「〜〜〜〜〜♪」
地球から月へ届いた歌でかぐやは目を覚ました。
かぐやは手のひらを拳でポンッ!と叩くと早速行動に移した。
「もう一回地球に行けばいいじゃん!」
爆速で仕事と引き続きを終わらせ、犬DOGEを連れてたけのこに乗って地球へ舞い降りた。
「なんか全然違うんだけどっ!」
立川市周辺は以前の様な外観をしておらず、知らない建物が増えていることに頭を抱えた。
「でも、よかった!タワマンはあんまり変わってないねっ!」
セキリュティが堅牢なタワマンに入るのは容易ではない為、彩葉と早く会いたいかぐやは扉の前に着陸していた。
ピンポーンッ!
「はい、どちらさまでしょうか?」
「彩葉ー!月の仕事を終わらせてまた会いにきたよぉッ!」
「……少々お待ちください」
すぐに玄関の扉が開くと、腰が少し曲がった白髪の可愛らしいおばあちゃんが顔を出した。
「あれ?彩葉引っ越ししちゃったのかな?」
「彩葉は私ですよ」
「え?おばあちゃんが彩葉……?」
「はい、そうですが」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
立ち話もなんだからと部屋に上げてもらったかぐやは、広々としたあまり物が無い部屋を見渡した。テーブルにお茶とお菓子を並べた彩葉はゆっくりと椅子に座った。
「座ってどうぞ」
「あ、ども〜〜」
目の前のおばあちゃんが彩葉だと信じらないかぐやは、まず質問を重ねた。
「彩葉は今何歳なの?」
「今年で80歳になります」
「ぬうぁぁぁ!完全に遅すぎたぁぁぁ!」
「わんっ」
月の仕事に没頭しすぎて、まさかこんなに時間が経っているとは夢にも思わなかった。かぐやは頭を伏せて項垂れると、犬DOGEが頭を撫でて慰めてくれた。
「てか何で敬語ー?私かぐやだよー?⭐︎」
「かぐ……や?」
「え!?私のこと忘れちゃったのッ!!」
「すみません…最近物忘れが多くなって…」
「えっとぉ!昔の友達なんだけどっ!彩葉が高校生の頃いっぱい遊んだよ!」
「あぁ、確かに大事な友人がおりました」
「でしょ!その子その子!」
「ふふっ、何だか懐かしい気持ちは思いだせます。こんなに若い子が友達の筈ありませんのに」
「彩葉……」
自分のことを忘れてしまったことにかぐやは泣きそうになると、彩葉の細い腕に螺旋状のアクセサリーを付けているのが目に入った。
「その腕輪…まだ持っててくれたんだ」
「これですか?随分昔に曲を作ったのですが、その時に励まされた大事な腕輪です」
「そっか、歌は月にまで届いたよっ!ありがとう彩葉!」
「そうですか、それなら私も頑張ったかいがありましたね」
穏やかに笑う彩葉は、見た目は変わっても心は何も変わっていなかった。
「ねぇねぇ彩葉ー、私もまたこの家に住んでいい〜?」
「こんな老人と一緒に住んでも楽しくありませんよ?」
「彩葉と一緒だから楽しいのーっ!あ!私の部屋の物捨てちゃった?」
階段を駆け上がって、自分の部屋に入るとトーテムポールなど無駄な物が綺麗に整頓されていた。ざっと見た感じ捨てられた物はないみたいだ。
「ずっと待っててくれたんだね彩葉」
老人がこんなに広い家で一人で住むには広すぎる、だけど帰りを待っていたかのようにかぐやの部屋に埃などは溜まってなく、掃除が綺麗に行き届いていた。
「うかうかしてられないねっ、今日から彩葉と沢山遊ぶんだからっ!!」
それから数年間、時間を取り戻すように楽しく過ごした二人は学生の頃のように毎日笑いあっていた。
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「大切な〜メロディ〜は流れているよー♪」
彩葉を天国へ見送った後、かぐやは一旦月に帰って学生の頃の彩葉にまた会いに行こうと決めていた。
「長い時間は精神が磨耗しちゃうみたいだから……ヨシ!不変コード入力完了っ!これで新品かぐやちゃんを地球にお届けー⭐︎」
彩葉は認知症という病気でかぐやの事は忘れていたが、曲や大事な思い出は覚えていた。万が一に備えて、かぐやは緊急時に精神をプロテクトする不変コードをたけのこに仕込んでおいた。
「よーし!タイムスリップ開始!⭐︎」
これが小惑星に軌道をずらされ、8000年過去の地球で過ごす事になるヤチヨの物語の始まりであった。
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「かぐやちゃん、パンケーキを作ったよ」
「わぁ!ありがとっ彩葉!」
何十年と練習した彩葉は、ペラペラなパンケーキではなく
フワフワのパンケーキをかぐやに沢山作ってあげていましたとさ♪