貴方は淫魔の国へ渡る   作:ばばばばば

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3-15 出社の遊覧飛行3回目

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚めた貴方達は手早く朝の支度をしながら、昨日よりも意気込んでいた。

 

 

「ウオォォ!! 人間ちゃんの添い寝により元気1000% 今日はなんだかいけそうな気がするっス!」

 

 

 いつもよりさらに元気な彼女を見ながら貴方は既に着替えを済ませていた。

 

 すでに彼女の腕の中で運ばれることにも慣れた貴方は、彼女に身を任せ、その腕の中に収まる。

 

 

「人間ちゃん。行くっスよ~」

 

 

 

 

 相も変わらず外は夜、その色は昨日よりさらに一段と濃いように貴方には思えた。

 

 まるで蟻塚のような淫魔の住処から次々と淫魔達が飛び出ていく光景を貴方は眺めた。

 

 

 貴方もこの遊覧飛行も3回目、少しは慣れた貴方はその様子を観察する余裕が出来ていた。

 

 

 そこで貴方は気づくだろう。

 

 

 ――通りすがりに結構見られているが変装はだいじょうぶなのだろうか?――

 

 

 通り過ぎる淫魔がチラリとこちらを覗いている。

 

 そのことに気づいた貴方は、少し不安に思い彼女に問う

 

 

「流石にド平日に女の子を連れてると目立つっスね、三日連続で女の子を連れ込んでる淫魔みたいで、めちゃくちゃ気分いいっスけどね」

 

 

 そんな平日の昼間に通勤する社会人を眺めながら飲む酒の旨さを語る様に彼女は話す。

 

 

 ――また自分はあの公園で待機なのだろうか……――

 

 

「意外といい考えだと思ったんスけど……、ちょっと人間ちゃん噂になってるっスね、げに恐ろしいのは淫魔の本能っスね……」

 

 

 ――本当にバレないのだろうか?――

 

 

「大丈夫っス! なんか“公園にいるあの子を手籠めにした淫魔は誰だ”って探してる人らがいるけど今日一日ぐらいは乗り切れるはずっス!」

 

 

 全く大丈夫とは思えない言葉を聞きながら、貴方は今日も迫りくる淫魔達をいなさなければいけないことを覚悟した。

 

 貴方は公園の女性たちに混じりながら淫魔に怯えることになるだろう。

 

 

 ――そういえば、公園には女性ばかりだが何故だろうか?――

 

 

 貴方の想像の話であるが淫魔は男性から性を奪うイメージがある。

 

 だというのにあの公園……、言い方は悪いが買春の場に男性がいないのは不自然なように貴方には思えた。

 

 ふと浮かんだ疑問を貴方は彼女に問いかける。

 

 

「あー、そういえばそれも説明してなかったっスね、人間ちゃん、下の道を見てください」

 

 

 彼女に促され、貴方は下を見る。

 

 そこには淫魔以外の空を飛ばない者達が、道を闊歩していた。

 

 

 画像例三枚

 

 

 

 ――なぜか女性が多いように思える……――

 

 

「多いようにじゃないっす、淫魔の国はほぼ100%女性しかいないんスよ」

 

 

 ――それは、ここが淫魔の国だからだろうか――

 

 

「まぁ淫魔の国はもちろんっスけど、他の場所に行ってもほぼ女ばっかっすね」

 

 

 ――いやそれはおかしいのではないだろうか――

 

 

 そんな非現実的な偏りが起きうるのだろうかと貴方は疑問を感じる。

 

 

「あー、言ってなかったっスね、淫魔が発明した魔力炉なんすけどね……、初めは淫魔、というかサキュバスしか生成した魔力を扱えなかったんスよね」

 

 

「まぁ、それだと困るんで他の種族にも適応できるようにいろいろ研究してすぐに解決策が発見されたんですけど……」

 

 

「その方法が、淫魔の因子を埋め込むんですよね」

 

 

 ――因子を埋め込む――

 

 

「いやいや、そんなグロイ感じじゃなくて、私ら淫魔は魔力みたいなもんなんでね、ちょっと魔力を切り離して他種族に分けたんスよ」

 

 

 なるほど

 

 しかし貴方にはこの説明と世界に女性ばかりという話の繋がりを理解できなかった。

 

 

「当時は魔力の枯渇が死活問題だったんで世界中の魔族が淫魔の因子を取り込んだ結果……」

 

 

「なんか魔力依存の魔族は女体化するし、実体を持つ魔族も生まれる子供が女の子ばっかで……、そんなことして年月が経って……、この世界の魔族の殆どが女性型になったんス」

 

 

 貴方は呆気にとられながら、彼女の言う無茶苦茶な歴史に思わずツッコミを入れる。

 

 

 ――それは……、おかしいだろう、種の繁栄とかで詰んでしまわないのだろうか?――

 

 

「あー獣人族とかはそこらへん大変とかきくっスけど、淫魔はそんなに? そもそもインキュバスもサキュバスも私らからしたらヤル事は同じですし……?」

 

 

 貴方は思わず彼女ら淫魔達の常識を疑う。

 

 

 ――女性だけでは種として滅ぶのではないだろうか――

 

 

「え? 別に私達淫魔は男でも女でも、生むのも生ませるのも自由自在っス、なんなら種族とかも関係ないっスね」

 

 

 余りにも爛れたことを言い出す彼女に貴方は頭を抱えた。

 

 

 ――そんな馬鹿な話が、なら一体淫魔はどうやって子を産むというのだろうか――

 

 

「お互いが心から愛し合うと子供が出来ちゃいますね」

 

 

 ――死ぬほどピュアだった――

 

 

 先ほど爛れた云々と考えていた貴方の情緒はかき乱される。

 

 

 ――つまりキスすると子供が出来ちゃったり?――

 

 

「えっ、まぁ、お互いの心をトロつかせるキスなら、多分一発で?」

 

 

 ――めちゃくちゃにロマンチックである――

 

 なんなら、人間の繁殖方法よりとてつもなくファンシーである様に貴方には思えた。

 

 

「あー、そんなんすかね? まぁ、そうやって生まれた淫魔は生まれた時からある程度の知能を持って生まれるんで、結構放任がデフォっスよ?」

 

 

 ――確かに言われてみれば、この淫魔の町で子供の淫魔を見たことがない事に気づく――

 

 

「幼体を経て成長する魔族ってマジでなんも出来ない状態で生まれてどうやって生きるっスかね?」

 

 

 貴方は淫魔の知られざる生態に唸らされた。

 

 

 そんな彼女達、淫魔のことを聞きながら、貴方達は空を駆けていく。

 

 

 そんな話の内に貴方は――

 

 

 

 見慣れた工場の形が、地平線の先に微かに見えはじめた

 

 

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