貴方は渡されたお金を必死に押し返すが、相手の淫魔は受け取らない。
「契約は絶対! 既にアイツは対価を乗せたッ! どうするかはあの子次第だ!」
「新人であんな大金……、ヤベェとこから借りてないよな……?」
――流石に破産させるのは寝覚めが悪い――
「この一時を誘うためなら、私は何も持たざる者になっても構わない。……その先に貴方がいるなら」
口は滑らかに動く淫魔だが、貴方に差し出された手は震えていた。
貴方はその姿を見て、思わず絆されたような言葉を口にしてしまう。
――話だけは聞いてもいい――
その言葉は同情から出た言葉であった。
その瞬間、貴方は風にさらわれる。
「やったぁぁぁぁぁ!!」
体を抱え込むように持ち上げられた貴方は成す術もなく風に煽られ、情けない声を出す。
「クッ、同情を引くように憐れませれば行けたのか……!」
「ちくしょうあの新人、やりやがったぜ……!!」
そんな野次馬淫魔の声は遠く、矢のように突き進む新人淫魔は貴方の体が折れかねない程強く抱きしめる。
公園の喧騒が遠ざかり、魔力炉の低い唸りだけが近くなる。
その勢いは、貴方のうめき声でようやくそのはやての如き速度を僅かに緩めた。
「ご、ごめんなさい……、い、痛かったかな?」
――自分の体は水にふやけた紙コップぐらいに扱わなければ破けてしまうだろう――
「か、紙で出来たコップ……? す、すいません、つい興奮しちゃって……、びっくりするぐらいプニプニの肌なんでつい……」
ようやく会話に応じる淫魔に、貴方は体の痛みを押して謝罪する。
――人目がないここなら、このお金を受け取ってもらえないだろうか?――
「え……」
まるで膨らんだ風船が萎むように、期待が音もなく崩れ落ちたような顔をする淫魔
そんな相手に貴方は自分を元の場所に戻してもらえないかと頼み込む。
「う、うぅぅぅ……、そ、そんなの酷いです、や、約束したのに……!」
大粒の涙を浮かべる淫魔に貴方は自分の行った軽々しい選択を後悔する。
――そうでもしなければお金を受け取ってもらえないと思った――
貴方は、渡されたお金がなければ彼女の生活の先行きが立たないと彼女の胸に押し返す。
「わ、わたしは……、初めては貴女がよくて……、だって、すごくかわいくてぇ……」
淫魔は顔をぐしゃぐしゃに濡らし、貴方の言葉は届いていない様子だ。
貴方は――
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