真1の大破壊後の世界で、日本復活のために悪魔と戦うある男女の物語(手広くアトラス作品がクロスオーバーした世界観です) 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(都庁外)
金属音に似た音を立てて仮面ライダーメシアが砕け散った。
強大な敵をライダーキックの真似事で打ち倒した桃井明は
(やった……)
そう思い。
そのまま、自由落下する。
砕け散った仮面ライダーメシアの破片と共に。
かなりの高さであり、このまま落ちるのは危険。
だが本人はどうしようもない。
人には翼が無いのだ。
しかしそこに
「わわっ」
素早く仮面ライダーベルゼブブ=桃井夏子が飛び込み、両腕で受け止め。
その背中の羽根を羽ばたかせ、ホバリングする。
「危なかった」
焦り声だった。
そしてゆっくりと地上に降り立ったとき。
「……スマン」
桃井明は妻にそう礼を口にする。
桃井夏子は
「お礼を言うのはこっちです……ありがとうございます明さん」
立てますか? と言いつつ桃井明を降ろす。
桃井明は地に足を下ろして
「……ち。足をやっちまってる」
そう舌打ちをした。
あのアイスエイジスマッシュで足を壊してしまったようだ。
痛みで顔を顰める桃井明。
「
そこに軍神シユウが駆け寄ってくる。
今となってはたった1体残った彼の主力の仲魔だ。
桃井明は顔を顰めつつ
「悪い。足をやってしまったようだ。動けんからしばらく守りを……」
そう、彼が自分の妻と仲魔に自分の守りを頼もうとしたとき。
2つの影がその守りの壁に加わった。
1つは
「……よくやってくれた。君が一番厄介な相手を叩き潰してくれたおかげで、この戦いはこちらの勝ちで終わりそうだ」
黒いスーツの研ぎ澄まされた刃のような上級の男。
「お疲れ様ね。さすがは桃井さん。あとはまかせてちょうだい」
そしてもう1人は、黒ジャージ姿の凶悪な美女。
2人は迫りくるテンプルナイトとクルセイダーの混合軍を前にして
「来なさい要らない奴ら!」
「――ペルソナ」
そして橘千晶の化け物拳銃と。
何故か、神取鷹久がアームターミナル無し召喚した黒一色の無貌の人型悪魔が。
それを迎え撃つ形で立ち塞がるのだった。
★★★(一方その頃、都庁最上階大ホール)
悪魔特攻の魔王ラーヴァナ。
そして人間特攻の魔王マーラ。
この2つを用意し、クルセイダーロードがどちらの姿になっても対応できる態勢。
佐上真月たちは、それで迎え撃とうと考えたのだろう。
クルセイダーロードはそう考えた。
(……残念でしたね!)
クルセイダーロードは唇の端を吊り上げる。
浅はかな計略を用いて自分の前に立った、愚かなる者たちに。
そして
「変身ッ!」
彼女は天に草薙の剣を握った右手を突き出して、自らの姿を変える。
仮面ライダーサタンの姿に。
そして即座に背中の6枚の翼で羽ばたき、宙に舞いあがった。
(高く……高く……!)
どうやろうと奴らの手が届かない位置に。
そこに出なければならない。
これから自分がやろうと考えていることのためには。
幸い、このホールは天井が破壊されている。
(好都合ですねッ!)
おかげで充分に距離を取れるではないか。
(……ここまでくれば……)
充分な高さを稼いだと判断した彼女は、眼下を見下ろす。
かなりの高さである。
ここまで昇れば、安全に実行できるだろう。
……彼女は草薙の剣を腰の鞘に納刀した。
これから彼女がすることには、両手を使うからである。
彼女の究極合体魔法……
メギドアーク・キャノンを。
それでまず、魔王マーラを確実に瞬殺し。
その後人間体に戻り魔王ラーヴァナを倒す。
その後再変身して最初のメギドアークキャノンで倒し切れなかった敵を殲滅すれば完璧だ。
それでこちらの完全勝利。
(思い知らせてやりますよ……邪悪な旧政府の手下どもがッッ!)
彼女は仮面の中で残虐に唇を歪め、宣言する。
「究極合体魔法ォォォォ!!」
だがそのとき。
彼女の眼下で
飛び立つものがあった。
(狙い通り)
佐上真月は思っていた。
クルセイダーロード……仮面ライダーサタンがそういう行動に出ると。
厄介な魔王マーラを排除するため、真っ先に遠距離で究極合体魔法を使うという選択肢を取りに来ると。
……何故なら、八十稲羽市で見たからだ。
彼女の究極合体魔法「メギドアーク・キャノン」を。
だから彼女は……事前にこの部屋の天井をブチ抜いておいたのである。
簡単にその選択肢を取りやすいように。
「真月、行って来る」
「行ってらっしゃい」
仮面ライダーサタンの行動開始を確認し、忍は妻と決意の会話を交わす。
これから彼が行うことは、かなり危険な行為だ。
失敗すれば命は無い。
これが最後の会話になるかもしれない。
だが……
ふたりの間にはそんな悲壮感は無かった。
まるで普通に、彼女は最後のピースを夫に手渡した。
合体剣ハルぺー。
所持者にヘルメスの素早さを与える魔法の短剣である。
元々、ガイア教徒の幹部であった女・下津名高美が持っていたものだ。
そして
「こっちはいつでも行けるゾイ」
魔王マーラがそう言って来た。
こいつにも働いてもらわないといけないのだ。
必要なのは……
合体剣ハルペー。
そして魔王マーラの念動力。
そして……
「じゃあ、頼むぞ真月ッ!」
佐上忍=仮面ライダーアモンが地を蹴り、翼を広げ、飛翔する。
同時に
「行けエエエエエエ!」
魔王マーラが彼の身体に念動力を働かせ、その飛翔速度をブーストさせた。
(……仮面ライダーサタンがあの究極合体魔法を使用するために必要と考えた距離……それを発射までの時間で飛び越える!)
それが彼女の考えた、仮面ライダーサタンの攻略方法であった。
あの究極合体魔法の使用体勢に入っている間だけは、あの少女は無敵ではない。
何故なら草薙の剣を手放しているからだ。
だから、そこを狙うのだ。
(……アナタ……信じてるからね!)
真月は、そう夫の勝利を願いながら。
最後の行動を開始した。