「加賀です、よろしくお願いします」
「股にきました」
「死ね」
朝の7時半。
普通の高校生なら寝坊パニックの時間だけど、俺、神奇流星(かみき りゅうせい)は違う。
「ふはははは……何故なら今日からは!!」
春の大感謝祭くらいの春休みなのだ!!
ベッドから跳ね起き、机の前にドカッと座る。
片手にはスマホ、片手にはイヤホンを持つ、寝起きとは思えないスピードでイヤホンを両耳に流れるように装着しスマホを起動し艦これを開く、ここまでおよそ5秒…更新だな
何てことを喋りながら起動したスマホの画面に意識を移す、そこには『艦隊これくしょん 艦これ-』のロゴが輝いてる。
何故こんなに朝早いのかの理由? 超シンプル。
今日が、初期艦の叢雲のレベルが99になる日だから!!
「単艦演習来い来い来い~!」
机に飾ってと言うより置いてある叢雲のアーケードカードを眺めながら、ニヤニヤしながらスマホ画面を連打。
資材余裕、装備も順調。およそ経験値2700程度でレベルが上がるなんて考えながら、いつものルーチンを回す。この調子だとおよそ運が良ければ朝の5回で行けるか?
……そして、ついポロッと。
「はぁ~、マジでこの世界に行けねぇかなぁ~!!!俺自分で指輪を渡してぇよ!」
言っちゃった瞬間、自分で「いやいや、んなアホな」ってツッコむ。
でも画面に戻ると――
……固まってる。
「ん? ラグ?」
スマホをタップしても、再起動しても死んでる。
カードも無反応。そりゃそっか…
OKGoogleすら呼べない。
「マジかよ……最悪のタイミングで落ちるとか運営ふざけんなよ」
ため息つきながら電源長押ししようとした瞬間――
画面が、真っ白に。
いや、光。
眩しい白い光が画面を埋め尽くす。
「うわっ、なんだこれ!? ブルースクリーン超えじゃん!」
顔を背けようとしたら、
――ズズズズズン……
体が、前に引っ張られる。
「え?」
椅子ごと、机ごと、俺の体が画面に吸い寄せられていく。
「待て待て待て待て!? 物理的に!? いやいやいや!!」
机の端を必死に掴むけど、指が滑る。
足が浮く。
体が完全に宙に――
「うわあああああああ!!!」
視界が、真っ白に飲み込まれた。
……。
………
…………
「……は?」
気がつくと、俺は砂浜に尻餅ついてた。
波の音。潮の匂い。ギラギラの太陽。少し暑いな
「………………マジ?」
周りを見回す。海。
少し離れたところに、コンクリートっぽい建物と煙突。
……鎮守府じゃん、あれ。
「待って待って待って。マジで艦これの世界に来ちゃった系?」
立ち上がって、自分の体チェック。
服は今日の午後からアーケードするつもりで外出用の服で寝たのでそのまま。スマホもポケットに入…ってないじゃないか!そういやスマホでさっきまで艦これしてたな。にしても生きてる。痛くない。一瞬だが俺は宙に浮いてたと思うんだけどな…
「だが……そうか…!はははははは!!」
笑いが止まらない。
「俺、異世界転移キターーーー!!!」
両手広げてくるくる回る。砂が舞う。だが仕方がないだろう
転移系というのは男の憧れだと思う、
「やべぇ! ガチじゃん! 提督ルート? 俺が提督? もしかしてブラック鎮守府とか!?さすがに艦娘の悲しい顔はいやだけど……でも元はと言えばブラ鎮提督って本当に人間だよな!?」
頭カオス。
「とりあえず鎮守府行ってみっか! 叢雲! 加賀さん! 川内! 誰でもいいから会いてぇ!!」
そう叫んだ瞬間――
「そこの貴方! 何してるんですかー!?」
岩場の上から声が降ってきた。
見上げると、腕の部分に青がついている白いセーラー服?に赤いゴム止めをつけた女の子。
紛れもなく、吹雪だ。
「……吹雪……さん?」
俺は思わず息を飲んだ。
彼女は警戒した目で俺を見下ろしながら、ゆっくり岩場から降りてくる。
「ここは鎮守府の管轄区域です。許可なく入るのは禁止されてますけど……あなた、どなたですか?」
俺は慌てて立ち上がり、砂を払って丁寧に頭を下げる。
「あ、すみません! 突然こんなところで……。僕、神奇流星っていいます。えっと……実は、さっきまで別の世界にいたんですけど、何かの光に包まれて……ここに飛ばされてきました」
吹雪の眉がピクッと動く。
「……別の、世界?」
「はい。僕、そこでは……えっと、吹雪さんみたいな人たちを画面越しに見て、指揮したり、育てたりしてたんです。ゲーム……みたいな感じで。でも今は、こっち側に本当にいるみたいで」
吹雪は一瞬固まって、俺を上から下までじっくり観察する。
少し後ずさりながら、
「……画面越しに? 指揮? それって……提督みたいな……? でも、あなた一般人ですよね? 深海棲艦の変装とかじゃ……ないですよね?」
「深海棲艦!? いやいや、絶対人間です! 高校生です! ほら、触ってみてくださいよ……って、変な意味じゃなくて!」
俺は両手を広げて、無害アピール。にしても本当に深海棲艦っているんだな、現実味ないわぁ~
吹雪は少し考えて、ため息まじりに。
「……本当に人間みたいですし、艤装も持ってないし……深海棲艦の気配もないですけど……。でも、別の世界から来たなんて、聞いたことないです。鎮守府に不審者が入るのは初めてじゃないですけど、こんな話は……」
彼女は困ったように頭を掻く。
俺は深呼吸して、真剣に続ける。
「吹雪さん、突然で申し訳ないんですけど……ここって鎮守府ですよね? 艦娘さんたちがいて、提督さんがみんなを指揮してる場所で……」
吹雪はこくりと頷く。
「はい。今は提督が少し席を外していて、私が見回りを……」
「そうですか……。あの、急にこんなこと聞くのも変なんですけど……」
俺は目を合わせて、丁寧に。
「僕、この世界に来ちゃったみたいなんですけど……ここで、提督のお手伝いとか……なれる方法って、ありますか? いや、なるかどうかもわからないんですけど、もし何か条件とか、手順とかあったら……教えてほしいんです。僕、あっちの世界でずっと吹雪さんたちを見てて、ちゃんと守りたいって思ってたんです。戦うお手伝いも、精一杯したいんですけど……」
あーやばい、頭回らなすぎて意味不明な言葉になってる、
吹雪さん頭ぽかんとしてるし、急すぎたよなぁ、なんだよちゃんと守りたいって、守ってもらってるのこっちだろ、んあ~!なんか冷静になってきた、これがあれか、自分以上に怒ってる人みると逆に落ち着くみたいな感じのポカンバージョンってやつか、多分な?
そんなことを考えながら俺吹雪さんと話してたなと思い
そちらの方に視線をみやると、お互いしばらく黙ったあと、
「……提督の、お手伝い……? そんなに真剣に言われると、ちょっと……びっくりしますよ?」フフ
彼女の表情が、少しだけ柔らかくなる。
まだ完全に信じてるわけじゃないけど、警戒が薄れたみたい。
「でも、提督になるには海軍本部からの任命とか、特別な資格が必要なんです。異世界?から来た人なんて、前例がなくて……。とりあえず、提督室に行って、他のみんなに相談してみましょうか? 私、秘書艦なので案内できますが…」
俺は思わず笑顔になって、
「本当ですか!? ありがとうございます、吹雪さん!」
吹雪は少し頰を赤らめて、
「え、えっと……じゃあ、こっちです。ついてきてくださいね、神奇さん」
あれ?私吹雪って名前教えたかなぁ?そういえば最初にあった時も、ま、今はいいっか♪
俺は素直に頷いて、彼女の後ろをついていく。
……よかった。ちゃんと聞いてくれた。
まだ信じきれてないみたいだけど、これから少しずつ説明していけば……。
仲良くなったら、吹雪って呼べるかな。
砂浜を抜けて、鎮守府の建物に向かう道。
波の音と、吹雪さんの後ろをついていく。吹雪さんの小さな足音に合わせて歩く音が、なんだか不思議と落ち着く。
――こうして、俺の艦これ世界の生活が幕を開けるのだ?
一つ一つ書きながら更に深く見やすくするということを覚えたてながらしてみました。
さて、これから吹雪の後についていった神奇君はいったいどんな出来事を迎えるのか!
次回! 「提督になりたい?うん、いいよ」
お楽しみに!