貴方は彼女に連れられ、公園についた。
「今日はちょっと目立たない場所で下ろすっス」
貴方は敷地の奥に連れられると、彼女にそっと下ろされた。
「貴方に触れれば分かることもある。しかし、それだけで貴方を知った気になれるほど貴方は浅くない。……今日も私を待っていてくださいますか?」
彼女は貴方を下ろすと同時に手を握り、まるで殺し文句のように言葉を吐き始める。
――この行為に意味はあるのだろうか――
「まっ、お約束って奴っス。ムードは大事っスよ、ムードは」
貴方の手を握ったまま彼女はその表情をいつものものへと戻した。
「じゃあ、人間ちゃん、少しだけ我慢して待っててくださいっス!」
飛び去る彼女を見送る。
貴方はまたもやこの公園で一人で過ごすことを余儀なくされる。
しかし、貴方も既に三回目、多少の慣れはあった。
淫魔達は猛烈なアタックをかけてくるが実力行使はしてこないことを貴方は理解していた。
故に自身の身に滅多なことは起きないだろうと思っていたのだ。
「おいアンタ」
もちろんそれは貴方の勝手な思い込みだった。
貴方は声の主の方に顔を向ける。
そこには貴方と同じように全身を隠した姿の者がいた。
「最近ここで見る奴だよな? 客も取らないでずーっといつきやがって、何がしたいんだい?」
何やら刺々しい態度に貴方の心胆は凍る。
突然投げかけられた言葉に貴方は動揺がバレないように返答する。
――人を待っているだけだ――
「さっきの淫魔かい、はぁん? こりゃ随分色々貢がれてるみたいだねぇ……」
ジロジロと貴方を見る相手
一体何が目的なのか分からない貴方は相手の言葉の意味を必死に理解しようとする
「あの淫魔も何考えてるんだい? 自分の女をわざわざこんな所に置きやがって、おかげでこっちは商売あがったりだよ」
――商売あがったりとはどういうことだろうか――
「はぁ? とぼけるんじゃないよ、アンタみたいな淫魔好みの女のせいでこっちに客が回んないんだよ」
貴方は相手の言葉を聞いてようやく経緯が分かった。
つまりこういうことだ。
「どんな性癖か知らないけどね、淫魔に魂を売った売女なら大人しく部屋で首輪でもつけられて大人しくしてりゃいいんだよ」
――自分が淫魔の目を引き、そちらの商売の邪魔になっているということだろうか――
貴方は重い、とても重いため息を吐きながら、相手に確認を取る。
「な、なんだい、言い返すと思ったら手ごたえがないねぇ……、ここまで言って何も言い返さないのかい? 情けない」
――こっちは本当に情けなく思っている――
「……アンタ、変なヤツだねぇ、とにかく商売する気もないんならさっさと失せな」
気勢がそがれたといった雰囲気で吐き捨てる相手方。
しかし、残念ながら貴方にここ以外の行き先などない。
彼女をここで待たねばならない貴方としては相手の要求は受け入れられるものではなかった。
貴方は――