も悪魔の呪いを消す事が出来ずに死んでいったのを、僕はこの部屋の扉から良く聞こえてきた!!

 

 こんな僕を助ける事なんて出来ないんだ!!

 

 そんな負の感情が僕の心飲み込み始め、身体も何処か痛み始める。

 そんな痛むに僕は、

 

 ……もう良いよね? こんな僕の意識なんて

 

 そう思い、僕の意識が消えるのを望んだ。

 

 ……だが彼は違った。

 

 「駄目だっ!!そんなこと!!」

 と天翔は扉を取り破り、急いで悪魔へと変貌しそうな僕のおでこに御札を貼る。

 

 御札を貼られた瞬間、僕の身体から黒いモヤが出ていき、悪魔への変貌がピタリと止まる。

 僕から離れた黒いモヤは一つに集合し、巨大な悪魔の姿への変わり始め、頭は牛の姿、身体は鳥類と同じ翼を生え、鋭い爪と牙を携えた悪魔となる。

 

 僕の悪魔への変貌が収まった事に僕自身驚いているが、今、目の前で本物の悪魔が現れた瞬間、恐怖に震え上がる。

 

 その異質の姿は僕たち人間の恐怖の象徴だ。

 こうして現れた事がもう終わりだと僕は思ってしまった。

 

 「うん、かなりでかいなこの悪魔」

 だが天翔は怖がらず、背中に背負っていた大剣を片手に持ち、悪魔と戦う意志を表す。

 

 その天翔の姿に僕は驚いてしまった。

 「な……なんで戦おうとするんだ!?相手は悪魔だぞ!?勝てるわけない!!」

 

 そんな僕の言い分に、天翔はニッと笑いこう答える。

 

 「大丈夫、僕たち死滅士は呪いによる死を消す為に来たんだ。だから助けるよ。」

 と言い、悪魔へ向かって駆け出した。

 

 天翔の純粋な言葉に僕は息を飲んでしまった。

 先ほどの感じていた恐怖は無くなり、初めて誰かを信じてみようと思ってしまった。

 

 こちらへ迫る天翔に悪魔はその自慢の鉤爪(かぎづめ)を振り下ろす。

 しかし、それは当たること無く、天翔は鉤爪ごと右腕ごと叩き斬り、悪魔の後ろを取る。

 

 右腕を失った悪魔はあまりの痛みで鳴き声を上げようとしたが、鳴く事は出来なかった。

 天翔が鳴き声をする暇を与えずに悪魔の首を切り落としたからだ。

 

 天翔は圧倒的な力で悪魔を倒し、鈴木成瀨の呪いは無事消した。

 

 まさか悪魔に勝つなんてと思わなかった成瀨はポカンとしており、「助けられたでしょ?」とニィと天翔は笑っていた。

 

 これで成瀨は悪魔へ変貌する事は無くなり、あの真っ白な部屋から出られるようになった。

 シェルターにいた人々は天翔へ感謝の言葉を伝え、天翔はそろそろ任務を終えた事を報告する為に死滅士の本部へ帰還する所だった。

 

 「ちょっと待ってくれっ!!」

 

 天翔がシェルターから去ろうとした瞬間、後ろからこちらへ呼ぶ声が聞こえ、後ろを振り返る。

 

 そこにいたのは成瀨であった。

 

 成瀨は精一杯の声で話す。

 

 「僕も…!!僕も贐さんみたいな死滅士になれますか!?」

 

 それを聞いた天翔は驚く。

 まさか成瀨も死滅士になりたいと言い、しかも天翔を目標にしている事に。

 

 その成瀨の質問に、天翔は微笑むながら

 

 「君が死滅士になれる事、待っているよ」

 

 と答え、天翔はシェルターから立ち去った。

 

 これが成瀨の死滅士との出会いであった。


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