貴方は淫魔の国へ渡る   作:ばばばばば

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 貴方が首を回すとそこには先ほどの女性が手をつきだして立っていた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 もっとも、現代の男が淫魔という言葉を知る入口は

 そんな古い伝承ではなく、たいていもっと俗な方面だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は、彼女の言い分をとりあえずは信じることにした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                           

 貴方は彼女の話の全てを理解することはできなかったが

 つまるところ貴方と彼女が空想上に近い存在だと互いを認識している事は分かった。

 

 

 

そして、彼女の存在を認め、その話を信じるとするなら、一つの結論が出る。

 

 

 

 

 

 そういった創作物に触れる機会もあった貴方であるが自分が異世界に転移したという事実。

 今まで非現実敵的な体験をしてきた貴方であるが、乾いた笑いしかでない。

 

 

 

 

 

 

 そんな現実逃避じみたことを呟くと、彼女は興味深そうに頭を掻く。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言われても貴方は黙り込むことしかできない。

 魔力や魂など言われても貴方には全く分からないので答えようがないので当然だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は淫魔の逸話として人の精を吸い取るという話を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるでオカルトのような話だが、目の前のオカルト染みた存在が主張すれば、貴方はそういうモノなのかと納得する。

 

 

 

 彼女の言葉に気圧されながら、ならば彼女のことはどう呼べばいいかと聞いてみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 味がしないどころか舌の味蕾をこそぐ様な呼び方に貴方は閉口した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 犬の名前に犬と名付ける様な暴挙、しかし貴方はこの際、些事には目を瞑った。

 ちゃん付けも多少の抵抗があったが、貴方は良しとした。

 

 

 

 貴方は目の前の彼女を呼んでみる。 

 

 

 

 互いを呼び合う貴方と彼女。

 しかし、貴方は切実な要求があった。

 

 

 

 

 

 

 貴方は命を救ってもらいながら図々しいと思いながらも、頼るものがないあなたは彼女に庇護を求めるしかない。

 この部屋全体に鳴り響く腹の虫を聞いて彼女は慌てたように部屋を出る。

 

 

 

 

 

 何かを探す彼女は凡そ食料を探しているとは思えないことを聞いてくる。

 次第に不安が大きくなる中、戻ってきた淫魔が手に取ってきたのは手のひらにのる小さなカップのような物であった。

 

 

 

 

 

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 そこに描かれたものは見知らぬポップな字体で書かれた書かれた文字、ちょうど草原を背景に馬の絵が書かれている。

 

 


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 貴方はそれを見て丁度、3つ1セットで売られているような安売りのヨーグルトを連想した。

 馴染みある見た目のそれがスプーンと共に出される。

 

 

 

                                              

 

 

 中身を見れば、まさに想像の通り、白く柔らかいヨーグルト様の物が入っている。

 

 ちょうど胃腸が弱っている貴方にとっては都合がいい。

 貴方は深く頭を下げた後、一匙掬って口へ運んでみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、貴方は目を見開く。 

 食感はヨーグルトよりプルプルとした弾力、鼻に抜ける匂いは特有の饐えた生臭さ。

 貴方はその白い物体に心当たりがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は盛大にえづくが既に喉へと滑り落ちた白濁はもう既に胃の中に到達していた。

 イガイガとした喉の感覚、胃の中から精子の香りが鼻を抜けていく。

 

                                                              

 

 

 

 

 貴方は猛烈な抗議を彼女に行った。

 

 

 

 

 

 

 一宿の恩にかさね一飯の恩に預かろうとしている貴方だが、流石にこれは食べられない。 

 

 

 

                                                        

 

 

 

貴方が耐えがたい喉のいがらっぽさに苦しんでいると。彼女は既に飲み干した空のグラスを取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は喉の違和感を忘れ目を丸くした。

 

 

 

 

 

彼女の言葉に半信半疑であった貴方は、いよいよこの場所が隔絶の世であると思いなおすだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は局部なら焼いて食べれなくもないが後者を食べることは難しいことを彼女に説明する。 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、彼女にとってそれはそこそこの値打ちがするようである。

 貴方は文句など決して言えない立場であるため、渋面を浮かべることしかできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 人間は雑食だ。

 貴方はどれか一つぐらい引っかかってくれと願いながら、思いつく限りの食品をあげていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやら彼女の発言を鑑みるに、未だ相互理解は程遠いものであると貴方は感じた。 

 

 

 

 貴方は、ならば自分が食べられるものが無いか探しに行けないかと相談してみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は彼女のような者たちが淫魔というものなら、身を隠せばそう悪い事態にはならないのではないかとも思ったが、それを話した瞬間、彼女は貴方の鼻に指先を突き付ける。

 

 

 

 

 

 

                                                        

 

 

 

 そこまで話して、彼女は顔を手で覆う。 

 

 

 

 

 

 彼女の余りの必死さと、その哀愁溢れる表情に貴方は先ほどの提案をひっこめざるえなかった。

 しかし、生物として貧弱とまで言われ、貴方の僅かばかりのプライドは少しだけ傷ついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は遺憾の意を表明するが、彼女はそれならばと、手の平を貴方の胸に当て、ベッドに横になるよう軽く押しだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                           

 ベッドに吹き飛んだ貴方より、やった彼女の方が驚いている様子がみえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方の外に出てみたいという意思は砕かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがそれは地球という小さな尺度の中でのことなのだと貴方は理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方がそんなことを考えていると、彼女の目の前にスクリーンが浮かんでいることに気づく。

 まるで近未来の投射スクリーンのような光景に貴方は驚かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 心配そうにこちらを見る彼女、あまりにも常識が違う貴方と彼女。 

 

 

 

 今息が出来ている時点で、まさか定期的にこの魔界に有毒ガスが噴き出すなどということがなければ酸素はクリアされる。

 

 

 

 

 

 

 

 貴方は早速ゲームオーバーになるところであった。

 

 

 

 

 

 

                                                             

 

 

 彼女はそんな貴方の不安を煽る言葉を呟くが、飲んでしまったものは仕方がない

 例え毒水であったとしてもあの時に飲まないと言う選択肢は貴方になかった。

 今なにも起きてない以上、問題ないと思い込む以外は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                         

 贅沢は言わないが、もっと人に向いた食物があるのではないかと婉曲的に伝えることを試みる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、彼女は貴方の強がりを見抜いたのか、貴方の顔を見た瞬間にモニターへ顔を映す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 貴方はさりげなく、とんでもないことを言われたような気がした。

 

 

 

 

 

 

                                                            貴方は手招く彼女の元に近づくと彼女が映すモニターの食品コーナーを確認する。

 

 

 

 

 

 なにやら妙な呟きが聞こえた気がしたが

 目に映る食物に意識の大部分が割かれているせいで貴方には聞こえない。

 

 

 

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 彼女の意見をどう返すのか正解か悩むが答えはでない。 

 貴方はとりあえずのページを見ていきくと、一つの商品が目につく。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 得てして、この手の食品のたんぱく質は乳由来であることが多い、間違いであるとは言えないだろうと、貴方は考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女に感謝を述べ、貴方はようやく何とか生きていけそうな実感を得て安堵の笑みを浮かべる。

 

 

 

 

                                                        

 

 

 

 衣食住が満ち足りて、人はようやく人間になれる。

 寝床と食事は彼女が用意してくれた。

 しかし――

 

 

 

 

 

 

 

 ……ここで今更ながらに貴方は気づくのだが、このベッドはかなり上等なようだ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                       

 しかしならばどうやって普段は体を身綺麗にするか貴方が疑問を浮かべると、彼女は苦笑しながら答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギトついた体に張り付く砂埃は、貴方の文明人としての感性からも

 非常に受け入れがたいことを彼女に伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるで魔法、事実魔法であるのだが貴方はあまりの便利さに驚き

 思わずピカピカに磨かれた体をさする。

 

 

 もしやこの世界の淫魔という存在は自分たちが住む現代よりも遥かに発展した世界であるのではないかと思えてしまい

 貴方は彼女に少し興奮気味にそのことを伝える。

 

 

 

 

 

                              

 

 

 

                              

 

 貴方の興奮に対して彼女の反応は薄い 

 

 例えば自分が今いるところから首を回して見えるモノで

 自分が一から単独で作れるものなど何ひとつないのではないだろうか?

 高度に工業化された世界とはどこも同じ末路を辿る物なのかもしれないと貴方は感じた。

 

 

 

 そんな風なことを貴方が考えていた時である―― 

 

 

 

 

 

 彼女は改まった声を出して襟を正す。

 まぁ彼女の胸元はバッサリと開けられており襟などないのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帰る方法も分からない貴方にとって生活基盤を得るには願ってもない提案だ。

 

 しかし、彼女の言うちゃんとした場所……

 警察などの公機関があるのならばそこに助けを求めるのも一つの手かもしれない……

 

 

 

 貴方は―― 

 

 

  貴方はしばらくこの家に居させて欲しいと伝えた

 

  貴方はそれを断り、自分の身柄の保護を国に頼る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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