兎の群れ√ 出会いの果ての未来   作:サイセンサイ

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シェイカ・クラネル

 

 血まみれの男が空に浮かんでいる

 

 比喩でもなんでもなく実際にそうなのだ。

 だが浮かんでいたのはほんの一瞬、重力に従って下へ下へと落ちていき『ゴシャ!』という音を立てて地面に激突した。

 

 場所は『竈火の館・正門前』

 英雄の住処である場所からそんな物が舞い落ちれば何だ何だと騒が起こるのは必定だが、時刻が夜だったため通行人はおらず、すぐにどうこうということはないだろう

 

「で?何があったんだい」

 

 そんな異常事態に臆することなく地面に音を立てて激突した血まみれの男に向かって質問をするのは英雄の妻の一人であるアイシャ・クラネルその人だった

 彼女は長女であるオルガの仕事に付き合った後、渡された手土産を抱えて帰路についていたのだが、正門前に着いた瞬間謎の人間落下が目の前で起こったのだ

 

「く、、、麗傑か、、、ゴホッ!!」

 

 落下してうつぶせになっていた男は顔を上げて話しかけてきたのがアイシャだと認識、体の内側から来る嘔吐感に苛まれながらとりあえず事情を説明しようと首だけを上げて口を開く

 

 男はフレイヤ・ファミリア所属のラスク・ラディール

 黒竜討伐後にレベル5にランクアップした第一級冒険者の彼が何故こんなことになったのか?

 それは、、、、、

 

 

 

「『たいやき』という甘味の奪い合いが起こってそれに巻き込まれたゴホッ!」

 

「まぁそんなこったろうと思ったけどね」

 

 

 

 アイシャは今や自分の住処となったホームに顔を向ける。そして耳を澄まさずとも消えてくるのだ。

 子供達の争う声と怒号と戦闘音が

 ラスクはそれを止めようとして巻き込まれてグチャボロのボロ雑巾にされて恐らくアッパーカット的な何かを喰らってホームの外にぶっ飛ばされたのだろう

 いやレベル5だよ?子供達は強くてもレベル4だよ?色々おかしいよ?

※唯一のレベル5であるトライアは自分の持ち家で崇拝ハーレム達に強制全裸生活をさせられてるからホームにはいない

 

 だがベルの子供達の喧嘩に巻き込まれればレベルの一つ違いなど簡単に覆ってしまう。悲しいことに『よくあること』だった

 

 そう思っていたら『二人目』が空を飛んできて『ゴシャ!』とラスクの隣に落ちてきた

 同じく血塗れとなったフレイヤ・ファミリアのノーガだった

 

「グホっ!、、、、今回は良識派のメロや普段争いにはノータッチなピアノすら参加して戦いの野とかしている」

 

「『甘味』のことになるとこぞって暴走しちまうんだよなあいつら」

 

 

 大人しい者たちですら『たいやき』の奪い合いに参加している。そうなのだ、子供達は『甘味』が関わるとその殆どが豹変してしまう。甘味が関われば大地すらひっくり返す勢いで暴力に継ぐ暴力をこの世界に刻み付け人を恐怖の底へと叩き落とす。その有様はよく『竜の息吹』と称される

 

 とある女神によれば『祖母の血筋』らしい

 

 【原白の血統(メーテリア・ブラッド)】

 

 他ならない祖母の主神だった女神が名付けた異名だった

 

 

 そうこう言っている間に『三人目』がゴシャリとノーガの隣に落ちてきた ヴァンだった

 

 

「ガハッ!あいつら、、、『カスタード』如きでレベルの限界を超えおって!」 

 

「今回はカスタードか、、、、、」

 

 

 話を戻すと今回の始まりは極東の甘味であるたいやきを作る職人がオラリオにやって来て大量に買い込んだことが事の発端、そこまでは良かったのだが、極東特有の黒あん白あんの他にまさかカスタードまであるとは誰も想像できておらず、なおかつその数も少なかったことから殺し合いになったのだ

 

「母親どもはなぜ加勢しなかった!!?」

 

「チビ達の世話があるからねー」

 

 子供達の殺し合いは白熱すれば母親達にも止められない、しかし子供達も小さい弟妹を巻き込むほど理性を捨ててはいないがそれ以外は全力で巻き込むので器用に暴走しているのだ

 

「ベルはどうした!!?」

 

「『こういう時甘いものが苦手組は手持ち無沙汰で肩身が狭い』と言いながら屋上でたいやきと共に持ち込まれた極東の『おもち』とやらを焼いていたぞ」

 

 父親であり大黒柱のベルなら実力的にも留められる、実力を使わなくとも子供達はベルの言う事は素直に聞くので収められるだろうが、生憎ベルは甘いものが苦手で甘味で争う子たちの心根を想像できない、だから仕方なく放っておいている。ついでに好きなものを子供達と共有できないことに毎回落ち込んでいる

 

「長兄のアコーディオは!?コントラスは!?」

 

「あの2人も甘味が苦手組だから今ごろベルと一緒に『おもち』を焼いてんだろうね、七輪やら醤油やらを用意して」

 

「あ、ホントだ、屋上に煙が見える 血で滲んだ目でもわかる」

 

 そんなベルと同じで甘いものが苦手で好きなものを共有できない気まずさを持っている少数派達、同じ舌の兎達は寄せ合うように集まり屋上で極東の食べ物である『おもち』を焼いている

 

 見てーぷくぷくしてきたー

 

 わぁー不思議だねー

 

 おい醤油の小皿は

 

 あ、ごめん忘れてた

 

 負傷フリューゲル!父理に基づきこちらに用意させていただきました!

 

 七輪から上がる煙とともにそんな会話が屋上から聞こえてくるような来ないような

 

「なぜだ!なぜ俺はこんな事をしているのだ!?俺の人生はどこで狂ってしまったのだ!!?」

 

「自分で考えな」

 

 カスタードが理由で限界を超えられボロ雑巾にされて正門前にぶっ飛ばされたヴァンは悔し涙すら流してうつ伏せのまま拳を握りしめた。比較的幼い子供達がみぞおちにいいパンチを入れたので立てないのだ

 

 そんな時だった

 

「あれ?母か?」

 

「おぉ~シェイカかい」

 

 ホームの玄関から歩いてきたのはアイシャが産んだ2人目の娘シェイカだった。彼女は正門前にぶっ飛ばされた3人の回収のためにここに来たのだが、産みの母がいるのは予想外だった

 

「ん?アンタは甘いもの苦手じゃなかっただろ?」

 

 アイシャは少し疑問を抱いた。シェイカは普通に甘いものも好きだしアマゾネスらしく戦いも好きだ。ならなぜ子供達の戦いの野に参加していないのかが気になった

 その質問にシェイカは『あ〜』と口に出して頭を掻きながら少し考えると少し気まずそうに答えた

 

 

「な~んか『乗らなかった』んだよな~」

 

「あぁそういう事がたまにあるねアンタは」

 

 

 それは単純な気まぐれ

 

 だがシェイカの場合その『数』が多い

 

 シェイカの性格はアマゾネスらしく色欲に忠実で豪胆、同じアイシャの腹から産まれた姉妹達共通でかっこいい女性という感じだ

 だがシェイカは父親譲りの顔を持って生まれたからかは知らないが、どことなく『ヒューマン寄り』の行動をすることがある。戦いは好きだ、だがいつもというわけではない、男を抱くのは好きだ、だが他のアマゾネスと比べるとそう思う時間が少ない、男を抱き寄せてベットの上でアマゾネスらしく泣かせたことは沢山あるが、シェイカはその回数と割合が他のアマゾネスと比べると少なかった。かといってリコのように貞操観念が強いわけでもない、ヒューマンからすれば強烈な生き方だろうが同じアマゾネスから見ればその迫力は平均以下のもの

 一言で言えば『中途半端』 他の兄弟姉妹のような【尖り】や【妖しさ】などが彼女にはない

 シェイカ本人はこの事を少しばかり気にしている

 ちょっと変わった思春期ともいえる悩みだった

 

「こんなんでいいのかねー、、、私は」

 

「いいと思うよ」

 

「!」

 

 そんなシェイカの頭をアイシャは鷲掴みにしてワシャワシャとする。アマゾネスならそんな事をされたら笑って軽口を叩くものだが、シェイカは目をつぶってギュッと身体を硬直させる。それもまたシェイカらしい

 

「要はサポート向きってことだろ?チビどもの食器とかよく片付けてくれてるし人の機微にも敏感じゃないか、私たちなら面倒くさくて人任せにしてるところをアンタは積極的にさぁ、、、私はアンタの父親の雄な所に惚れたがそんなとこも好きだ、種族的に言えば『人間味』があるってやつだろ、十分魅力だよ」

 

(((あの麗傑が堅実に母親やってる、、、)))

 

「それでも気にしちまうならそうならないように色々やってみることだね」

 

 いつも通りだがほのかに母性を感じさせる笑顔でアイシャはシェイカを励まし、彼女は笑みを浮かべた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私と音楽やらない?シェイカ姉さん」

 

 その翌日のこと、一個下の妹からの誘い

 母親同士がレベル4同盟がなんたらかんたらという理由で彼女はシェイカを誘ったのだ

 

「やってみるか、、、これに関してはアンタが先輩だからよろしくな、サク」

 

「うん」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、やることないですね」

 

「警戒を怠るな」

 

「ハッ!」

 

 そこは祭りの建設場所から離れた場所、その場から距離をとって円形に包囲しているのはその殆どが一般市民の力を持たない者たち

 だが望遠鏡を使って様子を見るのは暴徒達のなかに混ざった実力者達、小国が雇った彼らは様々な理由でここにいる。例え汚名を来させようともやらなければならない使命を持つものもいれば、汚名を何とも思わない野蛮が常中の輩もいる

 

 今話をしていたのは【獣人の蛮族】たち

 

 娯楽神から恩恵を与えられてランクアップした者たちも存在している

 彼等はモンスターが出やすい辺境の出身でモンスター退治が生活の一部となっている生活を送っている。だが辺境ゆえに代わり映えの日々が無く、例え某略ありきの仕事だとしても刺激を求めてこんな事をしている。

 

 そしてその一団の隣には【エルフの防衛隊】がいる

 彼等の中にも森を守るためモンスターと戦ってランクアップした者たちもいる

 

(ずっとこっちをゴミを見る目で見てるなー、エルフのテンプレなクズ要素を隠しもしねぇ)

 

 エルフの同胞以外は基本醜いという認識を当たり前に持っているエルフらしいエルフ達、しかし彼等は獣人の蛮族たちとは違うそれなりの理由でここにいるのだろう。まぁどうでもいい

 

 この仕事が終わればアルテナ産の魔道具を貰えることになっている。小国の属国化が進むこの時代に人力以外の力は必須、名前や土地を守る力を得るのが雇われた実力者達の望み。ちなみに前金も十分に支払ってもらいる。

 

(あっちにはレベル7の剣姫がいる話だが、ここまで距離を取ればいざって時逃げられる。いの一番に狙われたら終わりかもしれないがそこはギャンブルだ。それなりのリスクのある仕事だと受け入れるさ)

 

 自分達の役目は暴動が起きた時点で既に終わっていると言ってもいい、元々戦う選択は最後の手段、逃げる用意は万端にしてある。獣人のリーダーは注意深く望遠鏡の向こうを観察していた

 

 

 だがそれは突然だった

 

 

「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」

 

 

 望遠鏡を使わずとも肉眼で見えてしまう巨大な『竜巻』が中央のホテルの屋上で巻き起こったのだ

 人も家も飲み込んでしまいそうな巨大な竜巻だが周囲に被害は出ていない、明らかに『人為的』な操作がされている

 実力者達が頭に浮かべたのは魔法攻撃、その対策のため各々迎撃態勢を取ったり防御魔法を展開する。例え大砲を撃ち込まれても問題ない備えだった

 

 そしてその『竜巻』から

 

 何かが飛び出してきた

 

(速い!避けきれない!)

 

 その飛び出してきた何かは『風』の渦をまとっておりますその面積は防壁並みの広さ、何よりその速さは大砲よりも速かった

 

 しかもそれが『2つ』

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 

 

 

 

 飛び出してきた何かが距離を取っていた暴徒達の集まりに命中した。

 凄まじい轟音、大地を揺らす衝撃、吹き飛ばされる衆愚、大砲とは比べ物にならない被害がその場に2回も吹き荒れた

 一体何人がこの攻撃にやられたかわからない、まともに喰らえばランクアップした者たちでも無事でのはずがない

 事実、獣人の蛮族たちもエルフの防衛隊もレベル2、3以外の者達は吹き飛ばされていた

 

 獣人のレベル2である者が着弾した中央をその目で見る

 

 底に何があるのか確かめるために

 

 周囲の土煙が晴れていく

 

 そして姿を現したのは

 

 

 

 

 【両足が折れ曲がっているアマゾネス】

 

 そして【右腕が折れ曲がっているハーフ・エルフ】

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 それは数刻前のこと

 

 ホテルの屋上に【蹂躙の参加者】が集められていた

 

「作戦はシンプル、ここにいる者たちで暴徒達を全員叩きのめす」

コントラス

 

 その中央にはまとめ役としてコントラスがいた。そしてその弟妹達と母親達はその言葉に耳を傾ける

 

「暴徒達は包囲こそしているが距離を取っている。春母さんの【ウチデノコヅチ】を全員に付与しても時間制限があるから間に合わない」

 

 春姫の魔法【ウチデノコヅチ】は【ココノエ】と合わせれば全員レベルが一つ上がる状態になれるが、その時間は数十分程度、暴徒たちとの距離や数を計算すると途中で時間切れになるだろう

 

「暴徒達までたどり着くまでの時間があまりにもったいない、だから、、、」

コントラス

 

 そこで理知的で聡明で見識の広いコントラスが考えた作戦が、、、、

 

 

 

「アイ母、みんなに風をまとわせて人間大砲にして暴徒達の集まりに思いっきり投げ飛ばしてください、これならたどり着くまでの時間が節約できる」

コントラス

 

「「いや雑!!!」」

 

 ツッコミを入れたのはローザとカリィ、やることはわかった、あまりにも雑すぎてわかってしまった。だがそれには問題がある

 

「魔法を纏っているとはいえ投げ飛ばされた本人も無事じゃすまないよ!?」

 

 本当はそれ以外にも問題は沢山あるが緊急事態のためそのツッコミを必死に飲み込んで伝えるべき言葉を提言する。長距離で暴徒達のまでの距離を一瞬で詰めるほどの速さが可能なら間違いなく投げ飛ばされた本人の負担は凄まじい

 その提言にコントラスは

 

「エリクサーを持たせてそれを飲んでもらいます」

コントラス

 

「「だから雑!!」」

 

 エリクサーは万能薬、確かに飲めばとりあえずなんとかなるだろうがそう言うことではない、もっとこう倫理的なアレだとツッコもうとしたが

 

「こういうのは慣れてる。私たちなら四肢の一、二本折れるくらいで着弾できる」

サク

 

「「えぇ!!?」」

 

「まぁそれくらいならエリクサー飲めばなんとかなるしね」

ゼラ

 

 自分の手足が折れたり人間大砲にされたりするのに彼女達の顔からは全く恐怖を感じない、ユーフォニアはちょっと嫌そうだったが

 

 やはり彼らは普通ではない

 

「それじゃこれより蹂躙を始める!春母さんから魔法をもらってすぐさま発射オーライ!」

コントラス

 

「「「「了解!」」」」

 

「「えぇ~」」

 

 隠して風を纏った人間大砲が周囲に発射された

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

 

 そしてすぐさまそれは始まった

 

「グアっ!」

「なんだっ!!?」

「ぎゃあああ!!!」

 

 エリクサーを飲んで両足の負傷を回復させたシェイカが春姫の魔法を纏ってレベル4になった力で暴徒達を叩き壊していく

 彼女が両手に持っているのは『鋼鉄のドラムスティック』演奏にも使われるその棒はモンスターを倒すことにすら使うことのできるシェイカ特有の武器だった

 振るわれる強撃に手足は折れ曲がり関節は真逆に動き粉砕の音は悲鳴で掻き消される

 治っているとはいえさっきまで両足を折っていたとは信じられない動きだった

 

「お前ら逃げろーーー!!!」

「ここは俺たちが!」

 

 そして立ちはだかるのは獣人の蛮族の中でもランクアップを果たした数人

 各々が各々の得物でシェイカを止めようとするが

 

「オラァぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

シェイカ

 

「「「ーーーーーーーーーっ」」」

 

 今のシェイカはレベル4、そして獣人達は高くてもレベル3,更には先ほどの人間大砲での負傷と混乱、相手になるわけがなかった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「くっそ、、、」

「ツえぇ」

「勝てねぇ」

「何でもするから助けて」

「いやほんとに何でも話すから」

 

 獣人の蛮族たちはシェイカのドラムスティックによる連続打撃で手足をバキバキに折られて戦闘不能になった。あまりにも速すぎる蹂躙だった

 

「安心しな、殺しなんてしない」

シェイカ

 

「あ、そうですか」

「よかった」

「運が良かった」

「いやこの現状で運がいいはないだろ」

 

 負ければ何をされるかわかったものではないが、とりあえずシェイカはこれ以上のことはせず、数だけの暴徒を叩きのめすことに集中しようと再び動こうとしたのだが、その動きがピタリと止まる

 

 獣人たちは何だと倒された状態で首だけ動かしてシェイカを見る。その顔は何だが少し気まずそうな顔をしており、手足が折れた痛みも一瞬忘れて皆が頭にハテナを浮かべた

 

 そしてシェイカは自らが倒した獣人たちの方に首を向けると

 

 

「アンタたちはほんとうに運がいいよ、、、いや本当に」

シェイカ

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

「だって、、、、、私『以外』の相手は本当にヤバいから」

 

 

 

 シェイカは自分が家族の中でも魅力の薄い方だと自覚している。そして自分が比較的『まとも』だと知っている

 

 そうつまり

 

「ここにはねぇ性格が本当にヤバいのがいるからねぇ、あいつらと戦わずに済んだのは本当に運がいいよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「一つ思いついたことがある」

コントラス

 

「「「「「思いついたこと?」」」」」

 

「敵の無力化に最適な作戦」

コントラス

 

「へぇどんなだい?」

シェイカ

 

 

 

 

「敵の耳を削ぐ」

コントラス

 

「え?」

シェイカ

 

「ハァ!!?」

エイナ

 

「「ちょっ!!」」

ローザ&カリィ

 

 

 敵の耳を削いで

 

 それを何枚か集める

 

 そしたらそれを自分の身体に『巻きつけて』

 

 大きな魔法を使ったら仲間の耳も吹き飛ぶぞ と脅す

 

 回復魔法でも万能薬でもゼロからは再生できないということも伝える

 

 お前のせいで仲間の耳が消滅するぞ という感じで

 

 それに耳だけなら『軽い』

 

 持ち運びに便利で何枚でもいける

 

 これで大きな魔法は封じられる

 

 

 

 正気の沙汰ではない作戦、シェイカはその常識的な頭を抑えて母親であるエイナは泡を吹いた。

 コントラスは『狼血』

 ベルを狂信するゲキヤバ集団の総務

 他とは異なる過激な事も思いついてしまう

 

 そして

 

 

「わかった」

 

 最悪なことにそれを実行できる者がそこにいた

 

 その名は

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うわぁぁぁ!耳がぁぁ!!」

 

「き!貴様正気か!!?」

 

 とあるエルフ達の耳が刈り取られた。刈り取ったのは細い剣を持つハーフ・エルフの少女

 母親譲りのその美貌で彼女は自分と系譜が同じである耳を何枚も削いで身体に『巻きつけていた』

 

 平気な訳では無い、なんせ彼女は母親譲りの『潔癖』を受け継いでいるのだから

 ではなぜそんな事が出来るのか

 それは嫌悪感すら凌駕する何かを持っているから

 

「家族の害、、、『お父様』も楽しみにしている祭りを邪魔するものに人権など不要」

 

 彼女の名は『サク・クラネル』

 

「家族の邪魔をする奴は殺す」

 

 彼女は、、、

 

 

「正義は我らにあり、何故ならお父様が正義だから」

 

 

『狼血』のみんなが親指を立てるレベルのファザコンな家族大好きっ子ハーフ・エルフである

 

 

 

 

「止めたかったよ、止めたかったさ、でも無理なんだ。怖いから」

シェイカ

 

 家族間の強さのカーストは単純な強さだけにあらず、少しでも気圧されれば年下だろうと何だろうと圧が強いほうが意見が通る。ある意味では弱肉強食より更に酷な世界

 

 家族間は『弱肉強食』ではない

 

 

 

         【弱無強有】

 

 

 強い者にはあるだけあって弱いものには何もない、それが家族という世界

 よく聞くだろう、兄や姉の前では人権がない下の子の話を

 よく聞くだろう、絶対に向こうが悪いのに気圧されて従ってしまう理不尽を

 時に善悪すら越えてしまうから怖いのだ

 

 

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