貴方はそれでも手を伸ばす
だが――――
「おっと、いかんな」
その手は工場長に踏みにじられる。
「これは……、まさかこれを作り上げるとは……、ククク……、やはり惜しいな」
貴方は必死に手を動かそうとするが、巨岩に挟まれたようにその手は動かせない。
「私に従え……」
そして貴方の反骨の意思は溶ける。
既に貴方の心は囚われた。
「あ、あぁ……、あぁぁぁぁぁぁ……」
もはやあなたの耳に届くのは、工場長の言葉だけ。
貴方は目を覚ます。
「あぁ、起きたかな? さぁ、こっちにきなさい」
貴方は崇拝すべき彼女の横に控えた。
彼女は貴方の尻を撫で上げる。
貴方は羞恥から顔を赤らめた。
「君は幸運の女神だな、君から絞り出した魔力で、また一人こちらに転んでくれた。本当に助かるよ」
どうやら自身は彼女の役に立てたらしい、それに気づいた貴方は、胸を高鳴らせる。
思わず貴方は上ずりながら口を開く。
――もっと自分が役立つ方法はあるだろうか――
「君は献身的だな……、いいや、まだ君の姿を明るみにするのはまだ早い……、もっと地盤を固めてからだ。なに、このままいけば君を伏せ札にしたまま上級悪魔になるのだって容易いさ」
どうやら、これ以上彼女に献身できることはないと気づいた貴方は少しだけ目を伏せる。
「なんだ? ご褒美が欲しいのかな」
貴方を軽く抱き込むように彼女が腕を腰に回す。
彼女の体温を肌に感じる。
それだけで貴方の心臓は高鳴った。
「君は有能だ……。もちろん今日もベッドで鳴かせてあげよう」
貴方の口内に熱く濡れた者が入る。
それだけで貴方は小刻みに体を震わせた。
「……そういうわけだ。私は今から忙しい、お前は指示を待て」
「………っス……………」
貴方は、彼女の前にいた人物をチラリと見る。
なにかは知らないが、彼女が欲しがる物を作る職人のようだ覚えている。
「なんだ? そいつが気になるか?」
貴方は首を振る。
しかし、思えば彼女の部下らしき人が来る時、彼女は激しく自分を求める。
そう考えると喜ばしい。
そう貴方は彼女に告げた。
「くっ……、くはっ! クハハハ! そうか、いやそうかもしれんな……!」
彼女の手が貴方の服に伸びる。
貴方はそれに身を委ねて、彼女の顔に手を添えた。
彼女の部下は何も言わず虚ろにこちらを見る。
しかし、貴方がそれに気づくことはない。
貴方は快楽の海に溺れ、それを貪った。
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hint:貴方の選択は概ね正しく、もう少しで手が届いたはずだった。
貴方に足りなかったものは意思であり、そのための動機だ。
端的にいうならば貴方は彼女を知らなければならない。
『貴方が彼女と眠る時、彼女に触れろ』
宝石に手を伸ばした時と同じく、その執念が可能性を生み出す。
この結末を受け入れられないならば結末から戻り、その記憶の断片を『4つ』集めるといい
※これでもわからなければ貴方の同士たる渡界者の記録を探るのも手だ
右上の頁の余白にその記録が集まりだすかもしれない
あるいは君こそが後人へ標を置くのもいいだろう。